16巻魔導国に囚われた絶死絶命のその後

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16巻<絶死絶命>のその後

アンティリーネ・ヘラン・フーシェのその後

 

第六階層

 

「どう?リーネ……美味しいでしょ?」

「はい。とても美味しいです。なにか身体の力が向上しているような感覚があります。……アウラ様とマーレ様は毎日このような食事を食べているのですか?」

「そーだよー。本当は必要ないんだけどね、アインズ様のご命令で私たちが成長するのに、必要みたい。」

 

「本日はありがとうございました。この美しい世界の食事を学ぶことができました。…感謝いたします。アウラ様。マーレ様。」

「………と、ところで。リーネさんは、えっと、この後どちらに、む、向かわれるのですか?」

「私はアインズ様にシャルティア様とご同伴して行う実験に参加するようとの御下命をいただいています。ですので、転移門にむかい許可をもらおうかと思っております。」

「へーーあのシャルティアとねー」

「お、お姉ちゃん!……アインズ様のご命令だよ」

アンティリーネにはエルフの双子がこちらにも聞こえる大きさで内緒話をしている。会話の真意はわからないが、アウラがシャルティアに懸念しているのは窺い知れる。

 

神であるアインズ様に、創造されてからまだ日が浅い。そのためAOGへの忠誠心では誰にも負けるつもりはないが、ほかのシモベらの関係性はまだ把握しきれていない。

早くアインズ様のお役に立てる機会が欲しい。謀略や知識などでは役に立てそうにはないが、アインズ様を仇す侵入者などから護衛として力を振るい守護する。これこそが私の存在意義である。アインズ様の役に立つことが存在理由。

 

 

転移門まで迎えに来たシャルティアはアンティリーネを見つけると剣呑な視線を向けるが、すぐに視線を外す。

アンティリーネはここまでシャルティアに敵視される理由はわからないが、おそらく自分が未熟者だからという理由だろう。引き締まる思いで背筋を正しておく。

「リーネ、早くいくでありんすよ。アインズ様がおまちでありんす」

「はっ!すぐに!」

 

そのまま転移門にはいり、私の神であり創造主であるアインズ様のところへ向かう。

 

 

──────

アウラとマーレの語り

 

「マーレ、やっぱりわたし演技下手だー。分かっていても、複雑すぎるんだもん。」

「うん。僕も複雑だけど、アインズ様の命令だし。それに上手くいかなければすぐ処分すると言っていたよ」

「うーん、記憶消去後に記憶の復活があり得るのかという実験だと思うよ。ただ、うまくいけば、もちろん私たちよりは下の立場だけど、モモンガ様の造物の位置に座るってことでしょ!………偽りの関係であるのは分かってはいるけど、やっぱり割り切れないなー。シャルティア洗脳に関わっていた国の出身だから」

「で、でも、もう法国も滅亡したし、生き残りはあのエルフしかいないんだよ?それに、あのエルフはナザリックの戦力強化につながるみたいだしね」

「わかってるってば。これはただの愚痴。いつか吹っ切れるかもしれないけど、しこりが残っているの」

 

 

 

 

──────

アインズとアンティリーネ

 

玉座に座っている目の前にシャルティアと、例の少女アンティリーネが座っている。

 

「さて、リーネよ。久しぶりだな。息災か?」

「はっ!我が神にして創造主であらされるアインズ様におかれましては、御身自ら私を労ってくださりありがとうございます。守護者様共々、わたしを気にかけてくださり、私としても大変嬉しく充実した生活を送っております。」

 

アインズとしてはこの爛々と輝く瞳には聖王国以来から苦手意識が生まれている。偽りの記憶を植え込んだだけで、こうもAOGに都合の良い存在になるとは思ってもいなかった。だが、当然記憶が復活したことを想定して、ナザリックの第六階層で生活させ、側に控えている護衛が復活した場合は傾城傾国を使用する算段になっている。

 

「ふむ。そうか。…………お前の今後の活躍に期待している。守護者と連携して役目を果たせ」

「はっ!!」

「図書館のティテゥスの元へ行きタレント実験へと協力してこい……いまから、1時間後でよい。その間に体を休ませておけ」

 

アンティリーネとシャルティアが退席したあと、自室に戻ったアインズは、応対室にデミウルゴスが来ていることを知り部屋に入る。

 

