東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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作者は物語シリーズが大好きです。


13話『宴会しようず!1』

 

「宴会をしましょう」

「宴会?」

 

短き春が終わり、徐々に夏になろうとしている七月の初め。

霊夢がそんなことを言い出した。

 

「宴会ねぇ………いやまぁ良いけどね?確か三日前もしたよな?こんなに連続でいいのかよ?」

「そう?普通じゃない?」

「確かに普通………だな。分かった、人はゆかりんに頼んで連れてもらおう。ゆかりんの所には俺が行く、霊夢は肴や酒を適当に用意しといてくれ」

「ええ。よろしくね」

「おう」

 

境内でゆかりんを呼び出す。

 

「管理人「八雲紫」」

「なに?」

「宴会をやるから、人を呼んできてくれるか?なるべく多く」

「良いわよ。用件はそれだけ?」

「気づいているよな?」

「……………」

「このうっすい妖気。規模の度合いは幻想郷全て。何が起きている?」

「…………さすがね。この妖気を感じ取れるなんて」

「答えな、紫」

「…………春雪異変、覚えてる?」

「そこまでボケてはねぇ」

「アレのせいで、春が短かったでしょう?花見で騒ぐのが少なかったのが、どうも不満みたいで」

「その口ぶりだと、誰が実行犯か分かってるんだな?」

「ええ。伊吹萃香。彼女が密と疎を操る程度の能力を使用し、自らを霧状化し、人妖の心を萃め、宴会を開かせているのよ」

「ああ、あれか」

 

東方萃夢想。黄昏フロンティアとの共同で制作した格ゲー。ストーリーはド忘れした。

 

「ふーん…………。ま、ほっときゃ解決するでしょ。それまでせいぜい宴会を楽しもう」

 

酒は飲めんが。

 

「いいの?いつもなら首を突っ込む所なのに」

「そこまで安くはないよ。紅霧異変や春雪異変に比べればこの異変は実質的な被害はない。それなら構わないさ。それじゃ、人集め、よろしくね」スタッ

 

ゆかりんの元を去る。

宴会が始まるまで、ゆっくりしようか…………。

……………………………青年寓多羅中……………………………

 

「凜、準備出来たわよー」

「おー、今行く」

 

ドタドタドタ………………。

 

下に降りてみると、数々の人妖たちが揃っていた。

 

「おお、こりゃまた大勢だな」

 

流石ゆかりん。いっぱいだ。

しばらく皆の騒ぎを見守る。楽しそうだな。

 

「凜も呑めば良いのに。宴会に来て呑まないなんてね」

「いやー、そこまで常識を捨ててないもんでね」

 

まぁ、呑んでも良いけど。

 

「呑んで欲しいか?」

「それはまあ。美味しいわよ?」

「ふぅん…………。じゃあいっか。所で、大人と子供、どっちがいいと思う?」

「はぁ?まぁ、大人の方が良いんじゃない?」

「それなら、ほいっと」ドロン

 

能力を使い、身体年齢を二十歳位へと変化させる。

 

「…………ポ-」

「あ?どうした?ぼーっとしてさ」

「え?…………い、いや、ちょっと印象変わるわねって思っただけよ?」

「あっはっは。そんなにかっこいいか?褒めるなよ、照れるぜ」

「はいはい、かっこいいかっこいい。それじゃ、ほら」

 

霊夢が器を渡してくる。

 

「乾杯」「ええ、乾杯」カチャッ

「んくっんくっんくっ…………。確かに美味い。the・日本酒って感じだ」

「でしょ?これからはお酒もずっと呑めるかと思うと、気分がいいわね」

「うーん…………。でもやっぱりいつもの大きさの方が楽だなぁ……。戻そうか」

 

能力を使用し、身体年齢を元に戻す。うん、やっぱり元の姿が一番だね。

 

「霊夢、ちょっと適当に回ろうと思ってるけど。一緒に来るか?」

「行くわ。一緒に、ね」

「うし、行こうか」

 

case.marisa&Alice

「よう、魔理沙。アリスと一緒に居るのか?」

「お、凜か。まあ、同じ魔法使いだからな」

「私も居るんだけど」

「おっと、悪いな、気づかなかったぜ」

「ねぇ。その人は私の事を知ってるみたいだけど。誰?」

「ああ、そう言えば。初めまして、アリス・マーガトロイドさん。ゆかりんに神隠しされた外来人、高橋 凜だ。よろしく」スッ

「何で私のことを知っているのか分からないけど。まあ、よろしく」ギュッ

「さあ?知らないことはないから、かもな?」

「別にいいけどね」

 

