手鏡
腕時計
カレンダー
ノート
ペン
飛行機
飛行機
真水
すだち
ダラダラと寝っ転がり、メニューから所持アイテムを見ながら小説の着想に耽っていた。
ちらりと腕時計を見る。
夜か…時間が経つのは早いな。
因みに腕時計とノートとペンはまだ一度も所持アイテムに仕舞い込んだ事はない。
これがないと俺の小説人生はマジで終わるから…マジで。
とにかく手元にいつでも描けるように置いておきたいのだ。
まあ持ってるものをずっと眺めてるとかさ、小説を書く事が好きだし嫌いだし苦手な小説素人を書く皆ならこういう事くらい普通するよ、変じゃない変じゃない。
そうだよね?
つうかメタバースで小説を書き始めてから現実の時より小説の中にメモと追記が混ざる頻度が明らかに増えてきた。
正直言ってこれはあまり良くない兆候である。
「とはいえなぁ…」
昔はそういうタイミングからいつも見てくれる人から挨拶代わりに低評価プレゼントだったが、今はもうそんな心配をする必要がない。
自由過ぎるというのも考えものかもしれないが、結局どんどん前に進めようとする俺の小説の書き方はいつもこうなってしまうのだ。
小説は自由であるべきだ。
本文にメモ、そして追記に。
結局全部完成した後に添削すればいいじゃんって感じ。
こんな事言ってっから下手くそ小説なんだよな俺は。
うし、そろそろ進めるかあ。
「中に居ますよね?早く扉を開けてくださいっ!いやだ。飛行機の扉を命令されて開けないといけない法律なんてない。どうして私の言う事が聞けないんですか?私はTS幼女ですよ。開けなさい。嫌だ。法律に書いておきなさい。ずっと私からお金を借りてて返さない癖に、今日という大事な日にその態度は何ですか?また…またそうやって黙るんですね。TS転生から態々地元のTS転生先にまで戻ってきてみれば、こんな生意気な人がいるとはね。世界線から態々ご苦労なこって。なんて偉い経営者なんだだって?偉いと思っているのならお金を返して下さい、それも利子付きで。利子付きは無理だ。なら今日の利子はいいので一旦ここを開けて下さい。これは物語なんですよ?数多くの闇金経営者である幼女達とお金を貸す立場と借りる立場の両者がおりなす始まりなのです。知ってるさ。時折雨が降るくらいの当たりみたいなもんだろ。理想の世界から逃げた俺が、地元の人達にお金を借りて粘着される。そんな社会に抗う俺だけの友達と、その皆はちゃんと闇金を利用した事があるだろう。誰に望まれなくても片手間に闇金を利用する事が出来る、気が強い人達はお金の貸し借り時でも当然の如く気が荒くてさ、利子なんてささいな事には目もくれない。ビビるのは心が折れてしまった一部の幼女達と、社会的弱者の位置にまで落ちた数が少ない男性と女性だけだ。大抵の場合気が強い事は良い事ばかりだ。自分の意見が通る多さや感情をはっきりと周囲に示せるしな。勿論相手がある程度納得出来る物言いであったり、発言と行動の一致がどれ程かなど、そこは当人の日々の行いも当然考慮するだろうがな。発言や態度が大きい奴は当然の如く他者から嫌われる。とはいえそれを最も尊き価値であると考える人達もいるだろう。性格の変わり目とかがそうだった気がするな。そういや前に俺に嫌われてないから怒鳴ってきた奴がいた。確かそいつは熱心な幼女だった。あいつはもう別の場所にいるからもう会う事はないだろう、さよなら貧乳バイバイ無乳というやつだ。そろそろこれでお前も道連れかな?」
ノートに書いた一区切りであろう感情のままに振るうペン。
それを握ったその小説にはメモや追記が入り混じっていた。
それをしっかりと口を使って声に出していく。
こういうのはいつも口に出していく事が大事だ。
「これか…」
主人公が乗っていない、もう片方の飛行機の事を考えた時に走り書きをしたやつだ。
そもそもの話の流れとして、5秒後の飛行機同士の衝突に至る前、その過去の時間分は必ずその場所でラジオから聞こえる音楽の様に人々の交流が何らかの形である筈なのだ。
主人公が乗る飛行機にだけ焦点を当てる小説を書くつもりは、このメモと追記の量からして全くないだろう。
TS幼女が飛行機の扉を開けさせようとしている。
ずっとお金を借りて返さない奴との会話だ。
そして今日という大事な日に態度が悪い。
TS転生の行き来なんて、世界線の移動を可能にしているTS幼女か。
理想の世界から逃げた話し相手と、これは物語なのだと相手に伝えているTS幼女。
闇金を利用した事がある俺だけの友達。
利子にビビるのは一部のTSしているであろう幼女達と、そして社会的弱者の位置にまで落ちた数が少ない男性と女性。
俺に嫌われてないから怒鳴ってきた熱心な幼女の事を、あいつはもう別の場所にいると断言している。
そろそろこれでお前も道連れかなというのは、どちらがどっちに言っているんだ。
ペンを走らせた手を止める。
やっぱりこの飛行機同士の衝突は…分かっていたんだな。
飛行機2機の大きさが空中で衝突しても真水の場所へと落ちる、真水の海の世界。
何処かで必ずしらさぎとすだちも出てくるだろう。
「互いの話す場所はコックピットか化粧室か、それとも…」
この世界が社会的弱者かつ数が少ない男性と女性という人間社会の一部に、高圧的幼女イチャイチャが常識として混ざっていると言うのならば、コックピットの機長と副機長は男性と女性とは別にTS幼女が操縦している可能性を捨てる事は不可能だ。
「その日に向けて集めていた。しらさぎも狙って集めて、既に転生していたからこその互いに5秒前を狙う…」
テロリストか。
それも、飛行機の同時衝突を狙ったもの。
「集団でTS掌サイズ総受け高圧的イチャイチャ幼女転生を望んでいたんだとしたら…」
理想の世界から逃げたTS幼女が、他の一般人とTS幼女達を巻き込もうとしている?
でも世界線を移動出来るであろうその話し相手は、これは物語なんだと言っている。
物語を知っているからこそ、この結末を知っている?
闇金の利子を怖がって心が折れたTS幼女達がこの飛行機に乗っているとしたならば、その事実を知った上で誰が責任をとって飛行機同士の衝突を5秒前まできっちりこなす?
「機長か副機長が、心が折れたTS幼女達を…」
悪いルールを壊したいもう一度生き返ったTS幼女達。
社会から守られた高圧的幼女達が仮に悪いルールを壊したいのだとしたら。
社会から男性と女性が更に沢山減ったとしても、悪いルールを壊したい側になりたいなら…。
「TSしていた奴をもう一度TSさせて、望んだ世界線へと辿り着く。希望…」
待て、これ…。
「きっと結末は、幸せだ…」
テロリストが悪い、思考が悪い、そう捉えていた。
テロリストは悪い奴、法律さえ壊そうとする奴。
だが同じTS幼女を助ける為ならたとえ悪者になったとしても…。
「もう片方の主人公は知ってんのか…?」
誰かの中にあるレバノン料理。
すだち。
互いの墜落後の途中からいなくなったしらさぎの行方。
俺の勝ちだと言っていたもう片方の飛行機に乗る主人公。
「何も知らない他人から見たら、絶対に全員がよく知るテロリストにしか見えない。だけど、これは…」