アレクラスト転生記〜TRPGフリーク、フォーセリアに転生す   作:駄文亭

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第二章 初めての暗殺者

成長報告

第一章終了時の獲得経験点:1500点

成長前

* 冒険者レベル2
* ファイター2
* レンジャー1
* シーフなし
* 未使用経験点500

経験点配分

成長 消費経験点
レンジャー1→2 1000点
シーフ0→1 1000点
合計消費 2000点

前回の未使用経験点500点と、今回獲得した1500点を合わせて使用。

成長後

* 冒険者レベル2
* ファイター2
* レンジャー2
* シーフ1
* 未使用経験点0
* 所持金1000ガメル

特殊能力

* 《ソード・ワールド完全版の知識》
* 《聖属性の右手》――アンデッドに対してのみ打撃力50
* 《センス・オーラ》常時発動
* 《センス・マジック》常時発動
* セージ技能取得不可

主な所持品

* 逃亡奴隷から譲り受けた装備一式
* ミスリル銀製ダガー+1《妖姫殺し》
* 逃亡奴隷が握っていたロケット
* 水袋、保存食、毛布、ロープなど


第5話 地上へ

 玄室の奥には、大きな魔法陣が残されていた。

 

 石床へ刻まれた幾重もの円環。

 

 その間を埋める幾何学模様と、古代王国時代の文字。

 

 魔法陣からは、現在もはっきりと魔力が感じられる。

 

 物理的な出口が存在しなかった理由は、これだろう。

 

 古代王国の住人は、階段や通路ではなく、転移魔法によって玄室を出入りしていたのだ。

 

 ルクスンは魔法陣の周囲を歩き、罠や損傷がないか確かめた。

 

 第一章の経験によってシーフ技能を取得したとはいえ、まだ1レベル。古代王国の魔法装置を完全に解析できるほどではない。

 

 しかし、刻まれた文字は読める。

 

『地上墓所への帰還陣』

 

「地上……!」

 

 待ち望んでいた言葉だった。

 

 円周には、起動方法も刻まれている。

 

 魔法陣の中央に立ち、指定された帰還の言葉を唱える。

 

 それだけでよいらしい。

 

 ただし、転移先が現在も安全かどうかまでは分からない。

 

 この遺跡が造られたのは、千年以上前。

 

 地上墓所が崩壊している可能性もある。別の建物が建てられ、転移先が壁や地中へ埋まっているかもしれない。

 

「古代王国製の転移装置か。説明書どおりに動くとは限らないよな」

 

 腰の《妖姫殺し》へ手を触れる。

 

『何を迷っておる。早う使うのじゃ。わらわは、この陰気な墓所には飽きたぞ』

 

「何百年も棺の中にいた奴が、今さら数分を惜しむなよ」

 

『何百年いたかなど、わらわは覚えておらぬ!』

 

「本当に何も知らないんだな……」

 

『失礼な。わらわは高貴なミスリル銀の短剣なのじゃ!』

 

「必要筋力1、打撃力10のダガー+1。売っても約5000ガメル」

 

『値段で呼ぶでない!』

 

 ルクスンは短剣から手を離した。

 

 頭の中が静かになった。

 

 改めて装備を確認する。

 

 逃亡奴隷から譲り受けた革鎧。

 

 剣、短剣、背負い袋。

 

 水袋、保存食、毛布、ロープ。

 

 そして、男が最後まで握りしめていたロケット。

 

 ロケットは、まだ開いていない。

 

 蓋を無理にこじ開けて壊すより、地上へ出てから盗賊ギルドへ持ち込むつもりだった。細工や刻印を調べてもらえば、泉で力尽きた逃亡奴隷の身元が分かるかもしれない。

 

「忘れ物はないな」

 

『わらわを忘れておらぬか?』

 

「腰に下げてるだろ」

 

『ならばよい。いざ、新天地へ出発なのじゃ!』

 

「お前が仕切るな」

 

 ルクスンは魔法陣の中央へ立った。

 

 古代文字で、帰還の言葉を読み上げる。

 

 石床の溝へ青白い光が流れ始めた。

 

 一つ目の円環。

 

 二つ目。

 

 三つ目。

 

 複雑な文様が次々と輝き、魔法陣全体が起動する。

 

「頼むから、地中や壁の中には出すなよ……!」

 

 視界が白く染まった。

 

 足元の感覚が消える。

 

 身体が宙へ持ち上げられたような浮遊感。

 

 次の瞬間、ルクスンは硬い床へ放り出された。

 

「痛っ!」

 

 転移先でも、最初に地面へ叩きつけられた。

 

 創造神だけでなく、古代王国の転移魔法も、着地する者への配慮を持っていないらしい。

 

 ルクスンは腰をさすりながら身体を起こした。

 

 周囲は、半ば崩れた小さな石室だった。

 

 割れた石棺。

 

 朽ちた祭壇。

 

 蔦に覆われた壁。

 

 天井の一部が崩れ、そこから本物の月明かりが差し込んでいる。

 

 夜の風が頬を撫でた。

 

 湿った土。

 

 草木。

 

 遠くから聞こえる虫の声。

 

 地下遺跡にはなかった、生きた世界の匂い。

 

「地上だ……」

 

 ルクスンは崩れた壁を乗り越え、外へ出た。

 

 そこは、長く放置された古い墓所だった。

 

 傾いた墓石の間から、遠くに巨大な城壁が見える。

 

 城壁の向こうでは、夜の闇を押し返すように無数の灯火が揺れていた。

 

 剣闘と賭博の都。

 

 盗賊ギルド、奴隷商人、冒険者、剣闘士が集まる街。

 

 ロマール。

 

 ルクスンは、首にはめられた奴隷の鉄輪へ触れた。

 

 地上には戻った。

 

 しかし、まだ自由になったわけではない。

 

 闘技場側には、死んだと思われている。それは逃亡するうえで有利だが、奴隷の鉄輪を見られれば身元を疑われる。

 

「まずは街へ入る。それから飯と寝床を確保する。できれば、この鉄輪もどうにかしたい」

 

『冒険の始まりじゃな!』

 

「死体置き場と古代遺跡を抜けた後に、ようやく始まるのかよ……」

 

 ルクスンは背負い袋を背負い直し、城壁の灯へ向かって歩き始めた。

 

 その荷物の奥。

 

 逃亡奴隷から預かったロケットは、今もある魔術師の《ロケーション》によって追跡されている。

 

 ルクスンは、まだその事実を知らなかった。

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