「魔法、か……………。あんまり習得しなかったんだよなぁ。やっぱり便利?」

「そこそこ、だな。ちょくちょく使うくらいか?やっぱりメインで使うのは弾幕ごっこだけどな」

「割とね。私の場合、家事やらは上海を使うし。ね、上海」

「シャーンハーイ!」

「!意識が有るのか?」

「半自律化してるらしいぞ。ゆくゆくは自律化出来るようにしたいらしい」

「それって難しいの?」

 

霊夢がアリスに問う。

 

「まあ。その為に苦労してるのよ」

「自律化か。自律するには、魂が重要な位置にあるんだが、それは分かってるんだな?」

「もちろん。ただ、魂については分かってないことも多いから…………。って何してるの?」

「ほれほれー。超回転コーヒーカップ!」グルグル

「シャンハーイ♪」

「何遊んでるのよ…………」

「ジェットコースター!」

 

ちびっこい上海の体を固定し、天狗速度でグルグル動く。回転したり速度下げたり上げたり。

 

「キャー♪キャー♪」

「あっははー!」

 

しばしジェットコースターをして、地面に降りる。

 

「ふいー、楽しかったか、上海」

「シャンハーイ!」

「そうかー。チャレンジャーだなぁ?今度はもっときちんとしたコースターでやってあげるからな」

「!上海の言葉、分かるの!?」

「ん?なんとなくな。まだまだ速くても大丈夫!って言ったよな」

「合ってる………。私以外では初めてよ、上海の言葉がわかる人は」

「シャンハーイ!」

「ふふ、良かったわね」

「シャンハーイ!」

 

アリスがこっちを向いて、

 

「良かったら、これからもこの子と仲良くしてくれるかしら?貴方が随分気に入ったみたい」

「こんなに可愛い子なら大歓迎だ。こっちこそ、よろしく」ナデナデ

「しゃんはーい♡」

「今度、アリスの所に行かせてもらうよ。コースターも作っとく」

「ありがとう」

「さて、んじゃ他のところにも行くわ。二人ともまた後でね」

「ええ」

「ああ、また後で」

「霊夢、行くぞ」

「あ、うん」

 

case.Rumia&Daiyousei&cirno

 

「リンー!」

「へ?あ、ルーミアか。お前も来てたんだな」

 

ルーミアとは既に会っている。どのように会ったかと言うと………。

 

以下回想

「そう言えば、紅霧異変で、ルーミアが出てこなかったな。夜に彷徨けば会えるかな」

 

よし、そうと決まれば。

 

「ちょっと出てくるか」

 

取り敢えず、霧の湖辺りを目指そう。

 

「都は眩しく~、影をこーろし続ける~♪この声も、途切れるか、静かに~♪くー、らやみで~♪おや?」

 

月明かりで見通せる視界の中に、真っ暗な空間を発見。しばし見ていると、話しかけられた。

 

「ねぇ」

「ん?なにか?」

「あなたは……食べられるじんっげふっ!」バタン!

 

いきなり倒れた。

 

「…………へ?」

 

闇が晴れ、金髪の幼女が姿を見せた。東方projectの超有名一面ボスだ。彼女の名前はルーミア。そーなのかー。

 

「どうした!?体調悪いか!決めゼリフが中断するほどにか!」

「訳わからんのだー…………」

「冗談はともかく。ホントにどうしたんだ?」

「うーん…………。お腹すいたのかー…………」

「腹減ったのか。ほら、これでも食うといい」

 

その辺に生えていた植物を渡す。

 

「外道なのだー…………。私これでも妖怪なのに………」

「えっ!?妖怪なのっ!?」

「見てわからないのかー!?………あう……」キュウ

「あーあー、空腹なのに怒鳴るから。所でルーミア、ここにスパイスを鶏もも肉にまぶして、バーナーで火を通した、外はカリッと、中はジューシーに肉汁が溢れ出すチキンが有るのだが」

 

もちろん温度は出来立て。

 

「くれるのかー?」キラキラ

 

もちろんやるのはやぶさかではない。が。

 

