東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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言い訳させてもらうと、作者は料理やったことありません。凜が料理できる設定にしたのを若干後悔しています。webページを全部凜に言わせただけです。すいません。あと、文が料理できないのは、毎度のごとくおり設定です。文ちゃんずっとスクープを探しまくって外出してるだろうから、料理とかする暇なさそうだなぁ………って思ったからです。


17話『前回の引きから、香霖堂回だと思った?残念、文ちゃん回だ』

 

伊吹との全力の戦闘など、様々な事が有った宴会が終わった、その翌朝、俺は。

 

「…………うぅ、痛い、痛いよぉ………」

 

筋肉痛で悶えていた。

 

人間は、百パーセントの力を出せない事をご存知だろうか。百パーセントの力を出すと、肉体がその負担に耐えきれないため、脳がセーブをしているというあれだ。

なぜこんな話をしたかというと、実は俺は、化人符を使うときに、肉体を天狗やら鬼やら吸血鬼やらにしている訳ではない。天狗なら、人間の肉体のまま、ただ『速度』のみを能力で引き上げている。鬼なら、あくまで、『力』のみが、人間の肉体のまま引き上げられているのだ。天狗の場合は、翼というアクセラレータを生やす必要があったりするが。

 

それが何を意味するかというと、人間の出せないような力を、能力で無理くり出しているわけだ。当然、肉体には多大なまでの負荷がかかる。だからこそ、スペルカードでの化人符は、発動する時間が短いのだ。弾幕ごっこ中に倒れるなんざ論外だから。

普段の化人符が十秒ほど。昨日の戦闘ではほぼずっと、使ってたので、絶大な負荷が体を襲い続けている訳だ。まぁ、痛み止めとかは能力で最高の物を使ってるから、動けないほどじゃないけど……………。

 

「ああ、そういや霖之助と約束してたっけ…………。うし、行くか」

 

気合を入れて立ち上がる。霊夢はまだ寝ている。俺が寝たあとも宴会は続いて、さらに霊夢は片付けもやっているので、おそらく今日一日は眠り続けると思う。ゆっくり寝るといい。

 

「さぁて、香霖堂に行きますか………あー、体いてぇ……」

 

縁側に続いている部屋に入り、縁側から外に出ようとすると。

 

「号外ー、号外ですよー」

「射命丸…………何配ってんだ?新聞っぽいけど」

 

風に乗って流れてきた一つを、掴んで読んでみる。

 

「えーと………『謎の多い外来人、高橋凜の素顔に迫る!』?まんま週刊誌じゃねぇか………というか、もう出来たのか………。えーと、『幻想郷に突如現れた外来人、『高橋 凜』さん。これまでにも幾度か外来人が訪れるケースはあったものの、長期に渡って滞在するケースは彼が初めてである。本人曰く、『幻想郷の守護者』とのこと。これについての質問を、私がしたところ、「んー、なんだろうなぁ……なんとなく、守護者って言葉がしっくりくるからかな。どーでもいいけどー」とのことだった。うまくはぐらかされた感じである。だが、全く無意味な嘘っぱちと言うことはなさそうだった。彼の存在が、何を意味しているのか。我々は今後も追っていきたい』?へー、結構新聞って感じなんだなぁ………」

 

この後も俺の性格などが載せてあり、なかなか面白かった。そして、1つ、小さなコラムが有った。

 

「『人里では、その好青年っぷりが要因で、彼に対する好意を抱くものも多いようだ。私もその性格には好感が持てた。そこで、多数の要望により、彼の好みの女性を尋ねてみた。初めは渋っていたものの、私が体を使って懐柔すると、直ぐに教えてくれた。彼はここで会った女の子のほぼ全てを答え、私を仰天させた。彼は意外と、好色なようだ。人里に住まう人々で、彼に好意を持っているのなら、思い切って告白してみてはいかがだろう。意外といい返事がもらえるかもしれない。ただ、彼の人気は高いため、もしも成功したのなら、後ろから刺されないよう、注意が必要だ』ぁ?おいおい、何煽ってんだよ!?誇張が含まれすぎだろ、この新聞!?ちっ、射命丸を止め……っ!体痛いの、忘れてた……」

 

仕方ない、射命丸の方から来てもらおうか。

 

「………ふー………はぁっ!」

 

霊力を全開にして、存在感を出す。

 

「………!?」

 

射命丸がこちらに気づく。

 

「……………クイックイッ」

 

手招きして、射命丸を呼ぶ。左手には新聞を持って、顔は笑顔で!ただし、目は笑っていない。

 

