東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

11 / 65
10話『東方妖々夢~the perfect cherry blossom』

「ん、んぅぅぅっ!はあっ朝か……」

 

あれから数ヶ月の時が経ち、春になった……暦の上では。

だが、実際には雪が降り注ぎ、春という様相ではなかった。

何分幻想郷で春を過ごすのは初めてなので霊夢に聞いてみたところ、「春が遅いだけでしょ」とだけ言って何でもなさそうに答えた。いやぁ、流石にこんなに遅いってこたあないと思うけどねぇ。

 

「まあ、なんとなくの予想はついてるけど………」

 

ひとまず外着に着替えて、部屋を出ようとしたその時。急激な浮遊感を感じ取った。

 

「うわ。あー、ゆかりんが転移カード使ったみたいだね。移動する気がするよ」ヒュン

「凜ー、起きてる……って、いない!?どこ行ったのよー!?」

 

「よっと。さて、ゆかりんが居るはずだけど……」ヒュン

「ここよ、凜」

「やあ、『管理人』」

「久しぶりね、『守護者』」

 

この掛け合いは、合言葉みたいなものだ。他人に化けられる能力の奴もいるしね。二ッ岩マミゾウとか。まだ居ないけどさ。

 

「それで?何の用だよ、ゆかりん。まあ、何となく分かってるけどさ?」

「多分想像通りよ。今、幻想郷で起きている異変は幽々子が起こしたものよ。だから、あなたにお呼びがかかったわけ」

「あ、やっぱりあれ、異変だったんだね。霊夢は春が遅いだけとか言ってたけど、んな訳ないよねえ。まあ、流石にそろそろ行くとは思うけど」

「だからよ。本日、博麗霊夢、霧雨魔理沙、十六夜咲夜の人間3名は、この異変を解決しにくる。あなたには、その迎撃をしてもらうわ」

「ふうん?で、そのゆゆちゃんはどこに居るのさ」

「もうすぐ来るわよ。さっきまで居たけど、お花摘みに行ったわ」

「トイレか。じゃーちょっと待つかな」

 

……………………青年・BBA(ピチューン待機中……………………

 

「お待たせ~、紫。あ、凜ー、久しぶりね~」

「久しぶり、ゆゆちゃん。元気してた?」

「まあねぇ。亡霊だし」

「で?今日俺は、何をすればいいんだよ?まさか、序盤からあてたりしないよな」

 

お前の様な一面ボスがいるかって言われちまうぜ。

 

「そんなことしないわよ~、流石に私も3人もいたら負けちゃうじゃない?だから、私の方も人数増やしとこうと思って」

「つまり、ゆゆちゃんの護衛って事でFA?」

「そうなるわね。宜しくね」

「おっけー。じゃ、咲夜達が来るまで暇だよね?まだ朝ごはん食べてないんだよね。何か用意してよ」

「そのつもりよ。今、妖夢がご飯作ってるから、待っててね」

 

魂魄妖夢、か。何気に会うのは初めてになるのかな。

 

「よし、ちょっと挨拶しに行くか!良いよね、ゆゆちゃん」

「もちろん♪妖夢は可愛いから、きっと気に入るわよ♪」

「あは、精々気に入ってくるかな」

 

「こんにちは」

「あなたが幽々子様の言っていた人ですか?」

「おいおい、挨拶を質問で返すものじゃないぜ」

「………こんにちわ」

 

若干イラついたのか、表情が歪む魂魄。

 

「ああ、こんにちわ。所で、俺は高橋 凜だ。君の名前は?」

「魂魄妖夢です。今日は西行妖を咲かせるお手伝いをしてくれる様で、ありがとうございます」

「ああ、そう言えばゆゆちゃんが何をしたいかは聞いてなかったな。それがゆゆちゃんのやりたい事?」

「そうですね。あの桜の木を咲かせる事が、幽々子様の目的です」

「へえ?何でそんなことやりたいのさ」

「興味本位、でしょうね。咲かせてみたいんですよ、きっと」

「なるほど?あの桜が咲くと、どうなるのさ」

「桜が咲いて、封印が解けて、何者かが復活するらしいですね。家の書物に書いてあったみたいで」

「ふうん。その何者かとは?」

「それは分かりません。幽々子様に聞いて下さい」

「おっけー、今日は1日よろしくね」

「はい」

 

むう、なかなか弄る方法が見当たらないなぁ。東方屈指のいじられキャラのはずなんだけど。

 

「まあ、別に良いんだけど、さ」

 

しばらく居間で待っていると、

 

「朝食が出来ました、お召し上がりください」コトッ

「え、ちょ、ゆゆちゃん、そんなに食うの?」

 

ゆゆちゃんの前に、テーブル狭しと並べられた皿。流石に食い過ぎじゃね?

