東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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異変編です。作者の苦手なバトルシーンもあるので、不安です……


3話『紅霧異変・前編』

特に何かあったわけではないので描写はしないが、あの後霊夢と夕飯作って食べた。霊夢やら魔理沙やらと弾幕ごっこもやった。いくらかスペルカードも増やしたし、スペルカードの特性も分かってきた。霊夢とはなかなかいい勝負で、勝ったり負けたりを繰り返している。負けると割と悔しい。そして魔理沙は?と言うと……………………。

 

「今日もやるのか……?いい加減飽きたんだけど……」

「うるせー!今日こそは勝ってやる!」

 

一応言うが、弾幕ごっこではない。魔理沙は俺とあまり弾幕ごっこしないからね。俺のスペルカードと、魔理沙のマスパ。威力の比べあいをするのだ。まぁ普通なら魔理沙も、違うカード同士を比べたりはしないんだけど……。ちょっと込み入った事情が有るのだ。

 

「恋符「マスタースパーク」!」

 

魔理沙が特大魔力ビームを放つ。

最初の弾幕ごっこで見たものと同じだ。速くて、範囲が広い。単純かつ強力なスペルカードだ。だが…………。

 

「(´Д`)ハァ…理想恋符、「マスタースパーク」…………」

 

スペルカード名を宣言し、魔理沙のマスパと同じ形をした霊力のビームを、マスパにぶつける。しばらくはせめぎあっていたが、魔理沙のマスパが、俺のマスパに呑み込まれて消えた。

 

「おいこら凜!お前もっと手加減しやがれ!」

「ええー、これでも魔理沙でも出せるはずの威力なんだけど……」

 

さっきのスペルカードは、リフレクターの特性に関係していて、リフレクターは、厳密にはそのまま跳ね返す訳ではなく、鏡で吸収して、それそっくりの物を作って跳ね返しているらしい(良くわかんないけど。その辺は能力任せなので)。その過程で、相手の技の解析をしているので、それを利用して、その技を理想的な威力で放つ。もっとも、俺の技じゃないので、あくまで相手の力量内でしか理想的には出来ない。まあ古明地さとりの、想起シリーズと一緒だな、わかり易く言えば。

 

「ふふん、だが今日の私はひと味違うぜ。凜に勝つために、新しいスペルカードを考えたんだ!」

「ほほう、比べるのか?」

「もちろんだぜ!」

「だから、全力出せばマスパでもいけるというのに」

「知るか!」

 

魔理沙がミニ八卦炉を構える。

俺も、理想恋符「マスタースパーク」を取り出し、霊力を高めておく。

 

「ファイナルぅぅ、マスターぁぁぁぁ!スパぁぁぁぁク!」

 

極太レーザー。何だ、何にも変わってないじゃん……確かに前よかは太いけどさ…………。

名前だけ変えてもなぁ…………。

 

「はぁ……理想恋符「マスタースパーク」」

 

俺のマスパが、魔理沙のファイナルマスパに向かう。すると、予想外の事態が起こった。

 

「嘘、マジで!!??」

 

少しもせめぎ合うことなく、一瞬で俺のマスパが呑み込まれ、ファイナルマスパが俺に向かって来たのだ。あ、やば………!?

 

「くっ、こんなの食らえるかーー!!!」

 

能力を使い天狗化し、ファイナルマスパから逃げる。俺の後ろの空へとファイナルマスパは消えていった………。

なんて威力だ…………。

 

「何だよ、あれ!怖いわ!!」

「ふはは、霧雨魔理沙様を舐めるんじゃないぜ!」

「さっさと話さねえと、天狗化させて全力で突っ込む」

「ごめんなさい」

 

因みに天狗化は解けている。スペルカードとして使う時は時間制限を設定してあるからだ。

三十秒無いくらいかな。

 

「このミニ八卦炉なんだけどさ、私のマスパだとミニ八卦炉の力を完全に引き出すことは出来ていなかったみたいなんだ。ミニ八卦炉の力を最大限に引き出すためには、出力と魔法理論の構築が必要だった。その辺を改良して出来たのが、魔砲「ファイナルマスタースパーク」だ」