「………………ゾクゥッ!い、イマイキマ-ス」ブンッ

 

「な、なんでしょう……」

「………………射命丸」

「……は、はい………」

「火と水と風。どれが好きかな」

「か、風で·………」

「じゃあ火ね。重力「アイディアル・グラヴィティ・改良版」」

 

真っ赤な火で射命丸を囲って、重力をかける。

 

「た、助けてください!悪気はなかったんです!ただ、書いてる時にノっちゃいすぎただけなんです!ですからご慈悲を!」

「うんうん、分かってるよ?助けてあげるからさ」

「り、凜さん…………。ありがと、」

 

「生きるという苦しみから」

 

「理想神霊「夢想封印」理想恋符「マスタースパーク」理想神槍「スピア・ザ・グングニル」理想廃線「ぶらり廃駅下車の旅」」

「…………へ?」

 

「………………ご、ごめんなさい~~~~!!!!」ピチュピチュピチュピチュ-ン!!!

 

「……………きゅう~」

「………はぁ………面倒なことになりそうだなぁ………」

 

ま、射命丸の新聞を読んで、しかも信じる奴なんて少数だろ。

 

「取り敢えず、残りの新聞は焼却処分して…………。そうだ、射命丸はどうしよう」

 

別に能力で起こしても良いけど…………さっき能力使って結構疲れたしな…………。

 

「良し、持ち運ぼう」

 

射命丸、せいぜい俺のリラックスに役立ってもらおうじゃないか。文ちゃん型抱き枕として。

 

「うーん、マーベラス………。女の子っていい匂いするよなぁ……………」

 

さーて、香霖堂に行こう!

 

…………………………青年抱き枕移動中………………………

 

「うへぇ、体いてぇ………。流石に人間体で女の子を持ち運ぶのは無理があった………」

 

イイコトも有ったからいいんだけど。

 

「霖之助ー。来たぞー」

 

side rinnosuke

「霖之助ー。来たぞー」

 

やぁ、僕は森近霖之助だ。古道具屋の香霖堂の店主をしている。いつも通りたまに来るお客様の相手をしたりして1日を過ごしていたら、凜くんがやって来た。

 

「おっす、おら凜!宴会してたのに起きてるとは、流石半妖だな!」

「……まぁね。君と約束したんだ、僕が起きているのは当然だろう?」

「まぁな。さぁて、取り敢えず、使い方が分からないもんを片っ端から持って来い」

「もう用意してある。というか………その君が持っているものにつっこませてもらって良いかな」

 

明らかに人を持っている。誰がどう見ても誘拐犯にしか見えない。

 

「え………そんな、つっこむだなんて…………霖之助、はしたないよ………?」

「うんそういう意味じゃなくてね。見たところ天狗のようだけど?」

「知ってるだろう?文々。新聞の製作者だ」

「………ああ、あれか」

「まぁ気にするな。抱き枕だ。いい匂い+あったかいというスグレモノだ」

「ほらほらー、早く出してちょ」

「うんまぁ…………良いんだけどさ」

 

この子は時々どころじゃなく意味がわからない。

 

「まずはこれだ」

 

四角い箱のような物を取り出す。

 

「これは冷蔵庫と言うらしい。どうやら、食材等を保存できるらしいが…………。電気を流しても何も起きない」

「ん?電気流してんなら普通に使えんだろ………って。冷媒のパイプが壊れてるじゃねぇか。しかも中身ねぇし。これじゃ使えねえわな」

「冷媒?」

「んー、俺化学嫌いなんだけど………。えーと、何だ。そもそも冷蔵庫が冷えるのは、この壊れたパイプに本来入ってる冷媒ってのが冷蔵庫内の熱を奪っているから。それで低温にすることで保存が出来るわけさ。冷媒が熱を奪い気体になると、圧縮機に集められ、気体を圧縮して再度液体に戻す。そして冷蔵庫の外へと出ていき、熱を捨てる。そしてまた冷蔵庫の中に行き、熱を奪う。これが冷蔵庫の原理………だったはず」

「…………悪い凜くん。さっぱり理解できないんだが…………」

「んー、まぁ、使えないって事ね。ゴミだから捨てた方がいいかもね」

「……………そうか………残念だな」

「ま、次行こうぜ。取り敢えず使えるかどうかだけ判断する。原理とかの質問はそのあとな」

「わかったよ」

 

取り敢えずどんどん道具を出してみる事にする。

 

「次はこれだ」

「炊飯器。スイッチを押すだけでご飯が炊けるらしい」

「おー、懐かしいなぁ………。………ん、表示がバグれてる。それに、スイッチを押しても反応なし。おそらく中の回路に問題がある。次」

 

