最近、『まどマギ』を一気見してめちゃくちゃ面白かったので描いてみました。
少し解釈や描写が間違っている可能性もありますがご了承下さい。
2万字という私史上初の文章量になっておりますので休憩しながらお読み下さい。
どうぞ!
そこは紫がかった空に見渡す限り星がたくさんある不思議な空間。
しかしそんな不思議な空間の中心に一際、奇妙な場所があった。
それは星と呼ぶにはあまりにも人工物のような見た目をしているが大きさは周りの星と遜色ないほど大きかった。
あまりにも巨大な大木が一本その場所のど真ん中に生えているだけだった。
周りの星とは違うどこか異様で荘厳な雰囲気を纏ったその場所は普段は静寂に包まれているが今日は違った。
あちこちで聞こえる爆発音。何かが炸裂しているようだった。
そしてそんな爆発の中心にいるがこの星の主である。
紫色の体色にまるで猫を思わせるような長い耳に長い尻尾。そこから青を基調とした服や金のリングなど様々な装飾がなされている。
名はビルス。宇宙を統べる破壊の神である。
物体に留まらず概念に至るまで森羅万象を破壊する破壊神に相対するは付き人ウイスである。
青みがかった肌に天を貫くほど逆立った白髪。手には杖を持っている。
天使にして破壊神の付き人そしてビルスの師匠でもある。
今日はビルスとウイスの手合わせ兼訓練の時間であった。
ビルスがあの手この手でウイスを攻撃する。しかしウイスはその全てを軽くいなしていった。
ビルス「クソ!余裕そうな顔しやがって!」
ウイス「ほらぁお手を止めてはなりませんよ!ビルス様!」
余裕そうな表情を崩さないウイスにイラついているビルスだが・・・
ビルス・ウイス「!?」
ふと何かに気づき手を止めた。
ウイス「ビルス様・・・。」
先ほどとは打って変わって神妙な面持ちでビルスの名を呼ぶウイス。
ビルスも先ほどまでイラつき青筋を立てていたが今はどこか落ち着いた様子だった。
ビルス「分かってる。」
遠くの空を見ながらビルスは言った。
「誰かが理に干渉してきたな。いや干渉なんてもんじゃない。」
ウイス「何者かの理そのものへの変貌。如何なされますか?」
ウイスの問いにビルスは項垂れた。
ビルス「別次元の宇宙での出来事っぽいしめんどくさいなぁ。でも見つけた手前、ほっとくのも後から色々言われそうだからなぁ。ウイス、仮に行くとしたらどのくらいかかる?」
ウイス「45分です。」
ビルス「テレビアニメ2話分にギリ満たない程度か。遠すぎないか?」
ウイス「どうなされます?」
ビルス「我慢して行くかぁ。」
ウイス「行かれた後はどうなさるおつもりで?」
ビルス「無害そうなら放置でいいだろ。でもそうじゃなかったらその時は・・・」
ウイス「かしこまりました。では参りましょう!」
そうしてビルスとウイスは別次元の宇宙を目指し、旅立った。
出発して40分、ウイスはとある地点にて杖を構えた。
すると目の前の時空が歪み次元に亀裂が走った。
出来た次元の狭間に入るビルスとウイス。どうやら別宇宙へはそこを通って行くらしい。
ウイス「もう少しで目的地です。」
ビルス「ようやくか。」
ウイスの言葉に欠伸をしながら返事をするビルスだったがその時、予想外のことが起こった。
ウイス「あれは・・・」
何処か驚いている声を上げたウイス。見ると狭間の出口の方から黒いモヤが噴き出していた。
ビルス「何だアレ?」
ウイス「概念化した者とは別件のようですね。ですが何者かの思念を感じます。」
ビルス「思念ねぇ・・・。」
ウイス「破壊されますか?」
ビルス「いやどうやら敵意はなさそうだ。かと言って僕らを歓迎してる感じでもなさそうだけど。」
ウイス「ではこのまま行っても良いですね?」
ビルス「良いよぉ〜。」
ビルスの判断のもと2人は黒いモヤの中へと進んでいったのであった。
ケーキ♪ ケーキ♪ まあるいケーキ♪
まあるいケーキはだあれ?♪
ケーキは×××?♪
ち〜が〜う♪ 私はラズベリィ♪
まあるいケーキは赤い♪ ケーキは×××?♪
可愛らしい歌が聞こえる・・・。
ち〜が〜う♪ あたしはリンゴ♪
まあるいケーキは××が好き♪
ケーキは××!♪
ち〜が〜う♪ 私はチーズ♪
まあるいケーキはこ〜ろがる♪ ケーキは××さん?♪
ちが…います♪ 私はカボチャ♪
まあるいケーキは甘いです♪ ケーキは×××?♪
5人の少女が楽しげにリズムに乗っている・・・。
ち〜が〜う♪ 私はメロン♪
メロンが割れたら甘い夢♪
今夜のお夢は苦い夢♪ お皿の上には猫の夢♪
まるまる太って召し上がれ〜!♪
それはまるで何も知らぬ無垢な子のように・・・。
黒いモヤを抜け、ビルスとウイスが着いた先は見知らぬ街だった。
ビルス「ここどこ?」
ビルスがウイスに問う。
ウイス「どうやらここは『見滝原市』という場所みたいですね。」
近くにあった標識を指差して答えるウイス。
ビルス「街中なのに人の気配がないうえにこの感じ。」
ビルスは周りにいるヒトを一目見て笑う。
ビルス「退屈しないで済みそうだ。」
そう言うとビルスとウイスは散策のため街中へと消えていった。
1人の少女が己の心に宿る疑心を払いきれずにいた。
ここは確かに私が知る見滝原市そのもの。だが何かが違うという確信だけはあった。
少女の名は暁美ほむら。
とある少女の幸せのため幾多の時をやり直し、願いのため戦い続けてきた魔法少女。
彼女は今いる見滝原市がかつての魔法少女の敵、魔女によって作り出された偽りの見滝原市であると考えていた。
偽りの日常を終わらせるためほむらは同じ魔法少女である鹿目まどかと共に巴マミの自宅へと訪れていた。
ほむら「巴さん。お茶のおかわり頂けますか?」
マミ「あら、ちょっと待ってね。今お湯を沸かしてくるから。」
談笑の最中、マミに茶のおかわりを要求しこの場から離れさせることに成功したほむら。
それだけに留まらずほむらは魔法少女へと変身した。
まどか「ほむらちゃん。どうかしたの?」
ほむらの急な行動に驚くまどかだがほむらは「ごめんなさい」とだけ言葉を残し、能力を発動する。
その瞬間、世界が静止した。
ほむらの魔法少女としての固有魔法は時間操作。彼女が能力を発動した時、全てが活動を停止する。
ほむらは時間を停止したのちその場にいた人ならざる存在に近寄り頭を掴んだ。
