東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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なんか怖くなってきました……。ええい、ままよ!


始まり、歩み
序章『幻想郷に一名様、ご案内』


 

 

 

 

幻想。空想の類義語で、存在しないもの。

今の世界というのは、とてつもなく住みやすい世の中だ。科学によって保障された、法によって保障された、安全で住みよい世の中――――――昔とは比べるべくもない。

ドラゴンやらヴァンパイア、天狗やら鬼やら。そんな危険な存在など、ひとかけらも存在しない。

素晴らしく―――――――とても、残酷な世界だ。

 

しかしはて、どうだろう?

ドラゴンやらヴァンパイア、天狗や鬼――――――そんな『幻想』が、この素晴らしい世界の裏にひっそり、隠れ住んでいる。そんな場所が、あるのではないだろうか?

子供達が憧れるような、そんな夢のような存在が、この世でさえもなお、ひっそり生きながらえているのではないだろうか?

無論、途方もない話なのは理解している。下らないと跳ね除けられるのであれば、むしろ羨ましいと言ってもいい。それは、とても素晴らしい事だとも思えるからだ。現実が満ちているからこそ、現実に疑問が無いからこそ、そう言えるのだから。

しかし、どうだろうか?そんな世界が見たいと、羨ましいという人が、いるかもしれない。

そんな現実を受け入れられない愚者にこそ。幻想達の楽園――――――――――『幻想郷』は相応しい。

これは、俺―――――『高橋 凜』と、幻想郷が作る物語。

さぁ――――――――マボロシを渇望する愚者よ。

「幻想郷の守護者が、まとめて皆さん、幻想郷にご招待致しましょう―――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ、はぁー……………かったりぃなぁ――――――」

 

俺は朝っぱらからギラギラとテンションの高い太陽を、鬱陶しげに曇った目で睨みつける。

まぁ、何の理由もないのだが、一応は自己紹介しておこう。なに、タダの現実逃避である。

俺の名前は高橋 凜。趣味はサブカルチャー。ぬるオタだけど。

まぁ、なんともテンプレ的自己紹介で申し訳ないのだが、そこまで突出したとこも無い、ただの男子高校生をやっている。一応バスケットボール部の部員でもあるが、それだって特徴と言える特徴ではないだろう。

まぁ―――――――強いて言うなら、昔『アレ』を持っていた事くらいだ。まぁ『アレ』にしたって、もう『使えない』のだから、今の特徴にはなり得ないか。

まぁ、昔俺は『特別だった』――――――――それだけである。

まぁ、こんな風に現実逃避をした所で、学校には向かわなければいけないのだ。それくらい分かっているので、もう学校への道を歩いている。

 

「…………………あれ?」

 

通学路も中ほど来たところだった。

突如踏み出した足の先が、真っ黒な空間になっていたのだ。

その黒い空間は大きく広がり、終いには足元全てを覆い尽くしてしまった。

なにかの落とし穴にでもかかったような、浮遊感とともに、その空間の中に落ちていってしまう。

 

「はいぃぃぃぃ!?」

 

黒い空間の景色が終わると、周囲は一変し、青空へと変化してしまった。下を見てみると、建物が物凄く小さく見える。

つまり俺は、空に投げ出されていた。ちょ、超展開過ぎてついてけないんだけど!?

どういう事だ説明しろ苗○!………ふぅ。少しふざけたら落ち着いたわー………ってバカ!落ち着いてる場合じゃないよ!

 

「『アレ』は使えなくなってるから、頼れないし……こ、このままじゃ死ぬ!?」

 

俺はちょっと特殊だったただの高校生(笑)なのに、なぜこんな目にあってるんだ!?いやマジで頼むよ、流石に死にたくないよ?半生とか言ったりするけど、年数的に長い人生の半分も過ごしてないよ?