「浄水器。汚水でもきれいな水になるらしい」

「げっ、設定バグれてんじゃねえか!こんなんで浄水できるかよ!しかも古すぎで全然浄水できないぞ!?次!」

 

「ゲーム機だ。どうやらこれで遊べるらしい」

「うおっ、幻の初期ゲームボーイ!そうか、これも幻想入りしちまったか…………。でもここの電気ってコンセントオンリーだよな………使えねぇじゃん。だが一つもらおう、次」

 

「テレビジョン。ここに映像が映るらしい」

「そもそもここ電波通る電線ないだろう。意味なし。次」

 

「カメラだ。風景を切り取り、記録できる」

「射命丸もそんなの持ってたな。どれ………おお、なかなか新しいじゃないか。これなら…………って。ビデオカードがねぇ…………勿体ねぇな………次」

 

「携帯電話。遠く離れていても言葉を交わすことが出来る。

「だから電波ねぇって。…………あ、でも、トランシーバー機能ついてる。しかも電源は少し残ってるし、いっぱいあるから無線機としては使えるな?一応充電して電源マックスにしておく」

 

………………………霖之助原理勉強中…………………………

 

「ふぅ…………やはり興味深いな………外の技術は」

「まぁなぁ………。でも河童は外と同レベルの技術があるんだろう?」

「確かに彼らの技術力は高いんだが………それでも外には及ばないし、彼らの技術は門外不出でね。作品を買うことは出来るんだが、高価だし、分解しても仕組みが全くわからない」

「ふーん、幻想郷も大変なんだねぇ…………」

「それで、次はこれを見て欲しいんだが……………」

「見せてみ」

「パーソナルコンピュータ。これ一台で、様々な情報を見ることが出来る。特にこれが使えると嬉しいんだが…………」

「んー、パソコンか………ははっ、古いなぁ………一応windows2000ならそこそこスペックはあるけど…………。モデムやら回線やらないし、そもそも幻想郷には博麗大結界のせいで電波が遮断されている。普通に使えないな」

「……………そうか………」

「パソコンは情報収集機として使うには、結構な手順がいるから。幻想郷では成り立たないね」

 

「………………………」

 

「ま、そう気を落とすな。ほらあれだ、炊飯器直したからさ」

「……………ありがとう、そうだね」

 

電波、か……。やはり、外の世界に言って、学びたい。自分で体験して、初めて意味を持つものなのだ。

 

「まぁ、今日は色々と勉強になったよ。パーソナルコンピュータが使えないのは残念だが…………」

「あっは、ごめんねぇ。謝礼の証に、この文ちゃん型抱き枕をあげよう」

「……………いらないよ」

「あっは、やっぱり?まあいいや、他に聞きたいことが無いなら帰るけど?」

「もう大丈夫だよ。ありがとう」

「あっは、じゃあね」

 

彼の話はとても興味深かった。だから、俄然外への興味も強くなる。僕はより一層、外へ行ってみたいと思うのだった。

rinnosuke fadeout

 

side rin

「流石にパソコンみたいに複雑な機械は面倒だよなぁ。まぁいいや。……………そういやこいつ、全然起きねぇな………。おーい、しゃめーまるー、起きろー」ペシペシ

「…………う……んん………」

「起きねえと、カメラ壊すぞ?」

「…………そ!それだけは勘弁して~!」

「お、起きた。ねぇねぇ、文って呼んでいい?」

「…………い、いきなりですね…………まぁ、いいですよ?」

「じゃ、文で」

「ええ…………そう言えば、男の人に名前を呼ばれるのは初めてかもしれません」

「おー、そいつは光栄だ。文の初めてが俺だとは」

「………そ、その言い方だと誤解を招くような…………」

「所で文、今の状況、どう思う?」

「……………へ?……………って!何ですこの状況!」

「え、俺が、文を抱いて、飛んでいる状況?」

「そう言う事じゃなくて!」

「へ?文の黒髪サラサラだし、体は柔らかいし、いい匂いするから、最高?」

「…………………そ、そんな恥ずかしいこと、言わないでください…………って!ラブコメ雰囲気でもなくて!」

「んだよー、何が言いたいんだよー?」

「………………こ、この状況、あの、その、恥ずかしいと言いますか…………でもなんか安心するって言いますか…………。とにかく、そう言う事だから離れてください!」

「あっはー、どういう事だかわっかんないなぁ。文があったかいのが悪いのだ。故に離さん」ギュ-

「ほ!ホントに離れてぇぇぇ!」ドンッ

 

