東方理想郷~east of utopia~ 作:ホイル焼き@鮭
「うーん…………暇だ………」
永夜異変が終わってから数日が経ち、そろそろ残暑ともお別れかな、なんて思う位の暑さになってきた。
それにしても、暇である。
「うー、うー、うー、ヒーマーだー…………そうだ、京都に…………じゃなかった、永遠亭に行こう」
時間もあることだし、ね。
「良し、そうと決まれば」
永遠亭に、行ってみよう!
永遠亭に行くために、博麗神社から迷いの竹林へ飛んでいる途中、チルノと大ちゃんとルーミアとリグルとミスティア、通称バカルテットとその保護者に出会った。
「よっ」
「あっ、リン!あたしにリベンジに来たのね!?」
「おー、リンー。奇遇なのだー」
「あっ、あの時の虫駆除男!」
「あー、乙女に攻撃した挙句、体当たりまでしてきた鬼畜おとこじゃないー」ケラケラ
「…………み、皆落ち着こうよ、凜さんがこまっちゃうでしょ?」
「おうおう、大ちゃんはいい子だねぇ…………お兄ちゃん嬉しい!なんつって」
「………あう………。お、お兄ちゃん、ですか………?」
「そうそう。お兄さんでも良いけど…………って、なんか願望が口に出てるな」
「…………………………お、お、おお、おに、おおおおに………!」
真っ赤な顔で噛みまくる大ちゃん。
「お、おいおい、無理しなくていいよ?恥ずかしいのに呼ぶ必要ないからね?」
これ以上妹キャラが増えるのは面倒なのだ。フランだけでも大変なんだし、作者が。妹キャラは扱いが難しいらしいぞ?
「そ、そうはいきませんよ、だ、だから、そ、そそ、その……………………お、おにい、ちゃん」
「( ;;゚口゚)・∵. グハッ!!…………これは………血………?」
「だ、大丈夫!?お兄ちゃん!」
「( ゚∀゚)・∵. グハッ!!…………わ、我が人生に一遍の悔い……なし………!」
こういうのに、ロリコンだなんだなんて関係ない、そう思いませんか?俺の意識は途切れ、気を失った…………………。HAPPY END
「まぁんなわけないけどね。それで、5人、仲いいの?」
「は、はい。寺子屋でいつも一緒にいます」
「寺子屋か。寺子屋って言うと、上白沢さんの所だね?」
「そうよ!センセーの頭突きを喰らえば、リンもイチコロよ!」
「頭突き?おお、やっぱり二次設定じゃなかったんだねぇ……善き哉善き哉」
「ねぇ、にじせっていって何?」
「それはねミスティア、外で流行ってるユーモラスな設定の事だよん」
「ゆーもらす……………愉快なって意味ね!」
「おーリグル、その通りだ、賢いな」
「当たり前じゃない、ふふん」
正確には滑稽な、だけど、通常的には滑稽で愉快なさま、だから、間違っていない。
「おー、リグルちゃん頭イイのだー」
「ありがとー、ルーミアちゃん」
「所でお前ら、何してんだ?」
「あっ!寺子屋に行くところでした!みんなー!そろそろ行かなきゃー!」
「ふん、リン!次は覚悟しておくことね!」
「へーへー、わぁったわぁった」
「リンー、今度タベサセテネー」
「おうけー、今度チキン作っとく。チキンな、チキン。チキンだぞ?人肉じゃないぞ?」
「今度、私の屋台にも来てね。藤原さんのとこだけじゃなくてさ」
「え、まさかの知り合い?おう、行かせてもらうさ」
「虫を駆除したら、だめだよ、リン」
「殺虫スプレーないんでねぇ」ケラケラ
「それじゃ、失礼するね、お兄ちゃん!」
「実は気に入ってるんだな、そうなんだな?おう、ばーい、大ちゃん」
嵐のような奴らである。騒ぐだけ騒いで突如去っていく。まぁ、子供はそれくらいの方が元気でよろしい。
「っと、そうだ、永遠亭に行くんだっけ………。よし、行こうか」
……………………………青年移動中……………………………
「ちわーっす」
「ありゃ、あんときの暴力男じゃん」
「お、てゐじゃん。あんときはごめんねぇ」
「誠意がこもってないよ、誠意が」
「そりゃ申し訳なく思ってないからな」ケラケラ
「永遠亭に何の用?」
「えー、かぐっちゃんのトコまで行こうかと」
「へぇ、姫さまに?」
「そうそう。あとは、ここのメンバーにも挨拶しとこうかな、と思ってたくらいかね」
「ふぅん。ま、そう言う事なら鈴仙に任せよう。れいせーん、お客さんだよ~」
「あら、誰かしら…………って、あなたですか。姫さまに会いに来たんですか?」
「うんまぁね。案内してくれるか?」
「ええ、もちろん。それでは、こちらです」
鈴仙に付いていく。うさ耳がうさってて可愛い。触りたい。だから触る。
「ひゃっ!?な、何するんですか!」フシャ-!
