東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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これでストック分は全部です。なので、次からはかなり更新が遅くなると思います………。読んでくださってる人には申し訳ないですが、宜しくお願いします。


11話『東方妖々夢~the perfect cherry blossom2』

…………………………少女達飛行中…………………………

 

「何となくここが怪しい気がする………」

「お、霊夢の勘は当たるからなぁ。って、さっきから睨んでいるあそこの3人はお前の知り合いか?」

「失礼ね、あそこまでおめでたそうな奴とは知り合いになりたくないわよ」

「お前がそれを言うのか?」

「お前らも、アイツの仲間?」

 

よく見ると、三人のうち、意識があるのは1人だけだった。残りの二人は、大量の刃物で切られたかの様な切り傷をつけていた。

 

「アイツって誰だ?」

「だってあんた達言ってたじゃない、異変がどうとか、春がどうとか。アイツも似たような事言ってたし、仲間なんでしょう?」

「だから、その『アイツ』って誰なんだよ」

「あんたらの仲間でしょ?銀髪で、メイド服を着た女よ」

「「アイツか………」」

 

大方、レミリアにでも言われたのかな?

 

「ほら、やっぱり仲間なんじゃない」

「いやーー、どうだろう、仲間、なのか?」

「とにかく、何しに来たのよ」

「冬が長すぎるから。お花見もしたいし、さっさと春になって貰わないとね」

「え、桜なら、あのお屋敷にいっぱいあるじゃない」

「え、どこよ?」

「ほら、あそこに結界が見えるでしょう?その中よ。わたし達はあそこで演奏をする予定だったんだけど、二人が怪我しちゃったし、中止かなぁ」

「へえ、つまりあそこに黒幕がいるってことね。情報提供感謝するわ、それじゃ」

「待ちなさい」

「なに?」

「あんたらの仲間に伝えておきなさい、必ずやり返すってね」

「あー、分かったわ、伝えておく」

 

そのまま結界に向かって飛んで行った。

 

「良し、結界ドーン!」パリン!

 

結界を破って侵入すると、

 

「くっ……!何でそのタイミングでよけられる……?」

「私、避ける時間が足りない、なんて感じた事ないもの」

 

銀髪の幽霊と交戦している咲夜を発見。

 

「あれ、咲夜じゃないか」

「あら、魔理沙じゃない。それに霊夢も。奇遇ね」

「奇遇じゃないだろ?大方、レミリアにでも命令されたんだろ」

「ええ、いつまでも冬だと、お花見が出来ないじゃない、と」

「いかにもあいつらしいわね」

 

ま、面倒ごとが減るなら良いんだけどね。

 

「で?今戦ってるそいつは誰よ?」

「さあ?次の黒幕を探していたら、この屋敷に辿りついて、いざ入ろうとしたら、この銀髪に襲われた。それだけよ」

「へえ?というか、何でその銀髪は今襲って来ないのかしら?」

「(三人組……もしかして、こいつらが幽々子様と紫様の言っていた?それなら、私は引き返して、凜さんと幽々子様を呼んできた方が…………)」

「おーい……銀髪ー」

「何かしら」

「あんたじゃない」

「(いや、今は相手の動向を窺おう。1人を相手するのなら、大丈夫な筈だ)」

「何よ?」

「あんたは今回の異変を起こした奴、知ってるの?」

「ええ、知ってるわよ?西行妖を満開にするために、うちのお嬢様が起こした異変よ」

「まーたお嬢様か。こーゆーのはお嬢様が起こす傾向でもあるのか?」

「たまたまだろ、たまたま。たまたま二件連続でお嬢様が起こしただけだぜ。なあ、咲夜」

「そうね。苦労人っぽいし、もしかしたら、同じような境遇かしら」

「まあ、苦労してることは、否定できないわね~」

「あらそう。仲良くなれるかもね?」

「そうかもしれないわね。でも、現時点では敵な訳だ。だから、私は斬って異変を完遂する」

 

銀髪が長刀を構える。咲夜がナイフを構える。って、どっちも銀髪か。

 

「咲夜、一人で十分よね?」

「あら、手伝ってくれないの?」

「あんた一人で勝てるわよね、って聞いてるのよ」

「もちろん。何でこんな銀髪に負けないといけないのかしら」

「咲夜、お前も銀髪だぜ」

「私も嘗められたものね。でも、流石に三人は無理だから、嘗めてもらった方が良いのかもね」

「貴方達の持っているなけなしの春で、西行妖もきっと満開になる。妖怪が鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなど、少しはある!」

