東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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今まででも最高レベルでお粗末です。ああ、文才が欲しい………。


12話『東方妖々夢~the perfect cherry blossom3』

side.marisa

 

「くそっ、強いなぁ………」

「当たり前よぉ。これでもラスボスなんだからねー」

 

残念だが、私の力じゃ、死なないことで精一杯だ。霊夢や咲夜の加勢を待つ、しかない。

 

「ほら、さっきみたいに避けられるかしら?」

 

亡郷「亡我郷-宿罪-」

幽々子と名乗った亡霊から、紫色の鮮やかな弾幕が左から襲ってきた。

 

「なんだ、さっきより全然簡単………って!」

 

少しよけるのに集中していたら、突然右から、レーザーが襲ってきた。

 

「うわっと!少々危なかったが、まだよけられるな」

「それは何よりね~。でも、このままじゃジリ貧よ~?さあ、どうするつもりかしら?」

「認めたくはないが、確かに私の力じゃ勝てないだろうな。だから、咲夜か霊夢が来るまで、私は耐えるだけだ!」

 

「あっは、結構結構。自分の実力を分かっているのはいい事だ。だが、咲夜の方は、無理だったみたいだな?」

 

後ろから声が掛けられる。

 

「っっ!う……嘘……だろ……?」

「おいおい、現実から目を背けちゃダメだぜ~?現実を見なきゃ、な?」

 

後ろから聞こえたのは、今最も聞きたくなかった声。

 

「………っっ。凜………」

「あら、もうやっつけたの?」

「まあね~。負けようかと思ってたんだけど、咲夜にせがまれちゃって」

 

咲夜が、負けた。そして、凜がこの場に来たということは、私の敗北を意味する………。

 

「じゃあ、加勢お願いね?」

「ん、いやだけど?」

「えぇ?一緒に戦ってくれないの?」

「よく考えてみなよ。こっちの戦力は、冥界の姫と、幻想郷最強の妖怪と、それに匹敵する幻想郷の守護者。あっちの戦力は、博麗の巫女と、普通の魔法使いと、悪魔のメイド。これで、俺の言いたいこと、分かっただろ?」

「あー、なるほどねぇ……。確かに、オーバーキル気味ね……。あっちの倍くらいの戦力ね……」

「だろ?だから、俺と咲夜は相うちって事で。良いよね、ゆゆちゃん」

「分かったわ~。けど、邪魔しちゃだめよ?」

「わーかってるって。魔理沙、お前が勝つことはほぼ無理だろう。だが、お前が頑張れば、負けることもない。なぁに、あの霊夢なら、すぐゆかりんを倒してくるさ。そういう運命だからね」

「………お前、敵なのか味方なのか、はっきりして欲しいぜ………」

「んー、どっちかってっと味方、かな?」

 

「お?ゆかりんからの召喚コールか。行く手間が省けたな、ラッキー。それじゃあね」

 

凜は私にそう言うと、その場から消え去った。

 

「凜が加勢してくれないのは残念だけど、そっちの一人はやっつけてくれたし、いっか」

「こっちは、あいつが居なくなってホッとしたぜ。シャレにならん位強いからな、あいつは」

「そうよねぇ。それでも、弱点はあるように思うけど………」

「そんなもんあるか?あいつが負ける姿なんて、想像できないぜ?」

「うーん、彼の弱点は、常に気を張っている訳ではない、という事だと思うんだけど」

「気を張っている?」

「だから、彼はあくまでも人間。妖怪とは比べられないほど、貧弱な人間。そこに穴があると思わない?」

「あいつの能力なら、人間以外にもなれるだろう?だったら、意味ないじゃないか」

「まあね、そうなんだけど。まあ、私がそこまで考える理由はないわね。さあ、続きをしましょ」

「釈然としないな。まあ、今さらあいつについて考える理由は確かにない。私は、負けないことだけ優先させて貰う」

 

「亡舞「生者必衰の理-魔境-」!」

 

「恋符「マスタースパーク」!」

 

side.reimu

 

時はバトル直前に遡る…………

 

