東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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23話『おいおい、なんでこんな事になってんですかねぇ……』

「de?なにか言うことは?」

「……………ごめん」

 

月から帰ってきた翌日。俺は何故かまた、月の都に居た。

 

「あのさぁ…君が言ったんだよね?ここに来るなって。俺はそれを了承したよね?じゃあ、なんで俺はここに居るのかなぁ。これでも俺、結構哀しみを抑えて君を見送ったんだけどなぁ、哀しい別れを遂げたと思ったらこれだよ、意味がわかんないね、訳わかんないね、うんほんとに意味わかんないよ頭おかしいんじゃないの?うん?そこんとこどう思う、豊姫ちゃん?」

「…………………………ごめん」

「………………ハァ…………。で、どうして俺をここに呼んだのさ。何か用があるんでしょ?」

「…………………………うん、ごめん………」

「……………………やれやれ……。勘違いしないでくれよ、俺はまた君に会えた事は嬉しいんだ、下手したらずっと会えなかったかもしれないし。だからそんなにすまなそうに謝んなくてもいいよ」

「……………………で、でも……」

「あーもうめんどくさい、さっさと用件を言えよ、言わないと俺帰っちゃうよ?いいの?」

「………うん。あのね、実は………月読命様と天照大御神様が会いたいって」

「…………へ?え、俺なんかした?なんで月神と太陽神から呼び出しくらってんの?職員室に生徒を呼び出すみたいな感覚?いやいや、桁が違うでしょ。なんで?」

「凜くん、月読様に会ったんでしょ?」

「げ、それのせいかよ………恨むぜ、永琳………。まぁいい。で、ずっと歩いてるけど、まだなの?その2柱の居る所はさ?」

「うん、そろそろ着くわよ」

「そう?んー、緊張するなぁ」

「………………ごめ―――」

「だから、謝んなって。癖か?それ。お前が謝った所で俺に何の利益もないんだよ、無駄な事に時間割くくらいなら、さっさと終わらせて君と遊ぶ方がずっと俺の利益になる」

 

ちょっとキツかったか?でもこれ以上暗い顔されるよりはいいでしょ。

 

「……………うんっ」

「じゃ、さっさと行こうぜ。折角月に来たんだ、前出来なかった観光もやってやるぜ」

「うん、そうしましょ!それじゃ、案内するわ」

「~~~~♪」

 

なんだ、いきなり上機嫌になったな………。なんでだろ………。ま、可愛いからいいけど………。

 

しばらく豊姫ちゃんに着いて歩くと、随分と格調高い空間が待っていた。なんだろう、RPGとかで良くある、ワープ的な所を通ったり、明らかにトラップらしき甲冑が有ったりした。ゲーム内の王宮みたいな感じだ。

 

「うん、着いたわよー」

 

馬鹿でかい扉の部屋に到着。どんな扉かと言うと……………。魔王城の魔王の部屋の扉。もしくは国王の謁見の間の扉。つまりそういう扉だ。

 

「月読命様、お連れしました」

「ああ、入れ」

 

中からは凛とした声が響く。涼やかな風鈴の様な声だ。

 

「失礼します」

「失礼しまーす」

 

中に入ると、そこには前にも会った月読命と……………え……?

 

「いらっしゃい、2人とも」ニコッ

 

え?え?な、なにこれ………。こ、ここまで……。ここまで美しい女性が、存在していいのか?流麗な銀髪のロングヘア、優しい目つき、ぷっくりと膨らんだ唇、透き通るような白い肌。か、完璧すぎるぞ………?