その存在の名はベベ。まどか達を弟子にする前からマミと仲が良く魔法少女と共に戦うチームのマスコットキャラクター的な存在である。
可愛らしい見た目をしているがほむらは別の時間軸のベベを知っていた。
魔女。それは祈りから生まれる魔法少女と違い、呪いから生まれる存在であり魔法少女の成れの果て。
魔法少女として契約を果たした少女が使うソウルジェムと呼ばれるものが魔力を行使したり魔法少女自身が絶望したりする際に生まれる濁りによって輝きを失わせたとき少女は堕ちる。
そして自身の性質を満たそうと暴れるだけの存在となってしまう。
そんな存在が別の時間軸のベベだったとほむらは知っていた。
名をお菓子の魔女。かつてほむらがやり直した時の中で出会った魔女でありマミを殺したこともある存在だった。
よってほむらはこの偽りの見滝原市がお菓子の魔女による結界であり自分たちはそこに閉じ込められていると確信し、その元凶がベベだと推測して襲いにきたのである。
ベベ「モギュ!?モベ?モベギャ!モベギャ!」
頭を掴まれ驚きの声を上げるベベ。
ほむら「茶番はこのくらいで終わらせましょう。」
べべ「モベベ〈ナンダ??〉」
ほむら「私はあなたの正体を覚えている。思い出したの。あなたがかつて何者だったのか。」
ベベ「モギュ〜?」
ほむら「みんなの記憶を捏造し、偽りの見滝原の結界に閉じ込める。こんな芸当ができるのはベベ、あなたしかいない。」
ベベ「モジュベック〈ワカラヌ〉」
ほむら「どういうつもり?こんなふうに私たちをもてあそんで一体、名は何が楽しいの?」
そう言うとほむらはスイッチを押し、マミの部屋のガラス張りの窓を開放し、外へと飛び出した。
ほむら「記憶ってやっかいなものね。1つ取り戻すと次から次へと余計な思い出がついてくる。忘れたままでいたかったわ。今まで自分が一体、どれだけの人の心を踏みにじってきたかなんて。」
そう一言だけ呟き、ほむらはベベを片手に人気ない場所へと移動した。
ベベを壁に叩きつけるほむら。
ほむら「白状なさい。こんな回りくどい手口を使って一体、何が目的なの?」
どれだけ問うても答えようとしないベベに苛立ちを募らせるほむらだがその時、ほむらの足首に黄色いリボンが現れると強い力で引かれさらに下へと落ちていった。
何とか近くにあったものを掴み、これ以上の落下を防ぐほむら。しかし何処からか少女の声がした。
「事情がわかるまで話を聞いていたかったけれどこれ以上、ベベがいじめられるのを黙って見てるわけにはいかないわ。」
見るとそこには魔法少女化したマミが立っていた。
どうやら最初からほむらの動向に思うところがあったらしい。
マミ「一体どういうことか説明してくれる?」
ほむら「あなたはベベに黙らされている。ここは本当の見滝原じゃないわ。みんな偽物の記憶を植え付けられてるの。」
一か八かマミに話すほむら。だが・・・
マミ「ん?ちょ・・・暁美さん?一体どうしちゃったの?」
返ってきたのは困惑。その反応にほむらはこれ以上喋っても意味はないと判断したのか能力を解除する。
また時が動き出す。ほむらはベベを遠くは投げ銃を取り出し向けて発砲した。
だが当たる直前にマミのリボンがベベを捕らえ助け出した。
マミ「ベベ!逃げて!」
マミの言葉に逃げようとするベベ。しかしほむらもまた逃すまいと再度、時を止める。
ほむら「どうあってもそいつを守るつもり?」
マミ「追いかけようなんて思わないで。・・・さもないと、私と戦うはめになるわよ。」
睨み合う両者。動いたのは同時だった。
両者飛び出し、銃を構え撃ち合う。
何十、何百発と撃ち合う中で両者の弾丸が交錯し宙で止まる。
拮抗し合う2人に勝負は長引くであろう予感が漂うが次の瞬間、空気が変わった。
「ちょっと良いかな?」
ほむら・マミ「!?」
瞬間、時が動き出す。
2人が放った弾丸がそれぞれ当たり強烈な破裂音を生み出し始めたが気にしてる場合ではない。ほむらとマミは予想外の事態に困惑していた。
まだ姿を見ていないが明らかに他の魔法少女のものではない。もっと異質な人ならざるものの声だ。
満を持して声の方向を見るとそこに居たのは異界の神とその付き人であった・・・。
魔法少女と破壊神が邂逅を果たした瞬間である。
ほむらは能力の不具合だと思い盾に内蔵された砂時計を見る。しかし何処にも異常はなく、目の前の存在を見つめることしかできなかった。
一方でマミは銃を構え、謎の2人へと近づく。
普段のマミならこんな浅慮なことはしない。
正体はわからぬが敵意は感じられない。そんな相手にいきなり銃を突きつけるなど。
だが今回は話が違った。あまりにも異質すぎるのだ。
目の前に居るのにここに居ないようなどこか奇妙な雰囲気。だがマミのこれまで多くの修羅場を潜り抜けた本能は目の前な人物の異様な存在感に警戒を怠っていない。
緊張しているマミやほむらをよそに2人が近づいてきて最終的にほむらとマミの眼前で止まった。
「僕の名前はビルスだ。」
「私の名前はウイスです。」
ビルスはともかくウイスに至っては敵意はないと言わんばかりの笑顔で名を名乗るがマミはまだ銃を構えている。
マミ「あなた達、何者!?」
マミがそう問う。
ビルス「銃を構えたまま質問とは物騒なやつだな。」
嫌味な感じで言うが隣に居たウイスがビルスに耳打ちする。
ウイス「仕方のないことでしょう?何せ彼女達からすれば得体の知れない者なのですから。」
ビルス「わかってるよそんなこと。ちょっと意地悪してみただけだ。」
ウイスに諭されたのがムカつくのか軽く舌打ちしたのちマミたちの方へと向き直った。
ビルス「僕は別宇宙から来た破壊神だ。」
あまりの予想外の言葉に反応が追いつかないマミとほむら。
2人の様子を見たビルスは目を細め言った。
ビルス「その様子だと信じてないな?」
ほむら「当たり前でしょ。いきなり現れて自分が神だなんて。信じろって方が無理な話よ。」
マミ「そうね。急すぎて信じられないわ。」
2人の言葉にビルスは少し考える素振りを見せたのち言った。
ビルス「わかった。さっきので足りないというのならかかってきなさい。破壊神の力の一端を見せよう。」
ビルスの提案にマミとほむらは驚いた様子で顔を合わせる。
ビルス「え〜と君たち名前は?」