「これはアインズ様!」

「挨拶は不要。座れ。話があるのだろう。」

「はっ!!失礼致します。」

 

アインズはこの短なやりとりに感動する。強い口調で座ることを促すことで、シモベは1クールで座ってくれるのだ。いままでは、こちらが平然と座れと言っても3クール繰り返していたのが、こう変わるとやはり感動を覚える。

 

と、アインズが感情に浸っている間にデミアルゴスが話を切り出す。

 

「アインズ様、あのリーネという女、アンティリーネ・ヘラン・フーシェという人物について少々お話があります」

「あの女か。記憶操作も上手く作動しているみたいだし、偽りのナザリックへの忠誠も感じているようだ。これはデミウルゴスやパンドラの教育のおかげだと思うが。」

「いえいえ、アインズ様の魔法さえなければ、あの強情な女を利用することは不可能でした。」

「本来ならば、同格に記憶操作は抵抗されるため効かないのだが、今回はあのWIが大きかった」

「はい!誠に不快な輩でしたが、ナザリックの強化はこれでより計れると思われます。………そこで不肖ながら、アインズ様に具申させていただき儀がございます。」

 

主人の返事を聞き話を進める。

「リーネは調査によりますと、プレイヤーである八欲王と六大神の血を引いています。そして、その血を引くリーネの子供は必然と高レベル体であることが推測できます。そのため、リーネに子供を孕ませ育成することでナザリックの強化に繋げるのはいかがでしょうか?」

 

(えええ!……あの女を無理やり誰かと交配させるのか?あれは女だから、男陣のだれか。つまり、マーレ、セバス、デミウルゴス………コキュートス?)

 

アインズはあてがう交配相手について考えるが、恋愛知識のない自分では正しい結論に導くことができない。まずデートしてそのあと告白するなど、シミュレーションするが何も策が浮かばない。

 

このままでは支配者としてあってはならない醜態を晒してしまうと思ったアインズは意を決して口を開く。

 

「デー」

「なるほど。アインズ様のご懸念はもっともです。それに、我ら守護者らもあのような穢れたものと交るなどは拒否したいものです。そのようなことはせずとも、適任者がいます。」

 

(適任者?……NPCじゃないとしたら、現地民か?ハムスケは論外。アインザック、クライムなどはいるがいずれも低レベル層だしな。………まさか俺?)

アインズの困惑と焦りを見透せないデミウルゴスはそのまま結論をだす。

 

「エルフの元国王です。デケム・ホウガンなる人物です。70以上の高レベル体であり、ドルイドとして高い適性をもっています。蘇生後は氷結牢獄に収監していますが、交配のさいに魅了の魔法をかければ問題ないでしょう。」

 

「もちろん、女性であるリーネは初めての男性で戸惑うかもしれませんが、AOGへの忠誠のテストとしましょう。しかし、今後の実験や任務に影響は出ると思われますので、一部記憶消去の必要はあると思いますので、アインズ様にご協力をお願い申し上げます。」

 

デミウルゴスから話を聞いたアインズは娘が実の父親にあれこれされる描写を想像する。

(うっ………きついな)

鈴木悟の残滓からくる近親交配の忌避感がその行為を否定しようとする。ただ、いまは鈴木悟ではなくアインズ・ウール・ゴウンである。個人的な感情は排すべき邪魔なものである。

 

デミウルゴスの提案はたしかに戦力強化の点からは魅力的である。

それに、無知のうちに行為をする二人のうち、一人はアウラとマーレに手を出した変態ペド野郎、もう一人はシャルティアを洗脳した国の手先であり、マーレを殺そうとした女。この二人の罪は許されるものではない。

その2人がどうなろうと構わない。AOGの利益になるのであれば、人間性を捨て利益をとるのがふさわしいだろう。

 

「………いいだろう。デミウルゴス。その提案を許可しよう。お前が責任者として任にあたれ。」

「はっ!ありがとうございます。アインズ様」

「うむ。………ただ、生まれてくる子に罪はない。教育はしっかりと与えるのだ。………そして、もし殺す場合は苦痛なく殺して供養するように。………あとはリーネには常に監視をつけ対処できるようにしておけ」

「仔細承知いたしました。期待に応える成果が出るよう精進して参ります!」

 

デミウルゴスは上機嫌に退室していった。

アインズは執務室の椅子にもたれかかり、ため息をはく。

(…………アインズ・ウール・ゴウンのために)


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