 

「あら?うふふ、そんなに見つめないでくださいな、高橋凜さん」

「………………ハッ………!すみません、天照さん。ここまで美しいとは、想像もしてなかったので………」

 

美少女耐性はあるはずの俺が、ここまで見とれるとは。なんという…………。

 

「あらあらあら、お世辞が上手なのね、ふふ…………」

「世辞などでは。正直、今まで会ってきた中で一番美しいと思います」

「…………………ふふっ、ありがと」

 

天照との会話が途切れる。

 

「さ、2人とも座りなさいな、月読、お茶淹れてきなさい」

「ですから姉上、ここ私の家で、これでも月のトップなんですけど………」

「「あっ、よろしくおねがいしますー」」

「やっぱり君たちも大概だな!?」

「速く淹れてきなさい、どつくわよ?」

「私に対する態度キツくないですか!?」

 

しばし騒いでいたが、月読命はなんだかんだ言ってお茶を淹れにいった。

 

「じー…………………」

「な、なんでしょうか?」

 

天照がこっちをじーっと見ている。うん、心臓に悪いよ、美女の視線は。止めてくれ、ドキドキするから。

 

「貴女の視線を一身に受けられるのは光栄なのですが。心臓に悪いのでやめていただけますか?」

 

努めて冷静に言葉を投げる。

 

「あらら、ごめんなさいね………。ちょっと、気になることがあったものだから」

「気になることとは?」

「教えなーい」

「え、気になるんですが……」

「あらあら、ミステリアスな女は嫌い?」

 

話す気はない、と。一筋縄ではいかなさそうな女性だ。

 

「いえ、嫌いじゃないですよ?謎多き女性も、また魅力的。それが貴女のように美しい女性なら、尚更」

「あら…………………。うふ、『本当に』お世辞が上手い事で」

「世辞ではないと申しているのですが。まぁ、貴女がどう思うかは貴女の自由、好きになさってください」

 

相手のペースに呑まれるな、俺。二神の意図が分からない以上、相手を優位に立たせるのは危険だ。

 

「……………ふふふ」

「…………何がおかしいのでしょう」

「いえ、別に何も?ただ………太陽の前では、人は本質を表す。つまり、太陽(わたし)の前では、あらゆる隠し事は意味をなさないのよね」

「…………………はっ、なるほどね………。俺が貴女を警戒していることも、バレバレ、って事か。流石は太陽神、偉大な事で」

「あら、敬語、止めちゃうの?」

「あは、君はそれを気にしてないでしょ。なら俺が気を遣うのは無意味、そうだろ?」

「………確かに。元よりそうさせるつもりだったし、楽にして頂戴な」

「そうさせてもらう」

 

参ったな、面倒な存在だ、この人は。仕方ない、隠し事が無意味なら、素直に、思ったまま言葉を紡げばいい。それで敵対する意志がある様なら…………幻想郷に危害を与える気があるのなら。その時は………潰す。

 

「あらあら、そんなに幻想郷が大事なのかしら?」

「ん、筒抜けってか。参ったねぇ、全く。油断ならない人だ、貴女は。まだヨミちゃんの方が分かり易い」

「うふふ、そんなに褒めないで頂戴な、照れて赤くなりそうだから♪」

「あはっ、あはははっ、見たい見たい、さぞ美しいだろうねぇ」

 

その白い肌が朱に染まる姿を想像してみる。うんうん、萌える萌える。

 

「しっかし、本当にめんどくさいなぁ。何の用か知らないけど、あんまり長いこと一緒にはいたくないよ、君とは」ケラケラ

 

紛れもなく本心である。確かに美しいが…………見透かされてる感覚が酷い。サトリ妖怪とは違う。奴らは心を盗み見るだけだ、それを理解することは嫌われ者のあいつらには叶わない。が、目の前の女は、本質を理解し、見下ろすのだ。

 

「あー、酷いこと思うのねぇ。さっきまではあんなにも口説きにかかってたくせにぃ♪」

 

おちゃらけながらそう返してくる。さっき言ったことを除けば、好感が持てる性格なのは間違いないんだけどね…………。

 