マミ「巴マミ。」
ほむら「暁美ほむらよ。」
ビルス「マミにほむらか。どっちが来るのかな?それとも2人がかり?僕としては3人でも良いんだけど?」
ビルスは遠くを一目見たのちそう言うと「まぁいいか」とだけ言い残しマミたちに向き直った。
ビルス「ほら早く決めちゃってよ。」
マミとほむらは話し合う。
マミもほむらも気になることがあるらしい。よってマミとほむらは2人でビルスと戦うことにした。
ウイスがその場を離れる。
ビルス「いつでもどうぞ。」
その言葉が聞こえた瞬間マミが腕を広げ無数の銃を生み出し乱射しだした。
ほむらのまた縦に収納していたマシンガンを取り出し、ビルスに向かって掃射を開始した。
耳を塞ぎたくなるほど激しい銃声が辺りに響く。
そしてかなりの弾数、撃ったのちマミもほむらも動きを止める。
普通の奴ならもはや肉片すら残らないほどの弾幕。これで決着になっていてもおかしくはない。
だが神に普通は通用しない。
マミ・ほむら「!?」
土煙が晴れる。するとそこには一歩も動いた様子のなくビルスが立っていた。
一発も着弾した様子はない。
ビルス「もう豆まきはすんだか?」
マミとほむらの銃撃を豆まきとまで言い退け、心底暇そうに欠伸をするビルス。
ほむら「どうして・・・?」
ほむらの問いにビルスが答えるわけでもなく言う。
ビルス「今はまだ理解できないだろう?でもこれから否が応でも理解することになる。」
そう言うとビルスは一歩踏み出した。瞬間、紫の波動が辺りに広がる。
ビルス「じゃあ次はこっちからだ。」
マミは余計に不明感が増したビルスに恐怖を覚え、急いで銃を生み出す。
だが出したはずの銃が瞬時に消える。
マミ「!?」
何度、出そうにも同じように跡形もなく消える。
ほむらの盾に収納しておいた銃も出してビルスに向けるころにはもう消えている。
銃は使えないと割り切ったほむらはまた時を止めようと試みる。
だが止まらない。これまでビルスとの戦闘が開始したその時から何度だって時を操作しようとした。
でも何故かいくらやっても止まらないのだ。ほむらにとって初めての経験だった。
銃は使えず時も止められない。困惑する2人を見てビルスは言った。
ビルス「困惑するのも無理はない。僕は破壊の神だ。神とは森羅万象の上に存在する者。謂わば僕、自体が条理といっても過言ではない。」
ほむらとマミはようやく理解した。
ほむらの時間停止が強制解除された時のようにそこに存在するだけで場を支配できてしまう目の前の存在が本当に破壊の神であると。
これ以上やっても無駄だと判断したのかマミとほむらは降伏した。
マミ「私たちの負けです。」
ビルス「おや?それは僕の言葉を信じるということで良いのかな?」
ほむら「あれだけの力を見せられたのだから信じるしかありません。」
ビルス「急に改まったね。さっきまでそんなんじゃなかったのに。」
ほむら「破壊神と分かった以上、舐めた態度は取れないです。」
ビルス「まぁ僕としては良い気分だから良いけど・・・。とにかくこれでようやく色々聞けるな。」
そこからビルスとウイスは様々なことを聞いた。
魔法少女のことやナイトメアのことなどビルスがここに来て気になったことを聞いた。
だがその話し合いの中でもやはりほむらはマミに訴えたい何かがあるようだった。
マミ「ほむらさん。どうしてベベを襲ったりしたの?」
ほむら「あいつは魔女よ!私たち魔法少女の敵なのよ!思い出して!」
マミ「魔女なんて知らないわ。私たちの敵は魔獣でしょ?」
『魔獣』。この単語が出てきた瞬間、マミの様子が変わった。
マミ「私はずっと魔獣たちと戦ってきた。じゃあナイトメアって一体・・・」
何か異変気づいたのかも知れない。マミが困惑の表情を浮かべたその時、どこからか消火器が飛んできた更には何者かの剣が消化器に刺さった。
瞬間、大量の煙が辺りを覆った。
そしてどこからともなく現れた謎の2人がマミとほむらをそれぞれ連れ去った。
煙幕が晴れ取り残されたビルスとウイス。
ビルス「僕に挨拶もないとは失礼な奴らだな。」
ウイス「ただ遠くから見てるだけかと思いましたが戦闘が落ち着くこの時を狙っていたようですね。」
ビルス「アイツらも魔法少女?」
ウイス「はい。ですが見た感じマミさんとはまた違った気配がします。」
ビルス「ふ〜ん、まぁいいや。それよりアレ出して。」
ウイス「わかりました。」
ビルスに呼ばれたウイスは持ってる杖で地面をコンッと叩いた。
すると先の方にある黒い球体が淡い緑色に光った。
ウイス「少し気になりほむらさんの記憶を写し取らせてもらいましたが大当たりです。色々分かってきましたね。この偽の見滝原のことも、そして『円環の理』についても・・・。」
ビルス「本当ならあまり干渉しないのも僕たちの務めだけど今回ばかりは仕方ないね。」
ウイス「そのようですね。」
そう言うとビルス達はまた街中へと消えていった。
何者かに連れ去られたマミ。
見ると連れ去った犯人は長い白髪でオレンジ色の服に頭には被り物をしている会ったことのない魔法少女だった。
だがその子を一目見てマミは気づく。
マミ「あなたは・・・ベベ!?」
「今まで黙っていてごめんなさい。でも落ち着いて話を聞いてほしいのです。」
マミの言葉を否定しない謎の少女との出会い。マミの時間もまた進み始めている。
一方同じく名は何者かに連れ去られたほむら。どうやらこちらの犯人は同じく魔法少女の美樹さやかだった。
人気のない路地裏へとほむらを連れ去ったさやかは一息つきぼやく。
さやか「あの猫みたいな奴と隣にいた白髪の奴何者?かなり遠くから見てたのに私たちに気づいてたっぽいし、何より威圧感が半端じゃなかったんですけど。」
ほむら「神様らしいわよ。しかも破壊専門のね。」
さやか「魔女に破壊の神様か。ややこしくなってきた。」
ほむら「!?」
さやかの口から出た魔女という言葉にほむらが反応する。
ほむら「あなた、覚えているの?」
さやか「それが私の役目だからね。・・・全く昔、魔女だったからってベベを標的にするなんて先走るにも程があるよ。」
ほむら「ッ・・・。」
さやかの言葉に悔しそうな顔をするほむら。