 

「そう?これ位普通よ?」

「いやいや、普通じゃないでしょ。それの四分の一くらいでいいよ、普通」

「いえ……幽々子様は、これよりもっと食べられます。少なくとも、倍は……」

4人前の倍……は、8人前……。

 

「ゆゆちゃん……そんなにフードファイターだったのか……」

「いただきまーす!」

「……いただきます」

「はあ、いただきます」

 

まずは、朝飯の定番、鮭の切り身から。うん、普通に美味い。やっぱり朝はこれだね。これとご飯が山ほど有ったら、何もいらない。そのまま他の料理にも手を出してみる。全部美味い。

 

「うむ、全て美味い」

「ありがとうございます」

「妖夢は料理上手だからね~。凜、欲しい?」モキュモキュ

「何を言ってるんですか……」

「うーん、料理は俺も出来るしな。ていうか、一人で何でも出来るからねぇ。もしかしたら、俺、超優良物件じゃね?ゆゆちゃん、買う?」

「あら、売ってくれるの~?買っちゃおうかしら♪」

「あは、冗談だよ。俺を買える人は、俺を好きになってくれて、俺が好きになる人だけだよ」

「へえ~?意外と誠実なのね?こういっちゃなんだけど、もっと軽い子だと思ってたわ~」

「あっは、間違ってはないよね。初対面でゆゆちゃんにキスしたりね~」ニヤニヤ

「ぅえっ!そんな事したんですかっ!?」

「あっは、ゆゆちゃんもまんざらでもなかったよね~?むしろ…」

「わー!わー!し、知らない!私そんな事されてないっ!事実無根よぉ!」

「あは、再現してみようかぁ?」

 

《ふぇ?は、速っ!》

「どうした?こうやって強引にされたかったんだろ?」

《そ、そうだけど……いきなりすぎるっていうか……》

「ワガママな奴だなぁ。ま、そんな所も、もちろん好きなんだけど?」

《え、えと、演技……よね?》

「そんな事はどうでもいいんだよ。俺に身を任せれば、お前はもっと気持ちよくなれるぜ?さあ、目を閉じろ……」

《ちょ、冗談よね?私、あんまりそーゆーのはしたこと無い……》

《………んぅ……ちゅっ》

《………(〃ω〃)ポ-》

「ちょ!ホントにやめてぇぇぇ!」

「ポ-----」

「あはっ!二人とも可愛いなぁ!魂魄は初々しいし、ゆゆちゃんは真っ赤だし!あはははは!」

「わ、笑うなぁーーーー!」

「ゆゆちゃん、崩れてる崩れてる、キャラが崩れてるよぉ?ゆゆちゃん、おちちゅきまひょうねーw」

「うきゃーーーーー!何よそのくちょーーーー!」

「だから、崩れてるって。どうどう、落ち着け。怒るゆゆちゃんももちろん可愛いけど、笑うゆゆちゃんの方が可愛いんだからさ」

「…………」

「お、静かになったか?」

「………………ボンッ!」

「うわっ!大丈夫っ!?」

「……………きゅう」

「おーい、おーい」

 

起きない。

 

「まさか、手伝う気が、異変を解決してしまったのか……!」

 

くっ……俺、一面も二面も三面も四面も飛ばして、五面と六面だけ攻略してしまったのか……!やべ、俺、凄すぎ……?このままEXとPhantasmまで攻略するか…………?