「俺だって男だ、美しいものに心惹かれるのは当たり前だろう?」

「さっきから絶賛ねぇ、私。でもぉ、私なんかより、君の隣の豊姫ちゃんの方が可愛いと思うけれど♪」

「ふぁ、ふぁい!?い、いや、天照様の方がお美しいに決まってます!ね、そう思うわよね、凜くんっ!」ググッ

 

豊姫ちゃんが目の前に来て、ずずっとこちらに聞いてくる。近い。

 

「近い近い近いっ!」

「あらあら、豊姫ちゃんの方が可愛いわよ~♪君もそう思うでしょ、リ・ン・君?」ススッ

 

今度は天照も移動してきて聞いてくる。近い。

 

「だから近いっ!」

「ねっ、天照様よね!?」グググッ

「豊姫ちゃんよね~♪」グググッ

 

何だこいつらは、何がしたいんだ………!二人に押されるままに居ると、椅子の前脚が浮きだした。

 

「や、やば………!お、落ちるぅ!」ドゴン

「きゃっ!」ズベッ

「やんっ!」ベタンッ

「げふっ!」

 

椅子が倒れ、俺も倒れる。俺に体重を預けていた二人も倒れ、俺にのしかかる。ふよん。ふよん?ふよんってなんの効果音………って。

 

「…………なんだ、ただの天国か…………」

 

なんということはない、只のおっぱいが体に押し付けられる感触である。そりゃ体勢的にそうなるよ、不思議はない。二人のおんにゃのこ特有の柔らかい体を我が身に感じる。わー、天国だー、わーい…………。うふふふふ~…………………。俺が天国にその身を浸らせて居たその時。

 

「姉上、紅茶淹れてきましたよ………………って!?んな、何やってるんだ!?」

「あははは……………って、ヨミちゃん!?」

 

ヨミちゃんが腰に差していた刀を取り出し、俺に向けてくる。峰じゃない方を。

 

「人間程度が姉上を手にかけようとした罪!その身をもって知るがいい!」

「ちょ、ま…………ご、誤解だー!」

「問答無用!斬刑に処す!覚悟ー!」

「ちょと待てちょと待てお姉さん!問答無用で切りかかるのは、誤解だからーダメですー!………って、ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 

………………………青年走馬灯鑑賞中…………………………

 

「…………はっ……!やばい、もうちょいで走馬灯見終わる所だった………!紫に幻想入りさせられる所まで見てた………!あ、あぶねー………」

「ま、全く…………誤解なら誤解だと………」

「言ったんだけどなぁ」

「うぐ……………すまない」

「いやいいけど。俺にはギャグ補正様がついてるし…………」

 

それにしてもこの神、怒っていても紅茶をきちんとテーブルに置いている。変なトコで冷静だなぁ、ヨミちゃんは。

 

「ずずっ。…………!美味っ!」

 

渋みと甘味のバランスが絶妙、砂糖は少量だが、ミルクで渋みを緩和して、すっきりとした甘味になっている。砂糖が少ないからローカロリー。凄いね。このお茶。

 

「美味い美味い、すっごい美味い。ヨミちゃん紅茶淹れるの上手いんだね?」

「…………ありがとう、喜んでくれたなら幸いだ」

「うんうん、やっぱり美味しい♪」

「美味しいです」

「ありがとうこざいます、姉上。豊姫も」

「ずずっ…………で、用件は?人をわざわざ呼び出したんだ、それ相応の用なんだろうねぇ?」

 

このままティータイムと洒落込むのも良いが、まずは用を聞いておく方が良いだろう。

 

「ああ、その事?あのね、リン君。君は自分に神力があるの、知ってるでしょう?」

「うん、ヨミちゃんに聞いたからね」

「それに心当たりは?」

「うーん、能力じゃないかな?俺の能力、神から貰ったものだからさ」

 

ゆかりんが言うにはだけど。

 