さやか「でもさ、変だと思わない?見滝原市丸ごと再現するほどでかい結界を張った魔女がほかの人間を襲って殺したりもせず、ただ私たちを閉じ込めてあとは何もしないなんて、あんたが覚えてるお菓子の魔女はそんな奇妙なことやるヤツじゃなかったでしょ?」
さやかの言う通りほむらの知るお菓子の魔女はこんな真似などしない。故にほむらはさやかの話を聞くしかなかった。
そこからもさやかは語った。
この魔女の結界はただ単にエサ集めの罠ではないこと。
結界をコントロールしている魔女の目的は現状を維持することであること。
つまり今起こっている出来事が誰にとっても好都合であるかということから推理して考えるとこの状況を望んだ誰かが5人の魔法少女の中にいる可能性があるということ。
そしてそんな話の中でさやかは一つほむらに質問した。
さやか「この結界を作った魔女を突き止めてそれであんたはどうするつもり?」
ほむら「そんなのは当然・・・」
さやか「始末するの?」
ほむら「・・・!」
さやか「ただ魔女だからって理由で?」
ほむら「何が言いたいの?」
さやか「ねぇ、これってそんなに悪いことなの?誰とも争わずみんなで力を合わせて生きていく。それを祈った心は裁かれなきゃならないほど罪深いものなの?」
ほむら「ハッ!あなた魔女の肩を持つつもり?」
さやか「私たちが行き着く果ての姿だもん。同情だってしたくなるわよ。」
さやかの言葉にほむらは今一度、冷静になって語る。
ほむら「私もついさっき一番肝心なことを思い出したわ。巴マミが思い出した記憶は魔女ではなく魔獣との戦い。佐倉杏子が魔女の結界という可能性を推理しなかったのも魔女のことを忘れてたからじゃない。2人は魔女なんて存在は知らないんだわ。当然よ。もうこの宇宙には魔女なんて存在しない。全ての魔法少女の魂は魔女になる前に円環の理に回収される。そうなるようにあの子が世界を作り替えた。彼女自身を犠牲にしてね。」
友を思い出すように俯くほむら。
さやか「そっか、あんたは覚えてるんだっけね。」
その言葉に思わずさやかを睨むほむら。
ほむら「そうよ。覚えているのはただ1人。私だけだったはず。ここにはそもそもありえないはずの存在が3ついる。ひとつはこの結界を作った魔女。もうひとつは魔女の姿のままのベベ。そして最後は魔女のことを知ってるあなた。あなたは何者?本当に美樹さやかなの?」
ほむらの質問にさやかは笑って返す。
さやか「ご挨拶だね。私はあんたが知ってる通りの私だよ。転校生。」
ほむら「!?」
瞬間、地面に映る異形の姿。
ほむらは瞬時に時を止めようとする。だがさやかもまたそれに対応して時止め前に自らをマントで隠した。
時を止めたのちほむらは銃を構え、マントを捲るがそこにはもうさやかの姿はなかった。
ほむら「逃げ足が速すぎるわね。もっと不器用な子だったはずよ、あなた。」
さやかの声がどこからともなく響いてくる。
さやか「あんただって私の質問に答えてないよ。この見滝原を壊して本当に構わないのか。じっくり考えてから決めるんだね。悔いを残さないように。」
そう言い残すとさやかの気配は完全に消えた。
また1人になったほむらは世界を作り変えた
・・・ほむらにとって鹿目まどかは特別な存在だった。いやほむらだけじゃない。全ての魔法少女にとってまどかは特別な存在なのだろう。
この世から消えてしまうその時には 魔法の神さまがおこしになられて 全ての魔法の女の子たちは すてきなお国へ導かれるのです 悲しみと憎しみのない すてきなお国へ導かれるのです
〜《秘密のうわさばなしより》〜
彼女はかつて1人の魔法少女であった。
誰にでも優しく、友のためなら涙も流せるそんな優しい子。
その優しさゆえ彼女は願いによって生まれる魔法少女の果てが魔女という獣であって良いはずがないと魔法少女の悲惨な運命を許せないでいた。
結果としてまどかは「全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を生まれる前に消し去りたい」という願いのもとほむらや過去の少女たちを救うため魔法少女へと変身した。
そして願いは叶えられ、まどかは呪いを受け止めるだけの概念とも呼べる存在〈円環の理〉へと姿を変えてしまった。
結果、宇宙は再編され魔女は存在ごと消え去ったというわけだ。
皆が覚えていないその事実を知るからこそほむらはこの偽の見滝原市を望む何者かに怒りを向けた。
魔法少女は奇跡を願った対価として戦い続けなければならずそんな自分たちだからこそまどかは身を挺して救ってくれた。
なのに魔獣と戦う使命に背を向けて挙げ句の果てには皆を巻き込み、偽の見滝原に逃げるなどほむらにとってみればまどかの犠牲を無駄にするだけの茶番でしかなかった。
早くこの結界を作った魔女を突き止めねばと躍起になるほむら。その時、どこからかほむらの名前を呼ぶ声がした。
まどか「あっ、ほむらちゃん!?」
ほむら「まどか・・・。」
どうやらまどかはずっとほむらの事を探していたらしい。
ようやく会えたまどかはほむらと歩きながら話す中で街の風景を一望できるとある花畑まで来てしまった。
花畑まで来たほむらはまどかに対して静かに喋り出す。
ほむら「私ね。とても怖い夢を見たの。」
まどか「夢?」
ほむら「あなたがもう二度と会えないほど遠い所に行っちゃって・・・。なのに世界中の誰もかもがその事を忘れちゃって私だけがまどかのことを覚えてるたった1人の人間として取り残されて・・・。寂しいのに、悲しいのにその気持ちを誰にもわかってもらえない。」
目からは涙が溢れ出てきているがほむらの感情の発露は止まらない。
ほむら「そのうちにまどかの思い出は私が勝手に作り出した絵空事じゃないかって自分自身さえ信じられなくなって・・・」
ほむらの慟哭に思わずまどかはそっと寄り添うように隣に座った。
まどか「うん、それはとっても嫌な夢だね。」
ほむら「あっ・・・」
まどか「でも大丈夫だよ。私だけが誰にも会えなくなるほど遠くに1人で行っちゃうなんてそんなことありっこないよ。」
ほむら「どうして?なぜそう言い切れるの?」
優しくほむらを抱きしめるまどか。
まどか「だって私だよ?ほむらちゃんでさえ泣いちゃうようなつらいこと私が我慢できるわけないじゃない。」
その言葉はほむらをハッとさせた。