「へ?……………ぎゃあああああ!!!落ちるぅぅぅぅ!」

 

「あ」

 

やば、体が痛くて集中できねぇ………!そのまま俺は落下して、意識を失った。

 

 

「ん、あれ………?確か俺、落ちて、気を失って………どうなったんだ?」

「って…………もう昼か……」

 

目を開けると、太陽は真上から光を射しており、昼であることが窺えた。というか、頭の下が妙に柔らかいんだけど…………。

 

「ん?……………あ」

「スー………スー…………」

 

視点を頭の上に上げると、そこには眠っている文の顔が。

 

「そうか、膝枕か…………」

 

柔らかいなぁ…………。って、やば、起きたと思ったら眠く………。ああ、もう少しくらい、このラッキーに甘えても良いかな……………。

 

「「スー、スー…………………」」

 

……………………………青年少女爆睡中…………………………

 

「………………ん………」

「…………お、起きてください………」ペシペシ

「……………んぅ、あと5分………」

「…………そんなテンプレみたいな寝言言ってないで、起きてください………は、恥ずかしいですからぁ………!」

「うぬぅ、分かったよ霊夢………今、起きるから………ぁ!」

 

そう言えば俺、つい寝てたんだった!

 

「悪ぃ文!今どく…………ぅぐぁ!」

「……………だ、大丈夫です?」

 

勢いあまり過ぎて、文と頭がごっつんこした。

 

「~~~~~~!い、石頭……」

「そりゃ、天狗ですから」

「……………………所で、何でこんな嬉しい状況になってる訳?」

 

超美少女に膝枕されている状況。男なら誰しも羨むシチュエーションだろう。

 

「………あっははは、あまりの恥ずかしさについ全力で投げ飛ばしてしまって。…………言い訳させてもらうと、凜さんなら大丈夫かな~っと思ってたので」

「そりゃあ、いつもの俺ならね。……………ま、これで再確認出来たでしょ?意外と俺が脆いってことがさ」

「………あはは………。スミマセン………」

「ん、いいよ。もともとは俺が悪いからね。…………まぁ、更にその元を辿ると、お前があんないらん記事を書いたからだけど」ジト-

「あはは………………ゴメンナサイ、ワタシガワルカッタデス」

「ま、結局は役得だったし良いけどね………………」

「……………………所で」

「ん?」

「そ、そろそろ足が痛くなってきたので、どいてもらえないかな~なんて思ってるんですが」

 

よく考えればここは外だ。それだけでも足が痛くなるだろうし、あれから数時間経っている。何と日が落ちようとしているくらいだ。

 

「そう?じゃ、どくか………」スッ

「ホッ…………」

「ふははー、んな訳あるかー!」

 

文の膝の上で頭をグリグリとこする。

 

「あやっ!?~~!!い、痛い!痛い~!」

 

膝に強い負荷がかかり、悶える文。

 

「はっはー、思い知ったか!人を貶めるとろくなことにならないと!」

 

流石に可哀想なので、どいた。

 

「…………わ、分かりましたよぅ……もうしないですよぅ……」シクシク

「なら良し」

 

「所で、ここって妖怪の山じゃないか?こんな所にずっといたら哨戒の天狗に見つかるんじゃ?」

「あー、大丈夫ですよ、私がいますからね」

「え、文ってそんなに偉いの?」

「あはは、まさか。……………そういうわけじゃないですけど、私は異端児ですからね。哨戒役の白狼天狗も、関わりたくないって思ってるから大丈夫ですよ」ケラケラ

「……………異端児、ねぇ………ま、大事にならないならそれで良いよ。別に文が異端だろうと何も変わらないしー」

「……………ええ、そうですね!まぁでも、あんまり長居し続けると流石にアウトですから、早めに出た方がいいですよ?」

「えー、役に立たないなぁ。文が居れば妖怪の山でも自由に動けると思ったのにー」

「酷いですねぇ。私をここのパスみたいに扱う気だったんですか?」

「むしろ文の価値それ以外に有るのか?」

「酷いっ!」

 

「取り敢えず………………お腹すいた…………」

「そう言えば私も…………食べなくても死なないけど、若干習慣づいてるから…………」

 

今日は朝食べてから何も食べてないのである。それは文も同じだろう、拉致したし。

 

「よし、せっかくだし。どっか一緒に食べに行こうか」

「いいですね。取り敢えず何か食べる事にしましょうか」

「なら、良いところを知ってるんだ、そこにしよう」

「別に良いですけど…………何のお店ですか?」

「そこは行ってからのお楽しみと言うことで。さ、行こう」

「そうですね………あっ!」

「どうした?」

「…………足が痺れて、立てないです」

「えぇ……………あんまり能力使いたくないしなぁ…………」

 