「え、うさ耳を触っただけだけど」
「あのですね、兎にとって、一番敏感なところなんですよ!?もっと、やさし~く触ってください!」
「あ、触るのは良いんだ………。なら、優しくしてやろう」
うさ耳の毛を撫でるかのように優しく、けれども確かにその耳を触る。柔らかで温かい。
「…………ん………ふぁ……」
少し力を入れて耳の内側を触る、やっぱりやさしく。
「………んんぅ………やぁ、そこ、イイです……」
なぜ俺はエロ方向にまっしぐらするんだろうか。
…………………………青年エロ行進中…………………………
「ふぅ…………堪能したぜ」
「…………あ、あう………」マッカッカ
鈴仙の顔を真っ赤にしつつ進んで行くうちに、かぐっちゃんの部屋らしきところに到着した。
「姫さまー、失礼しまーす」
部屋の中に入る。
「あらイナバ、何の用かしら………って、りっちゃんじゃない!元気にしてた?」
「おーおー、元気にしてたぜ?」
「そう?それでりっちゃん、今日は何の用?」
「んー、暇だったから挨拶に来た」
「そうなの?じゃ、永琳も呼びましょう。( ゚∀゚)o彡゜えーりん!えーりん!」
「はい姫様、何か御用ですか………あら」
八意永琳がこっちに気づく。というか、いつまでフルネームで呼んでるんだ、俺は?フルネームがかっこいいのは敵対関係のときだけだぞ?よし。
「ようやごっちゃん、少し前ぶり!元気にしてたかい?」
「や、やごっちゃん………も、もう少し敬意を持った呼び方できないのかしら?」
「えー、あそこまで不様に縛られた人に敬意なんて持てないでしょ?あはっ!」
「…………う、まぁいいわ。それで、何の用かしら」
「うーん、この際永遠亭のメンバーは全員あだ名呼びにしようかなぁ」
「良いんじゃないかしら?」
「自然に無視しないでくれるかしら…………はぁ、苦手だわ………この子」
「おっと悪いやごっちゃん、ここに来たのは挨拶だ。暇だからなんとなく」
「……………別にいいけどねぇ」
うーん、あ、そうだ、することないし、こんなのはどうだろう?
「よし、かぐっちゃん、ちょっくら月行ってくるわ」
「「「はぁ!?」」」
「な、なんだよみんなして。ただ暇だったから月行こうとしてるだけだろ?」
「いーやいやいや、ありえないでしょ、りっちゃん!あなた、月の都のこと知ってるんじゃなかったの!?」
「え、そりゃ知ってるけど?なんか最先端らしいし、色々と遊べそうじゃん」
「いやいやいや、そりゃそうだけど…………!」
「なんだよ、煩いなぁ。とりあえず行く事は決定事項なんだよ。ということなので行ってきます。やごっちゃん、よりちゃんととよちゃんにはよろしく伝えておくぜ」
「ええ、ちょっと!?」
「ばーい」
博麗神社へと転移する。
あ、そうだ、ゆかりんにも言っとこうか。一応上司だし。
「よし、なら管理人「八雲 紫」」
転移の御札をかかげ、ゆかりんを呼び出す。
「…………………………………」
あれ?出てこない。おっかしいなー。
「んー、なにか有ったのかな…………ちょっと心配だな……。こっちから行くか」
天狗化し、ゆかりんの家へと向かう。ちなみにどうでもいい事だが、ゆかりんの家の位置を知っているのは俺だけである。ゆかりんには口止めされてるからだ。
「よし、到着。よし、入ろう」
扉を開き、中に入る。
「おっ邪魔しまーす!」
「……………おや、誰だろうか………………って、凜じゃないですか。あなたが家に来るのは珍しいですね、何かご用でしょうか?」
「あー、ゆかりんが呼んだのに来なかったから、どうしたのかなー、と思ってさ」
「ああ、紫様ですか………寝てますね、絶対に」
「はい?寝てるぅ?もう十時だぞ?いくらなんでも寝てるってのはないっしょ」
「いえ、むしろまだまだ寝るでしょうね。多分、四時位まで」
「…………………………へぇ……………………そっかぁ、寝てるんだぁ……………寝てるから、呼んでも来なかったんだぁ…………そっかそっか……」ニタァ
「…………………(こ、怖っ!)」
「ふっふっふっふっふっ………ねぇ、藍ちゃん…………怠惰な人間には、それ相応の罰ってもんが必要だよねぇ………?」
「……………お、お言葉ですが凜、紫様は人間ではないので、その理論には当てはまらないと思いますが……………」
「何か言った?藍ちゃん」
「いえ何も。さぁさぁ、紫様の部屋はあちらですよ?」
「あはっ、サンキュー、らんちー」
さぁてさて、ちょっとした仕掛けでも作ろうかねぇ…………ふふふふふふふふふ?
