東方理想郷~east of utopia~ 作:ホイル焼き@鮭
「~~~~♪」ギュッ
「…………そろそろ離してくれないか……?」
「や~だ♪お兄様と繋がってたいの♡」
宴会に戻ってからも、ずっとこの調子だった。いい加減周りの目がロリコンを見る目になってるので、そろそろ勘弁して欲しい。
「離れなさい。お兄ちゃん怒るよ?」
「む~。だって、好きなんだもん」
「好きだろうが何だろうが離れなさい。聞き分けのない子は嫌いだぜ?」
「むぅ…………。じゃあ……離れる………」パッ
「よし。聞き分けのいいフランは好きだぜ」
「うん…………」ジー
名残惜しそうに俺の腕をじっと見てくる。う………。
「……………」ジト--
周りが今度は責めるような目で見てくる。俺にどうしろと言うんだ。
「かわいそうに…………」
そんな思いが周りの目から見える。はぁ…………。
「仕方ない………。ほら、好きなだけくっつけば良いよ………」
「(*º∀º*)パァァァ!やっぱり好きっ、お兄様!」
「はぁ………」
一応言うが、フランに抱きつかれるのが嫌な訳ではない。俺も男だ、フランから女の子特有の甘い匂いがしたり、柔らかい感触がすれば、否応なくドキドキするし、好意を示されればテンションが上がる。だからこそ離れて欲しいのだ。
「(下手したら襲ってしまうかもしれんし…………)」
もちろん、きちんとした好き同士なら問題ないんだろうが、お互いが抱いているのは親愛だ。愛情じゃない。
「…………ジト---」
霊夢がこっちをジト目で見てくる。うぐ………。
「………………やっぱりロリコン」
「うぐぁ!」
否定したい。だが、この状況では否定できない……!
「はぁ………。もういいわよ、フランと一緒に回ればいいじゃない」プイ
「いや、そういうわけには………」
「いいから」
そっぽを向いてしまった。今は何をいってもだめだな。
「分かった。でも、お前の気が変わったら一緒に回ろうぜ、霊夢」
「………っ!やっぱりずるいわ、あなた………」
「またな、霊夢」
「…………ええ、また」
行こうとしたその時。
「フ~ラ~ン~?これは一体どういう事かしらぁ?」
「お姉さま?どうかしたの………って、あ」
見ると、レミリアが壊れたティーカップをぶら下げていた。
「フラン?もしかしなくても、これをやったのあなたヨネ?」
「う………。はい、そうです……」
「知ってるわよね?これが私のお気に入りってことぐらい。知ってるわよね?これが外の世界のもので、今は手に入らないことぐらい」
「は、はい…………」
「で。さて問題よ。この後私の妹、フランはどうなると思う?」
「……ご」
「ご?」
「ごめんなさい~!」スタコラサッサ
「待ちなさい、フラン!何度目だと思ってるのーー!!」ヒュ--
「4回目ですーーー!!!」
「そんな事聞いてないわよーー!」
「お姉さまが聞いたんじゃないーーー!助けて、お兄様ー!」
「…………グッドラック、フラン」
「見捨てないでーーーー!」
俺、一人で回った方がいい気がしてきた………。
case.kola&patchouli&meirin
よし、気を取直して、今度はあそこに挨拶しよう。
「よう」
「あっ、凜さん。こんばんは」
「あら。こんばんは」
「………ああ、凜さん………。こんばんは……」
三者三様の返答を返す。というか。
「な、なに、こぁさん………。なんか怖いんだけど………」
獣を狩る女豹のようなギラギラした目をしている……。怖い。
「いえ………。ナンデモナイデスヨ?」
「うん、なんでもない人はそんな顔しないよね」
「うう………。実はですね、凜さん…………」
「うん、大体予想つくけど、言ってみて」
「若い精が、欲しいです」
「うん、分かってたよ?でもね、泣かせてくれるかい?」
「すいません」
俺にそんなことを言われても、どうにもならない。俺はこれでもピュアな男なのだ。キスくらいならいざ知らず、最後までヤルのは心情的にきつい。
「まったく………。それくらい我慢しなさいな」
「そうは言いますがパチュリー様、淫魔にそれは酷ですよう」
「魔法で擬似的な精を作るのはどうかしら」
「それは違いますよう。男の人のアレから出てくる事に、意味があるんですぅ!」
「むぅ、わがままね………」
「わがままとかじゃなくて、ホントに意味があるんですよう」
「こぁさん」
「……り、凜さぁん………」ウルウル
「我慢してくれ」
「はぅあっ!う、うう、はい、分かりました…………」グサッ
「うむ」
「で、でもでも、シたくなったら………」
「安心しな」
「り、凜さん……」ウルウル
「そんな日はこない」
「はぅあっ!ううー、二度も裏切られました…………」グッサリ
「ふふん、悪いな」
「絶対悪いと思ってないですよね!?ううー」
「泣くなよ………。ほら、せっかくここまで来てるんだから、人里にでもよって捕まえてくればいいじゃん」
こぁさんのルックスなら余裕で釣れるだろうし。
「だからぁ、誰でもいいわけじゃないって言ってるじゃないですかぁ」
「むぅ、わがままな」
「………凜さん、私のこと、どう思ってるんですか………?」アカイカオ
「こぁ………さん………」
「エッチなお姉さんと思ってるけど」
「ε=\__〇_ ズコーそこは女の子として扱ってくださいよ!」
「え?扱ってるじゃん。お姉さんってことは女として扱ってるってことだから」
「ううー、じゃあ、どんな女の子ですかぁ!?」
「え?ヤラせてもらえるなら誰でもいい女の子?」
「ε=\__〇_ ズコー違いますぅ!私だって女の子なんですから、選ぶ権利位あるんですぅ!」
「仕方ないな………」バッ!
