───舞台は終わり、その後のお話
開拓者たちが夢から覚めた時、
すでにサンデーは消息を絶っていた
オーク家を継ぎ、事態の収束に向けて動いているロビンは
日々の業務の傍ら必死にサンデーを探したが、
ハウンドでも、カンパニーでも未だ足取りは掴めないと言う
「ロビン、泣いてたよ」
「冗談を、嘘泣きでしょう」
あの子は強い子ですから、なんてうそぶいている
話題の中心を星は半目になって見やった
場所は、ホテル・レバリーのエントランスホール
豪勢な調度品の中で今もスタッフたちが
普段の品位を捨てて慌ただしく動いていた
その中に、いたのだ
ゆったりとし作りの革張りのソファに身を預けて
微笑みながら周囲を見渡す羽根女が
なぜか周囲は彼女に気づかない
銀河一のお尋人と相なった人物なのに
今も、星の横で光る電光板は興醒めの広告の間に
やけに執拗に彼女の顔写真を写している
「夢の力、まだ持ってるの?」
「さぁ?ただ、夢の主を飲み込んだので人より意識の仕組みを理解してるんですよ」
ちょっとした手品のようなものです
それは、手ぐせが悪いね
軽口を重ねながらも、二人は踏み込まない
星もまた諦めたように女の隣に腰掛けはぁーと力を抜いた
「何このソファ、列車に持って帰りたい」
「いいんじゃないですか?ロビンはOKを出しますよ」
「よく言う」
本当によく口の回る羽根女だった
「最近、何してるの?」
「実はちょっとした賭けをしてまして」
女の口から似合わぬ単語が飛び出た
「賭け?あんたが?」
「おや、ワタシだって宴の星のかつての名代、娯楽には一定の嗜みがありますよ」
「話を逸らさないで──誰と賭けたの」
ピノコニーの広場にある遊技機の話をしていないのは明白だった
「抜け目ない緑の魔女とです」
「勝てんの?あんなんだったのに」
「ええ、まあどうなんでしょうか……賭けたのはそこではなかったので」
能面の微笑みにこれ以上答える気がないと判断して、星は質問を変える
「これからどうするの、あんた」
「もとよりワタシは求道者、続けるだけですよ」
座ったままの開拓者を横目に、女は立ち上がった
割れていない天環、朽ちていない羽が
彼女の動きに合わせて揺れる
「また会いましょう、貴方とはまたどこかで語らいたい」
「悪いけど、頭の痛くなる話ならお断り」
「おや、それは手厳しい」
そっけない返しにも、ちっとも表情の変わらぬ女に対して
でも、と星は言葉を続ける
「友達のお姉ちゃんの話なら、特別に聞いてあげる」
その言葉に今度こそ、サンデーは笑った
初めて見る困ったような嬉しそうな笑み
「ええ、必ず」
サンデーは背を向け歩き出す
開拓者はその背中を見つめつつも止めない
そしてその姿は人混みを歩いていき、やがて消えていった
見届けて、星は深くため息を吐いて天井を見上げる
「あー、ロビン怒るだろうなあ」
あんなに何度も言われていたのに
結局引き止めようとは思えなかった
だって彼女の目つきは前よりも穏やかだったし、
……なんか面倒そうだったし
言い訳を考えながら、星は諦めて手元のスマートフォンを取り出した
何かを察知したのか、
すでに通知欄で彼女からの連絡が光る
「……はぁ」
少なくとも、シスコンがお互い様なのは早く自覚したほうがいい
──アチーブメント獲得
──”なんでもない日、なんでもない人”
読んでくださりありがとうございました!!!!