ほむら「あなたにとってもそれは我慢できないほどつらいこと?」
まどか「そうだよ。ほむらちゃん、さやかちゃん、マミさんに杏子ちゃん、パパやママやタツヤ。それに仁美ちゃんやクラスのみんな。誰とだってお別れなんてしたくない。もし他にどうしようもない時だったとしてもそんな勇気、私にはないよ。」
まどかの言葉にほむらはこれまでの自分の行いを悔いた。なぜ認めてしまったのだろうと。なぜ止めなかったのだろうと。
ほむら「私ね、知ってるんだよ。」
まどかの持つ覚悟と勇気。そして優しさと強さを。
まどか「ほむらちゃん?」
ほむらの言葉に名前を呼ぶまどか。
ほむら「そっか。やっぱりまどかも何も覚えてないんだね。もしかしたらあなたは幻かもしれないって誰かが用意した偽物かもしれないって思ってた。でなければこうしてまた会えるなんてどう考えてもおかしいもの。」
まどか「え・・・?」
ほむら「でも分かる。あなたは本当のまどかだわ。こんな風に一緒に話ができてもう一度また優しくしてくれて本当にうれしい。ありがとう。それだけで十分に私は幸せだった。」
ほむらもまた何か覚悟を決めたような表情で立ち上がる。
ほむら「もう行くわ。私まだやり残したことがあるから。」
まどか「ほむらちゃん。」
名前を呼んでくれたまどかに微笑んだあとほむらは歩き出した。全てを終わらせに。
ほむらはとある事を最後に確認するためにバスの停留所に来ていた。
ソウルジェムを近くにあった台に置き、バスに乗る。
ソウルジェムとは謂わば魔法少女たちの魂の結晶。故にソウルジェムを手放して行動できる範囲は精々100m程度であり、それ以上離れると肉体を動かせずまるで死体のようになってしまう。
ソウルジェムを置いてバスが出発した。
まるで終焉を告げるかのように眼下の街には火をまとった無数の何かが墜落し、街の風景を変えていく。
至る所で炎が巻き上がり、もはや地獄と呼べるものとなっていた。
ビルスもまた変わりゆく街の様子を高台から見ていた。
ビルス「どうやらこの幻想ももう終わりのようだね。」
ウイス「では行きますか?」
ビルス「そうしようか。」
ビルスもまた幻想の終わりに際して行動するのであった。
・・・20分は走行した。明らかに100m以上離れたのに動く手を見るとそこには色鮮やかな水玉模様が浮かび上がってきていた。
そしてそれがほむらの疑惑が確信へと変えた。
ほむら「つまりはもう魔法少女でさえないってわけ?」
どうして?その言葉がほむらの頭を支配する。
ほむら「どうして私がこんな・・・」
この時、1人の少女が闇へと堕ちた。
ほむら「一体いつの間に私は魔女になってたの?」
その言葉に呼応し、ほむらを中心としてまるでの何かの巣のような建造物が姿を表した。
「真実なんて知りたくもないはずなのにそれでも追い求めずにはいられないなんてつくづく人間の好奇心というものは理不尽だね。」
突如現れた建造物の内部、白い獣がそう語りかけた。
通称、キュゥべえ(QB)。正式名称をインキュベーター。
まどかをはじめ数多の魔法少女を願いと引き換えに生み出した存在であり全ての元凶である。
QB「まぁ君ならいずれは答えに辿り着くだろうとは思っていたよ。暁美ほむら。」
ほむら「インキュベーター。やっぱり何もかもあなたの仕業だったのね。」
QB「確かにこの騒動の発端は僕さ。色々画策したものさ。でもね、1つ予想外のことがあるとしたら君は知ってか知らずかとんでもない存在を招き入れてしまったことだよ。」
ほむら「え・・・?」
「その予想外っていうのは僕たちのことを言っているのかな?」
ほむら・QB「!?」
突如としてあたりに響く声と重たくなる空気。QBとほむらは一斉に上を見る。
瞬間、建物の上部が爆発音と共に壊れ、その土煙の中からビルスとウイスが出てきた。
QB「この偽の見滝原に君たちが来た時から監視させてもらったよ。でも監視すればするほどわかr・・・」
QBが喋っている最中だったがビルスが急に破壊し、跡形もなく消えた。
ウイス「ちょっとビルス様!話の途中でしょう!」
ビルス「別にいいだろ?どうせ代わりがいるんだ。それにこの僕に対してあの舐めた口調。全く以って不愉快だ。」
ビルスの言葉通りどこからともなく現れるQB。でもどこか驚いているような口ぶりになっていた。
QB「その力・・・確か破壊と言ってたね。やっぱり理解できないよ。僕らが知っているどの能力体系にも当てはまらない未知の力だ。」
ビルス「これが破壊神たる僕の力だ。」
ビルスとQBを何やら話しているがほむらはそれ以上に気になることで頭がいっぱいだった。
ほむら「私が破壊神をここに呼んだってどういうことなの?さっき初めて顔を合わせたばかりなのよ?そんな私が破壊神を呼ぶ?」
ほむらの言葉にウイスが声を上げる。
ウイス「おや、やはり知っておられませんでしたか。では順を追ってご説明いたしましょう。」
そう言うとビルスは杖を掲げた。すると上空に何やら映像が投影された。
そしてそこに映ったものはほむらを驚愕させるものであった。
ほむら「あれって私?」
映し出されたのはまるで祈るように手を胸の位置で組んで眠っている暁美ほむらの姿だった。
ウイス「これがこの偽の見滝原市の外側、現実世界のほむらさんの姿です。」
ほむら「そんな・・・」
自分の状況に項垂れるほむらだがまだ話は終わらない。
ウイス「しかも見た感じですと何やら実験のようなものをQBさんたちはされているようですね。」
ほむら「実験・・・?」
ウイス「えぇ。QBさんたちが作り出した干渉遮断フィールドがほむらさんのソウルジェムを完全に包んでいます。推測するに濁りきったソウルジェムを外からの影響力が一切及ばない環境で閉じ込め、『円環の理』という現象から隔離された時、ソウルジェムがどうなるのかを見るための実験でしょう。」
ほむら「じゃあ私のソウルジェムは・・・」
ウイス「まだ砕けていないようです。だからこそほむらさんは完全な形で魔女に変化できたわけではありません。謂わば卵を焼き割ることができなかったヒナが殻の中で成長してしまったようなものですね。」
そしてここからウイスは偽の見滝原市の正体を語り出した。