「んむぅ!んー!んはぁ……!凜……さん……」
「こぁが望むならやってやろうじゃないか………」バッ!
「ひゃっ!ちょ、ちょっと凜さん、ここでですかぁ!?」
「問題ない、俺とこぁの存在感を限りなく少なくした、どんな音がなろうと気にならないくらいにな」
「や、やる気になってくれたのは良いですけど、恥ずかしいですよぅ…………」
「黙れ」
「んむぅ!?………もう、キスで塞ぐなんて、ずるいです………」
「知るか。さぁヤルぞ、すぐヤルぞ。俺をその気にさせた事を後悔させてやる」
「(ほ、ホントに凜さん、どうしたんですかーーーー!?)」
…………………………青年淫魔アレ中…………………………
「………はあ………、はあ……!激し……すぎますぅ♡」
「……………」
ここで、俺の気持ちを表現しておこう。
「(ヤっちまった………。)」
「(なぜだ。なぜだ?本来の俺なら、気軽にこんなことをするはずがない。なぜだ………はっ!)」
「(まさか、ゆかりんのケーキを食べたからか………!?)」
彼女の家に行った時、幻想郷では相当に珍しい、ケーキがあったのだ。その時の俺は「おっ、珍しいな、ケーキがあるじゃないか」とか言って食べたのだ。普通のショートケーキだったが、久しぶりに食べた故、とても美味かったことを覚えている。らんちーに、俺が訪問した事は知られている。そこから俺がケーキを食べた事が分かっても不思議はない。彼女は腹いせに、俺の理性と感情の境界を歪めたのだ…………!
「(謎はすべて解けた………。ってそれどころじゃない!こぁさんに説明を……!)」
「凜…………さぁん……♡」
「うぐぁ!そんなトロけた目で今の俺を見ないでくれ、いや、見ないでくださいお願いします!」
「あの………凜さん」
「な、ななな、な、何かな?こ、こここ、こ、こぁさん」
「腰が抜けて、立てません……」
「わ、悪ぃ、やり過ぎたな」
「いえ………。凜さんの、激しくて………、その、嬉しかったです………///」
「~~~~!死ね俺の煩悩!」ドガァッ!
「凜さん!?」
「………う、うう………、もう、してやんないんだからーーーーーーー!!!!!!」
「凜さーーーーん!それ前も聞きましたよーーーっ!」
己から溢れ出るリビドーに耐えるため、俺は走り出した。自分の軽率さを恥じた。なぜ、ケーキを食べたのかと。今宵俺は、一人の女を、惚れさせてしまった。罪な男だぜ、全くよ………。
「はぁ……。ふざけてもテンションが上がらない………」
「ど、どうしたの?いきなり叫んで………」
「大丈夫?」
パチュリーと美鈴さんに声をかけられた。ああ、そうか……。能力、解いたんだっけ…………。
「うんにゃ、なんでもないぜよ………」
「なんでもなくないよ?だって性格変わってるもん」
「どうしたのかしら?お酒でも呑みすぎたの?」
二人の心遣いを感じる。ああ、癒される………。
「いや、ホントになんでもないんだ。気にしないでくれ……」ホロリ
「………何か有ったの?」
「何か有ったなら言ってよ?言わなきゃ分かんないんだからね?」
「いや、良いんだ………。ありがとう、パチュリー、美鈴」
「いや、別にいいけど……」
「あはは……………初めて美鈴って呼んでくれたね。他はみんな呼び捨てなのに、私だけさん付けなんだもん。距離があるのかなー、とか思ってたよ」
「(こぁさんもさん付けだけどね)そんなことないさ。俺、美鈴さんの事、大切な友人だと思ってるよ。美鈴さんのかっこいい所も、可愛いところも知ってるんだから」
「………あはは、何だか、照れるね///…………ありがとう。私も凜さんの事、よく知ってる。それこそ、かっこいい所も、可愛いところも、ね///」
「うん、嬉しいよ………」
「(私、蚊帳の外?)」
「うん、だからね?呼び方、変えない?ほら、まずは形からっていうかさ」
「分かった。じゃあ………。美鈴」
「うん。よろしくね……その、凜」
「///」
「////」
なんだ、普通に名前呼びしてる筈なのに、呼び方が変わるとすごく恥ずい………!