 

「って、一人でふざけても虚しいだけだな」

「ゆゆちゃーん、起きなー。起きないと、おっぱい揉んじゃうぞー」

「…………………」

「……………………」モニュ

 

「何してるのっ!」

「あ、ゆかりん。居たんだ」

「居なかったわよっ!何となく様子見に来たら、あんた一体何してるのよっ!」

「おっぱいをもみもみしている」キリッ

「そう言うことじゃないわよっ!」

「ハリのある弾力と、手を包み込む柔らかさが、ちょうどいいくらいに合わさっている、良い揉み心地でした」

「揉み心地なんか聞いてないっ!」

「え、ゆかりんも揉んで欲しいとか?いやー、ゴチになります!」

「揉ませるかぁっ!」

「えい」モニュ

「ホントに揉んだ!?離しなさいっ!」

「なんだよ、意図が分からないなぁ。俺の何がいけないんだよ!」

「逆ギレ!?あなたの全てよ!」

「え、俺今存在否定されてる?」

 

というか、どうしてこうなった。

キレるゆかりん、意識を失ったゆゆちゃん、呆然としている魂魄。次々とボケる俺。

 

「カオスだなー…………うん、カオスだなー………」

 

…………………………青年経緯説明中…………………………

 

ゆかりんに説明し、ゆゆちゃんを能力で起こし、魂魄を復活させ、俺もボケるのをやめて、あのカオスな惨状を持ち直した。

 

「という事なんだよ。わかった?」

「ええ……よーく分かったわよ?結局の所あなたが悪いって事がね………!」

「おちけつおちけつ。幻想郷の賢者は、どんな事が有っても飄々としていて、常に心の内を見せない。そんな奴だと俺は思ってたけど?」

「うぐっ。そう……その筈なんだけど、あなたと居るとペースが乱れるというか、何と言うか……」

「なるほど……その原因を教えてやろうか?」

「………何かあるの?」

「それは…………」

「それは…………?」

「恋だな」

「……………」

 

「は?」

「つまり、ゆかりんは俺に惚れてしまったということだ。俺だけがペースを乱される。つまり、俺だけが特別。特別といえば好きな人。ここから導き出される答えは」

 

「ゆかりんが俺に惚れたという事だ!」

「…………はあ……。あなたに期待した私がバカだったわ」

「え、そうなの?わー、わー、幻想郷の賢者はバカだった!号外だー!射命丸に伝えなきゃー!」

「(#^ω^)」

 

あ、ガチ怒りだ。ていうか、またしてもカオスになりそうだ。真面目に行こう、真面目に。

 

「さて、そろそろふざけるのをやめよう。とりあえず、どっか部屋を用意してくれない?」

 

どこでもいいけど、居心地が良いところがいいなぁ。

 

「あー、二人ともごめんね。ちょっと僕は止める人がいないと際限なくふざける傾向にあるようだ。この通り」ドゲザァ

 

地べたに頭をつけて誠意を示す。

日本古来から伝わる、ジャパニーズドゲザァ!最近ではこの動作は謝ってる訳では無いことが分かったんだけどね。

 

「ちょ、ちょっと。いきなり態度豹変させないでよ、びっくりするから。頭あげてよね」

「ゆかりんがそう言ってくれるのは嬉しいけど、ゆゆちゃんにも許してもらわなきゃ、上げられないよ」

「わ、私も、気にしてないわよ?そう、そうよ。年下のおふざけに気を悪くするほど、子供ではないつもりよ」

「……………」

 

頭を上げて、

 

「ありがとう、二人とも」ニコッ

「「…………うっ」」

 

どうやら許してくれた様で何より。二人とも手で顔押さえてるけど、どうしたのかな?

 

「二人とも、どうかした?揃って顔押さえてるけど。何か吐きそう?吐くならトイレで吐いてね」

「そ、そうじゃない。そうじゃないわよ?ただ、ギャップというか……」

「ギャップ?なんのさ?」

 

あいにく検討がつかない。俺はいつもどおりだし、ギャップなんてないよな?

 

「そ、それ以上聞かないで。そ、そうだ、部屋に案内するわね、そうしましょう」

「ん、二人がそう言うならいいけど。なんか釈然としないなぁ」

 

結局、何と何のギャップだったんだろ。まあいっか。

 

………………………青年少女移動中…………………………

 

「ほら、ここよ」

「おーありがとう。じゃ、しばらく俺はここに居るから、霊夢たちが来たら呼んでちょ」

「え、一人で何するの?」

「いやー、今月は新しい本とかゲームとかかなり出たんだよねぇ。それをやりつつ、暇を潰す事にするよ」

 

忘れてた人も居るかもしれんが、ゆかりんとの約束その4、外の本とかゲームを買ってきてもらう。によって、割と幻想郷でもハイカラな遊びが出来ている。

 