「神って…………それに、能力を…………与える?」

「それは有り得ない。能力を得るには、それに値するなにかが必要のはずだ。鍵になってくるのは人間の思想。何かしらの大きな結果を残し、それを人間が認識し、神ならば信仰心を、妖怪ならば恐れを抱くことによって力が増し、能力へと昇華するわけだ。その過程を経ないで力を得ることは不可能な筈なんだ」

「んー、良くわかんないけど………それはこの世界で、の話でしょ?別の世界でなら、それは可能になるとかさ」

「リン君、私たちを嘗めちゃいけないわ。この世界とリンクしている世界については、同じ事が言えるのは分かっているの」

「うーん、分かんないなぁ………。っと、それはまぁ置いとこうよ。分からないことを議論しても意味はないでしょ?」

「…………そうね。なら、貴方は、月の都に害をなす気はあるかしら?」

「豊姫ちゃんに聞かなかったのか?ないよ、(ヾノ・∀・``)ナイナイ。君はそれを俺がする理由あると思うの?」

「…………………うん、そうみたいね。そこは杞憂だったようね」

「ほんっと嫌だなぁ、本質がわかるっての。思考が読めるわけじゃないのは良いんだけどさ」

 

本質、ねぇ………厄介な。

 

「まぁ、この際だから言っておく。そちらは俺を警戒していたみたいだが、俺もそちらを警戒している。さっきはこちらから危害を与える気はないと言ったが……俺の今の生活を壊すようなら…………その限りではないぜ?」スッ

「「「(…………!)」」」

「(こ、この瞳は…………!月読が言っていた……!?)」

「(間違いない…………あの目だ。一切の感情を含まない、透き通るような『無』の目……!)」

「(そ、そんな………。あの凜くんが………こんな目をするなんて………!)」

「(それに、おかしい……!さっきからこの子の本質が見えない!いや、見えている、見えているのに…………まさか、本質まで『無』だとでも言うの……!?)」

 

二柱と豊姫は驚愕する。凜の冷めた目に、その空っぽさに。

 

「……………あは♪そんなに怖がるなよ、傷つくぜ?別に君らから何もしなきゃなんにもしないさ」

 

想像以上にビビってくれていたので声を掛けてみる。

 

「……………………え、ええ…………」

 

天照が淀みながらそう言う。なんだ、さっきまでは心を乱すことがないみたいな感じだったのに。いくら脅したとはいえ、冷静に対処するかな、と思ったのに。

 

「あは、まぁいっか。気にしても分かんないし」ボソッ

「(感情が戻った…………?幻想郷に危険がある場合のみ、なのかしら?…………まぁいっか、月読がなんかやってくれるわよね)」

「(危険だな………。何をするか分からない事ほど、恐ろしいものはない。八雲紫同様、監視させておくべきか………)」

「(い、いつもの凜くんに戻った………。良かった……)」

「で?用件はそれだけかい?」

 

二神に聞いてみる。

 

「まぁ………そうなんだけど」

「そう?じゃ、帰ってもいい?」

「まぁ待ちなさいな」

「なんだよ、まだ用があるのか?」

「うふふ、結局、さっきの質問、答え聞いてないわよ?」

「さっきの質問?」

「私と豊姫ちゃん、どっちが可愛いか♪」

「あっ!そうだった、凜くんっ!結局どっちなのかしらっ!」ブンブン!

「え、今さら蒸し返す?」

「「蒸し返す!」」ブンブン!

 

困った二人だ。でもまぁ、テラちゃん(今命名)に隠し事は出来ないし(物理的に)、素直に口に出せば良いのかな?