「(凜って、呼んじゃった……。それに、私のことも美鈴って呼んでくれた………。嬉しいな………。でも、凜は普通に他の女の子も呼び捨てだし。私と違って、照れたりしてないんだろうなぁ。不公平だよ………。私だけなんて)」
「め、美鈴?どうかしたか?」
「う、ううん!な、なんでもないよ?」
「そ、そうか?ならいいんだが」
やばい、調子が戻らない。こんなんじゃいかん、いつもの飄々とした俺に戻さなければ。というか、パチュリーが蚊帳の外になってる。話を修正しよう。
「とにかく、気にしないでくれるか?パチュリーと美鈴が気にかけてくれるのは嬉しいんだけどさ」
「でも………やっぱり何か有ったんだよね?私じゃ……力になれないの?」
「(これは………!また蚊帳の外になるフラグ!そうは行かないわ!)美鈴の言うとおりよ、凜。私達は、あなたの力になりたい。ダメなのかしら?」
「う………。仕方ないなぁ。そこまで言ったんだから協力してよ?」
「もちろん!」
「当たり前よ」
「うん、実はね。かくかくしかじかなんだ。だからね、二人には………仕返しを手伝ってもらおうかな」ニヤ
人を貶めたんだから、それくらいのペナルティがあるのは当たり前だよね?ゆかりん?ニヤッ
「おーい、ゆかりーん」
「え?何かしら、凜」
「ああ、ゆゆちゃんと妖夢と一緒にいるの?ちょっと報告したいことがあるんだ。ゆかりんだけに耳に入れたい事だから、ちょっとついてきてくれるかな」ニヤッ
「………?ええ、構わないわよ?幽々子、妖夢、少し席を離すわね」
「いってらっしゃーい」コクコク
「分かりました」
…………………………青年少女移動中…………………………
「それで?報告したいことってなに?」
「え?ゆかりんなら分かってくれると思ったんだけど?」
「え?どういうこと?」
二人を呼び出す。
「紫さん、見損ないましたよ!」
「あなたらしくもないわね、紫」
「ええ?ちょ、どういうこと?」
「美鈴、パチュリー」
「「はい」」
「やれ」
俺はその場を去る。
「ちょ、凜?わけがわからないわ、説明して………って!」
美鈴の蹴りを、寸前で避ける紫。
「紫さん、覚悟!」
「ええ!?ちょ、どういうこと?」
訳もわからず戦闘を挑まれる紫。しかも、お遊びであるスペルカードでの戦いではなく、本気で戦っているのだ。
「訳がわからないけど、とりあえずスキマで脱出…………あれ?」
紫は、何故か自分の能力を使うことが出来なかった。こんなことが出来る者は、この幻想郷では一人しか該当しない。
「凜………!?私の能力まで封じてるの……!?」
いよいよここまでしてくるとは、彼が本気で紫に危害を加えようとしている証拠だと、紫は思った。だが、彼女には彼がなぜそんな事をしようとしているのかが分からなかった。
「まさか………!」
紫は、少し前、ケーキがなくなり、それが凜の仕業だと知り、凜の境界を歪めた事を思い出した。
「(もしかして、それでこんな真似を…………?私は、何を歪めたか分からないくらいなのに?)」
「二人とも、落ち着きなさい、あなたたちが凜に何を聞いたのか分からないけど、落ち着いて……きゃぁっ!」
紫の体に美鈴の蹴りが命中する。妖怪ゆえ、強い肉体を持つ紫だが、妖怪の身体に、人間の拳法を学んだ美鈴の蹴りを受けて、ただですむわけは無かった。
「ちょ、私能力使えないのよ?そんな私を攻撃するの?」
「そんなの、知りません、っよ!」
「ちょっと、それ以上はやめて……!くっ、凜ーーー!!!覚えてなさいよーーー!!??」
うんうん、スッキリした。後で記憶消しとこう。
「ふぃー、ありがとう、二人とも」
「やけに呆気なかったわね」
「そうですね」
「うんうん、スカッとしたよ。じゃあ、また後でね」
「またね」
「また後で」
case.chen&ran
おっと、誰かが来たようだ。
「凜さん、紫様に何の用だったのですか?」
らんちーみたいだ。おや?