「長い説明ゼリフをありがとう。もう一回撃ってくれるか?解析するから。」

「い·や·だ!」

「だろうね」

 

多分俺の霊力全部出したマスパなら、勝てるだろうけど……………。まあ、そっとしておこうか。

 

 

 

まあ、こんな感じで日常が過ぎていた頃、突然幻想郷から太陽が奪われた。空に紅い霧が蔓延し、太陽を覆い隠したのだ。東方Project、windows版1作目。東方紅魔郷の異変、『紅霧異変』だ。

既に夜だが、紅い霧は空に蔓延したままだ。月が紅く妖しく光っている。

 

「おゑ、気持ち悪!」

 

吐き気がする。どうやら霧には、人に良くない成分が含まれているらしい。外に出るだけで気持ち悪い。めんどくさいなぁ…………。

 

「おーい霊夢ー。夜飯まだー?」

 

霊夢がいない。どうやら、外にいるみたいだ。

彼女は気持ち悪くないのだろうか。もしくは能力でも使って、それらから『浮いてる』のか?

博麗霊夢の能力、空を飛ぶ程度の能力。額面通りに受取れば空を飛べるだけだが、実は違う。空を浮くように、あらゆる物事から影響を受けず、自由になる。そういった能力だ。人のことを言えないくらいにはチートだと思う。俺が馬鹿チートなのは認めるが、霊夢も大概である。

 

「分かったわよ……行けば良いんでしょ、行けば」

「お前それでも博麗の巫女なのか……?」

「何やってんの?」

「お、凜。久しぶりじゃないか。この異変について話してたんだ」

「魔理沙が異変解決に向かおうって言ってるのよ。まあ、私と魔理沙だし、別行動にする予定だけど」

「へえー。俺も行っていい?」

「「………………………」」

 

二人はいきなり黙り込み、お互いを苦笑いしながら見つめる。あれ、ダメかな………。

 

「え、俺なんか変なこと言った?」

「ま、まあ良いけど」

「い、良いんじゃないか?」

「お前ら………人を人外扱いしてないか?」

「「(=_=;) ぎくっ!」」

 

示し合わせたかのように、二人が一緒にバツの悪そうな顔をする。おいこらお前ら。人は人として扱え。能力だけをチートと言え。

 

「まぁ大丈夫だって。手加減はするから。少なくとも弾幕ごっこなら、完全に実力だけが勝ち負けを決めるわけじゃない」

「ま、私としては面倒な事が少なくなるから良いけどね」

「ま、確かに、凜が手伝ってくれれば安心出来るのは確かだな」

 

取り敢えずは承認してくれたらしい。二人が頷く。

折角原作の異変が起こったんだ、関わることを決めた以上、全力で楽しんでやろう。能力が使えないままなら、ちょっと厳しかっただろうが。気楽にやっていこう。

 

「じゃ、凜は私の方に来て頂戴」

「わかった」

 

じゃ、異変解決にレッツゴー!…………………キュウ。

飯食ってからにしよう。うん。

 

…………………霊夢·凜食事中…………………

 

「所で、元凶の場所分かってんのか?σ(´~`*)ムシャムシャ」

「出すところみてたから、分かってるわよσ(´~`*)ムシャムシャ」

「なるほど。じゃ、向かうか(ごっくん)」

「ええ。(ごっくん)」

 

何故か飯を食べながら移動していた。若者らしく、何と言うかノリで。作ってきたのはカレーである。紅魔館の人にもおすそ分けしようと、ご飯と寸胴鍋ごと持って来ている。

 

「それにしても、このカレー美味しいわねぇ。女として負けた気分だわσ(´~`*)ムシャムシャ」

「まあ、最初は能力使ってたんだけど、もう能力使わなくても大抵の物は作れるぜσ(´~`)ムシャムシャ」

「羨ましい限りねぇσ(´~`)ムシャムシャ」

 