「良いよ。ほら、あーん」

「あー………」

「やっぱりやめよう」パクッ

「ガーン!………う、うう………。やっぱり外道だったのだー…………」シクシク

 

ルーミアに差し出したチキンを、そのまま食べすすめる。確かに外道の所業だ。しかし思い出して欲しい、読者諸君。高橋 凜は外道だっただろうか。外道ではないと思う人、返事してー。

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

うむうむ、いっぱいいるねー。能力で弄った甲斐が………ゲフンゲフン!そう、みんなの言う通り、高橋 凜は外道ではない。

 

「そう悲観するな。実はもう一個ある」

 

というか、ルーミア探しが難航したら霊夢に言って外で夕飯を食う気でいたからだ。

 

「ほれ、スパイシーチキン・ビッグエディションだ」

 

先ほどのチキンの優に5倍。これをメシにするには、流石に油がきつそうだ。だが、古来より油物ほど無限に食えるものはない。すぐルーミアが見つかったし、これの必要はないから、あげてもいいだろう。

 

「…………本当にくれるのかー?」

 

さっきの事を気にしてるのか、警戒してるようだが、ビッグなチキンを前に涎は隠せないようだ。

 

「早くしてくれる?これ見た目通り重いんだよ」ニカッ

「.*・゚(*º∀º*).゚・*.パァァァいただきまーす!」パクッ

 

ガツガツガツガツ…………。馬鹿でかいチキンがみるみるルーミアへと収納される。

 

「ごちそうさまー。…………あう」キュウ

「いや、どんだけ腹へってんだよ。まだ足りないか?」

「…………うん」

「うーん………歩ける?」

「無理かも…………」

「ううん、しゃーなしだな。ほれっ」

 

ルーミアを肩に乗せる。少なくとも姫だっこよりましでしょ。人里によって何か買ってあげよう。

 

「それじゃいくか、ルーミア」

「分かったのだー。そう言えば、何で私の名前知ってるのー?」

「あはは、俺はなんでも知っているからね」

 

主に原作知識で。

 

「そうなのかー」

「ちなみに、美味かった?」

 

ファミマのスパイシーチキンのようなもの。なかなかよくできたと思うのだが。

 

「美味しかったよ!」

 

うーん、実にシンプルな言葉なのに、ここまで純粋に言われると無性に嬉しくなるのは何故だろう。

 

「そいつはどうも。あ、自己紹介しなきゃね。俺は高橋 凜。人種としては外来人だ」

「知ってるみたいだけど、私は宵闇の妖怪ルーミア。よろしくね、リン」

「ああ」

 

…………………………青年少女移動中……………………………

 

「ほら、ついたよ」

 

取り敢えず、屋台を探そうか。

焼き鳥の屋台を発見。あそこで食うか。

 

「ルーミア、あの屋台で食うか」

「分かったー」

 

屋台の暖簾をくぐる。

 

「やってる?」

「ああ、やってるよ」

「じゃあ、鶏皮10個と、鶏モモ10個。味は塩でお願いします」

「まいどー」

 

ん?女の声だ。女が屋台やってるって結構珍しいような。

 

「こくっ…………って、なあっ!」

「?お客さん、どうかした?」

 

藤原妹紅。東方永夜抄のEXボス。なんでこんなとこで焼き鳥屋してんだ!?

 

「あー、失礼。少し知り合いに似ていたもので」

「はあ、そう。ならいいけど。ほら、出来たよ」

 

ルーミアが次々と焼き鳥を口にする。俺も1本貰おうか。

 

「ぱくっ。うん、美味い。やっぱ焼き鳥は皮だね」

「ありがと」

 

少し探りを入れてみようか。もしかしたら記憶違いかもしれないし。確か、蓬莱山輝夜と因縁があったはず…………。

 

「知らないなら良いんですけど、蓬莱山輝夜、ご存知ですか?」

「!さあ、誰、それ?」

 

この反応、やっぱり藤原妹紅か。

 

「そうですか、ご存知ないですか。それはそれは失礼しました」

「別にいいわよ。それより、お連れさんがまだ足りないって顔してるけど?」

 

見てみると、既に全て食い終えていたルーミアがこっちをじっと見ていた。

 