「それじゃ、あなたが私の相手ね」

「ええ、そうなるわね。…………戦う前に、二三、訊きたいことがあるわ」

「何かしら?今なら、何でも答えてあげるわよ♪」

「じゃ、スリーサイズは?」

「え?まさかあなた、そういう趣味が……?」

「違うわよ」

「じゃあなんでそんな事訊くのよ~?」

「なんでも訊けって言われたら、それを訊くのが基本だって、凜に訊いたのよ」

「あの子が、ねぇ………。それで、ホントの訊きたいことは何?」

「凜の言ってた、『守護者』ってどういう意味なのかしら?」

「実際にはそこまで大仰じゃないわよ。彼には、ここの安全装置として、幻想入りしてもらったのよ」

「安全、装置?つまりは、ここを守るため、凜はここに来たって言うのかしら」

「私がここのバランスを保とうとしても、どうしても不安が残るのよ。保険よ、ほ、け、ん。私はここの管理人として、少しの危険性でも排除しておきたかった。だから彼を呼んだ。それだけのことよ」

 

目の前の女からは、内面が読みにくい。だが、嘘を言っている様には見えない………。

 

「……分かったわ」

「分かってくれたようで何よりね。他には?」

「凜とは、どんな関係?」

「うーん………ビジネスパートナー、かしら?別に、そこまでの仕事は与えてないし、そんなに接点もないわ」

「…………ふうん」

「さて、そろそろ質問は終わりかしら。あんまり、いじめないでね♪」ゴウッ!

「そんな妖力の強い妖怪、いじめられないわよ」

「さあ、それはどうかしら」

 

「まずはお試し。がっかりさせないでね♪」

 

紫から大量の弾幕が放たれる。お試しというには、少々密度が濃い気がするが………。

 

「楽勝ね」

 

弾を見極め、場を客観的に認識する。スペルカード以外で、私が当たるはずはない。

 

「さすが♪見事なよけっぷりだわ~」

「褒めても何も出ないわよ、紫」

「あら、ゆかりんって呼んでくれないの?」

「嫌よ。気色悪い」

「あらあら、フラれちゃった。あ、それなら、紫お姉ちゃんならどう?」

「嫌に決まってるじゃない、紫お姉ちゃん」

「わぁ、可愛いわ~。そっちの気はないけど、これは可愛い。ね、ずっとそう呼んでくれない?」

「嫌って言ってんでしょ。一回だけよ、一回だけ」

「ふふ、それも凜の教えかしら?随分と仲がいいのね」

「…………………」

「あら、黙っちゃった。………1つ聞いてみるけど。あなた、凜のこと好きなの?」

「………そんな訳ないでしょ」

「本当に?」

「………本当よ。私は誰にも縛られない。どんな人でも、私の心は縛れない」

「でしょうね。だからこそ博麗の巫女たるに相応しいのだから」

「分かってるなら聞かないでよ」

「心配症なのよ~。ただ、あなたが凜に影響されすぎている様に見えたから」

「確かに凜は面白い人だし、若干影響されすぎていたかもしれないわね。でも、それだけよ」

 

特別な感情なんて、持ってはいない。そのはずだ。

 

「ふふ、ごめんなさいね。………少し長話になっちゃったわね。弾幕ごっこを続けましょうか」

「…………ええ」

「魍魎「二重黒死蝶」」

 

赤と青の蝶の形の弾幕と、緑と紫のナイフ弾がばらまかれ、視界を埋めていく。暫くよけていると、弾が紫へと吸い寄せられ、またばらまかれる。紫に戻る方向には規則性があるみたいだ。このままよけ続ける事は可能だが、少しは反撃しなければ。

 

「…………」スッスッ

 

紫に集まり、再び拡散された弾幕の間を縫い、紫へと近づく。

 

「夢符「二重結界」」

 

一つ目の結界が紫を囲う。一つ目の結界は小さく、紫の移動範囲をかなり少なく出来る。そのまま二つ目。二つ目の結界からは弾幕が現れ、一つ目の結界に一斉に襲って破壊、そのまま紫へと向かう。