「ん?なんでそれを知ってるの?」
「いえ、幽々子様と妖夢が心配していたので、何か有ったのかとお聞きしたら、凜さんに呼ばれてから戻ってこないと仰ったものですから」
「ああ、アレのこと?だったら気にしないで。ちょっと社会常識というものを軽くレクチャーしてただけだから」ニタァ
「………な、何だか怖いんですけど…………。そ、それで、紫様はどちらに……?」
「んー?ゆかりんかぁ………」
「管理人「八雲紫」」
応じてくれるかな?記憶はブッチしておいたけど。
「う………」ヒュン
あ、来てくれた来てくれた。
「紫様!?なぜそんなにお怪我を!?」
「ら、藍………。幽々子達と談笑してたら、いつの間にこんな事に…………」
「わあ、それは不思議だね!?待ってて、すぐ治してあげるから!」パァァァ
「あ、ありがとう………。助かるわ………」
「……………凜さん、もしかしてですけど…………むぐぅっ!」
らんちーの口を塞ぐ。唇でじゃないよ、手でだよ?
「らんちー?世の中には、知らない方が幸せな事も、あるんだよ?分かったかな?」ゴゴゴ
「………………!こくこく!」サ--
「凜………?何してるの……?」
「うん?いやいや、何でもないけど?ねぇ、らんちー(分かってるよね?)」
「………え、ええ………。何でもないですよ?」
九尾として莫大な力を持つ藍は、この時、初めて、恐怖というものを感じたのだった………。
「…………?そう。ならいいけど」
「ゆかりん、傷は癒えてるけど、痛みは残ってるだろうし、少し休みなよ」
「そうね………。また後でね」
「うん、また後で」
「はい、また後で」
ゆかりんが神社の母屋の中へと向かった。ふぅ、誤魔化せた。
「藍さま~。凜くんに話は聞けましたか~?」
「うん、まあな…………。聞けた事には聞けたんだけど……。って、こら橙、またそんな呼び方して!」
「す、すみません、藍さまぁ~」
「あはは、別に凜くんでもいいって言ってるのに」
俺の性格的に、敬意を払うほどの威厳はないから、さんとかさま付は合わないだろうし、かと言って呼び捨てするような性格を橙はしてないから、君付けって言うのは、なかなか悪くないと思うのだが。
「そうはいきません!橙の教育に悪いです!」
「うわ、教育ママみたいな事言い出したよ………」
考えが固いなぁ、らんちーは。
「らんちー、凜くんが良いよ、俺は。変にさんとかさまとかつけられちゃ敵わん。俺としては、らんちーにもやめて欲しいと思ってるくらいだね」
「で、ですが………」
「おっと、同僚の頼みも聞いてくれないのか?」
「そ、そういうわけでは!……分かりました、これからもよろしくお願いします………凜」
「よろしくね、凜くん!」
「ふふっ、敬語もいらないんだけどね?」
「それはダメです。というか橙、お前が一番下なんだぞ?凜に敬語を使いなさい」
「いいじゃないですか~」
「だ・め・だ!大体だな…………」クドクド
あらら、お説教が始まっちゃった。実はらんちーのストレス発散も兼ねてると思う。
「あは、それじゃあね、二人とも」
「私はな、橙の将来の事を考えて言ってるんだぞ?もう少し慎みをもたないと、将来で…………」クドクド
「ふぇぇ、勘弁してください~」
うん、聞いちゃいねぇ。
case.yuyuko&youmu
「あ、凜さん。あれ、紫様はどうしたのですか?」
魂魄が話しかけてくる。戻って来ないから心配してたのだろう。ていうからんちーが言ってた。
「ゆかりん?ちょっと怪我しちゃってたからさ、今は神社の中でゆっくりしてると思うよ」
「そうですか…………。あれ、私達と一緒にいた時は、そんな様子はなかった気が…………」
「魂魄?」
「はい、何でしょう………って、え!?」カベドン
魂魄を、磔にする。
「魂魄、この世には、気にしない方が、身の為なってあるよね?それを選べる人は、賢いと思うんだよねぇ。ねぇ…………。魂魄は賢い子だよね?」ドスグロイオ-ラヲマトウエミ
「ひぃっ…………は、はいぃぃ」
怯えてるなぁ。可愛い。というか、二次元キャラなんて可愛いに決まってる。
「ふっ…………。いい子だねぇ」ナデナデ
「………あ、ありがとう、ございます…………」ガクガク
あはっ、ちょっと脅かしすぎたかな?まぁいいや。
「そういや、ゆゆちゃんはどしたの?」
