『Project: KIVOTOS (特戦学区) : Abydos War』   作:Rio@シナリオライター

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本編です。


第1章:エピソード2 ファーストコンタクト

三ヶ月後ーー

2026年-7月23日-1200(ヒトフタマルマル)

キヴォトス学園連邦/サンクトゥム・タワー

 

ブォォォォォォォォォォォォォォォォォ......

「.........ということがあったんだ」

ここまでの経緯を整理して、私はこの世界の概要を把握した。

 

シッテムの箱のデバイスに保管された3枚の暗号データ、アロナという高度な自律性を持つAI、サンクトゥム・タワー全域のマスターデータ、これが私が今持つ、初期アイテム。

 

そんな物はこの世界ではただのiPad一台分とスーツ一人分の価値しかない。

その自覚はキヴォトス学園連邦タワーに入る前の光景でありありと分かった。

 

数十分前……

「ご用件は?」

「連邦生徒会に用件がある」

「? 聞いたことない所ですね」

 

「おっと失礼、学連に用件がある」

「......学連に用事......その姿でですか」

「私たちが言えることじゃないですけど、最低限、防弾チョッキは着てください。あと護身用のいい拳銃も。弾倉は3個です」

 

初めてここに来た時の感想は一言で言うなら“異質”。連邦生徒会の生徒の着る服は“戦闘服”。刃物などを通さない耐刃という生地で作られた軍隊制式用の迷彩だ。青と白のマルチカム迷彩が美しい。その上に“JPC”というプレートキャリアを着装して、腰には“ファーストライン”という拳銃と弾倉を一まとめに携行できるベルトをしてる。

 

ヘルメットは“FAST”と呼ばれるマルチカム迷彩の軍式規格。

その中でも“マリタイム”と呼ばれる軽量タイプを好んで使用しているようだ。44マグナム弾も受け止められる。

 

小銃はSIG MCX。5.56mm口径に統一して、LPVO(低倍率可変ズームスコープ)、NGALレーザーデバイス、フォアグリップ、ガンライト、短めのサプレッサーなど、連邦生徒は銃自体を同じカスタムでモジュール化している。

 

「……身体検査します」

「銃や爆薬などの危険物は?」

 

「バッグに大事なデバイスがある」

「どうも」

 

ピピッ……

「タワー内は独立したWi-Fiとコーヒーショップがあります。お仕事が終わったらのんびりしてください。私たちのおすすめはイタリア系ブレンド、D.Uで流行ってます。チーズケーキが560円で食べられます」

 

「君たち結構大人っぽいね」

「大人っぽさとハイエンドが学連ファッションです」

「いいセンスだ」

 

ガチャ……

「本部、こちら警備20(フタマル)、送れ」

「警備20(フタマル)、こちら本部、送れ」

 

「本部、こちら警備20(フタマル)、タワー正面入口に警護対象1(ヒト)名を確認。非武装。重要情報を収録した端末を携行。生徒会室までの警護を要請する、送れ」

 

「警備20(フタマル)、こちら本部、了解。警備班を向かわせる。その場で待機せよ、送れ」

 

「こちら警備20(フタマル)、了解、待機する、終わり」

 

......無線の規格まで統一されているのか。

相手を先に呼び、自分を後に名乗る。返答を求める時は「送れ」、通信を切る時は「終わり」、自衛隊式の無線電話通信要領を基礎に、学園ごとの呼出名称を接続した交話法らしい。

 

ピロロン……

「先生?」

「アロナです」

 

「……聞いていたのか?」

「お話が」

 

「暇だったので〜」

「タワー内の警備室の映像を覗いてきました♫」

「……ここ“やばいです”」

 

アロナの顔が青い。

貴方、何したの?

 

「○○○○、○○○○、○○○○」

「○○○○、○○○○、○○○○」

 

ガチャ……

「各隊、こちら本部、各隊、こちら本部」

「警備室機材に異状発生、直ちに対テロ警戒態勢へ移行せよ。各隊、順次状況を報告せよ、送れ」

 

「本部、こちら警備、了解、直ちに実施する、終わり」

「集まれッ‼︎」

 

ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎

 

「なに? 急用?」

「警備室のモニター変になったらしいよ」

「……攻撃くるな、行こう」

 

ガシャン……

「装填よし」

 

ガチャ……

「本部‼︎ こちら警備30(サンマル)、警備40(ヨンマル)とともにタワー内検問所へ前進する、終わり」

 

ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎

「各隊ッ‼︎ 人員点呼ッ‼︎」

 

「何したの?」

「……録画覗いただけです……」

 

二言目の違和感はこの“異常なまでの危機対応”。

マスターデータありでモニターを覗いただけなのに臨戦態勢。相当細かく訓練されてる。度が過ぎるほど細かいが。

 

同時刻……タワー内/エントランス

 

「ーーおい? どうしたんだ?」

「警備隊が走ってきてるぞ?」

「あれ、臨戦じゃないか?」

 

「……良し」

 

バッ‼︎

「全員ッ‼︎ 聞いてくれッ‼︎」

 

「先生⁈ あれを‼︎」

「どうしたアロナーー?」

 

市民が手を上げた?

 

「注目」

「……タワーに異変が起きた」

「テロ対だ、何か起きたら警備についていけ、いいか?」

 

「了解」

「いつも通りか?」

「その通りです」

「準備いいな? いくぞ」

 

ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎ ザッ‼︎

「皆さんッ‼︎」

「集まって‼︎」

 

さっきの警備員、30(サンマル)と40(ヨンマル)か。

「タワー内に異変、本部からの即応態勢、テロ対です」

「警備隊員がエントランス内を確認するので自販機前に集合して、所持品検査を受けましょう」

 

「40(ヨンマル)、警護へ」

「分かった」

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、

「みんな」

「急ぐぞ」

 

ピロロン……

「……あれは……なんですか?」

「わからない」

 

あの連携感はなんだ?

市民と生徒の息が“ほぼ完璧”にぴったりだったぞ。

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。

「お客様」

「お待たせしました」

 

20(フタマル)が戻ってきた。

「随分な騒ぎになったな」

 

「本部から非常呼集がかかってしまって、すみません」

「今、護送部隊が来ます」

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。

「……すげぇな」

三言目の違和感は“その圧倒的な組織力”。

 

ガチャ……

「……本部、こちら警備10(ヒトマル)、送れ」

「警備10(ヒトマル)、こちら本部、送れ」

 

「本部、こちら警備10(ヒトマル)。正面入口に現着。警護対象を確認した。タワー内は検問実施中。生徒会室まで前進してよいか、指示を請う、送れ」

 

「警備10(ヒトマル)、こちら本部、対象は身元確認済み。警護を開始し、生徒会室まで前進せよ。各階には警備隊を配置中、送れ」

 

「本部、こちら警備10(ヒトマル)、了解、警護を開始し、生徒会室まで前進する。終わり」

「すいません‼︎ こっちです」

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。

見事な連携力だ。

 

「……ご苦労様」

「君は隊長か?」

 

「はい、一階の指揮官です」

「後輩から話は聞いてます」

 

「学年は?」

 

「自分は三年です」

「こいつ(フタマル)は二年」

 

「……どうぞこちらへ」

「後でコーヒー奢ります」

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