「え、何そのシュールギャグ」

 

敵の銀髪が剣閃で、咲夜を切りつけようとする。

 

「それはさっきやってたでしょ?」

 

隙間は少ないようだが、無いわけではないので、咲夜は悠々とよけていく。まあ、能力を使用しているのだろうが。

 

「こっちからもね」

 

幻符「殺人ドール」

大量のナイフが咲夜の周囲に現れ、銀髪へと向かう。

 

「ふん、こんなもの!」

 

剣閃でナイフを落としつつ、銀髪がスペルカードを見せる。

 

「縮地法、って知ってるかしら?」

「聞いたことはあるわよ。たくさんの距離を、一瞬で縮めるんでしょ?」

「んー、それはまた違う縮地ね。私が言ってるのは、相手との距離を一瞬で詰める方の縮地よ」

「一瞬で、ねぇ。速いって、かかる時間が短いってことでしょう?そんなの、どうってことないわよ」

「そう言ってられるのも今の内。ふー、行かせてもらうわ」

 

銀髪が剣を構える。

 

「人符「現世斬」!」

 

声を出した瞬間、銀髪が一気に咲夜に近づき、剣を降ろす。

 

「遅いわねぇ。そんなんじゃ、速さを扱う人間としては落第よ?」

 

が、咲夜には全く効いていなかった。当然でしょうね、速さで咲夜に勝負なんて、負けるに決まってる。

 

「せめて、これ位はやって貰わなきゃね」

 

咲夜が一気に距離を取り、ナイフを構える。どうやら、あの銀髪がやってた縮地法とやらを、やってみせるつもりらしい。

 

「………………」シュン

 

銀髪の周りに、咲夜と、大量のナイフが登場。時を止めでもして、一気に近づいただけだろうけど。

 

「これくらいやって、初めて及第かしらね」

「え?きゃあああああ!」

 

銀髪に、次々とナイフが刺さっていく。頭は狙っていないようだが、それ以外の所には際限なくぶっ刺さっていた。あれ、死んだんじゃない?

 

「咲夜、殺ったのか?」

「死んではいないんじゃない?というか、遊びで殺すわけないでしょう?」

「レミリアの時は殺されかけたわよ?私じゃなくて、凜だけど」

「多分だけど、調整ミスったんじゃない?可愛らしいミスじゃない。それに、凜だから大丈夫でしょ」

「まあ、ね。正直、一番戦いたくないわね」

「全くだぜ。咲夜もそう思うよな?」

「あら、私は戦ってみたいけど?前のリベンジもあるしね」

 

その時。

 

「あっそう?そんなに俺怖がられてた?でも、本人の前でそんなこと言うなんて、2人とも酷いぜ。それに引き換え、咲夜は嬉しいこと言ってくれるねぇ。再戦ならいつでも受けるぜ、なんなら今すぐでもな」

 

「………凜?なんでこんな所に………」

「そう簡単に人に聞くなよ。自分で考えな、自分で」

「………まさか、まさかだけど、この異変起こしたの、あんた?凜」

「はっはー、ふせーかい!この俺がこんなに面白みのない事起こすと思うか?俺ならもっと楽しいことをやるぜ?」

「じゃあ………」

「おっと。お前らの味方をする気はないぜ。異変を起こしてこそないが、今日の俺は敵だぜ。そうだろ、ゆゆちゃん?」

「ひどいわよ~、私の事を面白くない女だなんて!ありえないわ~、私は傷ついたわよ~?」

「はは、わりーわりー。許してちょ」

 

桃色の髪をした亡霊らしき女が、こっちに向かってきた。

 

「凜が黒幕じゃないなら、あんたが黒幕?」

「まあ、そうなるのかしら。そう言えば貴方達、桜の花びら持ってない?後もう少しなのよ」

「まあ、持ってるが、譲る気はないね」

「そう?というかどうしましょうか、凜。本来ならここで妖夢も入れて一対一を3組作るつもりだったんだけど」

「うーん、ゆかりん呼べば?」

「それが、呼ぶ気なかったから、連絡手段がないのよ」

「良し、こんな時こそあれを使うべきだな」

「管理人「八雲 紫」!」

 

凜の持っているスペルカードから、次元空間が現れ、そこから金髪の女が現れた。

 