ドカーン。

 

「いたたた………。もう、少しは優しくしてよね………」

「ふん、無事かぁ………。残念」

「酷いわねぇ」

「さっさと帰りたいのよ、だるいのよ」

「あらあら、そんな子供みたいな事言わないの。仕事はきっちりやるのが大人よ?」

「だからさっさと終わらせようとしてるんじゃない」

「そんな事言わないで、ゆっくり楽しめば良いじゃない♪これはゲームなのだから………」

「別に、好きでこんな事やってる訳じゃないのに………。はあ、やれば良いんでしょ」

「そうそう、それでいいのよ♪そろそろ終わっている頃かしらね?呼んでみましょうか」

「来てちょうだい!守護者「高橋 凜」!」

 

「いやー、ちょうどそっちに向かおうかと思ってたんだよね。ナイスタイミング、ゆかりん」

「あら、そうなの?じゃ、早速役立ってもらうわよ?」

「このタイミングで呼び出したって事は、スペルカードとして呼んだんだよね?オーケー、やってやろう」

 

凜がこちらを向き、話しかけてきた。

 

「さてさて。様々な特徴あるスペルカードを、どうか最後までお楽しみください」

「速きこと風の如く・弱」

 

凜に翼が生え、空中を高速で飛び回る、が、私は知っている。彼の速度はこんなものではない。手加減している。確実に。

 

「アイディアル・エアガン・☆」

 

彼はそう宣言すると、スペル名の通り、星を描くように飛び、その軌道上に弾幕を残す。

 

「散開せよ!」

 

凜がそう叫ぶと、弾がワラワラと動き出した。もちろん私に向かう弾もあるので、それを避ける。

しばらくするとまた星の位置に止まった。

 

「収束せよ!」

 

弾が全て、私へと向かう。その途中で弾同士が接触し、爆発する。その爆発が、さらなる爆発を呼び、私の逃げ場が潰されていく。

 

「夢符「封魔陣」!」

 

結界を周囲に展開し、残っていた弾が吹き飛んで凜に向かう。

 

「っっ!いったー。あっは、少し怪我しちゃった」

 

凜はよけなかった。そのまま私の結界にぶつかり、吹き飛ぶ。

 

「お見事。それでは、これにて閉店でーす」

「凜、何で本気を出さないの?」

 

紫がそう問う。

 

「だってスペルカードだもん。全力でやったらダメでしょ」

「あー、なるほどねぇ………。ところで、そっちは終わったの?」

「まぁねぇ~」ヒラヒラ

「そう。それで、あなたは加勢する気ないんでしょ?」

「あれ、よく分かったね?」

 

何故かは分からないが、凜は紫に加勢する気はないらしい。

 

「そりゃ分かるわよ。なにせ私は、あなたの同類ですもの」

「あ~、なるほどね。似たもの同士、思考が読まれちゃうんだねぇ」ケラケラ

 

凜が敵にならないなら好都合。紫だけでもどうなるのか分からないのに、凜まで来たら敗北は必至だ。

 

「それなら、そこで見ていなさい、凜」

「はぁーい。じゃ、二人とも、頑張ってね~」

 

rin side

さてさて、主人公組が勝つには、霊夢の勝利が必要不可欠。本来のゲームであるならば、魔理沙でもゆゆちゃんを打倒できるが、何度か戦って分かった。魔理沙は、経験が圧倒的に足りない。

霊夢は博麗の巫女として、数々の妖怪を打倒してきた経験がある。対して魔理沙は、基本戦っているのが霊夢だけ。ルーミアやチルノ、美鈴、パチュリー、咲夜とも交戦してはいるが、まだまだ経験不足。

なので、今の魔理沙に、ゆゆちゃんを倒せるほどの実力は、恐らくない。

霊夢の負けは、主人公組の敗北を意味する。

 

「じゃあ、再開するとしましょうか」

「………ええ」

「再開すると言っておきながらどうかと思うけど、独り言を言うことにするわ。私に嘘はつけないわよ。どれほど否定しようと、貴方の心にある気持ちが、どの境界の内側にあるのか、明らかなんだからね♪」