カレーを掻き込みながら道を歩いていると、突然、周りが寒くなった。それと同時に、青髪の少女、湖の氷精のチルノがやってきた。そして発言。

 

「ここを通りたくば、あたいを倒してからにしなさい!」

 

「………………」

 

俺と霊夢は、同じ思いを胸に、チルノに攻撃をした。前にも後にもこの時の連携が一番、心通わせた瞬間だったと確信している。

 

「「カレーが、冷めるだろ!(じゃない!)」

「ぷげっ!」

 

霊夢が夢想封印。俺が理想マスパを放つ。チルノは夢想封印で封印された後、マスタースパークで吹き飛ばされていった。

しかし、チルノは明らかに火力オーバーな攻撃をくらっても尚、元気にどこかへ飛びさっていった。

 

「きょ、今日はここまでしといてあげるわ~!あたいに感謝しなさい!」ヒュ~

 

チルノが去ったあと、まずはカレーの心配をした。少しルーを啜ってみたが、まだあったかい。

 

「よし、カレーは冷めてないな」

「せっかくいっぱい作ったから、持ってきたっていうのに、冷めたら大事だものね」

 

カレーの事で連携する、異変解決者達。なんともシュールだ。

しかし、カレーだから仕方ない。そうこうしてるうちに、真っ赤な色の屋敷が見えて来た。西洋風で、幻想郷っぽくない外観だ。

 

「霊夢、あれが元凶の館か?」

「ええ。あそこに門番が居るみたいだし、カレーをついでおきましょう」

「分かった」

 

霊力で浮かしていた(もう霊力操作は出来る様になった。空飛ぶのもできる)寸胴鍋と炊飯器を下ろし、霊夢の持っている器にカレーを盛る。

おすそ分けの準備は万端だ。

 

「こんにちわ~~!異変解決に来ました~。あ、これ、差し入れです」

「はい?」

 

あっちゃ、通じてない。

こちらを見た赤髪の女性は、紅美鈴。東方紅魔郷の三面ボス(確か)。あんまり覚えてないのである。緑の中華的服装を、艶やかな肢体で着こなしていた。モデルみたいだな。

 

「誰?っというか、カレー?なぜ?毒でも盛ってあるの?」

 

なかなかに警戒してるみたいだ。

まぁこの人門番だし、当たり前か。二次じゃかなり門番(笑)な扱いを受けているらしいけど、そんな事もないんだな。まぁ、二次世界のキャラクターとは言え、生きているんだから当たり前か。全部が全部、妄想通りではないのだろう。なるほど、収穫だな。

 

「よし、ここを通してください」

「すいませんが、ここは通さないようにお嬢様に言われてるの。通りたくば、力づくで」

 

そう言うと美鈴さんは、拳を構えた。あぁ、やっぱりそう言う展開になるんだね。原作通りならそうなんだろう。

 

「よし、霊夢。後は任せた」

「あんたがやりなさいよ」

 

かなりのめんどくさがり屋の霊夢が、俺に押し付けようとする。お前は博麗の巫女としての責務とか感じないのか?

 

「今思ったんだけど、冷めても能力で温度の調節できるじゃん?だから、お前に任せた」

 

それは決定打だったのだろう。霊夢はため息をつきながら、美鈴さんへと向き直る。

 

「やっぱめんどくさいわー。私はこんな怪しい人と戦うような、怪しい人間じゃないのに」

「あら、私は怪しくないわよ」

「こんなとこに住んでる人間が、普通なわけないじゃない」

「それは、館が怪しいのよ。私は、門番をしている普通の人なの。あなたこそ、そんな変な格好して、怪しい人じゃない」

「私は、巫女をしている普通の人間よ」

「さっさと始めないと魔理沙に追いつかれるよ~」

「急かすわねぇ。じゃ、そう言う事なんで、よろしくお願いするわ、普通の門番さん」

「こちらこそよろしく、普通の巫女さん」

 