「本は分かるけど………げーむ、って何?」

「お、興味ある?布教しようかな」

「ゆかりんに頼んで、持ってきて貰った外の世界のものだよ。これは外の世界の文学書で、これは、うーん、何と言うか、動く絵を射影する媒体かな」

「へえ、外の世界の文学……。少し読んでみていい?」

「別に良いよ。シリーズ物を見た方がいいだろうし、脳○メとか楽に読めて良いんじゃないかな。今の所の全巻置いておくから、続きが読みたかったら読んでね」

 

俺も本を読もうかな。久しぶりにバカ○ス読もーっと。

 

……………………青年少女読書中…………………………

 

ん………随分と長い時間読んでたな………。あれから四時間ぐらい経ってる。そういやゆゆちゃん最初から一言も喋ってなかったけど、もしかして帰った?

 

「あれ?ゆゆちゃんがいない……いや、それは分かるけど、脳○メまでないのはおかしい」

 

トイレかな?

読書を中断し、ゆゆちゃんを探しに行く。と言っても、居間しか探すところは無いんだけど…………。

 

「あ、いたいた。やっぱりゆゆちゃんが持ってた」

 

何で居間で読んでいるのかは分かんないけど、そろそろ昼時だし、止めておこうかな?

 

「おーい、ゆゆちゃん。何でそこで読んでんの?」

「…………………」

「あれ、俺無視される程嫌われてたっけ?いやいや、んな事はないはず…」

「おーい。おーい。ゆゆちゃーん、返事をしてくれー」

 

返事がない。ただのしかばねのようだ。どうしようかな。よし、今読んでるのは4巻だな。もうちょいで終わるっぽいし、5巻を回収しておけば気づくかな。

よし、部屋に戻ろう。

 

「あれ、次の巻がない………凜に聞いてみましょうか」

「凜ー、このシリーズの5巻、知らない?」

「んー、これ?」

 

5巻を持ちながら言う。

 

「うん、それ。ありがとう」

「で、どう?面白い?脳○メ。俺としてはかなり好きなんだけど」

「面白いわー。幻想郷には全くない様な事ばかりだし、設定も画期的。キャラクターも可愛いし♪」

「あは、そうだろ?なんというか、夢があるんだよ、ラノベには。こんな感じの日々を過ごしてみたい。そんなことを思うんだよね」

「じゃ、私行くわね?あー、つぎが気になるわね~♪」

 

どうやら気に入ってくれたようだ。オタク友達って俺いないんだよね………。

 

「さて、メシができるまで俺も本読んどこ」

 

………………………青年少女読書中…………………………

 

「凜さん、昼ごはん、出来ましたよ」

「お、そう?ちょっと待ってね、すぐ片付けるから」

 

出していた本を片付け、バッグに収納する。さて、居間に行くか。

居間に入ると、ご飯が目の前にある故か、何となくうずうずした様子のゆゆちゃんと、料理を運んでいる魂魄の姿がそこにあった。

 

「あ、来たきた!妖夢、凜が来たから食べていいわよね?」

 

どうやら俺が来るまでお預けをくらったらしい。

 

「はい、構いませんよ」

「やった♪いただきまーす」モキュモキュ

「いただきます」

「いただきます」

 

朝飯と同じように、不味いものはなく、全て美味かった。

 

「む、このドレッシング美味いな。でも、幻想郷にこんな味のドレッシングあったっけ?」

 

俺もここに来てから半年以上経つ。故に、食材には通じている筈なんだが…………。

 

「あ、それはですね、私が作りました。口に合いました様で何よりです」

「へー。パクっ。うん、美味い。少し分けて欲しいくらいだねー」

「そんなに作るのは難しくないですよ。お教えしましょうか?」

「うん、頼もうかな。ま、メシ食ってからだけどね」モキュモキュ

 

……………………青年・少女たち食事中……………………

 

「ふいー、ご馳走さん」

 

結構食ったな………。俺はそんなに食わないんだが。量を食べていると、魂魄が嬉しそうな顔するもんだから、つい食い過ぎてしまった。料理も美味かったし、そんなに辛くはなかったけど。

 

「お粗末さまでした。食器はお下げしますので、ゆっくりしてください(意訳:ゆっくりしていってね!)」

「ん、皿洗い位はやるよ」

「いえ、幽々子様の客人に、そんなことはさせられません」

「俺はゆゆちゃんの客人である前に、男だ。お前はここの庭師である前に、女だ。女は、黙って男に優しくされれば良いんだー、よっ」コツッ

 

