東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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おお、意外と早い気がする。相変わらずの超展開。ほら、アレですよ、ゆかりんにギャグとシリアスの境界を曖昧にされちゃったんですよ。仕方ないでしょう?


21話『月旅行!中編』

綿月ちゃんについて行きながら月の都を見ていると、実に近代的な佇まいの街だった。おそらく、俺がいた世界の東京位には。

 

「……………なんか懐かしいな」

「懐かしい、ですか?」

「んー、俺って元々幻想郷の人間じゃないからね。久しぶりに『街』に来たって感じになってさ」

 

里じゃなく、街。里って言うと何か古いイメージになるよね。実際古いんだけどさ。

 

「へぇ……………なぜ、幻想郷に居るんです?」

「え?……………まぁ、最初はちょっとした息抜き位に観光でもしようかな、と思ってたんだけど。幻想郷は、面白い奴が無駄なまでに多いし…………俺を、必要とする人もいる。だから、まぁこのままずっと、幻想郷に居たいね……………」

 

本当に、そう思う。

 

「………………あなたは、幻想郷が好きなんですね」フッ

「……………………ん、そだね……………大好きだ」

「ですが、あまり長い間居ると、元の世界のご友人が心配するでしょう?元の世界に、残してきたもの、あるんじゃないですか?」

「…………………………あはっ、大丈夫だって。たぶん、その辺は紫がどうにかしてると思うよ。俺が守護者になるって決めた時にね」

 

多分記憶操作とか、記録の改竄とか、してると思うな、アイツなら。そこらへんは考慮してるっしょ。

 

「それは………………不条理ではありませんか?あなたが元の世界でやってきた事、積み上げてきた物を、すべて、無かった事にしてしまうのですよ?」

「………………かもね。でも、俺がやって来た事なんて、薄っぺらいことばっかしだよ。………幻想郷での生活を送らせてくれてる、紫を責める気は、ないかな」

「ですが………………」

「おっと綿月ちゃん、随分と俺の身を案じてくれてるじゃないか。もしや、俺の事が気になってるのかなぁ?」

「………へっ!?そ、そんなこひょはなひですっ!」

「( ̄m ̄)プッ!噛みすぎっ」

「~~~~~!!」カァァ

 

うん、軌道修正完了。もう外への未練はないのでね。あ、ゲームは別ですよ?ラノベもね。

 

「こ、こほんっ!ほ、ほら、着きましたよっ!」

「咳払いなんてしてもこの空気誤魔化せないからねぇ?」

「~~!!わ、忘れなさいッ!」

「あははは、忘れてあげる忘れてあげる。ほら、玉兎の所に行くんじゃなかったの?」

「……………ごほんっ!え、ええ、では、行きますか………」

 

どでかい門がある。この先が綿月ちゃんの家なのかな?

 

「あっ、依姫様!お帰りなさいませ!…………おや、その男はどなたですか?捕えられているようですが?」

 

門番っぽい人から声を掛けられる。あ、存在感オンにしたんだった。ミスったなぁ………。

 

「この男は罪を犯した罪人です。本来ならば地上へ追放するところなのですが………まぁ、どうせなら有効に活用しようかと。武術が出来るようなので、兎達の稽古相手として役に立って貰おうと思うのですが。ダメでしょうか?」

 

お、ナイス出任せ。

 

「いえ滅相もない!そう言う事ならば、どうぞ、お通り下さい!」

 

門が開き、屋敷が見えた。

 

「ありがとうございます」

 

そのまま中に入る。

 

「ありがとね、綿月ちゃん」コソッ

「いいですよ、別に。ですが、大事になるかもしれないので、先ほどの様に存在感を絶ってくれると嬉しいですね」

「おー、OK」

 

存在感をオフにして、稽古場に向かう。どうやら外に有るらしい。またもや綿月ちゃんについていく。

 

「…………あれ…………はぁ、お姉様の仕業か…………」

「ん、どうしたの?」

 

綿月ちゃんの視線の先を見てみると、見事に生っている桃の木が有った。

 

「へぇ、美味しそうな桃だね……。ん、でも何個か取られてるみたいだけど」

 

数個、収穫された跡がある。

 

「多分お姉様の仕業ですね………。もう少し熟したら、一気に収穫して宴会にしようと思ったのに……………全く、お姉様は……」

「うーん、何と言うか、ちょこちょこ桃がないと、カッコがつかないなぁ………………って、綿月ちゃん、もしかしてあれが君の姉か?なんか、窓際で踏ん張ってるけど……………」

「え!?………………もう!お姉様ー!!桃を勝手に取らないでくださいー!」

「ふ、ふぇ!?よ、依姫!?…………ってって、お、落ちるぅ!?」

 

全力で桃を採ろうとしていた時に飛び跳ねたせいで、落ちかけている。ちっ!