ウイス「本来なら濁りきったソウルジェムが砕かれ中からグリーフシードが姿を現し、魔女化する。ですがほむらさんの場合、ソウルジェムが砕かれず魔女化が進行したため自らの内側に結界を作り出すことになったというわけです。」
ほむら「それじゃあこの偽の見滝原市は私のソウルジェムの中ってこと?」
ウイス「その通り、ほむらさんのソウルジェムの中で実際に存在する全て建物が模倣・再現されて出来たもの。それがこの見滝原市というわけです。」
ほむら「ソウルジェムの中というのはわかったわ。でもまだ謎が残っている。何故、インキュベーターによって外部から断絶されたこの空間に巴マミたちが迷い込んでしまったの?」
ウイス「それはあなたが求めたからです。」
ほむら「私が?」
ウイス「魔女としてのあなたが無意識に求め、QBさんが遮断フィールドを調整し、その者を結界内へと招き入れる。だからこそ巴マミを始めとした人たちがこの見滝原に迷い込むことになったというわけです。」
ビルス「僕たちの場合、神として強大な力を持っていたこと。ここに来る前に次元の間を移動していたこと。この2つの条件が相まって君は僕たちを見つけ、無意識にここに呼び、僕たちはそいつらの手引きなく干渉遮断フィールドを突破してここに着いたってわけ。」
ウイス「ソウルジェムを使用した実験。そして内部からの手引きによる犠牲者の誘導。これらの事をしたQBさんですがどうやら誤算があったみたいですね。」
ほむら「誤算?」
ウイス「あとは本人に直接聞くとしましょうか?」
そう言うとウイスはQBの方を見た。そしてQBは語り出す。
QB「君が作った結界には現実世界には既に存在しないキャラクターが奇妙な形で存在していた。とりわけ興味深いのは過去の記憶にも未来の可能性にも存在しない鹿目まどかの存在。彼女はこの宇宙と一切の因果関係がない存在なのに彼女はなんの違和感もなく君の世界に紛れ込んできた。」
QBの話はまだ続く。
QB「そもそもここまで条件を限定したうえでなおも『円環の理』なる存在が暁美ほむらに接触しようとするならばその時は君の結界に招き入れられた犠牲者という形でこの世界に具現化するしかないこの状況と巴マミや美樹さやかたちともまた違う異質な鹿目まどかの存在。もう答えは出たようなものさ。ようやく僕たちインキュベーターはこれまで謎だった魔法少女消滅の原因を特定して観測することができるってことだ。」
感情はないがどこか嬉しそうに語るQB。
QB「でもそうだね。言ってた通り1つ誤算があるとしたら鹿目まどかが未知の力を発揮するそぶりを全く見せなかったことだ。結界の主である君の記憶操作はまどかに対しても作用してしまったみたいだね。彼女は君を救済するという目的だけでなく自分自身の力と正体さえ見失っていたようだ。これでは手の出しようがない。」
そこまで言うとQBはほむらの方へ向き直り言った。
QB「でも君が真実に辿り着いた事でようやく均衡も崩れるだろう。さぁ暁美ほむら。まどかに助けを求めるといい。それで彼女も思い出す。自分が何者なのか、なんのためにここに来たのかを。」
QBの言葉が言い終わったその時、ようやく今まで黙っていたほむらが口を開ける。
ほむら「インキュベーター、あなたたちの狙いは何?」
QB「もちろん今まで仮説に過ぎなかった『円環の理』をこの目で見届ける事だよ。」
ほむら「なんのために?好奇心なんて理不尽だって言ったくせにまどかの存在をただ確認するためにこんな大げさな段取りまで用意するわけがない。」
QBが月を見る。その行動がほむらの考えをより確かなものとした。
ほむら「まどかを支配するつもりね!」
瞬間、周りの景色がガラリと変わる。
どこからか血のような液体が吹き出し、先ほどまで地を明るく照らしていた月は赤黒く変貌し、暁美ほむらを模した何かが飛来してきていた。
ほむらもまた姿を異形なものへと変えていった。
ほむら「まどかの秘密が暴かれるくらいならこのまま魔女になってやる!」
そうしてほむらは魔法少女が背負う悲劇にその身を投じていった。
・・・くるみ割りの魔女。
歯はこぼれ頭蓋はとろけ目玉も落ちたその姿はどこか寂しげなものであった。
そして手を封じられ、目の前にある断頭台へと歩を進める。
ビルス「たった1人の少女のために身を捧げたか。」
ウイス「それほどほむらさんにとってまどかさんは大切な人なのでしょう。」
ビルスとウイスは魔女になる事を選んだほむらに対してそう呟く。
ウイス「それでどうなさいます?」
ビルス「決まってるだろ?っとその前に来たぞ。」
ビルスが何やら決めあぐねている時に何かが自分たちの方へと近づいてくるのをビルスとウイスは感じた。
そして現れたのは巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子、鹿目まどか、ベベの5人だった。
巴マミ「またお会いできて光栄ですわ。ビルス様。」
ビルスに対して軽く頭を挨拶をするマミ。
ビルス「マミや無礼者のさやかは別として初めましての奴もいるね。」
ビルスの言葉にさやかが反応する。
さやか「ぶ、無礼者!?私なにかしましたっけ?」
ビルス「ほむらを連れ去る時、挨拶もなかったの忘れてないからな。」
さやか「あ、思い出した!でもそれは・・・エヘ、エヘヘッ!」
思い出したのか困ったような笑いを浮かべるさやか。それと同時に意外と根に持つタイプなんだなぁとウイスを除くこの場にいる全員が思ったことは口が裂けても言えないだろう。
ビルス「それで初めましてだね。佐倉杏子に鹿目まどか。」
佐倉杏子と鹿目まどかを見るビルス。
ビルス「マミから話は聞いているね。僕は破壊神ビルス。」
ウイス「私はウイスと申します。」
まどか「私の名前は鹿目まどかです。お会いできて光栄です。」
杏子「あんたがビルス様か。よろしく!」
さやか「ちょっと杏子!」
ぎこちない挨拶だがちゃんとしたまどかは別に良いとして様とはつけているがその馴れ馴れしい態度をとる杏子にさやかは焦り、注意するがビルスはそこまで気にしていなかった。
ビルス「良いよ、別に気にしてない。こっちの世界にもそんな態度取るやついるしね。慣れっこさ。」
言いたいことも言い終わった後、ようやくビルスたちは本題へと入っていった。
まどか「ここに来たのには理由があって実はお願いしたいことがあるんです。」