「…………ふん、そう思うならそれでもいいわ」

 

「「人間と妖怪の境界」!」

 

レーザーが霊夢を囲い、粒弾が霊夢の周辺を漂う。

 

「今さらこの程度の弾幕が通じると思うの!?」

 

霊夢の言う通り、よけるのはそう難しくはなさそうだ。

 

「ふふ、それはどうかしら?」

 

レーザーで囲まれた範囲が、時間が経つと共に狭くなり、漂っている粒弾の量も多くなる。

 

「(やばいかもな……。かなり難しそうだ)」

「くぅっ!」

 

粒弾が霊夢に掠り、傷を負わせる。あらー。

 

「はい、おしまい。頑張ったわね」

 

ゆかりんのスペルカードが終わり、弾幕が消えた。

 

「はぁ……はぁ……」

「ふふ、休んでる暇などないわよ」

「結界「生と死の境界」」

 

青弾が全方位に放たれる。流石にこれで終わりではない。段々放たれる弾幕の種類が増えていく。

粒弾の次は紫蝶弾幕。その次は赤大玉。

 

「………………」

 

その次は紺色鱗弾。

 

「……………っ!」

 

霊夢は避ける。だが、いつまで持つか……………。

さらに黄色の中型弾幕が追加される。

 

「………こんなの、どうしろって言うのよ……!」

 

焦り、苛立ち、集中力を欠いていき、その体に傷を付けていく。

 

「これで……終わりよ♪」

 

ゆかりんが水色の中型弾幕を追加する。これで終わりのようだが、既にギリギリの霊夢に追い討ちをかけている。

 

「っっ!霊符、夢想封印・散っ!」

 

大量の弾幕を対処するのに手一杯で、印を結べなかった霊夢は、ホーミング性をなくし、威力を低くした代わりに数の大量化と、手順の簡略化をしたスペルカード、霊符「夢想封印・散」を発動させる。ここで使うスペルカードとしては間違っていない。

だが。

 

「……やっぱり、相殺は出来ない、か」

 

霊夢の夢想封印・散は、かなり低威力だ。弾を消し去ることは難しいだろう。

 

「………ふん、これで良いのよ」

 

光の弾でゆかりんの弾幕の軌道を変化させ、先程よりは楽によけている。ああ、なるほどね。

 

「神霊「夢想封印」っ!」

 

量を増やし、威力も向上させた霊符「夢想封印」の上位版、神霊「夢想封印」。レミリアとの弾幕ごっこでも使った、スペルカードで印を結ぶ時間を作って、時間の掛かるスペルカードを発動させるという手。だが、少しよけ易くなったとは言え、よけながら上位スペルカードを使うとは。

 

「………いいねぇ……。」ゾクゾク

 

戦いたくなってきた。だが、今やるべきことじゃない。この異変が終わればすぐにでも可能なのだから、今は抑えよう。

 

「俺は戦闘狂じゃない、俺は戦闘狂じゃない、俺は戦闘狂じゃない」

 

自己暗示をかけておこう。

 

「よしっ」

 

戦闘の観察を続けよう。

神霊夢想封印(長いから神夢と呼ぼう)で周りの弾幕をかき消し、ゆかりんへとダメージを与える霊夢。

 

「ふふ……まさかここまでやるなんてね……。あなたになら、見せてあげられそうね?私の一番のスペルカードを!」

「紫奥義「弾幕結界」!」

 

ゆかりんの姿が消え、円盤状の使い魔がゆかりんの居た位置を中心として広がり、弾を放つ。弾は静止し、鮮やかな結界を構成する。

『弾幕結界』。その名の通り、弾幕の結界。広範囲に広がった弾幕が、中心へと向かい、集まったら、外へと拡散する。後ろからも来るのに、前からも来る。両方の速度も異なる。かなり難しいが、これならさっきの手が使えるんじゃ………?