能力で身体能力を上げる時間はない、足に霊力を纏わせ、一気に豊姫の落下地点に入る………!

 

「………………~!」

「せいっ!」ビュンッ!

 

豊姫をキャッチし、霊力を一瞬だけ逆方向に射出し、速度を緩める。

 

「ふぅ、間に合ったか…………大分俺も霊力を扱えるようになったなぁ…………」

「………………あ、ありがとう…………って、あなた誰?」

「え…………………に、人間?」

 

 

 

「お姉様を助けていただき、ありがとうございます。ほら、お姉様ももう一度お礼を言ってください」

「ありがとう、凜くん」

「いえ、構いませんよ」

「………………というか、気になって居たのですが……………」

「なんでフェムトファイバーが外れてるんですかッ!」

 

そう、俺の手首を拘束していたフェムトファイバーは、外れている。

 

「えぇと、桃が何個かもぎ取られてるなら、1個位なくなっても気づかないかな、と思って、となるとコレ邪魔だなぁと………。だから、取りました、はい」

「大事なのはそこじゃないです!なんでフェムトファイバーを外せるんですか!」

「一旦体を妖怪にして、そこから手を滅茶苦茶小さくして、外す」

「はいぃ!?」

「まぁまぁ、良いじゃん良いじゃん。結果的に綿月さんを助けられたし、結果オーライって奴じゃない?」

「……………………拘束が外せるなら、意味ないじゃないですか…………ブツブツ…………」

 

というか、どっちも綿月な訳か………ゆかりんの時もこんなの有ったな。んー、ま、さんとちゃんで分けられるし、いっか。

 

「綿月ちゃん、まぁそうピリピリするなよ、生きてりゃいい事あるよきっと」

「……………うるさいです、あなたは」

「うーん、まいったぜ。綿月さん、あなたからも何か言ってくださいよ」

「…………………………む~」

「へ?どうかしました?綿月さん」

「なんで私はそんなに他人行儀なの?依姫とは仲良さそうに話すのに…………」

「え?…………………見るからに年上って感じの人ですし。綿月ちゃんは同年代って感じなんですけど…………」

「私が老け顔って言いたいの!?ひ、ひどい~!」シクシク

「ぅえぇ!?い、いや、別にそういうわけじゃないですよ!?どっちかというと年上派ですし!」

「だったら私にも同じようにしなさいよ~!うわーん!」

「わ、分かった、分かったから!改めてよろしく、ええと………豊姫ちゃん!」

「ええよろしく~。そうじゃなきゃね~」

 

先程までの泣き顔が嘘のように晴れ晴れとした笑顔で告げる豊姫ちゃん。ま、まさか演技?豊姫………………恐ろしいコ!<○>Д<○>カッ

 

「うん、私と凜くんの関係が激変した所で。依姫、細かいことを気にしても仕方ないでしょう?あなたも月の使者のリーダーなら、もっとドーンと構えてなさいよ。ね?」

「………………お姉様はドッシリとしすぎなんですよ」

「あらなによ依姫、私がぽっちゃりだといいたいのかしら?」

「………………はぁ、もういいですよ、気にしません」

「そうそう、それで良いのよ。………………所で2人とも。どこに行く気だったの?」

「裏庭です。玉兎がしっかりと稽古をしているか、見に行くところだったんですよ。ま、その途中でお姉様の桃のつまみ食いを目撃した訳ですが………」ジト-

「だって、美味しそうだったんですもの」

「……………………太っても知らないですよ?」

「うぐっ!………いいもん、ダイエットするもん」

「それ、1ヶ月前も言ってましたけど、しませんでしたよね」

「…………………ダラダラダラ……そ、それで凜くん、なんで依姫と一緒に居たの?これでも月の使者のリーダーだし、なかなかないなと思うのだけど…………」

「「(………逃げたな………)」」

「……………実は私、こう見えて………地上人なんですよ」

「ナ、ナンダッテ-!?」

「「………………いぇい!」」

 

ハイタッチを交わす。ナイス反応!