 

「うーん、どっちが綺麗かって言うとテラちゃんだろうね。最初に言った言葉は嘘じゃないからね」

「うんうん、そうよねっ!」

「………えー………?」

「(なんか不満そうだな、姉上………。豊姫に相応しいか見極めるって言ってたからか?)」

「でも、どっちが可愛いかって話なら豊姫ちゃんになるかなぁ」

「……………へ?」

「何と言うか、ニュアンスの問題だよね。どっちが美しいか、ならテラちゃんなんだけど。どっちが可愛いか、なら豊姫ちゃんだよね。その2つって違うし、タイプが違うだけで、豊姫ちゃんは豊姫ちゃんの魅力的な部分があるのは、まぁ当然だよね」

「……な、ななっ………ななななな…………!?」

「どっちかというなら豊姫ちゃんかな?テラちゃんは近寄りがたいよ。美しすぎるからねぇ……。過ぎたるは及ばざるが如し、綺麗すぎるものは、常人には目の毒さ。それが悪いわけじゃないんだけどね。だから豊姫ちゃんの方が、俺は好きかなぁ(注:見た目的な意味で)」

「………しゅ、しゅきっ!?あ、あうあう………あうう………!」

「――――~!~~!」バンバン

「ちょ、姉上、人を叩かないで下さいよ!」

 

可愛いと美しいは別もんだし、テラちゃんのベクトルは美しいだし、豊姫ちゃんのベクトルは可愛いだ。方向性が違うんだし、比べるようなもんじゃないと思うんだけどなぁ。変なことを気にするねぇ、2人とも………。って。

 

「あれ、2人ともどうしたの?顔赤いけど」

 

豊姫ちゃんは悶えながら、テラちゃんはぷるぷる震えながら頬を紅く染めている。

 

「え、なになに、何が有ったの?俺なんかした?」

 

唯一無事なヨミちゃんに聞いてみる。

 

「……………あー………まぁ、何と言うか………お前のせいなんだけど、お前のせいじゃないというか…………。ほ、ほらお姉さま、笑うのをやめて下さい……!」

「…………ご、ごめ、月読、無理……っ!笑いが……っ、笑いが…………っ、止まらないの………っ!あは、あははは………っ!」

 

?意味が分からない。紅い?考えられるのは、暑いとか?でもここは暖房であったかいんだけど。となると………。照れ?でも照れる理由なんてないな……………うーん。

 

俺の考えられる範囲ではないな。分かんない。良くわかんないけど、本人に聞いてみようか………。

 

「おーい、豊姫ちゃんやーい………」

「(好き?あの天照様より?好きってつまり好きって事で、私とずっと一緒に居たいとか、そういうことで………っ!私も彼のこと、き、嫌いじゃないし………、嫌いじゃないって事は好きかもしれないって事で、満更でもないってことで………っ!ああ、いけないわ私、私は月人、彼は地上人なのよっ?ずっと彼とは一緒には居られない、今日が終われば彼とはお別れ、もう会えないのよっ?しかも、寿命だってあるんだから………!ああ、でも、彼はやろうと思えばいつだってここに来れるし、穢れもなくせるからずっと私と一緒に………///)」

「(すっごいトリップしてる……!?)」

 

良くわかんないが、何だかまずい気がする。

 

「夢見るアリスも現実を知る(リアリティ オブ アリス)」

 

こんなこともあろうかとパチュリーから教えて貰った夢見の魔法の応用バージョン、夢壊魔法『夢見るアリスも現実を知る(リアリティ オブ アリス)』を発動させる。名前はそのまんまだが。考えてもみろ、俺高校生だぜ?洒落た名前なんて思いつくわけ無いじゃん?テキトーに英語とか突っ込めば形になるとか思ってても仕方ないじゃん?