二人が構えている。片方は拳を、片方は札を。まあ順当に行けば霊夢が勝つだろう。そんなことよりカレーだ。なかなか理想の温度というのは難しい。九十度くらいだろうか?試してみよう。

 

「味見味見…………ペロッ」

 

ダメだ、熱すぎてカレーの辛さが更にヒリヒリして味がわからないレベルになってる。

なら、七十度?………今度は温い。カレーのピリリとした味に合う温度ではない。なら、八十度ではどうだろ?……………………。うん!美味しい!美味いぜ!これなら美鈴さんも喜んでくれるだろう。

 

あ、ついでに魔理沙とも戦える様に回復薬グレ○トも作ろう。あれは体力の半分くらい回復するから、2個あればいいか。

適当な薬を、体力を半分くらい回復する薬を理想にしてグレードアップさせる。

 

そうこうしてるうちに、霊夢が勝ったみたいだ。まあ、分かってたことだな。あ、秘薬も作っとこうか。体力の全開&体力ゲージアップする秘薬。いくつか作っておこう。保持していた治癒力を促進する飲み薬の効果の理想を秘薬に。

 

「くっ、この私が人間なんかに負けるなんて……!」

 

この私、人間なんか、ねぇ。この世界じゃどうにも、人間は嘗められてるフシがあるな。まぁ聞く限り、妖怪の方が食物連鎖的には上位みたいだし、当たり前なのか。

 

「あ、勝ったんだから、通して貰えるよね?」

「……私には、抵抗出来ないわよ」

「あ、これ使ってね」

 

作っておいた回復薬グ○ートを、美鈴さんに見せる。

 

「これは?」

「回復薬グ○ート×2」

 

美鈴さんに回復薬グレートを2本飲ませる。すると、みるみるうちに怪我がなおり、全開する。

身体の痛みも消えているだろう。しかし、敵の筈の自分を助けたのが理解できなかったのだろう。怪訝そうに美鈴さんが発言する。

 

「なぜ、私にこんなことを?」

「カレー食わせるため」

「………え……ぷっ!あははは!変な人ね、分かったわ、いただきます」

 

美鈴さんがカレーを口に運ぶ。

髪をかきあげて食べる姿が扇情的だ。

 

「………!~~~!美味しい~♪あなたが作ったの?咲夜さんの料理位美味しいわ!」

「でしょ?」

「なぜお前が自慢するんだ。作ったの俺だろうに」

「あなた、ここで働かない?ここまで美味しいものが作れるなら、いいと思うんだけど」マガオ

「ちょっと!凜は私の金づるよ!」

「俺の金は俺の物だ!変なこと言うな!」

「なによー!」

「お前こそ何だよ!」

 

ぎゃーすかぎゃーすか。煩い。明らかに煩い。話が終わらなくなりそうなので、無理やり話を切って進むことにする。

 

「と、とにかく、先にヾ(●_ゝ-*)イクゾ!?あ、美鈴さん。黒白の魔法使いが来ると思うから、対応しといてくれない?」

「はあ……。体が平気なのに、貴方たちを通すというのも変な気分だわ……」

「まあ、もう一回やっても同じだとは思うけどね。それとも、今度は凜とやる?」

「凜さん、強いの?」

「そりゃ、回復薬グレ○トとか秘薬作れるくらいだからな」

「はあ。いまいち分からないけど、やめておくわ。せめてあと一人の方も通さないようにするだけよ」

「そう?じゃ、行くよー」

「行きましょう」

 

館の中へと向かった。

無駄に重い扉を開け、館の中を歩く。

 

「うわお、真っ赤ー」

「悪趣味な内装ね……」

 

館の中は、全面真っ赤だった。いい色だとは思うが、ここ迄真っ赤だと、気持ち悪い。まさに過ぎたるは及ばざるが如しである。

 

「そう言わないでよ。お嬢様の趣味なんだから、仕方ないじゃない」

 

