転生したら聖園ミカだったけど、どう考えてもここはキヴォトスではない。 作:Othuyeg
アポルオンの正体はこれからもずっと分からないままだし、XDダークネスの活躍は見られないし、クルメグニクは達磨になったまま。
誰か続きを書いてはくれないものか……。
とにかくリハビリも兼ねて1話更新、ということで1つお願いします。
「シャアッ!」
リスカーが肘の高周波ソードを伸長し、俺へと飛び掛かってくる。
リスカーは手強い。こんな安直な攻めが俺に通じるなんて考えていないはず……そう思って素早く周囲をセンサーと目視で確認すると、
「エイッ」
「ッッ! 貴様……!」
プレッシャーカノンの乱射で体勢を崩してやれば、この通り。リスカーはたたらを踏んで
「舐メテル? ふぇいんとナラモット択ヲ散ラスヨウニ仕組マナキャ」
おおよそ高周波ソードの斬撃を囮にして、プレッシャーカノンで足場や天井を崩したり、俺を飛び越えて俺の後頭部やガイバーたちを狙ったりしようとしたんだろうが、高周波ソードを囮に使ったのが良くなかったな。……ってそうじゃなくてだな。
「ソレニ、今回私ノ相手ヲスルノハ貴方ジャナイヨ、がいばーⅡ。今ハ貴方ヨリ、コッチガ先ダカラ」
「んなっ……! 貴様ッ、馬鹿にしているのか!!」
いや、対ガイバーの戦闘経験を二人に積んで欲しいだけだが……まあ、そういう考えが馬鹿にしてると思われてるんだろうな。そこはどうでもいいけど。
「ジャ、オ2人サン。がいばーⅡハ任セタヨ。私ハ……コノ
「あ、ああ……」
「他人に獲物を横取りされるのは癪に障るところだが……相手が相手だ。確実に始末してくれることを期待しているぞ。特に、あの支部長だった男はな」
あぁ、玄蔵は顎人の両親の直接の仇だったか。じゃあそこは譲ってやらないといけないかもな。
「任セテヨ☆ デモ、モシカシタラ……
「! フッ、そうなった時はこちらが片付けてあげよう」
顎人はそう言って、リスカーの方を向いたまま後退る俺と入れ替わるようにして彼の前に立つ。晶も慌ててその後を追う。
「作戦会議は終わりか? 気は進まんが、元より私の役目はお前たちクロノスに仇為すガイバーの
「果たして、そう簡単に行くかな? 性能はほぼ同一、そしてこちらは2人だ」
「っ、そうだ! 俺だって、この前の見ていることしかできなかった俺じゃないぞ……!」
おー、2人とも威勢がいい。今更エンザイムごときに負けるような俺じゃないが、気張っていかないといけないな。
「サテ、ばとんたっちダネ。オッホン。えんざいむノ諸君、無駄ナ抵抗ハヤメテ大人シク死ンデクレルト助カルナ?」
とりあえず煽る。これで連携が崩れてくれると助かるが……。
「「「「ほざけぇーっ!!」」」」
おお、見事に釣れた。さあ、戦闘再開だな。
エンザイムたちは、日本支部長であった巻島玄蔵を除いた全員が、『パテル』……即ちミカの存在を知らない。
彼らにとって『パテル』とは、「突然現れてガイバー抹殺を邪魔し、あまつさえ『大人しく死ね』と煽り散らかしてきた、鼻持ちならない正体不明の妨害者」であった。
……だがしかし。その認識は、戦闘の中で容易に改められることとなる。
「死ねぇぇぇーっ!!」
その絶叫と共に振り下ろされたエンザイムの腕を、『パテル』はいつの間にか手にしていた細身の槍で下から一突き。そのまま一気に槍を捻ってエンザイムを引き倒し、顔面を掴んでプレッシャーカノンを連射する。
「1人」
――ドドドドドドドドグシャァ!!
当然、現時点で2番目の出力と操作精度を誇る重力使いによる連続接射を受けて、一介の
その血は、当然『パテル』にも付着した。
――ジュウゥゥ……ッ。
「ッ、ヤッパリ……私ニモ効クンダネ、
「……!」
玄蔵を含むエンザイム軍団も、その様子に気付いた。彼女と、彼女の持つ武器にはエンザイムの強殖細胞分解酵素が作用する。そして、認識干渉も酵素の付着、もしくはそれによる体組織の分解によってブレが生じる。
……身体に直接接触できれば、こちらにも勝機がある。そう見えた。
「アーア、槍ノ先端モ溶ケチャッタ。貴方タチデ損害分ハ補填サセテモラワナクチャ、ネ!」
「ッ!?」
だが、そう上手くいくはずがなかった。槍を分解し体内に戻した彼女は、突如としてエンザイムたちの視界から消失する。そして、彼らがその姿を探している間に、2人のエンザイムの頭部をプレッシャーカノンで爆散させた。
「上かっ!」
「3人。アト4人」
エンザイムたちが天井を見上げた時には、『パテル』は既に彼らの背後に着地していた。優雅な所作で振り向くと、近くの瓦礫に触れる。
「『Vocatio Stellarum』」
重力操作で手頃な瓦礫を超音速で射出し、さらに2人のエンザイムを蜂の巣にする。残るは玄蔵のみ。
「5人。アト1人」
「くっ……!」
一瞬にして5人のエンザイムを破壊した『パテル』。圧倒的な戦闘力に怯んだ玄蔵が1歩後退ると、彼女はまるで瞬間移動でもしたかのように彼に急接近して見せた。
『縮地』。膝を抜いて体重を前に倒し、初動のモーションを限りなく小さく見せる、走りの足捌き。
「足元ガオ留守ダネ?」
「しまっ……!?」
玄蔵は咄嗟に顔面を防御してしまう。しかし『パテル』は飛びかかる勢いのまま、体組織から作り出した高周波ダガーを目の前の床に突き刺して楔とし、体をスイングして下段回し蹴りを放った。
「ソォー、レッ!」
「ぐおぉぉぉぉっ!?」
大きく体勢を崩した玄蔵を、『パテル』はさらに軸足を入れ替えての足刀蹴りで追撃。体勢を整えて背後に回り込むと、彼の腕を掴んで放り投げる。
……その放物線が辿る先は、ガイバーⅡとガイバーⅢの間。
「がいばーⅢ! アト頼ムヨ!」
「っ、承知したっ!」
ガイバーⅢは放り投げられた玄蔵に照準を合わせ、高出力のプレッシャーカノンを放つ。それは見事エンザイムの胸部に命中し、心臓を抉り消し飛ばした。
プレッシャーカノンの圧力に吹き飛ばされた玄蔵は、ガイバーⅡに向かって飛んでいく。
「フンッ」
──ズパァッ。
戦闘中に視界を塞がれることを恐れたガイバーⅡは、飛来したエンザイムを躊躇なく両断。玄蔵は絶命した。
一時は支部長まで上り詰め、クロノス日本支部を牛耳った男の、呆気ない最期だった。
『Vocatio Stellarum』:星の呼び声(機械翻訳)。ミカのNSを英語経由でラテン語翻訳したらこうなった。重力操作で瓦礫を射出する。大量の瓦礫を空中で圧縮して地爆天星みたいな芸当もできる。