街を覆う夜空は、いつもの穏やかな星月夜ではなかった。毒々しいまでの赤紫色に発光する不気味な雲が低く垂れ込め、その雲の隙間からは、目に見えないほど細かいスパークを伴う特殊な電磁波が絶え間なく降り注いでいた。それは人間の脳髄の奥底にある被虐趣味、すなわちマゾヒズムのスイッチを強制的にオンにするという、極めて悪質で巨大なマゾヒスティック電磁波であった。電磁波の発生源は、街の郊外にある広大な夜の遊園地である。世界の公序良俗を脅かすヴィランであるマンマンマンが、今日は小細工のような変装を脱ぎ捨て、自らをこの街の絶対的支配者たるマンマンクイーンと位置づけ、全住民を強制的にひざまずかせるための大規模な作戦に出たのだ。
街の中心にある大広場は、まさに地獄絵図と化していた。電磁波を浴びた老若男女、あらゆる住民たちが完全に理性を失い、極度のマゾヒストへと変貌してしまっている。普段は温厚な八百屋の店主も、真面目な銀行員も、すれ違う人々と互いに持っているカバンやベルトで狂ったように叩き合い、痛みに顔を歪めながらも歓喜の声を上げていた。叩かれれば叩かれるほど彼らは異常な興奮を覚え、しかし同時に肉体の限界を超えて体力を激しく消耗していく。広場の冷たい石畳の上には、すでに自らの限界を超えて体力を使い果たし、荒い息を吐きながら衰弱しきって倒れ伏す住民たちの山ができていた。放置すれば、彼らはこの異常な興奮状態のまま命を落としてしまうだろう。
その凄惨な光景を見下ろす高い時計塔の上から、真紅のブーメランパンツを翻して飛び降りてきた一つの影があった。黄色いブーツが石畳を力強く踏み砕き、背中の茶色いマントが夜風にバサリと音を立てる。世界の平和を守る正義のヒーロー、チンチンマンである。彼は広場を埋め尽くす苦しむ人々の姿を目にし、その端正な顔を苦痛と怒りに歪ませた。
「みんな、ボクのチンチンをお食べ」
チンチンマンの悲痛な、しかし力強い叫びが夜の広場に響き渡った。彼は躊躇うことなく自身のブーメランパンツを引き下げ、正義のエネルギーが極限まで圧縮された自慢の部位を露わにした。電磁波の影響で理性を失っているとはいえ、住民たちの本能は目の前に現れた巨大な救済の光に引き寄せられた。一人、また一人と、這いつくばるようにしてチンチンマンの足元へと群がってくる。
チンチンマンは自らの身を削る覚悟を決めていた。彼は倒れ込む老人の口に優しく自身のそれを運び、濃厚な精力を分け与える。老人の目が一瞬にして正気を取り戻し、賢者モードとなって穏やかに眠りにつく。休む間もなく、次は疲れ果てた女性が、その次は泣き叫ぶ子供がやってくる。チンチンマンは一切の出し惜しみをせず、次から次へと無尽蔵に群がる住民たちに自らの精力をしゃぶらせ続けた。
じゅるり、ちゅうちゅうという柔らかな水音が広場のあちこちで響き続ける。住民たちの顔からは次々と苦痛の色が消え去り、澄み切った賢者の表情を取り戻して安全な場所へと避難していく。しかし、街の全住民を一人残らず救済する代償は、チンチンマンの肉体に容赦なく重くのしかかっていた。彼が一人を救うたびに、天を突くようだった威容は少しずつ萎み、黄金の輝きを放っていた肌からは生気が失われていく。額からは滝のような汗が流れ落ち、呼吸は荒く乱れていた。
最後の住民が正気を取り戻して広場を去った時、チンチンマンはついにその場に膝をついた。彼の足は生まれたての小鹿のようにガクガクと震え、自力で立ち上がることすらままならない。ブーメランパンツの中身は、もはや見る影もないほどに完全に縮み上がり、まるで力尽きたミミズのようにへなへなとなって太ももにへばりついていた。彼の体内にあるエネルギーの残量は、ほぼゼロであった。
「ここで倒れるわけにはいかない。あの電磁波を止めるんだ」
チンチンマンは地面に手をつき、歯を食いしばって無理やり立ち上がった。彼の視線の先には、毒々しいネオンの光を放つ夜の遊園地がある。彼は鉛のように重い足を引きずり、何度も何度も転びそうになりながら、フラフラとした覚束ない足取りで決戦の地へと向かった。
遊園地のゲートは大きく開け放たれており、中からは不気味に歪んだメリーゴーラウンドの音楽がけたたましく鳴り響いている。チンチンマンが広大な敷地の中央、ひときわ高くそびえ立つ巨大な観覧車の前にたどり着いた時、きらびやかなイルミネーションを背にして待ち構えていた影が動いた。