夢壊と言っても、軽く思考を中断させる程度だが。しかしパチュリーにこの魔法の話をしたら、

「オリジナルの魔法を編み出すようになったのなら、あなたも魔法使いの一員ね。ただ既存の魔法を覚えるだけでは魔法使いとは言えない。No royal road to the magic、魔法に王道はないわ、自分だけの魔法を作り出してこそ、魔法使いと言えるんだから。まだ一年ちょっとしか経ってないのにもうそこまで行くなんて、凄いわね。ふふ、師匠がいいからかしらね?」

とか言って褒めてくれた。相変わらず魔法の話になると饒舌になるなぁ、とも思ったが、嬉しそうなパチュリーを見てると、やってよかったと、思った。

 

って、話がずれてるずれてる。どうだろうね、夢壊魔法はそこまで効果の高い魔法じゃないからな。その割に魔力を食うのがコストパフォーマンスが悪いわ、そこがネックね、とあの後ダメ出しされた。しかもそうとう思考に没頭していないと防衛本能に負けるという効果の低さ。完璧役立たずの魔法だよね。でも人間に限らず、誰にでも使えたりもする。

 

「あれ、何考えてたんだっけ……?」

 

あ、思い出す前に声を掛けないと。

 

「とーよーひーめーちゃーんー!どーしーたーのー!」ユサユサユサユサユサ!!!

 

思考を思い出す前に超揺さぶる。

 

「あばばばば、ふぃんくん、いひゃい、いひゃい~!」

「ふー、正気に戻ったか………。豊姫ちゃん、なんであんなにトリップしてたのさ」

「とりっぷ?……………あう///」

「しーこーにーもーどーるーなー!!!」ユサユサユサユサ!!!

「ヽ(゚ω゚)ノあばばばば!」

「聞いてる?なんであんなに紅くなってたの?」ユサユサ!

「………………ふぃんくんがふぃきなんてひうきゃらでひょ~!?」

「凜くんがいきなり好きなんて言うからでしょ?」ユサユサ

「こくこく!」

「……………あ、なるほど!そーいうわけね。そっちの意味でとっちゃった?そっちの好きじゃなくて、単純に好みの話だよ。豊姫ちゃんの事が好きなんじゃなくて、豊姫ちゃんの容姿がテラちゃんよりタイプだって事だよ?」

「……………うん、私も冷静に考えると、普通そうだという結論に至ったわ」

 

さすがに動揺しすぎかな、私……。豊姫ちゃんがそうつぶやく。

 

「俺の言い方も悪かったよ。ごめんね?」

「いや、凜くんは悪くないわよ………私が勘違いしたからいけないんだわ」

「あは、そうだね」

「………ふふ、そこは否定して欲しいんだけどな?」

「責任とかそーゆーの、どーでもいいからね。責任を貰いたがってる奴にはくれてやるのが俺の流儀なのさ」ケラケラ

「うふふ、カッコイイ事言うじゃない…………ぷふっ……!」

「姉上…………」ジト

「わ……分かってる、分ーかってるわよぅ…………ぷくく……!」

 

笑いの渦から復活したテラちゃん。なるほど、豊姫ちゃんの反応がおかしくて笑ってたのね……。

 

「で、テラちゃん。もう用はない?」

「……………こほん。ええ、もう用はないわ」

「そう。じゃ、豊姫ちゃん、送ってちょうだいな」

「待って。2つ、言っておくことがあるわ」

「……………なに?」

「1つ目。君が幻想郷を大事にしてるように、私や月読だってここが大事なの。君がここの敵になるなら……………私達は一切の情を持たず、君を始末する」

「……………いいねぇ。問題はないよ、予定通り、こちらは不干渉で行くからね」

「………そう。まぁ、私だって友人を手にかけたくはないし、そうしてくれると嬉しいな♪」

「あはっ。それで、もう一つは?」

「……………………………………」

「あれ?どしたの…………って」

随分と真剣な目をしてる。そんなに大事な話なのかな………?

「………………………」

「………………………(*‘ω‘ )ゴクリ」

「…………………………………………………………………合格」

「………………………へ?」

「リン君……………合格っ!豊姫ちゃんと付き合ってよし!♪」

「………………………はい?」

「リン君、君耳悪いの?」

「いや、聞こえたことは聞こえたけど…………」

「リン君、君頭悪いの?」

「いや、発言の意味は分かるけど………」

「ならいいじゃない♪」

「うんテラちゃん、君とは会話が通じないようだ。豊姫ちゃん、どういうことか説明を………って!?」

「くらっ……………きゅう………」

 

なんか倒れたぞ!?