 

「っっ!霊符、夢想封印・散!」

 

先ほどと同じように、夢想封印・散(ながいから夢散)を使う霊夢。

 

「うふ、甘いわよ!その程度じゃ流せないわ!」

 

夢散がゆかりんの弾幕に当たったが、軌道が変化しない。何故だ?

 

「っ!何で!?」

「ふふ、その程度の威力じゃ、このスペルカードは超えられないわ!」

 

ふむ、夢散では対処できないみたいだな。

 

「!いっつぅ……!」

 

あちゃー、負けそうだなー。仕方ないかな?いやでも勝たないと困るし………。

 

「これで終わりかしら?」

「っっ!こんなので……!終われるもんですか……!」

「夢符「二重封印」!」

 

一つ目の結界を何とか周囲に張り、それで出来た多少の余裕で二枚目の結界を全ての弾幕を囲うようにして張る。そのあと二枚目の結界を一枚目に近づけ、残っている弾幕を全て挟み、破壊する。これで少しの時間は稼げたが……。

 

「………っ!……はぁ……はぁ」

 

霊夢の霊力は莫大だが、無限ではない。先程からスペルカードを連発し、強度の高い結界を二つも張ったのだ。流石に、休息もなしに連発出来ないだろう。あと一発、というところか?

 

だが、結構な時間が稼げた。どうなるだろうか?

 

弾幕を潰してなお残っていた結界に、さながら豪雨の様な弾幕が降り注ぐ。絶対的な強度を持つ結界も、こう連続で攻撃されれば壊れてしまう。ぱりん!

 

「夢符「封魔陣」!」

 

残っている霊力を振り絞り、超強度の結界を周囲に展開。周りの弾幕を弾き返し、相手の弾幕とぶつけ、時間を稼ぐ。その後は結界で身を守る。だが…………。

 

「くぅっ!」パリン!

 

僅かに足らず、結界が破壊される。俺の覚えているレベルでは、弾幕結界の耐久時間は80秒ほどだったはずだ。密度の高い戦いゆえ、忘れてしまいそうになるがまだ一分ほどしか経っていない。あと20秒ほど耐えられれば、弾幕結界、見事クリアとなる。ノースペカはきついかもしれんが。

 

「…………っ!」カスリマクルレイム

 

「………………………………はぁ」ヒュッ

 

霊夢に弾幕を撃つ。

 

「…………え!?」パァァァ

 

霊夢に弾幕が当たる………が。霊夢の体にダメージを与えることはなく、その身に出来た傷を回復させる。

アイディアル・エアガンの酸素弾。それには、回復弾としての効果を持たせてある。後は気力の勝負。霊夢ならかわしきれるはずだ。俺は、その背を押してやるだけ。

 

「あー!この程度の弾幕も攻略出来ない奴に、俺はちょくちょく負けてるのかー!」

「………ブチッ。あんたになら躱せるとでも言うの!!?」

「当たり前だろ!やっぱりお前は弱っちいよ!お前はいつまでも、俺の下だー!あっはっはー!」

 

さて、これでどうだ?

 

「だ、だ、だ、」

「誰が格下だーーーー!!!!」ゴウッ!

「(計画通り!)」

 

怒りにより心の中のリミッターを外し、極限まで集中する、そう、ただ俺への怒りのみで!

 

「こ、ん、な、の、当たるかぁーーー!!」ヒュンヒュン

結界の小さな綻びを見つけ、そこに潜り込む。後ろからの弾幕にも超反応をし、避ける。今までの霊夢は、どこか『うまく』躱す事に固執していたきらいがある。プライドをすて、ダイナミックに上下左右へと飛び回ってかわせば、霊夢に敵はいない―――――!