 

「まぁ、そういう訳で地上から来たわけだよ。あ、侵略とかじゃないから安心してね」

「……………………地上から、ねぇ……………」

 

豊姫ちゃんの目が細められ、俺を冷たい眼差しで見た…………ように見えたのも一瞬のことで、すぐにのほほんとした顔に戻った。

 

「(流石にリーダーをやってるだけはある、という事かな)」

 

そこは警戒しているっぽいね。

 

「豊姫ちゃん、そう警戒するなって。暇だっただけだよん」

「…………あらあら、警戒なんてしてないわよ。私、依姫ほど神経質じゃないも~ん」

「誰が神経質ですか誰が」

 

絶対信用してないなぁ。ま、良いけどね?

 

「ま、そういうことだから。行こうぜ、依姫ちゃん」

「…………呼び方変わりましたね」

「まぁね。どうせなら統一したいんだって」

 

作者が。言う通りにしてあげる義理もないけどね。まぁ可哀想だし。優しいね、俺は。

 

「まぁ、良いですけど。些細なことですし。では、行きましょう」

「豊姫ちゃん、またね」

「えー、私も行く~」

「あら、お姉様も来るんですか?じゃ、ダイエットついでに稽古にでも参加してくださいね」

「う…………………ふん、本当に痩せて見せるんだからね!」

「「(本当かな………)」」

「な、何よぅ、2人とも、そんな目で見ないで頂戴よう」

「はいはい、分かりました分かりました。行きますよ、2人とも」

 

依姫ちゃんが先を歩いたので、豊姫ちゃんと2人でついていく。

 

「頑張れ、豊姫ちゃん。応援しているZE☆」

「絶対応援してないわよねぇ!?」

 

………………………青年少女達歩行中………………………

 

「よし、着きました」

 

中々広い裏庭だ。更に奥には林が茂っており、もっと広くなりそうだ。

 

整地されている所では、兎達が稽古をしている。やっている事はハードで、ずっとやっていたら汗なりなんなりかいている筈だが、かいていない。

 

「豊姫ちゃん、玉兎って汗かかないの?」

「いいえ?通信機能と、耳と尻尾がある以外は、普通の人間と同じよ?あとは、身体能力くらいね」

「へぇ」

 

つまり、サボリだな。サボタージュだな。義務放棄だな。大事なことなので言い方を変えて三回言いました。

 

「まぁいいや。それより、もう中に入ってるんだから存在感オンにしてもいいかな」

 

存在感をオンにし、気配を戻す。

 

「ちゃんと稽古して居ましたか?」

「ぶんぶんぶん!」コクコク

 

満面の笑みで、首を縦に振る玉兎達。嘘をつくな嘘を。見事な迄の演技だなぁ。

 

「そうですか………なら良いでしょう。……………ふむ」

 

何か考え出した依姫ちゃん。何となく考えてることは分かるけど。

 

「……………そうですね。凜さん、手合わせをしましょう」

「あはっ………如何して?」

「先ほど門番に、そう説明したでしょう?どこからか漏れても困りますからね。それに、兎達のスキルアップにもなるかもしれません」

「建前はいいよ。軽く俺の実力を測っておきたいとか、そんな所でしょ?」

「あなたがそう思うのなら、そうじゃないんですか?」

「………………うん、ま、いいよ。でも、勝負方法はこっちで決めてもいいかい?」

「…………良いでしょう」

「試合は3つ。1つ。能力を使用しない状態での近接戦。1つ。幻想郷のスペルカードルールを使用した遠距離戦。最後。無制限勝負」

「二つ目の、スペルカードルールとはどういうものですか?」

「美しい方の勝ち。今回の場合は、俺のスペルカードを、能力を使っても良いから躱すことだ」

「……………ふむ、良いでしょう」

「じゃ、何か武器を作ろうかな。刀で良いか」

 

霊力を大量に放出して圧縮。更に出して圧縮。能力で目の前にある霊力の塊を日本刀状に形成。あとは刀の下の部分を薄い霊力で覆って持ち手にする。日本刀状ってだけだから、柄の部分の霊力も攻撃しちゃうからね。

 

「うー、疲れたぁ………」

 

刀なんて使ったことないけれど。ま、ないよりマシでしょ。

 