アテもなく屋敷の廊下を歩いていると、突如そう声が聞こえてきた。声の発信源に目を見やると、銀髪を靡かせた美人が、メイド服に身を包んでそこに居た。いつの間に……………。東方紅魔郷、5面ボス(おそらく)、十六夜咲夜。確か―――――時を操る程度の能力だったか?なんか、無敵みたいな能力が掃いて捨てるほどあるよなこの世界………。

 

「そのお嬢様とやらは随分と変な趣味をお持ちで」

「まあ、否定は出来ないわね」

 

出来ないのかよ。まぁそれが一般的な感性だとは思うけどさ。

 

「で?貴方達は何しに来たのかしら?」

「分かってるよな?」

「分かってるけど、様式美よ」

「なるほど。それは、大事だね」

 

様式美。それっぽさって言うのは、かなり大事な事だろう。無粋な事は言わないぜ。

 

「まあ、ここは霊夢が言うべきかな」

「なんでよ…あなたが説明すればいいじゃない」

「それこそ様式美って奴だ」

「(´Д`)ハァ。私は博麗霊夢。博麗の巫女よ。こいつは高橋 凜。変人よ」

「随分とご挨拶だな。紹介に預かった、高橋 凜だ。変人なのは否定はしないが、ある程度は常識のある人間だ」

「十六夜咲夜よ。ここのメイド」

「取り敢えず、その『お嬢様』とやらの所に案内してくれるかな?」

「嫌よ」

「まあ、そうだよな…」

 

それで通したら、この館のセキュリティはどうなってるんだって感じだ。それに異変中だしな。ひとまず、どっちが相手するかを、霊夢に聞いてみる。

 

「で、どうする?やっぱり俺がやるか?」

「さっき私がやったからね。凜、あなたがやりなさい」

「はいはい。と、いうことで、お相手はこの私、高橋凜が務めます」

 

まぁ、順番って事でそうなるとは思った。大体はこいつの性格も分かってきた所だしな。

 

「所で、俺が勝ったら、カレー食ってくれるか?」

「は?」

「カレーだよ、カレー。分からんのか?」

「いや、そういう意味ではなくて……………って、ホントにカレーあるし……」

「おすそ分けだ。カレー、無駄に作ったからな」

「なるほど、相当に変人みたいね……」

「え?当たり前じゃないの?だって、カレーよ?」

「どっちも変人なのね………」

 

十六夜がそんなことを言う。カレーだから仕方ない。みんな大好きカレーライスだ。

 

「ま、カレーは食わせるがな」

「どうせあなたは、私に倒されるんだから、構わないわよ」

「おっけー。じゃ、始めるとしますか!」

「あなたの時間も私の物………人間ごときに勝ち目は、ない」

「お前も人間だろ」

 

十六夜がナイフを構える。取り敢えずは様子見……ん?

 

「うわっ!」

 

突然目の前に無数のナイフが飛び出し、俺へと向かう。突然のことだったが、速度も密度も大したことないレベルだったのでかわせた。いくつかナイフが掠め、服が切れてしまったが。

 

「よくよけたわね。そうでなくては」

「奇術「幻惑ミスディレクション」」

 

さっきみたいに突然に現れたわけではないが、それでも人間としてはおかしいレベルのスピードでクナイ弾幕が放たれる。廊下の端によりながら回避していると、突然十六夜が位置を変え、今までとは逆の方からナイフを投げてきた。速度も先程より速い。

 

「なるほど、だから視線誘導(ミスディレクション)か」

「分かったなら、さっさと負けてくれないかしら」

「そっちこそ、負けろ」

 

通常放たれているクナイ弾は反射するうえ、その量も半端じゃない。その上、突如現れるナイフ弾。今の俺じゃかわせない!