まだ体が痛いのに、能力を使うのは避けておきたいところだ。

でもお腹すいたのに待つなどは嫌だ。

 

「仕方ないなぁ……………姫抱っことおんぶ、どっちがいい?」

「え、その二択なんですか?」

「因みに体が痛いから、おんぶの方がありがたい」

「………………じゃ、じゃあ…………お姫さまだっこで、お願いします///」

「え、この流れでそっちなの?」

「…………べ、別に良いじゃないですか…………私だって女の子何ですから、そうゆうのに憧れて、何が悪いんですか………」

「いや、別に嫌ってわけじゃないけどさ。1000歳以上生きてるのに女の子っていうのは、ねぇ?」

「女の子はいつまで経っても女の子なんです!い、いいですから、ほら!」

 

手を出してくる。ま、いっか。

手を取って腰を抱えて、背中と腰を両手で持つ。

 

「しっかり掴まってくれよ?」

「う、うん…………」ギュッ

 

文が手を俺の首に回す。上半身が持ち上がる形だ。

 

「……………ち、近いんだけど」

「…………………///」

 

離す気はないご様子。

無駄にドキドキしつつ、俺は目的の店へと向かった。

 

…………………………傍見カップル移動中………………………

 

「よ、良し、到着」

 

文の体を下ろす。流石にもう歩くくらいなら出来るだろうし。

 

「…………………あ………」

 

なんで幻想郷は、こんなに可愛い奴多いんだよ…………。やめてくれよ、そんな目で見るのは。

 

「ほらほら、さっさと行くよ?もう歩けるだろう?」

「…………え、ええ………行きましょう」

 

「こんばんわー。久しぶりです、妹紅さん」

「ええ、久しぶり。今日はデートかしら?」

「あやっ、そういう訳では……」

「あはは、そんなわけないじゃないですか」

「……………………あやや」

「そうかしら?いつもあなたは1人で来るじゃない」

「………あっははは、まぁ、そうなんですけど」

 

俺はこの店に来るとき、一人で訪れるようにしている。あんまりイレギュラーな行動は避けたいからだ。

 

「…………所で凜さん、もしかして悪意が有ってここにしたのかしら?」

「…………えー、何のことぉ~?ボク分かんないなぁ~」

「もしかしなくてもここ、焼き鳥屋でしょう?」

「ええ、そうね」

「絶対悪意ありますよね!?鴉天狗に鳥を食べさせる気ですか!?」

「あっは、共食いだね?でも食わず嫌いはいけないよ、文~?妹紅さん、鶏モモ一本」ニヤニヤ

「はい、どうぞ」

「い、い、嫌ぁ………来ないでぇ………!」

「グッヘッへ、助けは来ないぜぇ………さぁ、Let's

cannibalirm!」

「……い、嫌~~~!!!」

 

………………………………少女共食中……………………………

 

「う、うう…………美味しい………美味しいのに美味しくないぃぃ」

「(∩^o^)⊃━☆°.*・。良し、カニバリズムが終わったところで次に行こう。妹紅さん、それじゃあ」

「え、これだけ?」

「すいません、目的がカニバリズムだけだったので。ほら文、行くよ」

「う、うう…………すみません、鶏さん…………」ガタッ

「次はどうしようかなぁ………結構第三次産業が少ないんだよなぁ………みんな家で作るからねぇ」

「……………そ、そういうことなら…………私の家に来ますか………?」

「え、文ん家に?行ってもいいの?妖怪の山でしょ?」

 

興味はあるけど。

 

「大丈夫です、要はバレなきゃいいんですよ、バレなきゃ。バレても少しくらい見過ごしてくれるでしょ」

「んー、なら………そうするか」

 

結局。

 

「文さん、いくら貴方が鴉天狗といえど、部外者を山の中に入れるのは……………」

 

バレました。文パスもほとんど意味なし。やっぱり正面から入るのは無理があった。

 

「別にいいじゃない。少しくらい良いでしょ、椛」

「いけません!ここは天狗の縄張り、部外者は侵入禁止です!」

 

「(はぁ………。文、ここは1つ俺に任せてくれ)」コソコソ

「(え、どうするつもり?)」コソコソ

「(まぁ黙ってみてなって)」コソコソ

 

仕方ないから能力使おう。ちょっと疲れるけど…………。

 