魂魄の返事を待たずに、皿を全て下げ、食器洗いを始める。少し待っていると、魂魄もやってきて、食器洗いを始めた。

 

「…………ありがとうございます」ボソッ

「ん、何か言った?」

「ふふ、私は言ったので、二度とは言いません」

「えー、んな事言われても。」

 

皿を洗い続ける。能力でやっても良いけど、頼りすぎはダメだからね。なんでも出来るからこそ、そこはわきまえないと。

 

「よし、終わり。というか、博麗神社はあんなに寒かったのに、何でここはあったかいんだ?」

「幻想郷の春を、ここに集めているからですよ。春が奪われているから、ここ以外の所は寒いんですよ」

「なーる。だから、霊夢たちが解決に来るわけだ。大変だねぇ」

「幽々子様の望みを叶えるため、わたし達はそれを全力で阻止する。頑張りましょう」

「ふふ、俺が協力したとしても、異変は解決されるよ。そういう運命だから、ね」

「凜さんは、異変を阻止しに来る人達と知り合いと聞きました。彼女たちは、強いのですか?」

「そうだね、強い。スペルカードルールに則って戦わなければいけない以上、かなり厳しいんじゃないかな」

「………随分と、彼女たちの事を買っているんですね」

「実際、強いもん。魔理沙はそうでもないけど。咲夜と霊夢。あのふたりは、ね」

 

2人ともチート的な能力もちだしね。

 

「厳しい戦いになる、と?」

「まあね。ま、先のことを気にしても仕方が無い。それまではゆっくりする事にするよ」

「はあ……あ、これ、ドレッシングのレシピです。良かったら、家ででも作ってください」

「おー、サンクス。じゃ、俺部屋に居るからね」

「はい」

 

俺は自分の部屋に向かった。

 

「さて、私は巡回にでも向かうかな」

 

妖夢は、白玉楼を出た。

 

side.reimu

場所は変わって、博麗神社。

 

「あー、もう!どこに行ったのよー!」

 

前にもこんなことあった気がするわね……。

 

「でも、まあ心配は要らないでしょう。あの凜だし」

 

よりにもよって今日か、とは思うけど。

今日は、今まで楽観視していたこの異変を解決しに行くことになっている。私としてはだらけたかったけど、流石に度が過ぎる。解決しに行かなくてはならない。

 

「とりあえず、昼ごはん、食べましょう」

 

昼ごはんを作るため、キッチンに向かった。

 

………………………少女ぼっち飯中…………………………

 

「ごちそうさまでした」

 

料理を作り、それを食べ終わった頃。

 

「おーい、霊夢ー。今日は異変解決しに行くんだろー?早く準備しろよー」

「えー、ご飯を食べて、少しだらけたいこの時に来るなんて、タイミング悪いなぁ」

 

防寒着を着込み、魔理沙の下へと向かう。

 

「お待たせ」

「おう、待ったぜ。というか、今日は凜の奴は居ないのか?こういう時真っ先に来るような奴だと思ってたんだけど」

「朝から居ないわ。まあ、凜の事だし、心配は皆無だけど」

「まあな。あいつに勝てるやつなんて、居ないだろうし……はっ!今回の異変、あいつが犯人なんじゃ!?」

「流石に凜が理由もなくそんなことやるとは思えないけど……でも、やれるからこそ疑わしいのよねぇ……」

「まあ、調査する前からそんなこと言ってても始まらないわな。よし、調査に行こうぜ!」

「仕方ないわね。さっさと終わらせて帰りましょ」

 

………………………少女たち飛行中…………………………

 

「うーむ、勢いだけで飛び出したのは良いが、見当がつかないな」

「テキトーにてがかりになりそーな奴引っぱたけば良いんじゃない?」

 

しばらく飛行していると、余計に寒さを感じられた。さっぶい。

 

「ああ、もう!なんでこんなに寒いのよ、凍えちゃいそうだわ。どんなに着込んでても、寒いものは寒いのよ!」

「私もだぜ」

「そもそも、冬は嫌いなのよ!寒いだけだし、落葉掃くより雪かきの方が疲れるし!」

 

言い出したら止まらなくなった冬の愚痴。やめられないとまらない、フッゆの愚痴!