「ん、いきなり何よ?」

「いやー、予定変更。魂魄がダウンしたから、ゆかりんに戦って貰おうかと」

「あー、そう言う事ね。あ、一応自己紹介した方が良いんじゃない?」

「ん、それもそうだね。じゃーゆかりんからどうぞ」

「そこの通りすがりの巫女さんと魔法使いさんとメイドさん、初めまして。ここ、幻想郷を管理する妖怪、八雲 紫ですわ。凜みたいに、ゆかりんって呼んでも構わないわよ♪」

「ゆかりん、そんなにゆかりんって呼ばれたいの?」

「別に?ただ、呼ばれることが凜しかないから、広めておこうかな、って」

「ふうん?」

「幻想郷を……管理する妖怪?」

「ええ。博麗の巫女さん、あなたはここを維持する立場だけど、私はここを管理する立場。私はここの創設者の一人だからね」

 

管理人、創設者……なかなか壮大な単語が並ぶ。

 

「ふうん、そんな奴がいたのね。魔理沙、知ってた?」

「知るわけがないぜ。咲夜は?」

「知ってるはずないじゃない」

「あらあら、知名度ないわねぇ、私。そこそこ有名な筈なんだけどなぁ」

「この三人は知らないんだろ。そうそう、三人とも、いい事を教えてやろう」

「いい事?何よ、それ」

「こいつの能力についてだ。ゆかりんこと八雲 紫の能力は、境界を操る程度の能力だ。まあ、俺にも並ぶレベルのチート能力な訳だが…………」

「境界を操る、ねえ。それって強いの?」

「チートだって言ってるだろうに。まあ、強いよ。万物には必ず境界ってもんがあるんだよ。境界が存在しなければ、個々の存在が成り立たないからだ。それを操るって事は、世界を操る事と同意義だぜ」

「まあ、否定はしないけどね」

「ふうん、ホントに強いのね。それで?」

 

凜としては脅しの意味も有ったのかもしれないが、今更どんな奴が来たところで萎縮などしない。

 

「いやー、もう終わりだよ。次、ゆゆちゃんね」

「はぁーい♪ここ、白玉楼の主、西行寺幽々子よー。冥界の幽霊の管理も行ってるわー。凜みたいに、ゆゆちゃんって呼んでもいいわよ♪」

「またあだ名か。お前どんだけあだ名好きなんだよ、凜」

「いやー、ノリで言ったら定着しちゃって。これで良いかなって。お前らも欲しい?」

「いらないわよ」

「私もいらん」

「私は有っても良いけど」

「おお、咲夜はいい奴だなぁ。それに引き換えお前ら二人はよー。俺のハートの事も考えてくれよー」

「ふん、敵に気を遣う訳ないでしょ?」

「全くだぜ」

「ん、何か怒ってるか?霊夢」

「………何でもないわよ」

 

なんだか分からないけど、イライラする。この感情は何なんだろうか?

 

「もしかして、お前、妬いてる?」

「はあ!?」

「大声出すなよ。別にいいぜ?信頼できる相手が、味方じゃないんだし。妬いちゃっても仕方ない」ウンウン

「や、妬いてなんかいないわよっ!なんで私が凜なんかにっ!」

「あっはっは、そう恥ずかしがるなよ、可愛いなぁ。ただまあ、今回は俺は敵だ。そこら辺は割り切ってくれよ?」

「ふん、そんなの分かってるわよ」

「じゃあ、ゆゆちゃんの自己紹介も終わったし、俺に行こうか。んで、終わったら始めるとしよう」

「改めまして、高橋 凜だ。そう言えば、お前らには俺の職業を言っていなかったようなので、一応言っておく」

 

凜は、ひと呼吸おいて、

 

 

「幻想郷の守護者、高橋 凜。せいぜい頑張りな、主人公たち。俺は……強いぜ?」ニヤッ

 

 

凜から溢れ出る、大量の霊力。その量、質が、彼の実力を物語っていた。

それに、幻想郷の守護者?凜が?

 

意味が分からないが……現在、彼が敵であることは分かっている。

ならば、退治するまで。相手が凜であろうと、お構いなしに。

 

「全く、こんな所で、一番戦いたくない奴とやらなきゃいけないなんて、ついてないぜ」

 

他の二人も、凜に倣ったのか、霊力と妖力を垂れ流していた。その量、質。他の二人も、生半可な実力ではないことが分かる。

 