 

「ちょ、本気で意味が分からない!?よ、ヨミちゃん、君はこの状況の説明が出来る!?」

「……………………ああ、出来るとも。出来るともさ…………」

「ならよろしく!」

 

……………………………少女説明中………………………………

 

「と、言う訳だ…………」

「おk、把握。なるほどなるほど。豊姫ちゃんが、俺を意識してる。そうテラちゃんが思ってると?」

「ああ。今更だが、お前すごく馴れ馴れしくなってるな、仮にも神だぞ?」

「俺はそういう奴だ。理解しやがれ、ヨミちゃん」

「まぁ……………いいのだが」

 

偉そうな美少女可愛い。

 

「とりあえず豊姫ちゃん起こそうぜ。再度『夢見るアリスも現実を知る』」

 

もともとが夢見の魔法だからね、夢壊魔法で気絶中の脳に干渉するのは訳が無い。多機能なのはいい事だよね。

 

「………………………はっ!」

「あ、起きた。ねぇねぇ豊姫ちゃん、君、俺の事好きなの?」

「…………ふぇ!?い、いきなり何言い出すのよ……!?」

「え、好きじゃないの?」

「…………す、好きよ?嫌いなわけ無いじゃない」

「あ、そっちじゃなくて、男として好きか、でお願い」

「…………ななっ!?…………す、好きな訳無いじゃないっ!あにゃたみたいな危険人物!」

「あ、やっぱり?そうだよねぇ………。じゃ、テラちゃん。そうみたいだよ?」

「えー、豊姫ちゃーん。この子なら良いって言ってるのに。私、気に入っちゃった♪」

 

こちらに視線を向けて満面の笑みを浮かべてくる。うぉ、眩し………!

 

「わ、悪ふざけも大概にしてくださいっ!わ、私を虐めて楽しいんですかっ!?」

「うん、すっごく楽しい♪でも、豊姫ちゃんを虐めたいだけじゃないよ?私なりに協力したいな、とも思ってるわよ?」

「だ、だから、違うと言ってるじゃないですかぁ!そんなんじゃないですって…………!」

「太陽に隠し事は出来ないのよ♪」

「~~~っ!」

 

真っ赤になる豊姫ちゃん。押されてるなぁ、豊姫ちゃん。こういう心理バトルは呑まれちゃダメなのに。

というかテラちゃん?君は神じゃなかったのか?好きな人の情報を聞くと、本人がどれだけ否定しても信じ続けるクラスメイトの女子みたいなんだが?

 

「そもそも、豊姫ちゃんだって分かってるんでしょ?私の言う事こそ本心、自分の本質だって。あなたはこのままでも良いの?あなたは月人、リン君は地上人。会える機会は少ない。今ここで。言わなきゃ、いつ言うと言うのよ!」

「そ、それは…………、その」

「いつ言うの?今でしょう!!?」

「………あ………天照、様……!」

 

古くねぇ!?というか、ん!?な、なんか変な展開になってない?大丈夫?

 

「…………わ、分かりました……、天照様……!私も覚悟を決めます………!申し訳ありませんでした!」

「良いのよ、豊姫ちゃん………!ああ、太陽の前に出る恋する乙女は、いつの時代も美しい心の輝きを放つ………!」

「はい!」

 

しゅ、修造並の熱血展開だ……!

 

「凜くんッ!!!!!!」

「そんな大声で言わんくても聞こえる!」

「わ、私と!………つ、付き合いなさい!いい!?」

「………………へ」

「えぇぇぇぇぇーっ!!!!!????」

 

あれ………………どうしてこうなった………?

 




どうしてこうなった・・・?なぜこうなった。
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