「あはは、自分からフニャフニャになりに来るなんて、本当にバカなヒーロー」
他者を激しく苛つかせるメスガキボイスが夜空に響き渡る。そこに立っていたのは、女王様風の過激な衣装に身を包んだマンマンクイーンであった。彼女の出で立ちは、漆黒のボンテージを基調としながらも、鼠径部には極限まで深い切れ込みが入ったハイレグ仕様となっている。手には細くしなる皮の鞭を持ち、足元は鋭いピンヒールのニーハイブーツ。ピンク色のミディアムツインテールが夜風に揺れ、頭の角が悪魔的に尖っている。彼女の放つ圧倒的なサディスティックオーラは、今の弱り切ったチンチンマンにとっては立っているだけでも苦痛を伴うほどの重圧であった。
「街の人たちをあんな目にあわせるなんて、絶対に許さないぞ」
チンチンマンは気力を振り絞って声を張り上げたが、その声はひどく掠れていた。マンマンクイーンは鼻で笑い、カツカツとヒールの音を鳴らしながらゆっくりと近づいてくる。
「口では立派なことを言っても、アンタのそこは正直じゃないのぉ。そんな空っぽのフニャフニャで、このアタシに勝てると思ってるわけ」
マンマンクイーンは鞭を軽く振り、チンチンマンの胸元をピシリと叩いた。ただそれだけの衝撃で、チンチンマンはバランスを崩し、観覧車の巨大な鉄柱を背にしてへたり込んでしまった。マンマンクイーンは勝ち誇った笑みを浮かべ、彼の股間を覆う赤いブーメランパンツに乱暴に手をかけた。
「さあ、最後のトドメよ。その無様なイチモツを、アタシのマンマンで完全にすり潰してあげるわ」
マンマンクイーンは自身のボンテージの股間部分を横にずらし、秘められたマンマンを完全に露出させた。そして、身動き一つとれないチンチンマンの腰の上にまたがり、その極限まで縮み上がった部位を自身のマンマンで強引に包み込んだ。
「や、やめろ、もうエネルギーが」
チンチンマンの微弱な抵抗など、マンマンクイーンの圧倒的なパワーの前には無意味であった。彼女は女王としての悦びを満面の笑みに浮かべ、一切の容赦なく、そして執拗なまでの速度で腰のピストン運動を開始した。
観覧車の真下で、肉と肉が激しくぶつかり合う卑猥な音が響き渡る。マンマンの内部は信じられないほどの高熱を帯びており、さらに内壁の粘膜がチンチンマンの部位を千切らんばかりの吸引力で締め付けてくる。ただでさえエネルギーが枯渇している状態でのこの強烈な刺激は、チンチンマンの肉体を通り越して魂そのものを削り取っていくようであった。
「あ、あたまが、真っ白に」
チンチンマンの視界が急速に暗転していく。何度も何度も繰り返される容赦のないピストンの度に、彼の体内にわずかに残っていた最後の一滴の精力が、根こそぎ搾り取られていく。
「ほらほらぁ、もっと無様な声を出しなさいよぉ。アタシの前で完全に干からびていく気分はどうぉ」
マンマンクイーンの罵倒が耳元で響くが、もはやその言葉の意味すら脳が処理できなくなっていた。チンチンマンは完全に白目を剥き、首をガクンと垂れた。彼のイチモツはこれ以上ないほどに縮み上がり、まるで使い古されたゴムの破片のようにへなへなになってマンマンの奥から滑り落ちた。チンチンマンは完全に気を失い、鉄柱の根元でピクリとも動かなくなった。
「あはは、完全勝利ね。これで世界はアタシのものよ」
マンマンクイーンが勝利を確信し、両手を広げて夜空の高笑いをしたその瞬間であった。
遊園地の堅牢な正門の鉄扉が、まるで紙切れのように吹き飛んだ。轟音と共に立ち上る土煙を突き破り、園内のメインストリートを猛烈なスピードで爆走してくる一台の大型ワゴン車があった。車体全体が完全にマジックミラーで覆われたその車両は、異常なまでのタイヤの摩擦音を響かせながら、観覧車の前へと乱入してきた。
「待たせたなチンチンマン。これがワシの人生の集大成、アルティメット・シャブマカドリンクじゃ」
激しいドリフトと共に停車したマジックミラー号の助手席の窓が開き、そこから顔を出したのは、両目をバキバキに見開いて極度の興奮状態にあるシャブおじさんであった。彼の言葉の通り、今回のドリンクは今までとは次元が違った。彼が手にするボトルの内部では、黄金色に輝く液体がまるで生き物のように渦を巻き、恐ろしいほどのエネルギーを放っている。