「え、ええ、幽々子様なら、近くで酒盛りしている筈です。ああ、ほら、あそこですよ」
魂魄が指さすとこを見てみると、
「ガツガツ…………ごくっごくっ、ぷはー!」
「わあ、おおよそ女の子が出す音ではないであろう音を出してるぅ………。うわぁ………」
「…………そうですね」
「でも、挨拶はしておきたいし………。良し、行くか」
「あ、はい。いってらっしゃいませ」
「え、何言ってんの?魂魄も来るんだよ?」
「へ?私もですか?………えっと、その…………あの状態の幽々子様の近くに行くのは、ちょっと遠慮したいな~、なんて…………」
「ふっ、魂魄」
「り、凜さん…………」キタイスルメ
「お前の意向なんて知ったことじゃないぜ、ヒャッハー!」
魂魄を片手で担ぎあげ、ゆゆちゃんの所へ走る。
「きゃ、きゃああああ!た、助けてぇぇぇぇ!」
「ハッハー、助けなんて来るかぁ!ホラ、到着ゥ!」
ゆゆちゃんの所へ着いた。もう逃げ場はないぜェ、魂魄ゥ?ってか、どこぞの超能力者第一位みたいな言葉づかいになってる。気をつけよう。
「おーっす、ゆゆちゃん。元気にしてたぁ?」
「ふぁふぁ、ふぃん?ふぉれにひょうふも。ふぃょうふぁふぃたほ?」
「んー?いや、ちょっと挨拶回りしてるだけだよ。すぐ終わらせるつもりだったんだけど、みんな個性的だからねぇ、意外に長引いちゃってるよ」
「ごっくん。こくこくこく、ふぃー!幻想郷だもの~。個性的なのは当然のことよ~」
「ま、そだね。でもゆゆちゃん、流石に女の子がその食事量なのはどうかと思うんだけど」
「ふ~んだ、もう女の子なんて歳じゃないからいいんですよぅだ」
「いやいや、女は可愛い限りずっと女の子なんだぜ?ということは、ゆゆちゃんは女の子の中の女の子と言っても過言ではないぜ」
「………むぅ、またそんな調子のいいこと言ってぇ。貴方が本気でそう思ってるのは知ってるけど、勘違いさせちゃダメでしょぉ?大体あなたはねぇ……………………」グチグチ
ゆゆちゃんにダメ出しされる。だが俺は、
「(新しいスペルカードも考えなきゃなぁ。霊夢はまだまだ強くなる。ライバルたる俺が、そう簡単に負けるわけにはいかんし。切り札的なものを作っとくべきかなぁ)」
等と考えていた。
「(私帰っていいかな)」
「ようむ~!お酒もご飯も足りないわよぅ!もっと持ってきてちょうだいー!」
「は、はい、ただいま!(やっぱりこの状態の幽々子様は苦手だ………。うう、恨みますよ凜さん………)」ドタバタ
「ゆゆちゃん、呑みすぎじゃないかい?」
「うるさいわよぅ…………。面白い子に会えたから良かったけど、春の異変では裏切ったし……」
「むー、だからごめんってば。そんなにいじけないでよ~」ムニムニ
「…………ほっぺむにむにするなんて、セクハラ」
「いやー、柔らかいねぇ………。っと、機嫌直してよ~。どうすれば許してくれるのさ」
「……………ボンッ」カァァ
「ぅえ?顔赤くして、どしたの?酒の飲みすぎ?だから言ったのにさ…………ほら、お水」
「い、いえ、そういう訳じゃなくて……………」
「ん、ならどうしたんだよ」
「…………また、キスして欲しいな、なんて…………」ボソッ
「あ?なんて?」
「……………いいもん」
プイッと顔をそむけるゆゆちゃん。
「え、なんか悪いことした?おーい、ゆゆちゃーん」
顔をそむけている方向に行く。
「………………プイッ」
ゆゆちゃんがまた顔をそむける。
「…………………ささっ」
「………………プイッ」
「…………………ささっ」
「………………プイッ」
「…………………ささっ」
「………………プイッ」
あらら、相当いじけちゃってるねえ。
「だーかーらー、ごめんってば!」
超速でゆゆちゃんの前へと動き、ゆゆちゃんを抱く。
「……………むぎゅっ!」
おお、ダイナマイト!なんつってな。
「ああ、いい匂いだなぁ…………。さ、これでもう逃げられないぜ、ゆゆちゃん!答えてもらおうじゃないか!」
「(………………凜のにおい。オトコノコの、におい…………。なんだろう、決していい匂いじゃないのに、どうしようもなくクラクラする……………。安心、する……)」
「あれ、どしたの?」
「…………り、ん…………」ポ-
「っ………………」