「ほう?天狗も落ちぶれたものだな。この程度の変化すら見抜けんとはな」

「なんだと?貴様、我々天狗を愚弄するか!身の程をわきまえろ、人間風情が!」

「そちらこそ撤回するがいい。人間風情、だと?はっ、笑わせる!愚かな白狼天狗よ。愚鈍な貴様もこうすれば理解できるだろう?」

 

能力を使い、体を鬼へと変化させる。角が生え、体に妖力が溢れるのを感じる。

 

「なっ!?お、鬼だと!?バカな、なぜ今更この妖怪の山を訪れる!」

「ふん、古巣を見に来ただけだ。そこを通せ、白狼天狗。身の程をわきまえるのは貴様の方だ!」

「くっ………。て、天魔様に報告を…………!」

「おっと。良いのか?天狗は鬼には適わぬ。それは天魔であろうと大天狗だろうと変わらん。もし報告などしたのなら…………天狗は潰され、この妖怪の山の秩序は崩れる。貴様はそれを是とするのか?」

「…………だ、だが…………」

「勘違いするな、白狼天狗。貴様一人を潰して亡き者にするなど容易いのだぞ?事をそれで隠蔽しても良いのだ。我はただ、古巣を邪魔される事無く見られればそれで良い。天狗と争う気はないのだ。貴様は黙って哨戒に戻り、いつも通り過ごせば良い。頭の回る天狗のことだ、もう結論は出ているだろう?」

「……………分かった、要求を呑もう。行きますよ、文さん」

「あやっ!?私も!?」

 

げ、文が連れ去られる。んー、どうしようかなぁ……………。

 

「待て白狼天狗」

「なんだ?まだ何かあるのか」

「古巣を効率的に見るために、案内の天狗が欲しい」

「…………なんだと?」

「案内をよこせ、と言っているのだ。拒否権などないぞ?」

「…………くっ、仕方ない………私が行く」

 

げげ、このままじゃ椛が同行することになるじゃん。軌道修正軌道修正っと……。

 

「いや、そっちの天狗をよこすがいい」

「…………なぜだ?案内なら私でも構わないだろう」

「どうやら天狗は記憶力がないらしい」

「………………いくら鬼といえど、我々を侮辱するな」

「忘れたのか?鬼は酒豪であると同時に、好色家でもあるという事を。単純に、そちらの方が好みだからそうせよ、と言っているだけだ」

「……………っ!この下衆め……!」

「…………さぁ、どうするのだ?断れば容赦はしないぞ?」

「く…………!すみません、文さん………!」

 

椛が去る。ふいー、何とかなったぁ………。

 

「ぅあー………つ、疲れたぁ………肉体的にもだけど精神的にも…………」

 

カリスマ全開で頑張った。カリスマがこんなに疲れるとは思わなかった。

 

「でもまぁ、なんとかなったか。良し、行こうぜ文………ん?」

 

ボーっとしている。どうしたんだ?

 

「………………か」

「か?」

「かっこよかったです!」

「……………はいぃ?」

「かっこよかったですよ、凜さん!とっても堂々としてて!」

「は、はぁ………。うんまぁ、ありがとう…………」

「……………あ、でも」

「なに?」

「いくら私の家で二人っきりでも、襲っちゃダメですからね?」

「………………バカな事言ってんじゃねぇよ………。襲うわけないだろ?」

「えー、ちょっとは考えなかったんですかぁ?私みたいな超!美少女と二人きりですよー!?殿方ならこう、ムラっとくるシチュエーションじゃないですか!」

「うんまぁ別に間違ってないとは思うけど。自分で言うことではないし襲われる側が言うことでもないよね」

「ほほぅ…………ムラっとくる事には来ると。メモメモ………『高橋 凜は、私の魅力にメロメロとなった』っと………」

「文花帖のページ全部白紙にしてやろうか?文よ」

「ごめんなさい調子に乗ってました何でもするので手帖だけは………!手帖だけは許してください………!!」

「ほほう……………何でも?」

「ぅえ?」

「『何でもする』ねぇ………。何でもって、何でもってことだろう?あーんなコトやこーんなことまで、全部、だな……?」

「ま、まさか凜さん………わ、私に乱暴する気ですか!?エロ同人みたいに!」

「………文がなぜそんな発言が出来るのかは置いておいて、クックックッ…………さぁ、どうかなぁ………?」

「…………わ、分かりました。女に二言はありません………。さぁ、どうとでもするがいいです、凜さん!」

「クックックッ…………いい覚悟じゃないか…………ならば聞いてもらおう、文よ、貴様に与える命令は……………」

 

 