 

「はぁ~い、終~~了~~。よく頑張ったわね♪」

「はぁ、はぁ……。ど、どんなもんよ………!」

「ふふ、貴方達、本当に面白いわね~♪もっとも、裏切ったのは感心しないわよ?凜」

「ふふ、別に俺は手伝うとしか言ってないぜ。きちんとゆゆちゃんの命令通り、咲夜を倒した。そのあと、霊夢の手助けをちょっとしただけだ。手伝ったあと、敵に回らないとは言ってない」

「よ、余計なお世話よ………。」

「よく言うぜ。俺が回復してあげなかったら、今頃どうなってたか」ケラケラ

「…………また、力借りちゃった」ボソッ

「あ?何か言った?」

「…………ニヤニヤ」

「………なんでもないわよ。それより、人を格下呼ばわりしたんだから、覚悟は出来てるんでしょうね…………!?」

「無理すんなよ。霊力も戻ってないのに。取り敢えず、霊力も戻してやるからさ」スッ

「………余計なお世話。施しは受けないわ」

「あほ。ガキはガキらしく、大人の施しを受けるものだぜ。ましてやお前は女。二重の意味で俺の施しを受ける義務がある」

「私は!あんたのそういうとこが…………!!」

 

「何だ?」

 

「…………っっ!」

「俺のそういうとこが、なんなんだよ、霊夢」

「そ、それは………」

「言いたくないのか?」

「………………………」

「沈黙は是なり。そうか……。いいたくないか」

「……………」

「あー………。あのな、霊夢。俺は俺でしかないんだ。俺の考えていることは俺にしか分からない。それは同時に、霊夢の考えていることも霊夢にしか分からないんだ。もし俺がお前を理解するには、霊夢の考えを、俺に伝えてくれないといけないんだ。教えてくれるか?」クシャクシャ

 

頭を撫でながら話す。まだ14なのだ。俺は、この子の先導者でありたい。なぜだか、そう思った。

 

「……………………あなたに追いつきたかった。一緒に、肩を並べていたかった。貴方にとって特別でありたかったの。なのに、貴方は私を気遣ってばかり…………。いつまでも、子供扱いのまま。それが嫌で嫌で仕方がなかった」

 

そうか………。俺がこの子を気遣う毎に、この子を苦しめていたのか…………。

 

「そうか…………。うん、分かった。じゃあ、霊夢が話してくれたんなら、俺も答えてあげなきゃね」

「……………」

 

「うん、確かに俺は霊夢を対等になんか見ていない。いつも俺の後ろにいる霊夢が通る道を、最適化している。今回だって、霊夢が順当に成長してもらうため、試練を与えてるな」

 

「…………っ」

 

「ちょっと。怒るわよ?」

「まぁ待て紫。黙って聞いていてくれ」

「………………」

 

ありがとう、紫。

 

「お前の指摘通り、対等に見てないし、肩を並べてもいない。いつも俺はお前の前だ。だけど………特別じゃないわけじゃない」

 

俺の発言が気に食わなかったのか、霊夢が叫ぶ。

 

「嘘よ!貴方は誰にでも優しいじゃない!私は、数ある友人の中の1人だと思ってるんでしょ!?」

「あは、馬鹿だなぁ。一緒に住んでて、一緒に遊んで。そんな女の子が特別じゃないわけないだろう。それにお前、言ってたじゃないか。子供扱い、って。その通り、俺がここまで優遇しているのは霊夢だけ。つまり、『特別』」

「そ、それは………」

「俺の話も聞いてくれるか?そこにいる紫にこっちに落とされて、博麗霊夢という女の子に出会った。その子と暮らして、その子の可愛いところを知った」

「……………」カァッ

「いつからか、妹のように思う様になった。だから何かと手を焼いた。兄として、先輩として……………。」

「だから、特別じゃないなんて言わないでくれ。お前は俺にとって特別だ。これだけは信じてくれ」

「……………うん」

「ありがとう」

「……………」

「妹扱いはやめる。お前は、信頼できる、俺の親友(パ-トナ-)だ」

「ぱ、ぱーとなー…………。そ、それって、つまり………」ポッ

「俺と対等であり、俺と肩を並べる、そんな親友だ。それで良いんだよな?」

「………へ、あ、そ、そうね……。」

 

どうやら納得してくれたみたいだ。良かった良かった。

 

「わ、分かってたもん………。期待なんかしてなかったもん………」ボソッ

「~~~~~~!」パンパン

 