「(可愛すぎ、だろ……………。変な気分に、なるだろうが………)」
「……………ゆ、ゆゆちゃん……」
「……………り、凜…………」
二人の唇が近づいていく。いつも悪ふざけでするようなキスではなく、もっと大事な…………。
「「な、何やってるのー!(やってるんですかー!)」」
「「………………ビックゥ!!」」
ゆゆちゃんと二人、今の状況を思い出す。
「「わあっ!なんでこんな所でキスしようとしてたんだ!?(してたの!?)」
「「ビックリしたー!あ、ありがとう二人とも!」」
「……………う、うう………。私には何もしようともしない癖に……」
「…………いえ………邪魔して、すみませんでした………」
霊夢と魂魄がどこかへ行く。
俺…………今、ゆゆちゃんとキス、しようとしたんだよな………。
「ゆ、ゆゆちゃん」
「な、なに、かしら………」
「あのさ、ごめんね?なんか、その。変な気分になってさ………」
「う、ううん、気にしないで?私も………その。凜のこと、言えないし………ポッ」
「「………………………」」
「や、やめようか。もう、このことはお互い悪かったってことで、忘れよう」
「そ、そうね。うん、そうしましょう………………。でも」
「ん?」
「凜の照れてる顔、見られた。いつも、私ばっかり恥ずかしい所ばっかり見られてるから……」
「そ、それは、その。ゆゆちゃんが…………可愛すぎた、から」
「…………………そんな事、言わないでよ………。また変な気分に、なっちゃうでしょ………?」
「………………うぐ。だって……事実だし」
「……………///。ねぇ……。今なら人もいないし…………。さっきの続き………しない?」トロ-ン
「ゆ、ゆゆちゃん…………それって…………さっきしようとしたこと以上の事、しようってこと……?」
「……………うん………」
「………………………」
………酔ってるから、だよ、な?
「ゆゆちゃん、多分君、酔ってるんだよ。気分が高揚してる時に、変な気分になったから、そうなってるんだよ。だからゆゆちゃん。もう一度考え直した方がいいよ」
「…………違うわ、凜、私は………!」
「違わない。君の今の気持ちは、酔ってる時に、俺が男だと意識したが故の一時的な物だ。だから…………その誘いには、乗れない、かな」
「……………そう。確かに、少し呑みすぎちゃったかしら、ね?ごめんなさいね、凜………。迷惑かけて。忘れて、ちょうだい……………」ウルウル
「ふふっ、少し神社で休みなよ。少し休めば、気持ちも落ち着くと思うよ」クルッ
「じゃ、俺は行くから」スタスタ
たとえそれが紛い物であろうと、己の気持ちを拒否される事は、辛い。本当に辛いことだ。だからもうこれ以上ゆゆちゃんと一緒に居る訳には行かない。それに、女の子の涙なんて見るもんじゃないからな。
yuyuko side
神社内に入ると、中から空を眺めている紫が目に入った。
「…………紫………」
「あら、幽々子じゃない。あなたも休みに来たの?」
「……紫………聞いてほしいことが有るの…………」
「……………そう。まぁ、座りなさいな」
「…………ええ………そうするわ」
神社の縁側の、紫の隣に座る。
「紫…………私ね、恋、したのかもしれないわ」
「あら。誰かしら………って、凜しかいないわよね………。ホントに、あの子ったら人気ねぇ」クスクス
紫は軽い調子で答える。彼女のそんな所が、今の私には心地いい。
「それでね…………。思いを、伝えてみたのよ………。遠回しだったように思うけど、凜は分かってくれた」
「ふーん?良かったじゃない。それで、返事は?」
「…………私の気持ちは、一時的な物だから、考え直せって………そう言ったの」
「あらあら、なかなかきつい物言いねぇ。宴会の席だったから、酔ってると思ったんでしょう」
「ねぇ紫…………。凜の言う通り、今のこの気持ちは、酔ってるからなのかしら?私には分からない…………。簡単な筈なのに、分からないのよ……………」
「あらあら、それで私の所に来たの?お馬鹿ねぇ、あなた。自分が分からないものが人に分かるわけ無いでしょう?」
「……………ふふ、軽いわねぇ…………。もうちょっと真剣に考えてくれても良いんじゃない?親友でしょ…………?」
「だって、私に聞かれても困るわよ~。そうねぇ、私に言えることは一つかしら」