「じゃ、豊姫ちゃん、よろしく」

「分かったわ。これより、能力不使用、背中が先に地面についた方が負けの勝負を始めます。両者、位置について」

「よろしくね。依姫ちゃん」「ええ」

「では………始め!」

「…………」

 

まずは後手。能力を使えない状態の俺は、大した強さではない。故に、こちらから仕掛けるのは危険。

 

「来ないんですか?」

「来ないよ。そっちから来れば?」

「では、お言葉に甘えて。行きますよ!」

 

依姫ちゃんの刀が閃き、足を刈り取りに来た。

 

「させるか!」

 

地面に霊力刀を刺し、刈り取りに来た刀を止める。そうすると依姫ちゃんは、跳び、俺の刀の柄にかかと落としを繰り出し、更に地面へと深く突き刺した。

 

「やるじゃん、でも………!それは霊力で出来てるのを忘れた!?」

 

霊力である以上、俺の意思で動かす事が出来る。深く突き刺さった霊力刀が動き出し、俺の元へと動き出した。

 

「忘れてませんよ!」

 

霊力刀が俺の元へと戻る前に、彼女はそれを刀で叩き切った。すると、俺の霊力刀が真っ二つになり、宙を泳いだ。

 

「……………!ぐっ!?」

「武器を潰すのはいい発想だが。もう少し周りに気を遣うべきだね」

 

だが、彼女が『霊力刀を折る』という動きをした瞬間、俺は霊力刀を戻すことを諦め、がら空きの背中へと掌底を叩き込んだ。勿論、霊力を纏わせたものだ。

 

「……………やはり、かなりできるようですね。そうでなければ話になりませんし」

「あはっ、なんだよ、実は手加減してたってか?お前どこのドラゴンボールだよ?あはっ!」

「ドラゴンボールですか?あれを書いたのは私です」

「えっ!嘘ん!?」

「はい、嘘です」ヒュン

 

依姫ちゃんの姿が消え、見えなくなる。周りに薄く巡らせている霊力を感じ取り、依姫ちゃんの居場所を探ってみる。霊力範囲に敵影なし。……………ん、これは……!後ろか!?

 

「読めて……げはっ!?」

 

バカな!?読めてたのに追いつけない!これが月人の本気……。

 

「げほっ………。……ぺぇっ!」

「あのさぁ………死なないようにちょっとした結界を張ってるとはいえ、人間に全力で刀を振るうかい?」

「峰打ちですから。大丈夫ですか?」

「まぁ、大丈夫っちゃ大丈夫だけど………」

 

つーかなぁ。勝ち目ないよなぁ。能力使えなくてぇ、使えるの特殊能力は霊力と魔力だけって。積んでるぜ。

 

「…………………」

 

ま、頑張ろうか。精一杯、ね。

 

「しゃーないなぁ。あんまりこういうのはやったことないんだけど」

 

対物結界を施したクナイ状の弾幕を用意。1つ、また二つと作り出し、大量のナイフ弾を精製する…………。

 

「有限の剣製(リミテッドブレイドワークス)っ………!」

 

俺が手を上げると、宙に浮かんでいた大量のナイフ弾が、裏庭一帯に突き刺さっていく。対物結界を施しているから、弾くことも出来ないはず。あ、どっかで聞いたことがあるような技名なのは気にしない。ふっ、付いて来れるか?俺の性格にッ!

 

「これが俺の全力だ。これを防がれたらもう無理…………おっと」

「なら、これで終わりですね」スゥッ

 

首に冷たい感触。依姫ちゃんの剣が、俺の首へと添えられていた。

 

「あはっ、だねぇ……。俺の負けだぜ」

 

負けた負けた。まぁ、やることやってから負けたんで良いかな。

 

「因みに、どうやって防いだのさ?壊せないように結界張ってあったはずだけど?」

 

広域に、防ぎようのない弾幕。シンプルで分かり易い奥義なんだけどなぁ。リミテッドブレイドワークス。間違っても枕詞にアンを付けちゃいけないよ?俺はどっかの英雄と違って無限に剣は生めないからね?