どうしたんだろうか………。なんかいきなりゆかりんが笑い出したぞ…………。幻想郷に精神病院ってあんのかな…………。

 

「取り敢えず、ゆゆちゃんの所に行くぞ、二人とも!」

「分かってたもん………分かってたもん………」ボソボソ

「~~~~~!」パンパン

 

わかってるんだろうか………。

 

二人を連れて、ゆゆちゃんの所へと移動した。

 

「よう、元気でやってるかい?魔理沙」

「これで元気に見えるのか、凜」

「ふふん、全く見えん」

「どや顔でいうことじゃないぜ」

 

魔理沙は既にボロボロだった。帽子は脱げ落ちてるし、エプロンドレスはあちこち破れている。修復が大変そうだ。

 

「あらあら紫、負けちゃったの?」

「ええ、残念ながらね」

「ふぅん。貴方が、あそこまで無傷で倒されたの?」

「いや~、惜しいところまでは行ったわよ?でも、ちょぉっと小粋な男の子が邪魔してくれてね♪」

「凜のこと?もう~、裏切ったのね~、凜~?」

「あっはっは。きちんと咲夜は倒したんだし、手伝う、という依頼は達成したはずだよ?そのあと俺がどうするかまでは決められてないしねぇ」

「むー、生意気~。」

「屁理屈も理屈の内。じゃ、倒させて貰うぜ」スチャッ

「…………………」スッ

「これで終わりか………。疲れた…………」カチャッ

「むー。仕方ないかぁ…………」

「理想神槍「スピア・ザ・グングニル」!」ヒュッ

「分かってたもん!神霊「夢想封印」!」ポワッ

「魔砲「ファイナルマスタースパーク」!」ズバッ!

「あ、ついでに私も。廃線「ぶらり廃駅下車の旅」」ズドン!

 

四方向からの攻撃。流石のゆゆちゃんといえど、かわせはしない。

 

「いいとこまで行ったと思ったんだけどなぁ…………」ピチューン

 

四方向からの攻撃が決まり、ゆゆちゃんのヒットポイントをゼロにする。

 

「お疲れ、3人とも」

「ええ。やっと終わったぁ……」

「おう、お疲れ。というか、そいつ敵じゃなかったか?」

「ふふ、異変が終われば、敵も味方も関係ありませんわよ?」

 

ゆゆちゃんが倒れている所に向かう。

 

「さて、勝ったんだから、幻想郷に春を返してくれる?」

「分かってるわよ~。でも、幻想郷全体に春を返すのには少し時間がかかるわ」

「どれくらい?」

「二三週間、って所ね」

「遅い。もう少し早く出来ないのか?」

「出来ないわよ。これが最速。」

「そう………。なら、神社の周辺から戻してくれる?異変解決したんだし、それくらいの役得があってもいいでしょ?」

「それなら構わないわよ~~。」

 

「じゃ、話がまとまったところで、帰るか」

「そうね。さっさと戻してよね、幽々子」

「全くだぜ」

「はぁーい」

「それじゃあね、ゆゆちゃん、ゆかりん。魂魄にもよろしく言っといてね」

「はいはい。今日の私扱い悪かったな………」

「メタい発言はダメだよ」

 

咲夜を担ぎ、

 

「バイバイ」

 

冥界を後にした。

 

「ねぇ」

「んー?なに?」

「その………。あなたにはお世話になっていた訳だし。一応………礼を言っておこうと思って」

「ありがとね」ニコッ

「…………あは、どういたしまして」

 

さて、博麗神社に戻ろうか。

 

「(私、空気だな)」

そんな魔理沙の悲哀など、二人は知る由もなかった……………。

 




因みに夢想封印·散は、永夜抄での夢想封印·散です。妖々夢とかのではないです。あと、魔理沙は初期の状態では弱い、という設定です。霊夢との差別化も欲しかったので。序盤では、不遇なポジションを任されまくりますので、魔理ちゃんが嫁の人は、ごめんなさい。ですが、予定では最終的に大活躍するので、それまで待ってて下されば。ごめんね、魔理沙。
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