「……………何?聞かせてよ、紫」
「もし幽々子が凜を狙うなら、応援してあげるわよって事。ライバル多そうだしねぇ」クスクス
「………………ふふっ。あははは!確かにね」
この気持ちが本物かどうかは、今はわからない。でも、それで良いのよ。たぶん、きっと。
「ふふっ、少しはらしくなったんじゃない?幽々子」
「あら、失礼ねぇ。私はいつでも私でしょ、紫」
「ふふっ」
「「あははは!」」
yuyuko fadeout
rin side
case.aya
ふふっ。何とかなったみたいだね。良かったよ、これでギクシャクしたら嫌だし。
「さてさて、そろそろ挨拶も終わりそうだな。あとは、霖之助くらいか?あいつ来てんのかな……」
「凜さん!」ズザッ
「げ。射命丸………」
「凜さん!今日こそ取材に応じてもらうわよ!?」
そう、射命丸文との取材の約束を、今の今まですっぽかし続けている。
「だーかーらー、俺は幻想郷の守護者。男で外来人!それ以外の情報は明かせないの!ゆかりんに言われてるんだから」
「そこをなんとか!読者が待ってるの!」
「だからどうした!」
「知らないの?何気にあなたのファン、多いのよ!?女性の方からの要望が強くあるの!だからお願い!」
「ええい、うるせぇ!俺の人気があろうが無かろうが、上司の命令には逆らえないんだ!」
「なら、一つだけ!一つだけ質問に答えてちょうだい!」
「…………言ってみな」
「凜さんの犯したい女性のタイ」
「却下」
言い終わる前に却下する。
「じょ、冗談ですって!なら、えーと、異変解決していく上で、幻想郷の数々の美女達と会ってきた事と思います。ズバリ、この中で好みの女性は!?」
「え、そんなの新聞で公表すんの?」
「興味です」
「おい、私情混じってんぞ」
「んー、好みって言ってもなぁ……。正直に言わなきゃだめ?」
「もちろん!」
「これに答えたらもうやめてくれる?」
「うぐっ…………いいでしょう!」
「んじゃ正直に言おう。あった順で言うからな」
すうっ………………。
「博麗霊夢、霧雨魔理沙、紅美鈴、小悪魔、パチュリー・ノーレッジ、十六夜咲夜、レミリア・スカーレット、フランドール・スカーレット、八雲紫、八雲藍、西行寺幽々子、射命丸文、アリス・マーガトロイド、大妖精。以上だ」
「多っ!多すぎですよ、凜さん!本気で言ってるんですか!?あと、何気に私の名前も挙げてたし!」
「もちろん本気だが。でも、全員言ってるわけじゃないじゃん?チルノとかルーミアとか、言ってないじゃん?」
あいつらは、可愛いと思うよりも微笑ましいという気持ちの方が強いんだよなぁ。
「射命丸も入ってるのは嘘じゃない。射命丸も可愛いと思うよ?」
俺の定番、ナデナデ。俺がふわふわの髪の毛を触りたいからやってることだ。できれば匂いも嗅ぎたい。グヘヘ。おなごのかをりだぜ…………。無論迷惑そうなら止めるくらいの分別はあるのだが、今の所照れ以外で止められたことはないので、この悪癖は加速していってる。
「は、はあ………。ありがとう?」
「ふむ、柔らかい。射命丸の髪の毛。ふわっふわっだ」ナデナデ
「いやー、山の中の環境でここまでするの大変なのよねぇ……って違う!」
「ん?何が違うんだよ、射命丸」ナデナデ
「いやいや、頭撫でられてほっこりするような状況じゃないでしょう!?」
「ふむ、射命丸はアレだな、記者の時は敬語を心がけようとはしているが、気を抜くとすぐ地が出るタイプだな」ナデナデ
「あー、分かっちゃう?そうなの、直したいとは思ってるんだけどねぇ………って違う!」
「おお、ノルねぇ。よし、でも射命丸はアレだな、新聞記者だな」ナデナデ
「あ、分かっちゃう?そう、私は新聞記者なの………って知ってるでしょ!」
「あはははっ。何とも面白いリアクションだ。でも、天丼ネタは三回まで。んで、そろそろ頭を撫でるのを止めて貰わないと、歯止めが利かなくなるんだが」ナデナデ
「……………はっ!まだ撫でてたの!?」
「わはは。そこは気づけよ」ナデナデ
「……………あー、気持ちいいわ…………って、もうやめてーーー!」パシッ
「おっと。可愛い所あるねぇ、射命丸」ニヤ
「記者をからかわないでくださいー!はぁ、はぁ、疲れる……」