「どーすんだよ、霊夢。あいつら半端じゃない位強いぜ?」

「そんなの分かってるわよ、でも、どうしましょうか」

「それなら、私が凜に行かせてもらえる?」

「大丈夫?凜、強いわよ?」

「ふふ、言ったでしょ?リベンジよ、リベンジ。凜もそれでいいわよね?」

「咲夜、か。そうだねぇ、一番勝率が高いかもね?」

「む。嘗めないでよ?」

「だって、霊夢の戦い方は大体分かってるし、魔理沙はそんなに強くないし。だったら咲夜が一番勝率が高いかなぁ」

「凜、酷いぜ。私ゃ傷ついたよ。咲夜、ボッコボコにしてやれ」

「了解。じゃ、行ってくるわね」

 

咲夜が凜と場所を移動する。

 

「じゃ、霊夢はどっちを相手する?」

「そうね、あの、管理人とか言ってた奴にしようかしら」

「んじゃ、私はあっちの亡霊の方か」

「じゃ、健闘を祈るわ」

「そっちこそ、な」

 

case.sakuya VS rin

side.sakuya

 

まったく、異変を解決しに来たら、とんでもないことになったわね……。

 

高橋 凜。私の知る限り、最も強い男。って、そもそも幻想郷には強い男は少ないんだけど。

とにかく、凜は強い。前も負けたし、それからというもの、何となく戦おうとしなかった気がする。それは、彼の性格によるものなのだろう。寛容で、優しく、面白い。まあ、いたずらがすぎるところはあるが、おおよそいい人だと思う。彼が来て、紅魔館の雰囲気も変わった。今では普通だけど、妹様は明るくなり、お嬢様をはじめとした、私達とも仲良くなった。手加減の特訓や、自制心の育成も順調らしい。まさに彼は恩人であり、友人でもあるのだが…………。

 

「それでも、立ち塞がるというのなら、私はあなたを倒すわ、凜!」

 

「気合は充分、ってか。良いだろう。全力で手加減してやるから、全力で向かってきな!」

「今回は俺が敵キャラなんでな!まずはこっちから行かせてもらうぜ!」

 

「空弾「アイディアル・エアガン」」

 

凜が無数の弾幕を生み出し、私へと放つ。

 

「時符「プライベートスクウェア」」

 

時を止め、弾幕にナイフを投げ、相殺しようとする。

時が動き、弾幕は相殺された筈だが……。

 

「嘘、相殺出来ていない!?」

「敵キャラらしく解説をしてやろうか。そもそも、このスペルカードは気体を圧縮して作り出している。その時、気体の種類によって様々な性質を持っているんだ。あくまでそーいう設定ってだけで、気体にそんな性質はないが。例えば、二酸化炭素なら威力が高く、酸素なら疲労を縮小し、窒素なら封印の力を持つ。ま、酸素は使わないけどな」

「ほらほら、まだスペルブレイクまで行ってねぇぞ!?」

 

凜が残った赤の弾幕を放ってくる。仕方ない、よけるしかないか。

 

「……くっ、流石に数が多い……!」

「元は空気だからね。無駄に多く作れるのさ!」

 

もちろん、時を止めているからよけられるが、弾幕に囲まれたらアウトだ。このままよけるしかないが。

 

「うーん、あんまり続けるのも美しくない、か」

 

凜がスペルカードを中断し、新しいスペルカードを見せてくる。

 

「じゃ、次はアレでいくよ。よけられると思うなよ?必ず当たる運命にあるからね」

 

「理想神槍「スピア・ザ・グングニル」」

 

凜の手から、お嬢様の使うような槍が作られる。強大な霊力の奔流………私とは比べ物にならないような。よけるしかない、が、アレがお嬢様の槍と同じような効果を持つのなら。避けることは不可能。

 

「ほいっと!」ポイッ

 

霊力の槍が、こちらに向かってくる。槍に追尾効果があるなら、凜を盾にするしかない。

 

「ふっ!」トキトメ

 

時を止め、凜を拘束する。

 

「これであなたは動けない……」

「………咲夜」

「……何?」

「お前意外と、胸あるんだな」

「ふえっ!?」

「あっは、油断大敵っと!せいっ!」

「しまっ!」

 

凜に拘束を緩ませられ、そのまま槍に向かって投げられてしまった。

 

「っっ!いっつぅ……」

 

手に掠ったので、致命傷ではないが…………。

 

「凜……なぜ外したの?あなた程の人なら、確実に私を倒せたはずよ」

「あはっ、そんな事する訳ないでしょ?手や足以外に当たったら、死ぬよ?」ニッ

「っっ!命の危険があるなんて、斬新な遊びね」

 

掠っただけでもこの威力。確かにまともに当たったら、私の命を奪っていただろう。

 