「くくっ。妹紅さん、さっきの倍おねがいします」

「あいよ………って。なんで私の名前を………」

「ふふ、秘密です。それより、豪族の貴方が、なぜこんな事をしているんでしょう」

「さあね。心境の変化って奴じゃないの?」

「教える義理はない、と。ふふ、それならそれで構いません。また娘と一緒に来ても良いですか?」

 

娘じゃないけど。

 

「お客を拒む店がどこにあるのかしら?」

「ふふっ、違いない」

「ほら、出来たよ。随分いっぱい頼むけど、ちゃんとおあいそ出来るんでしょうね?」

「金を払わない客は、ただの盗人ですよ。俺は自分を客だと思ってます」

「そりゃあいいわね。今日は儲かったわ」

 

「…………いいの?こんなにいっぱい貰っちゃって」

 

ルーミアが遠慮するような顔でそう言う。

 

「ガキが一丁前に遠慮をすんな。腹減ってんだろ?食えよ、な?」ナデ

 

ルーミアの頭を撫でる。サラサラで気持ちがいい。柔らかくて綺麗な金髪だ。ああ、いい匂いだ……。

 

「ルーミア、ちょっと膝の上に座って食ってくれるか?」

「分かったー」ポスッ

 

この状態なら、ずっと頭を撫でたり出来る。わあ、この子の髪ふわふわで、顔を埋めてしまう……。

 

「…………気持ちいい……」

 

ルーミアが目を細めて体を委ねてくる。何これかわい――――はっ!べ、別に俺はロリコンなんかじゃないんだからねっ!勘違いしないでよねっ!

 

「あんた………親バカ?」

 

妹紅さんが若干引いている。ああ、でもやめられない………。いや、ホントにロリコンじゃないですよ?

 

「親?リンは親じゃないぞー?」

「え?あんたまさか、娘でもない幼女にそんなことしてるの?馬鹿じゃないの?」

「`;:゙`;:゙;`(゚Д゚*)グハッ!!気にしないでください………。取り敢えず公序良俗に反することはありません」

「別にいいけど~。あなた面白い人ね」

「うーん、いま言われると嬉しくないんですけど………」

「でも、私を知っていながら、輝夜の名を出したのは、感心しないわね」

 

先程までの優しい視線から一転、妹紅さんが冷たい目で俺を射抜く。

 

「それはすみません。ですが、あそこで蓬莱山の名前を出すのが、最も有効だと思ったので。御無礼をお許しください」

「………………」

 

何かを探るような目を向ける妹紅さん。納得してくれたのか、

 

「ふぅん、嘘は言ってないみたいね。いいわ、貴方が私をどこまで知ってるのか分からないけど。私の前で輝夜の名を出したことを謝るというなら、許してあげましょう」

「あは、やっぱり長いこと生きてると、人の感情やらは読めるようですね。ポーカーフェイスを保っていたつもりなのですが、見抜かれてしまいました」

 

常に胡散臭い笑みを浮かべている、あの友人と同様に。常に微笑を浮かべていたのだが。

 

「そりゃあ、まあ、ね。分かりたくもない事も分かっちゃうから、いいことばかりじゃないけど、ね」

 

その表情には苦悶がにじみ出ていた。まるでサトリ妖怪のような悩みを持っているんだな………。

 

「ん、あれ?」

「………スー……スー」

 

妹紅さんと会話しているうちに、いつの間にか二十本全部食べ終わっていたルーミアが、寝てしまっていた。いっぱい食べたからだろう。

 

「ん、寝ちゃった?」

「そうみたいですね。でも、困ったな、ルーミアの家知らないんだよな。かと言って、起こすのも可哀想だし。神社には霊夢がいるしな」

 

夜に、男が、幼女を連れて帰ってきたら、まず勘違いされる。

 

「仕方ない………。やっぱり起こそう」

「待って」

「?妹紅さん、どうかしました?ああ、心配しなくても、おあいそならおいていきますよ?」

「そうじゃなくてさ。その子、私が預かるよ。どうせうちには誰もいないしね」

「…………良いんですか?」

「私がいいって言ってるんだから、いいに決まってるでしょ。さーて、店は切り上げようかな」

「夜が一番屋台の繁盛する時期ですのに。はは、俺たち、迷惑な客ですね?」

「ははっ、そりゃ違いないわね。またいらっしゃい。屋台の位置は決まってないけど、基本的に人里の近くにはいるから」

「ふふ、今度来るときは蓬莱山と一緒に来ましょうか?会ったことないですけど」

「ちょっと、やめてよね?別に誰連れてきても良いけど、輝夜だけはダメ」

「はははっ。では、おあいそはここに置いていきます。少し過剰な分は、大将の小粋なトーク代という事で」

「それくらいは料金の中に含まれてると思うけど。まあ、謝礼という事で貰っておいてあげる」

「それでは。ルーミアを頼みますよ」

 