「あの~、凜さん…………?」

「何?」

「なぜ私は…………抱きつかれながら料理をしているのでしょうか………?」

「んー?文が可愛いから?」

「いえそれは当然のことですけど。なんというか、その………意外でしたねぇ………『後ろから髪に顔を埋めさせろ』なんて」

「何だ文よ、本当にエロ同人みたいに乱暴される気だったのか?いくら俺がハイスペックイケメンとはいえ、自分から期待するなよ、痴女くさいぞ?」

「わー、さすがの私もびっくりなまでの自己評価ですねー……」

「そういえば文よ、敬語に戻ってるな」

「…………ああ、そうでしたっけ。凜さんの前は敬語じゃなくていいんでした。………………もういいですかね?正直、地よりこっちの方が使ってるんで」

「え、そう?…………うーん、まぁいいけど。あ、じゃあ敬語は良いから呼び捨てにしてくれ。さん付けとかさま付はホントにムズムズすんだよ」

「え、そうなんですか?………じゃあ、凜で」

「敬語なのに呼び捨てってのもアンバランスだけどねぇ……」

 

状況説明が遅れたが、既に文の家の中である。今は貯蓄してある食材で料理を作っているところである。俺がひっついてるせいで作業が全体的に遅れているが。

 

「………………あー、いい匂い……」

「ひゃっ……………くすぐったいですよぉ…………」

「あっは、我慢してくれ」

「もう………。エッチなんですから…………」

「そいつぁ悪うございましたねぇ………」

 

………………………………2人料理中……………………………

 

「なぁ、文よ………」

「なんでしょうか?さ、早く食べてください」

「いや、途中から全く見ていなかった俺が悪いとは思うんだけどさ…………」

「何か、問題でも?」

「今、俺の目の前に有るのは………カレー、だよ、な?」

「はい、見た目通りに」

「俺の知るカレーは、茶色だった筈なんだが…………なぜ青い」

「画期的ですね!」

 

そういう話ではない。

 

「あ、青いカレーかぁ…………。ま、まぁ、見た目よりは悪くないかも…………。とりあえずひとくち…………パクっ………!?」

 

名状しがたい味が口に広がる………。とりあえず毒性はない、が。劇的にまずい。味は、カレールー+なんか甘い味+何故か酸っぱい味+なんか苦い味+なんか妙な旨み+なんか香ばしい味である。食えないわけじゃないのが逆にきつい。こんなに冷静に感じ取れるぐらいには食える。が。食えると食いたいは別である。

 

「ど、どうでしょう」

「お前がどういう反応を求めているかによる」

「そりゃまぁ、美味しいって言ってくれた方が嬉しいですけど」

「じゃあ言おう。劇的にまずい」

「ガーン………!な、なぜでしょうか……?」

「一つ聞くけど文、お前ルーに何を入れたんだ」

 

食材はあっているのである。人参、玉ねぎ、牛肉、じゃがいも。切り方はひどいけれども。どんな液状のものを入れたのか。

 

「えーと、カレー粉に、ブルーシロップに、レモン汁に、抹茶粉に、昆布に、オイスターソースです!」

「ないわー…………」

「え、だって全部美味しいですよね?」

「うん、良いもの×良いものがよりいいものでは無いというのは常識だからね」

「……しょ、衝撃の事実です……!」

「うん、取り敢えず食えたものではないからさ………」

「ま、俺は料理出来るし大丈夫だけど」

「…………凜が作るって事ですか………?」

「え、何言ってんのさ?」

「ふぇ?」

「何で人んちまで来て自分の飯食わなきゃいけないのさ。俺、文のご飯を食べに来たんだぜ?」

「………そ、そうですけど……。私のは、ごらんの有様ですし………」

「そりゃあんなの食えないけどさ。あんなの作ったって事は料理あんまりしたことないでしょ?」

「…………お恥ずかしながら」

「じゃあ仕方ないじゃない。俺はまずい料理を美味いとか言ってやることは出来ないししたくないから。まずいものはまずいからね」

「……………うう」

「最初から出来る奴なんていないだろ。だから教えてもらうんじゃないか。レシピ本に、先人にさ。今回は俺に、だな」

 

ま、少なくともカレーくらい楽に作れるようにはならないとね。

 

「…………り、凜………」

「取り敢えず文の物体Xは捨てよう。環境汚染はいけないから消去しよう。鍋の状態の理想を、空っぽのピカピカに、と」

「…………ひ、酷いですぅ………物体Xだなんて……」

「あ?おい文よ、それが教えてもらう者の言い草か?やっぱり文花帖を…………」

「ごめんなさい、反省しますから、本当に文花帖だけは……!!文花帖だけは……!!」

 