どうやらお願いしたいことがあるらしいのだがビルスは何と言われるのか大体想像はできていた。
ビルス「どうせほむらを止めるのを手伝ってくれとかそんなんだろ?良いよ、手伝ってやるよ。」
まどか「本当ですか!?ありがとうございます!」
ビルスの言葉に表情を明るくまどか。
マミ「手伝ってくれるのはありがたいですが何故ですか?」
マミの問いにビルスは背を向けたまま答えた。
ビルス「これも何かの縁ってことさ。」
マミ「?」
ビルス「ほらもう行った、行った。巻き添えで破壊されても僕は知らないからな。」
ビルスはそう言い残すと1人で飛んでいった。
破壊神と魔女の戦いが始まる。
魔女へと向かう最中、大勢の使い魔たちがビルスを襲いに来た。
だがビルスとってみればこの程度の敵など路傍の石ころ同然。ビルスは避けることなく突き進む。
そして手を前に出し、気弾を放った。
使い魔の軍勢に着弾し、激しい爆発音とともに姿を消す。
そして次に現れたのは暁美ほむらを模したような使い魔だった。
現れた5体の巨大な使い魔が一斉にビルスへと拳を振るう。だがビルスはそれを華麗に避け、5体の使い魔に対して一回ずつ触れた。
すると使い魔は砂に変わり崩れ去った。
その後も迫り来る全ての敵を破壊尽くしビルスはくるみ割りの魔女を見下ろせるほどの上空へと辿り着いた。
ビルス「さてと破壊神らしく全てを壊してやろうか。」
そう言うとビルスは手を胸の前の位置に持っていき力を貯める。
次第にビルスの体は紫のオーラを纏っていき、それに呼応するかのように世界が揺れる。
ビルス「これで終わりだ。」
ビルスの手にまるで太陽のような球体が生成される。
それを見ていた魔法少女たちは驚きの声を上げる。
杏子「あれやばいんじゃね!?」
マミ「ウイスさん。あんなの放って大丈夫なんですか?」
ウイス「あのお方は破壊神です。ご心配は無用ですよ。」
だから不安なのではと思わなくもない魔法少女一同であった。
そしてビルスは野球ボールサイズの太陽のような気弾を地面に向けて放った。
瞬間、辺りを照らす閃光。
あまりの眩しさに魔法少女たちは目を瞑った。
瓦解する結界。少女たちが再び目を開けた時には周りの景色は見滝原などではなく酷く荒廃し、荒れ果てたものであった。
どうやら魔女の結界の外に出ることができたようだった。
QB「やっぱりその力、僕たちの理解を超えているよ。」
結界の外で待機していた大勢のQBたちがビルスを見る。
QB「物体に留まらず空間・概念にまで干渉できる破壊の力。目の前で見せられているのに解析できない。やはり凄いよ。だから・・・」
そこでQBたちは思わぬ提案をしてきた。
QB「その力を僕たちにくれないか?それだけ大きなエネルギーがあれば増大する宇宙のエントロピーを大幅に引き下げ現宇宙をより長く存続させることができる。」
QBの提案にビルスは鼻で笑って返した。
ビルス「存続ねぇ・・・。」
QB「何が可笑しいんだい?」
ビルス「いやあまりにも君たちの行いが滑稽に見えたさ。」
QB「滑稽だって・・・?」
ビルス「創造の前に破壊あり。お前たちはそんな根本的な考えを理解できていない。破壊や破滅は終わりではなく新たな始まり。古きを壊し、次へと紡いだ先に創造される未来がある。」
QB「なら君の知る地球や他の惑星が滅んでも良いと言うのかい?」
ビルス「愚問だな。」
たった一言、神らしく人とは違うどこか達観したような言葉にQBは項垂れる。
QB「断られたのなら仕方ない。今までと同じ方法でエネルギーを集める他ないね。」
QBの言葉にビルスが言う。
ビルス「まだここでエネルギーを集められると思っているのか?」
QB「!?」
その言葉に身構えるQB。対してビルスの体は先ほどと同じように紫のオーラを纏っていく。
QB「な、何をすr・・・!」
QBが言い終わる前にビルスは冷たく言葉を返した。
ビルス「今日はこのぐらいで勘弁してやるがお前たち端末の主に伝えろ。僕の機嫌を損ねないようにしろってね。さもないと・・・」
そうしてビルスは指をパチンと鳴らした。
瞬間、地球にいる全てQBの体が塵となり音もなくQBは地球から姿を消した。
・・・結界は壊れ、外界へと戻って来れたマミと杏子。そこにはさやかやベベ、まどかの姿はなくほむらも台の上に横たわっていた。
ウイス「これで終わりましたね。」
戦いの終わりを告げるウイス。だが杏子は喜ぶ様子など見せず遠くを見て言った。
杏子「行っちまったのか。さやかもベベも。」
居なくなった事実にどこか寂しげな様子で語る杏子。しかしマミは笑っていた。
マミ「いいえ。今ようやく彼女を連れていくところよ。」
その瞬間、空の様子が変化した。まるで宝石のように輝く中心から花の道が形成され、ほむらの眠る台座へと伸びていく。
そして1人の少女が姿を現した。
彼女こそが『円環の理』なる本来の鹿目まどかだ。
まどか「そうだった。私はほむらちゃんのために・・・。こんな大事なこと忘れてたなんて。」
さやか「まぁ余計な邪魔が入ったからね。ちょっとした回り道になっちゃったかな。」
見るとまどかの近くには姿を消した美樹さやかとベベの真の姿、百江なぎさの姿があった。
なぎさ「やれやれなのです。」
まどか「ほむらちゃんを迎える前にちょっとだけ・・・」
そう言ったまどかはほむらの元へと行く前にビルスの前へと来た。
ビルス「ようやく会えたね。鹿目まどか。」
ビルスの言葉に頭を下げるまどか。
まどか「この度は本当にありがとうございます。ビルス様そしてウイスさん。」
まどかの態度にビルスとウイスは笑いながら言った。
ビルス「ほむらの記憶を見て君の人となりは知ってるけどやっぱり『円環の理』なんて厳つい名前、君のような人間には似合わないね。」
ウイス「何者かが理に干渉したのを感じたときは大変なことになるかと思いましたがこの様子だと大丈夫そうですね。」
ビルス「そうだな。どうやら僕は君を破壊せずに済みそうだ。鹿目まどか。」
まどか「寛大な御心に感謝します。ビルス様。」
ちょっとした談笑を終え、まどかはようやくほむらへと近づいた。
まどか「待たせちゃってごめんね。」
まどかの言葉にほむらは目を覚ます。
ほむら「まどか・・・。」
まどか「今日までずっと頑張ってきたんだよね。さぁ行こう。これからはずっと一緒だよ。」