屋台の暖簾をくぐり、屋台を出た。随分と話し込んだ。早く神社に帰ろう。

天狗化し、博麗神社へと急いだ。

 

side.mokou

「さーて、おあいそ確認しようかしらね」

普通ならば確認してから客を出す筈なのに、何故かあの客はそう言う事をしないという事を確信していた。

 

「会って2時間も経ってないのにね。不思議な人………。って、ええ!?」

 

おあいそを確認すると、代金の倍くらいの金額が入っていた。あの客(正確にはもう一人のほうだが。)はかなりの量を食べていた。それの2倍。

 

「まったく………。こんなに謝礼貰えないわよ………」

今度来たら返そうかしら………。

回想終了。

 

ん、どっちかというとルーミアの話というより妹紅さんの話なような気もする。とにかくそれからも会ったら取り敢えず食べ物を恵んでたので、いつの間にかなつかれた。そう言えば、妹紅さんの焼き鳥屋最近行ってないな…………。近い内に行こう。

 

「リンー。お腹すいたー」

「ん、飯ならそこらにあるじゃないか」

 

主に肴になる様なおつまみや、魚のお造りが、ビニールシートの上にこれでもかというくらい積まれてる。

 

「んー、そういうのじゃなくて……、もっとオイシイ、貴方が食べたいの♥」

「あのなぁ。すぐ生えるからって、痛いもんは痛いんだけど」

 

少し前、どうしても人の肉が食いたいとか言い出したので、吸血鬼並の再生能力に底上げした上で、左手の人差し指を切り落としてみたのだ。切り落とした瞬間、猛烈な痛みが襲ってきた。なんとか意識が飛ぶ前に能力で無効化したが、死ぬかと思うくらい痛かった。ルーミアは実に美味そうに俺の元人差し指を食んでいたが。

 

「宴会の時くらい我慢しろ。肴はいっぱいあるんだから」

「分かったのかー」ショボン

 

しばしルーミアと談笑していると、

 

「リン!今日こそ決着をつけてあげるわ!」

「いや、万年決着ついてるけど。俺負けた覚えないけど」

「今までは見逃してあげてたけど、今日という今日は決着をつける!」

「凍符「パーフェクトフリーズ」!」

「せめて場所くらい考えてくれるかな………」

 

広範囲に広がった弾幕を、天狗化して高速で飛び回り、霊力で作った帯で弾幕をまとめる(敵弾幕の性質を変えている。通常弾幕同士が接触すると、爆発なり相反なりするものだが、弾幕が『混ざり合う』様に変えているのだ。だから、弾幕をまとめるという荒技が可能になる)。ついでにチルノも固定。柔軟性を重視してるので、拘束する力は高くないが、妖精程度ではこの拘束を外すことはできない。

 

「このー!離しなさいよー!」

 

チルノとまとめた弾幕を上空にあげ、

 

「理想恋符「マスタースパーク」」

 

チルノは星になった…………。まあ、妖精だし。問題ないよね。

 

「ん?」

 

神社の木から、こちらを覗いている人がいるな。誰だ?

 

「よっと。そこな妖精、ちょいと構わないかい?」

「ひいっ!」

 

東方紅魔郷2面中ボス、大妖精。そういやこの子も会わなかったな。

 

「ええー、そこまで露骨に怖がられると流石に傷つく………」

「ご、ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」

「ん~、あのさ、君が怖がってるのは分かった。だけど、理由を話してくれないか?」

 

大妖精に近づく。

 

「……ひ……!」

「話してくれるか?」

 

同じ目線になって、頭を優しく撫でながら、話を促す。同じ目線で、安心させる様に言うのが、子供のうまいあやし方だ。恐怖の対象にされても大丈夫かは定かではない。

 