 

「まず一つ言うが文、カレーは初歩の初歩だが、凝ったものを作ると面倒になる。まずは基本のカレーである牛肉、玉ねぎ、人参、じゃがいも、ルーからなるカレーを作ることからだ」

「は、はい!」

「よし。まず野菜を洗う。次に玉ねぎを皮むしって半分に切り、ヘタをV字に切り落とし、切り口の中央から大きさが均等になるように切っていく」

「………こ、こうですか?」

「うん、まぁそんな感じだね」

「~~♪」

 

文が次々と玉ねぎを切っていく。楽しそうで何より。

 

「よし、終わったか。次はじゃがいもだが、半分に切ってから一口大に整える。さっきと同じで、大きさはなるべく均等がいい」

「はい!トントントントン……これでどうでしょうか?」

「うんうん、良いよ?そのまま終わらせて」

「分かりました、凜!」

 

いやぁ、中々イイ感じだ。これなら問題なくいきそう。

 

「よし、切ったじゃがいもはボウルで水につけておけ。そして人参。さいの目切りだ。付け根を切り落とし、残りの人参の側面を切る。そして最終的に残った人参をサイコロ状に切っていくわけだ。やってみな」

「ええ。トントントントン…………つまり、こういう事ですよね?」

「うん、そう言う事だね」

「分かりました…………」

 

「出来ましたよ、凜」

「まぁ、肉は食べやすい位に適当に切って」

「はい」

 

「終わりましたー」

「うん、おっけー。で、ついに調理に移るわけだ。鍋にサラダ油とバターをしいて、じゃがいも、人参、玉ねぎを加えて炒める」

「お肉は入れないんですか?」

「普通は一緒に炒めるんだけどね。肉はフライパンにバターで炒めておくんだ」

「それには理由があるんですか?」

「くっつくから」

「ああ………、なるほど」

「んで、炒め終わったら適量の水を加える。フライパンの方にも少量の水を加えて沸騰させてから、鍋に加えるといいね。フライパンに逃げた肉の旨味を逃さないで済むから」

「なるほど………こんな感じでしょうか」

「そうそう。で、強火でフタをして、沸騰したらアクをとる」

「アクってなんですか?」

「エグ味がある汁のこと。実は旨みも含まれてるから、抜かない方がいいんだけど………。ま、渋いし、抜いた方がいいよ」

「………あ、沸騰してきました……えーと、これのことですかね?」

「うん、それそれ。抜いておいてね」

「分かりました………」

「で、抜き終わった野菜に火が通るまで煮る。少し時間がかかるけど、柔らかくなったらルーを入れて少し待ち、弱火でルーをじっくり溶かす。ま、やってみようよ」

「……………はい、分かりました」

 

……………………………生徒先生調理中…………………………

 

「こ、これで完成ですか………?」

「うん、完成完成…………。ご飯にかけて、カレーライスの出来上がりと言うわけだ」

 

実に美味しそうです。素晴らしいね。

 

「さて…………いただきます。パクっ」

「どきどきどきどき」

「…………美味い」

「ほ、本当ですか!?」パァァァァ!

「よく頑張ったからな。いい子だ、文」ナデナデ

「えへへ…………って、私これでも年上なんですけど……」

「少なくとも見た目では俺と同年代にしか見えないからいいんだ。文も食べてみ?ほら、あ〜ん」

 

文のスプーンを掴み、カレーを差し出す。

 

「あ〜ん…………~~~っ♪美味しいです!」

「ふふっ、そうだね」

「はいっ!」

 

その後、カレーを頂きつつ、他愛もない話をしてから、博麗神社へと帰った…………。

 




作者「ヒィヤッホーーゥ!」
凜「おいどうした作者よ。何発狂してんだ」
作者「凜、これを見てくれ!」
凜「えー、なんだこれ?東方理想郷~east of Utopia 通算ユニークアクセス1000突破…………だとぉ!?なんだ、こんなアホ小説を千人が見たってことか!?てめぇ作者、この千人の方々の時間を無駄にさせたって事かよ!?ぜってぇ許さねぇ!」
作者「え、なんでそうなるの!?千人だよ!?めでたいことじゃん!」
凜「死んで詫びろぉぉぉぉ!理想神槍「スピア・ザ・グングニル」!理想神霊「夢想封印」!理想恋符「マスタースパーク」!理想廃線「ぶらり廃駅下車の旅」ぃぃぃぃ!」
作者「ぎゃぁぁあ!
これからも東方理想郷~east of Utopiaを宜しくお願いします!」
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