「ふっはっはっ、これで俺の性格くらいは分かったんじゃないか?帰ってそれを記事にしなよ、射命丸」
「…………言われなくても、作りますよー…………ええ、作らせていただきますとも………では」
「おっと、射命丸、取材に協力してやったのに礼もなしかぁ?」
「頭撫でさせてあげたじゃない。それでちゃらってことで!」
「なるほどねぇ…………うん、有意義だったよ」
「こほん。それじゃ、これからも面白いネタ、期待してますよー!」バサバサ
ふふっ、また俺の知り合いの、可愛いところが見えた。いつかまとめてみるか?幻想郷縁起の付録として。
「くくっ、面白そうだな。ゆかりんに頼んでみるかぁ…………」
case.rinnosuke
それじゃあ、霖之助にも挨拶するかぁ。多分香霖堂にいるよなぁ。こういう騒ぎに顔を出さないもんなぁ。というか、萃香は人妖の気持ちを集めてるんじゃなかったか?それに抗える霖之助って…………。
「まぁいいや。とにかく行こう。俺のいる位置の理想を、香霖堂の前に………………っと」
ついたついた。やっぱ便利だねぇ。ついつい頼っちゃうね。
「こんばんはー!元気にしてたかなぁ!?霖之助くーん!」
「……………」
「うわー、そんな可哀想なものを見る目で俺を見ないでよ………」
「…………なんだ、凜くんじゃないか。ちょっと頭のおかしい子が来たのかと思ったよ」
「ううむ、間違ってはいない様な気がする…………」
「それで。何か用かい?確か今日は宴会だった筈だろう?」
「おや、知ってるのか?」
「魔理沙が誘いに来たからね」
「ふむ、なら話が早い。霖之助も宴会に来てくれるか?」
「……………悪いけど、用事があるんでね。それに、騒がしいところは苦手なんだ」
「あはっ、嘘言っちゃダメだよ。用事なんて無いでしょ」
「嘘は言ってないよ。それに、店を空けるわけにはいかない」
「わかった、なら、交渉条件を提示しよう」
「交渉条件?」
「ここは古道具屋だろ?しかも、外の世界の物を扱っている。そして、霖之助の能力では使い方はわからない…………ここまでいえば、わかるよな、霖之助?」
「君に、使い方を教えてもらえる………ということか」
「そゆこと♪」
「はぁ…………無駄だよ、今までにも外来人は来てたんだ、その人たちに教えてもらっても、道具を扱う事は出来なかったんだから」
「ふ、俺の能力、忘れたのか?」
「?忘れられる訳ないだろう、あんな規格外の能力」
「そのとおり、俺に出来ない事は少ない。もし霖之助が外の道具を個人的に使うというなら………使わせてやってもいい」
「…………それは、僕にとってはとても魅力的な提案だね」
「ふふっ、どうする?霖之助」
「………ふっ、仕方ないね」
「よし、そうと決まれば。これからの宴会とか花見には、顔出してくれよ?」
「ふふ、僕に選択権はないんだろう?」
「もちろんだ。さぁ、宴会の時間だ。俺と霖之助の位置の理想を、博麗神社に………!」ヒュン
「おっと」ヒュン
到着でございます。
「おーい、霊夢ー、魔理沙ー」
「…………なによ?って、霖之助さん?」
「なんだ?って、香霖じゃないか。なんだよ、私の誘いには乗らなかったのに、凜が誘えば来るのか?」
「やぁ、二人とも。今日の僕は上機嫌だから、たまには悪くないかと思ってね」
「?何かしたのか、凜?」
「さぁ?俺にも霖之助の気持ちなんか分からん。」
「おいおい、約束は守ってくれよ?」
「ふっ、そっちこそ」
「「??」」
「まぁなんにせよ、せっかく来たんだったら、呑もうぜ、香霖!」
「ああ、そうさせてもらうよ」
二人は飯がある所に行った。
うーん、早まったかな?あんまり外の技術を知りすぎるのは、ダメかも?いや、ゆかりんは幻想郷の生活基準自体はもっと高くあって欲しかったはずだ。それに、霖之助1人位なら問題もないでしょ。
「……………ん?霊夢は行かないのか?霖之助とは小さい頃からの知り合いだろ?」
「ねぇ……………。なんか、変な妖気を感じない?」
!やっぱ気づいたか。流石だな。
「ん?まぁ、そう言われてみれば。そんな気もする」
「でしょ?だから、ちょっと調べに行こうかと思って」
「あは、熱心だねぇ。いいよ、行こうか」
「………………付いてきてくれるの?」
「ふ、当たり前じゃないか。さっさと行こうぜ?」
「…………………ええ!」