あぁ、死ぬのかぁ、俺………~( ~´・ω・`)と、半ば諦めて地面に自由落下する。

 

「……………って、あれ?」

 

何故か落ちなかった。いや、落ちてはいたのだが想像された衝撃がない。

なんというか、ぽよよんとした、トランポリンに落ちたかのようだった。不思議に思い、下を見てみると、通学路でも見た黒い空間が下に現れていて、クッション替わりとなっているのが見えた。

黒い空間の中に映る不気味な目の玉を見つめると、黒い空間は閉じ、消えていった。シャイなのかな…………愛いやつめ。いや、別に愛してないけど。でもでも、古い言葉って妙に使いたくなる時あるよね。

 

「うーん、なんだか作為的なものを感じるなぁ………」

 

さっきの黒い空間もそうだけど、通学路を歩いていて上空に放り出されるなぞ、まともな出来事ではないしね……。まず、見た景色がそもそも違うし、ここは異世界とやらだろう、多分。うーん、異世界か………なんとも空々しい響きだねぇ………。まぁ、別に非科学的だからって頭ごなしに否定するほど、現実主義者ではないけれど。『アレ』の事もあるし、非現実に軽い耐性はある。

 

「ええと……何処だろうか、ここ」

 

着陸のショックで、周りを見る余裕もなかったが。良く周りを見てみると、神社があった。

というか、ここは神社の境内なのだろう。まぁ、ならまずは神社を訪ねて見よう。というか、それしかない。ここの地理がわからないのだから。

 

「人、いるかな?」

 

賽銭箱の前に行くと、襖があった。ふぅむ、どうやら居住スペースみたいだね。普通の神社なら、厄払いとかする場所だと思うんだけど、何も無いし。取り敢えず、襖の奥に向けて声を張ってみる事にした。

 

「すいませーん、誰かいらっしゃいませんかー?」

「誰?」

 

大きく声を出すと、紅と白の、脇があいた奇抜なファッションの巫女さんが、襖を開けて姿を見せた。年は、中学生位だろうか。赤を基調に、白いラインとレースのリボンが特徴的だ。あれ、どっかで見たような……。

綺麗な子だから、どっかですれ違ったとかかな………?まあ、他人だし、敬語を使って話を聞くべきか。

 

「えーと、いきなり上空に落とされて困ってるんですよ。少し、話を聞いても宜しいですか?」

「ええ、構わないけど……?」

 

巫女さんが怪訝そうに見てくる。うん、やっぱり綺麗な子だけど。どこで見たんだろうなぁ……………まるで人形のよう――――というか、二次元にいてもおかしくないくらいの美少女だけど―――――ん?

あれれ?この子、もしかして――――――博麗霊夢じゃないか?

世界的な支持を得て愛される、弾幕シューティング作品群『東方project』の主人公。

目の前の女の子は、酷くそれに酷似していた。わぁなるほど、ここは東方projectの舞台、幻想郷かぁ………っておかしいだろ!なんで二次元の世界にいんだよ!?

心の中はグッチャグチャだったが、少し不審がられているのに、これ以上不審がられるのは望ましくない。

なるべく平常を装って、彼女に問いかける。

 

「僕は高橋 凜。○×高校の二年生です。あなたの名前は?」

「博麗霊夢よ。霊夢と呼びなさい、あと敬語もいらないわ」

 

お、そうか。敬語は堅苦しいから苦手だ。だから、敬語を使わなくて良いってのはいい事だ。しかし、いきなり名前で呼ばせるって………なかなかフランクな子だな………。

 

「そ………分かった。なら遠慮なく。ここはどこなんだ?あと、俺がここいる理由の心当たりはある?」

「ここは幻想郷よ。妖怪と人間の共存の地。多分あなたは、ここに迷い込んだのよ」

「あー……………そう」

 

どうやら、ここが東方projectの舞台、幻想郷である事は確からしい。しかし、迷い込む、という表現が気になるな。

 

「迷い込むって?」

「時々あるのよ。そういう事がね。私なら、結界を解いて貴方を返すことも出来るわ。帰る?」

 

結界を解く、か。確か、幻想郷は外の世界とは隔たれているんだったか。それで帰られるなら是非はないが、俺は知ってる。東方projectは創作、存在しない世界の筈。つまり、俺の居た世界と繋がっている訳が無い。結界を解いた所で、無意味のはず。また違う世界に放り出されるだけだろう。