 

「お、霊夢が愚痴っている間に、手がかりが立ちふさがったぜ」

 

魔理沙の言う通り、薄紫の髪で、青い服を着た妖怪らしき女が、進行方向に立っていた。

 

「ちょっとぉ~さっきから聞いてれば冬の愚痴ばっか言ってさ~!もっといい所に目を向けなさいよぉ!」

「事実だもの。というか、あんた誰よ」

「レティよ。レティ・ホワイトロック。冬の妖怪」

「おおー、いきなり黒幕が現れるとは、気が利いてるな、霊夢」

「そうね、早く終わりそうね」

「くろまく~」クルクル

「おお、黒幕が自分から名乗り出てくれたぜ。強くてニューゲーム並の難易度まで降りてきてくれたようだぜ」

「何よ?その単語」

「凜が、『ゲーム完クリした後に、最初のザコ敵を倒すときはかなりニヤつくんだぜ………ああ、この敵めんどくさかったな……と思いつつ、ぶっ飛ばすこの爽快感。今では余裕すぎる程簡単だな』とかなんとか言ってた時に使ってた単語だぜ。意味はイマイチ分からんが、簡単という意味だと解釈した」

「凜の言ってることは、ちょくちょく分からないのよねぇ。外の事なんだろうけど」

「とりあえず、目の前の敵ははっ倒しつつ進むだけだからね。まあ、今回は黒幕みたいだけど」

あ、どうせ霊夢が勝つんだし、描写要らなくね?by.作者

 

…………………少女たち弾幕遊戯中…………………………

 

「黒幕、弱いわね………」

「こんな奴でも、倒せば少しは春っぽさが増えたかな?」

「とにかく、次を探すわよ」

「おう」

 

テキトーに索敵していると、方向感覚がおかしい事に気が付いた。

 

「ねぇ、魔理沙………なんかおかしくない?」

「そうだな………。あり、こんな所に家なんかあったか?」キイッ

 

家の扉を開け、中に入る。

 

「ここに迷い込んだら最後!」

「「最後?」」

「それはさておき、迷い家へようこそ」

「迷い込んだら最後、二度と戻れないよ」

「ここに来たって事は、道に迷ったんだよね?」

「え、ここ迷い家なの?」

「そう言えば霊夢、迷い家にあるものを持ち帰ると、幸せになれるらしいぞ」

「そうなの?」

「なれるわよ」

「じゃあ、魔理沙じゃないけど盗んでいくことにしましょうか」

「ひどいぜ」

「なんだと?」

「ここは、わたし達の里だよ、人間は帰ってね」

「迷い込んだら、二度とは戻れない………はどうしたんだよ」

 

…………………少女達弾幕遊戯中…………………………

 

「とりあえず」

「生活で使えそうな物でも探そうかね」

 

 

さらにテキトーに索敵していると、小さな小屋のような家が見つかった。

 

「入ってみるか?」

「手がかりがあるかも知れないしね」

「しつれーしまーす」

「失礼するくらいなら帰ってよ」

「それは出来ない相談だな。って、お前、魔法使いか?」

「ええ、そうよ」

「久しぶりね、2人とも」

「さっき会ったばかりじゃない」

「あら、旧友である私を忘れたの?」

「いつからあんたは私の旧友になった」

「ついさっき会ってからよ?」

「それを旧友とは言わない」

「あら、そう?というか、ホントに私の事覚えてないの?まあ、どうでもいいけど」

「そう。じゃあ、あんたはどうして冬が長くなってるか知ってる?」

「春度を集めている奴がいるからよ」

「春度ってなんだ?」

「どれだけ、貴方達の頭の中が春なのかの度合いよ」

「あんまり高くても嫌だなぁ。それで?あんたはそれに関係してるのか?」

「してるわけないじゃない」

「ふーん。じゃ」

情報も手に入ったし、帰ろうとすると、

「ちょっと!折角、旧友に会ったってのに、手土産はあなたの命だけなの?」

「だから、旧友じゃないって。あんたみたいな七色魔法使い、私の友人には居ないわよ」

「所詮、巫女は二色。その力は私の二割八分六厘にも満たない」

 

…………………少女達弾幕遊戯中…………………………

 

「春度って、私と魔理沙が何となく集めてたこれの事かしら」

「なけなしの春の要素だったからな」

「判ってて集めてたんじゃないの?」

「いや、まあ、うん」

 

じゃあ、コレがたくさんあるところを探せばいいわけか………。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。