 

「ああ、アレですか。凄かったですね。全てに結界が有りましたし」

「そうでしょ?」

「まぁ、単純な話です。結界が変化を拒んでも、その内にある弾は変化を拒みません。結界を通して衝撃を弾に与え、内側から破壊すれば、後はよけられるでしょう?」

「………いやまぁ、そうだね」

 

だが、それを現実でやるか?そんなに単純じゃないぞ?衝撃透しって。ものすっごい鍛錬を積んで初めてできるんだぞ?まぁ、依姫ちゃん長生きだけどさ。やごっちゃんと同年位だっけか?とりまゆかりんよりは長いよね。

 

「じゃあ、次いく?自分で3つ勝負を提案しといてアレだけどさ、もう良くない?アレ、一応俺の切り札的技だしさ」

 

パロディだけど。

 

「(…………どうしようか。この男の本気があの程度であるなら、問題はない。充分に抑えられるだろう、しかし………。なんだ?この寒気は?まるで、奈落の底にいるかのような……!)」

「依姫」コソッ

「はっ………。お、お姉様……」

 

いきなり内緒話を始めだした。ううん、どうでもいいけど聞かない方がいいかな?なにか聞いちゃいけない話かもしれないし。

 

「依姫、勝負を続けなさい」

「し、しかしお姉様、アレが全力であるなら、もうこれ以上の勝負は………」

「………依姫、よく聞きなさい、彼から…………神力を感じるわ」

「へ!?し、神力ですか――むぐっ!」

「声が大きい。落ち着きなさいと言ったでしょう?」

「………す、すみません、お姉様。で、でも、彼は人間ですよ?先程も霊力を使っていましたし………。現人神の類ですか?」

「いえ、種族としては人間の筈よ。というか、便宜上神力と表現はしたけれど、何か違う………。それが分からない。もしかしたら、彼の能力に関係することかもしれないわ。その内容によっては、月の都を騒然とさせる事態に発展するかもしれない」

「依姫…………。残酷に思うかも知れないけれど………。少しでも月の都の崩壊の可能性がある人物よ。分かるわよね?」

「…………………ええ」

 

内緒話が終わったみたいだ。さてさて、どうなるのかねぇ。

 

「すみません、凜さん。お待たせして。やはり、勝負は続けましょう。凜さんも疲れているでしょうし、2番目のスペルカード戦はやめて、無制限勝負だけにしましょうか」

「………?うん、それは構わないんだけどさ………?何かあったの、依姫ちゃん。なんというか、その…………悲しそうな顔してるけど」

「……………っ!?さぁ、気の所為じゃないですか?」

 

うんにゃ、間違いはないね。十中八九、さっきの内緒話関連だろうけど…………。

 

「………………」

 

豊姫ちゃんは変わらず微笑を浮かべている。感情が読めない。ゆかりんと同じかな。もっとも、最近はゆかりんは表情を見せてくれるけど。

 

「…………っ、凜さん。早くしましょうよ」

「うーん、うーん…………」

 

分からないなぁ。分からないなぁ…………。分からないなら仕方ないかなぁ。

 

「まぁいっかぁ………いいよ、依姫ちゃん、始めよう」

 

side other

凜と依姫、二人がもう一度向かい合う。

 

「それじゃあ、今から凜くんと依姫の、無制限勝負を始めまーす。両者、位置について下さーい」

「………うーん……良いんだけどさ………。依姫ちゃん、ほんとに何もないの?」

 

凜は、怪訝そうな顔を浮かべている。

 

「………っ、だから、何も有りませんと言っているでしょう」

 

依姫は、先程までと同じ無表情を浮かべている。が、凜はその瞳に悲しみの色を感じるのだ。

 

「うーん…………。聞いときゃ良かったかな…………。ま、良いけどさ…………」

「二人とも、話は終わった?終わったなら、始めるわよ?」

「…………うん、始めて良いよ」

「依姫も、いいかしら?」

「…………………はい」

 

「それでは……………始めなさい!」

 

始めの合図が出された刹那、依姫の姿が凜の視界から消え失せる。

 

「お?」

 

凜は、依姫の姿を探して戸惑う。

彼は、霊力で彼女の居場所を探ろうとしているが、位置が分からないのだ。彼女は、彼の後ろで、悲しい表情をして剣を構えているのに。

 

「すみません、凜さん………。………死んで、下さい………」

 

依姫は、凜の首へと、刀を振りおろした。

 

To be continued…………………




僕はゆかりんが大好きです。
気になるような終わりを目指したんですが、うまくいかないものですねぇ。依姫ちゃんの苦悩が描けていたら幸いですかねー。
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