気がついたら勝手に何かを書いている、俺はそういう人間だ。
メモに追加にと複雑怪奇な小説もどきだが、一応小説なのは確かだ。
完結した後に添削すっかーなんて言って逃げてるけど。
逃げるのは楽だからな、そういう時もある。
「闇金の幼女の人から促されて航空券のチケットを渡され、この世界で初めての飛行機に乗る事になった。見た目が幼女でも普通に30歳以上とかいるのが普通の事であり高圧的イチャイチャ幼女社会での日常なのだが、これはもう慣れるしかないとか思ったり、しっかりと俺は世間に順応するのだ、そして馴染めだなんて自分に言い聞かせていた。この世界での俺は男性や女性より数が多いTS幼女だけれども、そういえばこの世界に来てからというもの何故か性格が前向きになったらしく、自分が嫌われる事にストレスを感じないらしい。…と思っていたけど色々とあり、俺の考えは違ったようだ。闇金の利子に毎日怯えていた日々は辛く、本当にこういう生活を無駄な時間にしたいくらいだった。とても働いて返せる額じゃなくなってしまっていた。高圧的な幼女じゃなさそうだったのに、悪い人からお金を借りたらダメだってのが分かった。辛かったから、多分あの人はTSしていない方の幼女なんだと思う事にした。この世界ではTS幼女というのは当然の教育の中に入っており、精神強者だという生き物の扱いを受けているようだった。高圧的なのも度合いがあって、優しく高圧的に接してくれる幼女の皆とも沢山出会ってきた。あれから数年経ってしまったけれど、漸く俺にもこの世界から運が向いてきたらしく、いつも住んでいた賃貸に来た闇金の幼女は、今までの幼女達とは違う雰囲気があった。抵抗するのを止めろだとか言い訳は聞かないとかは全く言ってこなくて、そのスーツ姿のハイヒールを履いた幼女から航空券を俺は受け取って、大きな額のお金も貰った。時間がないと言われて、騙されたと思って別の場所に逃げたらいいと眉間の皺を揉みながらそのまま背を背けて足早に帰っていったのだ。全然闇金の人に見えなかったけど、不思議とその幼女の言う事を俺は聞く気になっていた。その大きな理由はお金まで貰ったからだと思う。俺はそのまま航空券とお金を奥の部屋へとすだちが時速10キロで転がる様に移動して、フローリングの長方形を踏みしめて向かった。闇金とはもう何度目の対峙だろうかと思っていたし、怖かった。気が強くてそれでいて俺から利子をもらう為に粘着してくる闇金幼女。借りたお金を返せない俺が悪いけど…。何度も閉じた扉を振り向く。もしかしてこの賃貸には貧乏神でもついているのだろうか?もしくは疫病神か?そう部屋で呟く俺は、他者に対して強く出れない性格。俺の更に上をいく怖がりな性格のTS幼女も何処かにいるのかな?ここに来た頃の俺はまだ精神が幼く、小学1年生になったばかりの幼女達から虐められていた過去がある。心が折れる人もいると聞くが、俺は虐められても心が折れなかった。でも、闇金の幼女達のお陰で俺の心はもう既にぽっきりと折れている。だから…飛行機に乗ろうと思う。新しい土地に行きたい。この真水の海を超えて、新しい場所でまた人生をやり直すんだ。あのスーツを着た幼女に最後にお礼を言いたかったけど、空港には見当たらなかった。今更だけどそりゃそうだよねと思う。こんなへなちょこTS幼女、ダメ人間だしな。…本当は幼女が全員TSしてた世界なら良かったのに。それなら俺も幸せに生きていけるよね?やっぱり世の中にTSしていない人間なんていらないよ」
ノートに書いた一区切りであろう感情のままに振るうペン。
それを握ったその小説にはメモや追記が入り混じっていた。
それをしっかりと口を使って声に出していく。
こういうのはいつも口に出していく事が大事だ。
「場面が昔の方に変わっているな…」
恐らくどちらかの飛行機に乗っていた心が折れたTS幼女だろう。
幼女から貰ったお金と航空券を握りしめて飛行機に乗ったんだろうなと安易に想像出来てしまう。
だがおかしな話だ。
真水の海のある世界から、また真水の海がある世界へとTS掌サイズ総受け高圧的幼女イチャイチャ転生を望んでいる主人公がいるんだよな。
そして今と同じ環境である高圧的幼女社会に辿り着きたいとも言っていた。
なら飛行機の中で暮らしていたであろう田舎らしい社会は、一般社会から乖離したものだったというのが妥当。
「そもそも、主人公だと思っていた奴がそうじゃない可能性も出てきたな」
いや、この場合は俺が主人公を見つけられていないんだ。
仮に集団的に飛行機2機の全ての人がTSすると言うのなら、未だ名前が出てきていない奴に対して主人公だというのは無理がある。
一個人の話はこの辺りか。
あるべき世界という言葉が出てきていたが、それはTS後の法律に触れない範囲で悪いルールを壊していきたい世界の事。
そして爆弾耐性の無い、恐らく友達でありマイフェイバリットヒーローだった高圧的TS幼女達とのイチャイチャに混ざりたいという願いも一個人のもの。
このままどんどん一部を削ぎ落としていくと、分かってくる部分がある。
メモと追記をペンで走らせる。
「主人公はまだおらず、飛行機同士の衝突により真水の海に落ちた人達が全員TSする可能性が限りなく高いという事」
主人公不在かつ、TS集団転生。
「そして後は…」
小説に書かれていたメモと追記を昔の分を含めて集める。
闇金の立場なのか不明な、航空券とお金を渡すスーツ姿のハイヒールを履いた幼女。
この子はピトー管に群がっていたしらさぎや、誰かが食べているレバノン料理と同じように情報そのものが少ない。
そして自然と異性の人肌を求めてしまうTS幼女がいる世界。
ペンを止めた。
個人の視点から少しずつ全体の情報を集める作業は、まだ分からないパズルピースだけを集める作業だ。
少しずつでいい。
恐らく分かっている事を小説へと書き足す。
「つまり今は主人公が確定しないまま、テロリストにハイジャックされたかも分からない飛行機同士の衝突により、真水の海に落ちた人達全員が自然と異性の人肌を求めてしまうTS幼女がいる世界へとTSする話になっている」
繋がりが見えてきた。
飛行機の衝突が分かっている事ならば。
そして仮にスーツ幼女の役割は、心が折れているTS幼女だけを航空券とお金を渡して飛行機に乗せているという立場ならば。
もしスーツ姿の幼女がしらさぎの行方やレバノン料理の提供に関わっているのならば。
「真水の海を超えて新しい土地に行きたい…」
個人の話を切り取りそう口にした。
どうも引っ掛かる。
大金を持たせたんだ、近場の空港ではなく遠くの空港に到着させる事はまあ分かる。
遠方の地ではあるほど生活にお金は沢山かからないとは絶対言えないから。
航空券がある時点でそのチケットの支払いも済んでいる、それは分かる。
「どうしてこのTS幼女は闇金にまで借金したんだ…?」
借金をする事でこうなる事を知っていた…いや、ないな。
「新しい…土地…」