 

「理想恋符「マスタースパーク」」

 

そう考えた俺は極太レーザーで、ナイフ弾やクナイ弾を消し去りつつ十六夜を狙う。

殆ど廊下を埋めるように放たれているレーザーは、十六夜を呑み込む………かのように見えたが。

 

「ちょっと。ナイフがこげちゃったじゃない、どうしてくれるのよ」

 

突然、後ろから十六夜に声をかけられる。

時を止めてマスタースパークをよけて、俺の後ろへと回り込んだらしい。流石に、時を操る程度の能力は強いな。俺ほどのバカチートじゃないと思うけど、なかなかにチートクラスだ。

 

「それは悪かったな、今度買ってやろう」

「そうしてくれる?」

 

全速力で十六夜から離れつつ、弾を放つ。まったく当たる気はしないが、ある程度の牽制にはなるだろう。

 

「奇術「エターナルミーク」」

 

青いナイフ弾の高速バラマキ。放たれている弾幕の密度はそこまででもない。けど、その速度はかなり速い。次々と俺の体の横をビュンビュン過ぎ去っていく。気合スペルって奴だろうか?でも、わざわざノーミスノーボムでやる理由は、ゲームじゃないんだからない。

 

「重力「アイディアル・グラヴィティ」」

 

ナイフが落ちる。そして、今まで普通に立っていた十六夜が膝をつく。

いきなりの超重力に戸惑ったのだろう。

 

「なに、これは‥‥‥」

「重力あげてるだけだが。ま、これで時を止めても無駄だよな」

「‥‥‥‥‥ふっ!」

 

十六夜は時を止めようとしたのか、声を出した。多分発動したのだろう。しかし思った成果は得られなかったようで、その顔が歪む。それで終わりなら、終わらせようじゃないか。スペルカードを取り出し、宣言。

 

「化人「速きこと風の如く」」

 

天狗化し、十六夜に突っ込む(もちろん手加減してるよ?)。意識を失わないくらいには、なっているとは思う。しかし吹き飛ぶが。十六夜も思いっきり廊下に打ち付けられている。

 

「ぐっ‥‥‥かはっ」

「流石に終わったかな?」

「相変わらず、強いわねぇ」

「そんな俺とやりあえるお前もおかしいとは思うがな」

「巫女だもの」

「理由になってないぜ」

「く……すみません、お嬢様」

 

多分満足に動くことは叶わないだろうが、少しくらいなら動けるはずだ。

 

「よし」スッ

「ええ」カチャッ

「「カレーだな(ね)」」

 

カレーを器に盛り、動けない十六夜の口に運ぶ。

 

「ほい」

「食べろと?」

「ん?あ~んが嫌なのか?」

「べ、別にそんな訳じゃないわよ。ただ、なんで食べさせるのかと思っただけ」

「「お裾分けだから」」

「う……意味わからないわ。攻撃しに来てるのに、お裾分けとか……」

「敗者は、勝者の言う事を聞くものだぜ」

 

めんどくさいので、十六夜の口にスプーンを突っ込む。

 

「むぐっ!………!?美味しい……!」

 

お、どうやら喜んでくれたみたいだ。その調子で、どんどんカレーを食わせ続ける。カレーが一杯あいた。持っていたハンカチで十六夜の口周りを拭くところまでやると、十六夜が尋ねてきた。

 

「あなたが作ったの?」

「また聞かれたか……。まあな」

「紅魔館に就職しない?万年人手不足でね」

「日雇いなら考えないことはない」

「へえ。いい返事を期待するわ…」

「じゃーね。あ、これ使ってもいいよ。信じるかどうかは自由だけど、回復するから」

 

秘薬を十六夜に渡しておく。別にこれを使って向かってきても、その時はまた相手するまで。

負けるつもりなどないのである。

 

「ありがと。一応受け取っておくわ」

「そう?じゃ、霊夢ー行くよ」

「終わったのね。待ちくたびれたわ」

「さっさと終わらせただろうに」

「カレーを2杯食べられる位には、待ちくたびれたわ」

「へいへい」

 

結局、主犯であるお嬢様、レミリア・スカーレットの居場所は分からずじまいか。まぁ取り敢えず、それっぽい部屋を探してみるしかないかな……。

 

 

 

 

 

 

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