「つうか寝つきが微妙なんだよな…」
そう呟き手元のそれを読む。
何日か前のやつだろう。
正直な所カレンダーの意味が薄いと思い始めている。
毎月給料が口座に振り込まれる訳でもあるまいし、なんだかなあ。
小説にとって無関係であろう走り書きの内容も増えてきた。
腕時計は…どうだろうね。
飛行機同士の衝突5秒前。
眠気を抱えていた主人公は既に転生していた事を忘れていたが、突如記憶が戻りあるべき世界に辿り着きたいんだと思い出した主人公。
その世界とは真水の海がある世界であり、法律に触れない範囲で悪いルールを壊していきたい場所。
そして爆弾耐性の無い、恐らく友達でありマイフェイバリットヒーローだった高圧的TS幼女達とのイチャイチャに混ざりたい場所でもある。
そこは社会常識となっている高圧的幼女社会の世界。
そこに溶け込みたい主人公はTS掌サイズ総受け高圧的幼女イチャイチャ転生を望んでいる。
主人公の性格は恐らく法律も自分の手で勝手に無くしていきたいと思っている頭がおかしいテロリスト思考。
真水の海でフライトレコーダーとボイスレコーダーとすだちと冶金学者の人達と一緒にいる。
ノートを広げていた新たなメモや追記に目を通しながら、カレンダーに目をやり、最後に自分の睡眠について考える。
疲労と睡眠は本来繋がりがあるはずだが、俺は疲労が無い体だ。
食事を摂らなくても生きているし、水中で呼吸しなくていいのもある。
恐らくまだまだ知らない事もあるだろう。
だからといって色々試す気にはならないけど。
まあそれはそうと、俺がカレンダーを手に入れてから随分と月日が経った。
そこで偶々メニューから所持アイテムを見てみたところ、俺の手持ちの中に不思議な事が起きていた。
この世界であるメタバースの仕様なのか知らないが、最初に出現した飛行機1機とこの視界一杯に広がる真水をしまえる様になっているみたいだった。
つまり時間差はあったが、この世界にあるもの全てが勝手に俺がこのメタバースで手に入れた扱いになってしまっているようなので、もう今後は真水の海だろうとメニューの所持アイテムからボタンを押すだけで出し入れを出来る存在に俺がなっているのだ。
気分はまるでこのメタバースの世界の王みたいなみたいな感じである。
まあ王以外誰もいないんだけども。
「すだちを一旦全部しまっておくかと思っただけなんだけどなあ…」
偶然とは驚きに満ちてしまったようだ。
そうした事があり、今はもう所持アイテムの中に飛行機2機と真水とか大量のすだちを仕舞い込んで、最初にここに来た時の光景と同じで白い地面があるだけの所で寝てたり小説を書いている。
書いているこの小説の主人公の気持ちや状況をこのメタバースに重ねて似せてと思った時期もあったけど、主人公がテロリストっぽいからそれは中止、はい終わり。
なんかさあ、テロリストって俺の中でイメージが悪いのよ。
現実と小説に出てくるテロリストを一緒にするなって言うならそうだけど、小説の主人公だぜ?
法律無視だぜ壊すんだぜーって俺の小説の主人公がやってたらもう無理矢理性格豹変させるわ。
あ、そっか。
性格豹変させればいいんじゃん。
良いアイデアだ、メモしておこう。
性格コロコロ変わりますよな主人公だったらテロリストみたいな一面があってもまあ多少は受け入れ…、うーん…。
まあ受け入れよう。
「どれどれ…」
手鏡1つ。
腕時計1つ。
カレンダー1つ。
ノート1冊。
ペン1つ。
飛行機2機。
真水。
すだち。
今のメニューから分かる所持アイテムはこんな所だ。
ここに来てから数ヶ月は経っているが、やはりというべきか、気持ちも数ヶ月の分だけ少しずつ変化している。
これを見て、だからというべきか。
そろそろ寝る場所をどうしようという事をペンでノートに勝手に昔の俺が書いていた。
気になったら書くという行為をやってるからまあこういう事は普通にある。
まー、あれだな…。
メタバースってそういやクリエイターがどうたらあるよね。
確か住民としてクリエイター同士様々な事を交流しましょう的なやつ。
ジャンルがどうのこうのあったと思うけど最早全く覚えていない。
ぶっちゃけ小説が書ければ他はどうでもいいと思っていたのはある。
数ヶ月いても現にそうなってるし。
ではタイミング的にはどうだろう。
そこまで気にしてはいなかったが、漸く飛行機の羽の上での生活から解放されて何だか気分が良い…、いいのか?
寝ている間にすだちだらけの真水の海に寝相の悪さで落ちていかないか…なんて心配も少しはあったしな。
そういう今なら分かる。
今の俺の思考はどうせならこの寝方についての思案を自分が書いてる小説に落とし込みたい所だなあと考えていた。
主人公の性格の件は一旦置いておいて、俺のこのメタバースでの最終目標は1つだけでもいいから小説を完成させる事。
もういい加減低評価を押されるのが嫌だから、このメタバースではそんな事起きないけど、とにかく俺の書いている小説全ては自分だけ見る専用にしておこうと思う。
一人で書いて一人だけで読む。
もしかしたらこういうやり方をしながら小説を書いていればあっという間に小説が1つ完成するかもしれない。
他人がいたら小説を書くタイミングを気にするようになるだろうから、俺はこのままこのメタバースで1人のままでいいのは絶対問題ない。
そもそもメタバースをやりたかった理由が、どの程度自分の小説を書く過ごし方と合っているかの興味からだった。
このメタバースも小説を書く事以外どうでもいい事ばっかりだけど、もっと時間が経って何年後とかになれば何か考えが変わるかな?
なんか時間経過でここにあるもの全てが勝手に自分の所持アイテムになる事に違和感はあるけど、だから何って話だな…。
「…はぁ。主人公の性格かあ…。苦手なんだよなあ、そういうの…」
人って心変わりするから小説の主人公も心変わりするんじゃ?
なんて…あー、あー。
「書くのは俺だっつうの…」
もういい、寝よ。
ペンをノートの近くに置いて、白い地面を寝転がる。
ノートは頭の下に移動させておいた。
知ってるか?
ノートを頭の下に置いて寝ると面白い夢見られ…。
「夢、メタバースに来てから見れてないな…」
夢から着想を得る小説だってあるのに、メタバースは酷い事するね。
ほんとそういう所、よくないよ。
俺の体のせいなのかメタバースのせいなのか知らんけどね。
とりあえずメタバースのせいにしとくよ。