ほむらがまどかに導かれ、全てが終わる。そうみんなは思っていた。
しかしほむらは不気味に笑った。
ほむら「この時を待ってた。」
瞬間、差し伸べられたまどかの腕を掴むほむら。
そしてソウルジェムから禍々しい光に放たれる。
なぎさ「ソウルジェムが呪いよりもおぞましい色に・・・」
さやか「なんなのあれ!欲望?執念?いや違う。暁美ほむら、あんた一体・・・」
徐々に輝きを増すソウルジェム。その力の影響か周りの空間が裂け始めた。
まどか「ほむらちゃん、ダメ!私が裂けちゃう!」
そしてほむらは愛の力によりまどかを人としてのまどかと『円環の理』たるまどかに分け、人としてのまどかを奪い自らの姿を変えていった。
彼女はあの神に等しく聖なるものを貶め、蝕んでしまった自らを『悪魔』と呼ぶのであった。
最終的にほむらは愛の力で宇宙の新しい概念へと昇華し、世界を意のままに再編していった・・・。
桜咲く春の日。人は皆、見滝原中学校への道を歩いていた。
そんな中、ほむらは優雅に茶を嗜んでいた。だが周りの人は気づいていないのか認識できていないのか見向きもせず通り過ぎていく。
しかしただ1人、さやかだけはほむらに対して問いただした。
さやか「あんた何をしたかわかってるの?」
その問いにほむらはさやかの方へと向き直る。
ほむら「その様子だと何があったのか理解しているみたいね。美樹さやか。」
さやか「あんたは『円環の理』の一部をもぎ取っていったんだ!魔法少女の希望だった救済の力を・・・!」
ほむら「私が奪ったのはほんの断片でしかないわ。まどかがまどかでなくなる前のヒトとしての彼女の記録だけ。どうやらあなたたちまで巻き添えになって元の居場所に帰れなくなってしまったようだけれど。」
さやか「一体、なんの権利があってこんな真似を?」
ほむら「今の私は”魔”なるもの。摂理を乱し、この世界を蹂躙する存在。神の理に抗うのは当然のことでしょう?」
さやか「あんたはこの宇宙を壊すつもりなの?」
さやかのその質問にほむらは笑って返す。
ほむら「全ての魔獣が滅んだあとはそれもいいかもね。その時は改めてあなたたちの敵になってあげる。・・・でも美樹さやか。あなたは私に立ち向かえるの?」
自分の頭を抑えるさやか。
ほむら「今でも徐々に記憶は変わりつつあるでしょう?」
さやか「私は・・・確かにもっと大きな存在の一部だった。この世界の外側の力とつながっていたのに今はもうあの感覚を取り戻せない。ここじゃないどこかにいたはずなのに・・・」
ほむら「もっと素直に再び人間としての人生を取り戻せたことを喜べばいいんじゃないかしら?いずれは何が起こったのかも忘れて違和感すら感じなくなるわ。」
その言葉にさやかは声を荒げる。
さやか「だとしてもこれだけは忘れない。暁美ほむら、あんたが『悪魔』だってことは!」
ほむら「せめてふだんは仲良くしましょうね。あまりケンカ腰でいるとあの子にまで嫌われるわよ。」
その言葉を最後にさやかもまた記憶を書き換えられてしまった。
また1人になったほむらに誰かが声をかける。
「自分を助けようと頑張った人相手にあの対応は酷いんじゃない?」
ほむらは後ろを振り返る。見るとそこにいたのはビルスとウイスだった。
ほむら「ビルスにウイス。」
ビルス「さっきまでとは180度、違う態度だね。目的を成し遂げて気が大きくなっているのかな?それとも・・・」
ビルスがほむらを睨む。
ビルス「神の如き力を得て僕と並べると勘違いしているのかな?」
ほむら「ッ・・・!」
あまりの威圧に冷や汗が滲み出るほむら。先程とは違い高次の存在となったはずなのにまるで自分がまだ人間なのだと錯覚してしまう。
ビルス「確かに君やまどかは人として過ぎたる力を得た。でも僕にとってみればその程度の力でこの僕に干渉できると思わない方が良い。じゃないと痛い目を見ることになる。」
ほむら「じゃ、じゃあ私を破壊しにここに来たの?」
ほむらは威圧に押しつぶされそうになりながらも問う。だがビルスの答えはほむらを予想を裏切るものだった。
ビルス「確かに僕の力なら君が鹿目まどかからもぎ取った『円環の理』の力ごと君を破壊することは容易だ。でもまだ君を破壊するのは辞めとくよ。」
ほむら「え?」
ビルス「気になったんだ。1人の少女のため闇より深い謂わば深淵に身を投じた君の行く末がね。悪魔らしく聖なるものに討たれて破滅へと身を投じていくのか。それとも・・・まぁいいや。」
ビルスは途中の言うのを辞めて飛び立とうとする。しかし言い残したことがあるのか最後に一言だけ言った。
ビルス「僕は何かを破壊すると決めれば一瞬でやる。精々、僕が敵にならないよう神にでも祈ってるんだな。暁美ほむら。」
その言葉を最後に言い残し、ビルスたちは彼方へと飛んでいった。
その後、ほむらは再編されたこの世界にて『円環の理』としての記憶を失い、転校生としてこの見滝原中学校に鹿目まどかと出会う。
学校案内と称して2人で移動し話している最中、ほむらはまどかに対してこの世界は貴いかどうか聞くが帰ってくる答えはやはり予想通りでほむらがかつてから知る決断する勇気とそれを成し遂げるだけの強さ、そして他人を思う優しさを持つまどかそのものだった。
でもその答えは同時にいずれ2人が敵として対峙し最悪の場合、戦うことになるかもしれない可能性を孕んでいると言うことになってしまう。
それでもほむらはまどかに言った。
「私はあなたが幸せになる世界を望むから」と・・・。
思想や歩み道が違うことになったとしても大事な1人を救う。ほむらはこの再編した新世界にて新たに覚悟を固めるのであった。
『円環の理』としての自分を失った鹿目まどか、まどかを想い『悪魔』と化した暁美ほむら、そして本来なら交わることのなかった別次元より来たれり万象を破壊する神ビルスの存在。
この三者さらには他の魔法少女の存在がのちの物語を大きく動かすのであった。
最後まで見ていただきありがとうございます。
いやぁそれにしてもまどマギ新作映画このまま何事もなく上映されると良いですね。
悪魔ほむらの結末が気になって仕方ありません。
いきなりですが感想とかお気に入り登録とかお待ちしております。
ではまた約2ヶ月後にお会いしましょう!