はぁ…………なんでこんな事になるかね……。まだ見たいアニメとかゲーム、残ってたんだけどなぁ。まぁ、取り敢えず、一応試してみるか………………『アレ』

ま、さんざ引っ張ったしな。発動しないにしろ、1通りの説明はさせてもらうけど。

 

「…………そうだな、んじゃ、1つ試してからにしていいか?」

「試す?」

「ちょっとな」

 

俺は集中し、使えなくなっていた『アレ』………………能力を使用しようとする。

――――――――――――理想を現実に変える能力。

それが、俺の能力の名前だ。

現実の、あらゆる物事を全て、俺の思うがままに改変することが出来る力。

硬度の理想を操れば、豆腐はダイヤモンド並の硬度を持ち。

温度の理想を操れば、マグマはゆたんぽ程にぬるまり。

切れ味の理想を操れば、ナマクラはひとたび、名匠が作り上げる名刀へと変わる。

無論、逆もしかり――――――正直、ナンデモアリと言って差し支えない。

今回は、腕力をプロボクサー並に上げることを理想にし、能力を使う。

正直、あまり好きな力ではない。発動しないならしないで、それで良かったが―――――――。

期待に反し、俺の腕力は急上昇していた。右ストレートを繰り出すと、甲高い風切り音がなる。

 

「………………能力が使えるようになってる……」

「外にも、能力のある人間なんていたのね……少し驚いたわ」

 

俺の能力は、前述の通り使えなくなっていた。10歳頃だっただろうか。いきなり使えなくなったのだ。

しかし、あまり高頻度で使ってた訳では無いので、明確な時期は分からないが。

しかし、こっちに来てからまた、何故か使える様になっていた。いきなり空中に放り出されたことと言い、二次元の世界と言い―――――――能力が使えるといい。訳が分からないが――――――まぁ、元の世界に戻れる目処が立つまでは、この世界にお世話になるか。能力が使えるなら、ここて暮らすことくらい訳ないだろう。繰り返しになるが、俺の能力はナンデモアリのクソチートスキルだ。

幻想郷さ、妖怪だとかが跋扈する、魑魅魍魎の世界らしいけど―――――――まぁ、いけるよね。

 

「ま、霊夢、ちょっとした休暇だと思って、滞在することにするよ」

「そう?じゃあ、住む家とかはどうするのよ?」

 

あー………考えてなかった。誰か、良く分からない男も泊めてくれる、そんな優しくて素敵な女の子は居ないかなー………壁|ω・`)チラッ

 

「な、何よ……その目は……まさか、ここに住まわせて欲しいとか言わないわよね?」

 

言うんだなぁ、それが………。しかし、確かに年頃の女の子に泊めろって言うのも、無理な相談ではあるよな…………。うーん。持ってるものは………携帯、教科書、ノート、財布………財布か。

 

「金ならあるよ?」

 

あまり多くは持ち歩いていないけど、まぁざっと100万くらい。

男子高校生の財布の中身ではないと思うが、別にバイト掛け持ちで稼いだなんて涙の出る話ではなく、これも能力によるものだ。

理想的な財布の中身――――――――100万くらいあるのが理想だとして能力を使えば、それだけで俺の能力はそれを叶えてくれる。もちろん、もっと巨大な額でさえも―――――――。

言い忘れていた。俺の能力は、基本的に上限はない。どんな事でも、どんなスケールでも。俺は操ることが出来る。もちろん、空をも自由に飛べちゃうだろう。ドラえもんいらずだ。そーらを自由にっ、とーびたーいなー。はい、好きに飛べー。

 

「住んでいいわ(¥▽¥)」

「うわー、目が¥の人リアルで初めて見たよ……」

 

 

まぁ取り敢えず、住める場所は決まったみたいだけど………大丈夫かなぁ………?うまくやってけんのか。

俺早まったんじゃ………。それは無いと信じたい、うん。でもうだうだ悩んでても、現状が変わるわけじゃないんだしねぇ。

果たして俺は、どうなるのやら。まぁ、このスキルがある以上、ホントの意味で不安になる点はないんだろうけどね。

 

 

 

 

 

 




(゚ロ゚;))((;゚ロ゚)ドキドキ
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