「面白いだろう?でもま、手加減はしているけど」

「…………随分と余裕ね?」

「実際余裕だからね。例えあの槍が当たっても死なないし」

「ずるいわねぇ。私は命の危険があるのに、あなたにはないんだもの」

「大丈夫だ、問題ない。当たったとしても治癒してやるからね。流石に、死んだら生き返らせはしないけど」

「それが無難ね。あなたの能力なら可能でしょうけど、死を冒涜するものではないわ」

「あっは、とーぜんでしょ。それにしても、咲夜は可愛いねぇ。あれくらいのジョークで動揺するなんてねぇ」

「あ、あれは、あなたがあんな場面で変なこと言うから、少し驚いただけよ」

「えー、うっそだぁ。キモデブニートとかに言われても、あんな反応返さないでしょ?それはつまり、俺の事をある程度好意的に捉えてる訳だ」

「その、キモデブニートとやらが何を指すのか分からないけど。あなたの事を、その、好意的に見ている事は否定しないわ」

「え、マジか。うーん、嫌われてはないとは思ってたけど。ありがとう、嬉しいよ」ニコッ

 

「っ!べ、別にそれ以上の意味はないからね。あくまで、友人として、好きなだけなんだから」

「あっは、分かってるって。そんなに念を押さないでも。さて、ちゃっちゃとスペルカードを使い切らなきゃな」

 

どうやらあちらは、全てのスペルカードを使い切って、負けるつもりらしい。まあ、あちらから負けてくれるなら………。

 

「いえ、それじゃリベンジにならないわね………」

「ん、何か言った?」

「凜、本気を出してちょうだい?」

「本気、だと?それは、スペルカードルールに則った上でのか?」

「ええ、あなたに手加減されて勝っても、何も得られないと思うのよ」

「あー、言っておくが、俺はそんなに強くはないぞ?どうやらお前は俺に期待してるようだが、スペルカード戦だと、あんまり、な」

「嘘。お嬢様に勝っておいて、その言い分は通らないわよ?」

「ふうむ。ま、別にいいけど……がっかりしないでよね」

「化人「速きこと風の如く」」

 

前にも見た、スピードアップスペルカード。その挙動を見逃さぬ為、能力を使用………。

 

「えっ!?わわっ!?」

 

彼がスペルカードの宣言をしてから、一瞬の間もなく私の周りに多量の弾幕が置かれていた。

 

「(は、速すぎる!ここまで速いだなんて、想像していなかった……!)」

 

このままじゃ能力を使うために集中できない……!能力を使わず、よけ続けるしかない…。

 

「理想霊符「夢想封印」」

 

さらに、虹色の霊力弾が、超高速で向かって来た。だが、霊力弾を出すのに時間がかかって、それ以外の弾が一時的に少なくなっている。これなら…………!

 

「時符「パーフェクトスクウェア」………!」

 

時を止め、まずは周りの弾幕を一掃。特に強力そうな霊力弾には、大量のナイフを投げ、小さく切り刻むようにしておき、時を止めるのを辞める。

 

「良し………!あれ、凜の姿がない……?」

「詰めが甘いねぇ、咲夜。時を遅めるなら、ずっと続けなきゃね」

「しまっ!」

 

いきなり後ろから声をかけられ、振り向いたその時には、凜はスペルカードを使用していた。

 

「重力「アイディアル・グラヴィティ・改良版」

 

私の周りを風が覆い、重力が重くなった。く、やはりか………!

 

「いやー、ちょっと改良してみたんだよね。どうやら風の特性が有ったらしいから、今回は風だよん」

 

時を遅めても、この結界はナイフでは破れないだろう。時を止めてももちろんダメだし、速めたら、自分の寿命を縮めるだけ、か………。

 

「じゃーねぇ、咲夜。大丈夫、死なないくらいにはしてあげるからさ」

「ええ……私には、これ以上の抵抗は無理みたいだしね…………。はあ、今回も負けたかぁ。悔しいなぁ」

「あは、でも、スペルカードはもう3つしかないし、咲夜がもっと気をつけてたら、勝ててたかもね?」

「そうだと、いいわね………。じゃ、ちゃっちゃとやっちゃってよ」

「おーけー」

「理想恋符「マスタースパーク」!」

 

結界で見えないが、凜がマスタースパークを放ったみたい。その光は、私を飲み込み、私の意識は、そこで途切れた………。

sakuya fadeout………。

 

side.rin

「まったく、本当なら、ここで負けて、他の所に咲夜が行けば、勝てるようになる………ってつもりだったんだけど。仕方ないね、真剣勝負だったんだし。この際だし、観戦でも行くかな?」

 

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