「おじさん、最高のタイミングよ。これでもくらえ」
助手席から身を乗り出したサセ子さんは、その黄金のボトルを右手にしっかりと握りしめていた。彼女は巨大な観覧車の骨組みが回転する周期と、チンチンマンが倒れている位置の角度を瞬時に計算した。一切の無駄がない、極限まで研ぎ澄まされた投球フォームから、彼女は渾身の力でボトルを投擲した。
彼女の指先から強烈なバックスピンをかけられたボトルは、空気を切り裂くのではなく、周囲の空間ごと捻じ曲げるかのような魔球となって飛び出した。ボトルは回転する観覧車の鉄骨のわずかな隙間を、信じられない軌道を描いてすり抜け、気絶して口を半開きにしているチンチンマンの喉の奥深くへと完璧な精度で突き刺さった。
「な、なによあれ。あんな隙間を通すなんて」
マンマンクイーンが驚愕に目を見開いた直後、アルティメット・シャブマカドリンクの超高濃度の液体がチンチンマンの胃袋へと到達した。
その瞬間、夜の遊園地全体を真昼のように照らし出すほどの、強烈な黄金の輝きがチンチンマンの身体から爆発的に放たれた。枯渇しきっていた細胞のすべてが宇宙創世のビッグバンの如きエネルギーで満たされ、全身の血管が雷のように発光する。
「元気100倍、チンチンマン」
天を揺るがすほどの巨大な声と共に、チンチンマンはゆっくりと立ち上がった。彼の赤いブーメランパンツの中身は、先程までの縮み上がった姿からは想像もつかないほどの変貌を遂げていた。それは過去最大の大きさと、金剛石をも砕くほどの圧倒的な硬度を誇る、まさに神の剣と呼ぶにふさわしい威容であった。あまりの巨大さにブーメランパンツの布地が限界まで引き伸ばされ、悲鳴を上げている。
「嘘でしょ。そんな規格外の大きさ、アタシのマンマンでも受け止めきれないわよぉ」
マンマンクイーンは、目の前にそびえ立つ圧倒的な暴力と化した正義の象徴を前に、腰を抜かして後ずさりした。しかし、完全復活を果たしたチンチンマンの目には、一点の曇りもない正義の意志が宿っていた。
「みんなの痛みを弄んだ罪、その身で償うがいい。いくぞ」
チンチンマンは腰を深く落とし、根元から極限まで凝り固まった自慢の部位を真っ直ぐにマンマンクイーンへと向けた。その先端には、彼自身の持つ全エネルギーとアルティメットドリンクの力が融合し、太陽のプロミネンスにも似た強烈な光の渦が急速に充填されていく。
「スペルマ・パトローナム」
天地を真っ二つに裂くかのような超大轟音と共に、極太の、あまりにも巨大な白い濁流が爆発的に放出された。放たれた超巨大エネルギーの奔流は、マンマンクイーンの身体はおろか、彼女の後ろにある遊園地の施設すらも飲み込むほどのスケールであった。
「いやああああん、こんなの絶対に無理よぉぉぉ」
マンマンクイーンの悲鳴は、圧倒的な奔流の中に一瞬でかき消された。凄まじい放出の圧力は彼女の身体をはるか上空へと持ち上げ、きらびやかな夜の観覧車のイルミネーションをバックにして、彼女を一直線に天へと打ち出した。
「イクマンマ〜ンっ」
マンマンマンは派手な絶叫と共に、大気圏を突破するほどの勢いで宇宙の彼方へと吹き飛んでいき、やがてキラリと光る一等星となって見えなくなった。
チンチンマンは超巨大な放出を終えると、荒くなった呼吸を静かに整えながら、ゆっくりとブーメランパンツを穿き直した。遊園地から発せられていた狂気のマゾヒスティック電磁波は完全に消滅し、園内には静かな夜の風が吹き抜けている。遠くの街の方角からは、正気に戻った住民たちが安堵して家路につく穏やかな気配が感じられた。
マジックミラー号の窓から、シャブおじさんとサセ子さんが満面の笑みで親指を立てて合図を送ってくる。チンチンマンは腰に手を当て、汗ばんだ額を拭いながら、平和の戻った美しい夜空を見上げて爽やかな笑顔を浮かべた。今日もまた、この街の公序良俗と人々の平穏な日々は、彼らの手によって無事に守り抜かれたのであった。
頑張れチンチンマン!負けるなチンチンマン!この街の平和は君のチンチンに託されている!
チンチンマンの戦いはコレからだ!!