………………………青年ナニカ作成中………………………
ふっふっふっふっふっ、できたできた。
さぁて、入ろうかな、ゆかりんの部屋へ。
「しっつれいしまーす」
おっと、真ん中にすやすやと眠りについている目標物《ゆかりん》ハッヶ───(`・ω『+』───ン。
「俺の必殺技!ルパンダーイブ!」
身体能力を底上げすることにより、ほぼアニメそのままのルパンダイブを決行。アレってリアルでやると普通に攻撃力高いよね。
「げふうっ!…………………うにゅぅ、なによう、こんな時間にぃ…………」
「☆^(o≧▽゚)oおっはよー、ゆかりぃん?突然だけど月の都行ってくるわ。土産はなにがいい?」
「うぅん、そうね、月に行くんだったらぁ、古いお酒でも買ってきて…………って月の都ぉ!?」
「うんうん、いいノリツッコミ!そんじゃまぁ行ってくるわ!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい凜!どういうつもり!?」
「何となくだよ!ああ、それと、これあげる!」
色々と準備をした結果出来た高性能な御札を、ゆかりんの額へとくっつける。
「え、なにこれ………?んー!外れないし………。って、何かが流れ込んでくる………これは……霊夢の声?」
紫は神経を研ぎ澄まし、声を聞き取ろうとした。すると、
「…………紫ってさ…………ほんっっっとに、BBAだよね」
「!!!?ぐはぁっ!?」
俺は、いきなり苦しみだしたゆかりんを見て、笑った。いや、笑ったなんてもんじゃない、そう、言うならば、俺は、嗤った。
「ぐぅ…………な、なによ凜、この札は…………」
「ええ?さぁ、そこに落ちてたんだよ。それをなんとなく俺は拾って、なんとなくゆかりんの額にくっつけただけだよ」
「妙な小芝居はいいわよ………」
「俺が作った。御札を能力でなんやかんやして霊夢や魔理沙、伊吹やその他etc…………の、声を作り、自動で再生する様にしてある」
「な、なんやかんやって何……?」
「なんやかんやはなんやかんやです!!!!!!!」
「そ、そう……………。で、でも、どうしてそんなことを……」
「えー、特に何もないよ?人が呼び出したけど、来なかったからちょっと心配してたのに、寝てるというしょうもない理由で来なかったという事実に、ちょっと怒ってるとか、そんなことはないよ?」
「………うぐぅ、いいじゃないの、それくらい…………妖怪は夜が本分なんだからさぁ………、っと、なら、境界を弄ってしまえば………………あれ、この御札、境界がない…………?」
「ふふん、かぐっちゃんに永遠にしてもらったから、潰せないし壊せないよ」
「……………な、なんてこと………私はこれからずっと、BBAと呼ばれ続けなければいけないの…………?」
「どんまい。じゃ、行ってくる」
「ああ……ああ、い、イヤァア アアアアアアアアアアア!!!」
ゆかりんの断末魔を聞きながら、俺は月へと転移した。実は札は永遠だけど、神経と札を繋いでいる回路は俺が札を置く際に作ったもので、永遠じゃないから、接続を切れば大丈夫なのだが。まぁ、ゆかりんの頭の良さなら気づくでしょ。気にしない気にしない。
「おー、ここが月かぁ…………うん、何もないな。月の都は裏側だっけか?ま、ゆっくりいこう」
酸素はないけど、そのへんは能力でどうにでも。
…………………………青年月面旅行中……………………………
「ん?」コンコン
月の都を目指していると、行く手を遮るものを発見。
「結界、かぁ…………うん、邪魔だな」
結界の遮る能力を極限まで低くし、通り抜ける。
結界を抜けると、無駄に明るい空間へと出た。どうやら昼があるらしい。
「待て!貴様、何者だ!」
「おろ?見てわかんない?地上人だけど」
「………ふん、どうやらそうらしいな。地上の穢れがたまっておるわ」
「納得できたなら通るよ?」
「待て。これ以上月に穢れを持ち込むな。おとなしく地上へと帰ることだな」
「えー、俺旅行しに来たのにさー。仕方ない、兵士くん、君、邪魔だよ、どっか行ってね」
兵士くんのいる理想の位置を、月の表側へ。兵士くんが消え去る。
「そっか、そういや穢れとかいう設定あったっけな。ありがとう、モブ兵士くん。なら、それさえ認識できれば、っと」
己の持つ穢れの値をごくごく最小限に。どんくらい有るのか分かんないから無量大数分の一にしておいたけど。
目立つのは勘弁だしね。存在感も消しておこうか。
「よし、おっけー。さぁて、月旅行月旅行っと」
「止まりなさい」
「へ?」
ばかな。穢れも無くし、存在感まで消した俺を見つけるだと?