「………あ、あの……。去年の夏のこと、覚えてますか……?」

「去年の夏っていうと、紅霧異変の事か?」ナデナデ

「そう、多分それです……。チルノちゃんが、貴方と、赤い服の人に攻撃しに行きましたよね?」

「うん」ナデナデ

「止めようと思ったんですけど、間に合わなくて………。チルノちゃんがお二人の前に出てしまいました」

「ああー………、なるほど。速攻でチルノをぶっとばしたんだよな」ナデナデ

 

 

カレーのために。

 

 

「それをみて、その……、なんといいますか………」オドオド

「怖くなった、と。なるほどね」ナデヤメ

「………ビクッ」

 

確かに、あの後何回かチルノとやったしな。大体一発でのしてたし、更に恐怖が増長した訳だ。

 

「つまり、俺のことを知らないからそう思っちゃうんだな?」

「………え?」

「初めまして、高橋 凜だ。俺は君と仲良くしたいと思う。ダメかな?」スッ

 

手を差し出す。

 

「………いえ、そんな!ダメな訳、ないです。勝手に怖がって、すいませんでした」

 

大妖精が頭をペコリと下げる。きちんと謝れるのはいい事だけど………。

 

「今は謝罪より、大事なことがあるんじゃないか?」ニッ

「あ、す、すいませ、あ。…………あの、大妖精です。みんなからは大ちゃんって呼ばれてます。よろしくおねがいします!」

「いい子だ、大ちゃん」ナデナデ

「~~~♪えへへ……♪」

 

愛いやつめ。やっぱり天真爛漫な娘も可愛いけど、小動物的な娘も可愛いな…………ハッ!だからロリコンじゃないですって!そんな目で見ないで、読者の皆さん!

(凜………。メタ発言がすぎるぞ)

(はっ!この声は……作者!)

(このロリコン!)

(ぎゃー!作者にまで言われたら、そういうことになってしまうじゃねぇかー!)

(凜よ…………。メタるな、さすれば道は開かれん)

(分かったよ、作者!僕もうメタらない!)

(ゆめゆめ忘れるな。メタらなければ、道は開かれる。そう……ロリコン道という道がな!)

(ぎゃー!どっちにしてもロリコンになってしまうじゃねぇかー!おいこら作者、待てー!)

(さらばだ!)

(作者ーーー!てめえ、中学校でぼっちになる様に呪いかけてやる!)

 

作者との問答を終え、話を元に戻す。

 

「じゃあな、大ちゃん。君と仲良くなれてよかった」

「私も、そう思います!。それではまた後で!」

 

あれ、霊夢はどこ行った?

 

「ルーミア、凜に何かされなかった?例えば、お尻触られたりとか、キスされたりとか、局部をこすりつけられたりとか」

「わはー、膝の上に座ってと言われたことなるあるぞー?」

「…………凜………?それって本当………?返答次第では………」

 

霊夢がこちらを見ずに聞く。霊夢の持っている盃に力が入り、器が軋む。

 

「(こ、こえぇぇ!)は、はは、そんなことあるわけないじゃないか………。はは、はは」

「リン、覚えてないのかー?あ、そのあと髪に顔突っ込まれて、くすぐったかったのだー」

「……………ギギギ」ゴゴゴ

 

ゆっくりとこちらを向く霊夢。

 

「………………ちょっとオシオキが必要みたいね?り、ん?」ゴゴゴ

 

その時俺は、初めて、般若というものを目撃したのだった。

 

「神霊「夢想封印」&神技「八方鬼縛陣」!凜のロリコーン!!!」

「ぎゃぁぁぁぁ!ロリコンが公式化しつつあるーーー!!!」

「わはー、楽しそうなのだー」

「少なくとも俺は楽しくないんだけどー!ら、らめぇぇぇ!」ピチュ-ン

 

「ギャグ補正って素晴らしい……」

「…………私だってまだ若いもん」ボソッ

「あのな、ルーミアの言ってたことは嘘じゃないけど、あれには重大な理由があってだな…………」

 

……………………………青年弁明中……………………………

 

「むぅ。それなら仕方ないわね………」

よし、なんとか弁明できた。どうやって弁明したかって?企業秘密です。

 

「次のところへ行こうぜ、取り敢えず」

 

次はどうしようか。

まだまだ宴は続く、ゆっくりと回るとしよう。

 




ちなみに、霊夢の悔しがる発言は全て無意識です。ついつい、という奴です。さて、その感情に気づくのは、いつになるのやら。
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