「先ほどの行為。見させていただきました」
「…………人にものを言う時は、名を名乗ってからするべきじゃないかい?」
「あら、申し訳ありません。私の名は綿月依姫です」
「……………高橋、凜だ。宜しくするかはわかんないな」
「ええ、そうですね」
会話を交わしてみても、依姫の目は鋭いままだった。
「それで、どうしたのかな綿月ちゃん。俺は今から月の都に行くんだけど」
「行かせませんよ。あなたの正体が不明なままですからね」
「んだよ、言ったでしょ?高橋凜、ただの地上人だよ、綿月ちゃん」
「ただの地上人が兵士を一瞬で消し去ったり、穢れを落とす事ができるとでも?」
「………あっは、そっちこそ、ただの月人が、ほぼ消した気配を読めるのかい?」
「ふふっ……………」
「あはっ」
「こうして会えたのも何かの縁。ここは1度、お互いの事を知るべきではないでしょうか?」
「………………ん、そうだな。腹の探り合いも面倒だし」
「地上の、幻想郷という場所で過ごしている、高橋凜だ。月に来た理由は観光。よろしくね、綿月ちゃん」
「私はここで、月の使者のリーダーを任されています、綿月依姫です。まぁ、よろしくお願いします」
「うん、自己紹介も終わったとこで、早速入れてくれる?穢れは落とした事だし」
「……………ふむ、そうですね………確かに拒む理由はあまりありません。ですが………あなたがここで暴れない保証はない。無条件で信頼できるほどの仲ではありませんから」
「ふふ、そうだね。じゃ、綿月ちゃんがついて来るってのはどう?もちろん、俺を拘束してもいい。俺の目的、観光さえ出来ればそれでいいからさ」
「……………………(ここでこの男に暴れられるリスクを考えれば、この男の言う通りにしておくべきだろうか」
「綿月ちゃん、声に出てるよ、声に」
「えっ、嘘っ!?」
「意外と可愛いところあるねぇ」
「う、うう……………わ、忘れてくださいっ!」
「あははぁ、で、どうするのさ?」
「………………こほん。良いでしょう、では、これをつけてください」
綿月ちゃんが、縄を取り出し、俺の手首へと巻き付ける。
「綿月ちゃん、これは?」
「フェムトファイバーです。地上にある似たような物で言えば…………注連縄、ですかね」
「注連縄……………ああ、なんだっけ、神社にあるやつだよね。出雲大社とかにある」
「フェムトとは須臾、時間の最小単位です。須臾は認識することは叶わず、認識出来ないが故に、須臾の連続した物である時の流れは、限りなく続いているように感じます」
「おお、そうなんだ」
実は儚月抄は見ていないんだよね。だってあれ高いし、普通の本屋とかで売ってないからさ。
「ふむ、つまりフェムトファイバー、フェムトが須臾を表しているなら、須臾で出来た縄。時間の単位である須臾で出来てる訳ないし、須臾は比喩。須臾の様に認識できないモノで出来た縄ってこと。そして、認識できないものが大量に集まって出来ているってことは、限りなく連続した物質になるから、それを絶つことは出来ない。だから、拘束に役立つって訳?」
「察しがいいですね、その通りです。余計なものが無くなった縄は、同時に穢れもつきにくくなります」
「へぇ、なるほどね…………。よし、拘束も済んだことだし、行こうか、綿月ちゃん」
綿月ちゃんの手を掴み、引いていく。うーん、流石に手首が拘束されてると大変だなぁ。
「…………………ふふ、そんなに急がなくても。月の都は逃げませんよ」
「あっは、月の都は逃げなくても、時間は逃げていくぜ?さ、案内してよ」
「…………分かりました。でも、水を差すようで悪いのですが…………これから玉兎達の稽古を見にいかなくてはならないのです。なので、一旦家の方に向かってもよろしいでしょうか?」
「んー?別に良いよ?」
「ありがとうございます」
なんだかんだ言って、楽しくなりそうだね。旅のおともも出来たことだし。たまにはまったりとするのも悪くない。俺は先を歩く綿月ちゃんを追いかけるべく、歩みを速めるのだった…………………。