東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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35話です。今回は東方緋想天のお話。
格闘ゲームに合わせ、6個のバトルをやろうと思ってるので、一つ一つのバトルはやや短くなっております。あと、地の文も少なめです。格ゲーの画面を想像しながら見て下さると幸いです!
私事ですが、受験、合格いたしました!これからも続けていきますので、東方理想郷〜east of Utopiaをよろしくお願いします!


35話『緋色の煙』

「ふぁーあ、眠いなぁ………」

 

やぁどうも、高橋 凜だ。

 

「どうやら、今日も出れそうにないなぁ………」

 

今現在、外では霰が降り注いでいる。この場合、豪雨といえば良いのか豪雪といえば良いのか。ともかく、そんな状況がしばらく続いていて、概ね外に出られない状況である。出てもいいが、結構うっとおしいので出ていない。しかし、蓄えが尽きてしまったので、さっき霊夢が食べ物を買いに行った。唐突だけど、ジャンケンが強い人って得してるよね。

と、そんな風に天候を見ながら思っていると、空から人が降りてきた。大図書館の主、パチュリー・ノーレッジである。

 

「こんにちは、凜」

「あぁ、こんにちは。珍しいな、パチュリーが図書館から出てくるなんて」

「………………あなたは霰なのね」

「うん?あぁ、連日霰ばかりで困るよな。何気に洗濯物も干せないし」

 

しかし、パチュリーが来てから少し経つと、雲の様子が変わり、曇りに変わった。

 

「お、止んだか。うん、いい事だ」

「…………強固な硬さを持つが、その中は複雑な霰。この気質は、何かを抱えている強者の気質。あなたにピッタリね」

 

そうぼそりと呟くと、パチュリーは魔導書を取り出して、攻撃を仕掛けてきた。

 

「え、ちょっと!?」

 

 

 

 

パチュリーが金属性単色魔法『オータムエッジ』を放つ。広範囲に金属を飛ばす技だ。しかし、高速詠唱で放たれた為か、前方にしか飛んでいない。かなり早かった為、咄嗟にジャンプして避ける。

 

「…………!」

 

それが目的だった様だ。パチュリーは俺よりも高く跳んで、俺に向かって火属性単色魔法『サマーレッド』を放っていた。横に飛んでよけられる速さではないと判断し、素早く足を火の玉に向かって振る。空気を切り裂く勢いで放たれたそれは、カマイタチのように火の玉を切り裂き、俺の横を火の玉の残骸が通り過ぎる。

 

「――――――シッ!」

 

今度はこちらの番だと、俺は高速で大きなバツを描くように足を振った。パチュリーの全身を軽く覆うほどに巨大なそれは、サマーレッドの重い硬直状態にいるパチュリーでは避けきれない。

 

「―――――サイレントセレナ」

 

しかし、パチュリーはここでスペルカードを切った。周囲に光の光線を降らせるスペルカード、月符「サイレントセレナ」。あまり広い範囲には降らないが、俺のところにも光の光線が落ちてきている。中心にいるパチュリーは安全圏、という訳だ。そのまま地面に着地した。

しかし、俺は光線を躱しながらゆっくりとパチュリーとの距離を詰め、そこでスペルカードを発動する。

 

「大旋風「アイディアル・ウェアウィンド」」

 

大きな旋風を起こし、光の光線の行く手を阻ませる。もちろん、このままでは近づけないので、すぐに旋風の勢いをゼロにする。少しの間しか、パチュリーへの道は開かないが―――――それだけあれば充分だ。

 

「あ――――らよっと!」

「きゃあっ!?」

 

パチュリーに向かって、霊力で加速させた回転蹴り上げ『昇天脚』を放つ。旋風に視界を奪われていたパチュリーは対応出来ず、モロにそれを喰らい、吹き飛ばされ、そのまま落ちてくる。流石に動けないだろう。

 

「ったく、なんでいきなり。もうちょい順序を踏んでくれねぇかな………………ん?」

 

パチュリーの体から赤い煙のような物が上がっている。良く見てみると、俺の体からも出ている事が分かった。空へと立ち上ったそれが、俺の目に見えない程に高く上がると、また霰が降り始めた。痛い。

なんだこれは、異変か何かか?よく考えれば、パチュリーがいきなり攻撃してくるのもおかしな話だ。何か理由があるのか。

 

「むきゅー………」

「ふむ、まぁ一先ず、あいつに聞いてみるか」

 

パチュリーを神社の中に連れていき、適当な所に寝かせておいてあげる。まぁ、待っていれば来るかなぁと思うので待つ。

 

……………………青年凡矢理中…………………

 

「おーい、霊夢ー」

 

「…………あ、凜?聞いてよ、神社を出た途端に、いきなり晴れてさー…………ってどうしたの?そんな顔しちゃって」スタッ

またも霊夢が来た途端、天気が変化した。雲一つない快晴にだ。と、なると、天気が何か関係あることに間違いはないのか。

んー、でもなんか、異変であることは間違いなさそうだ。少し働くとしようかな?たまには、ね。

 

「んにゃ?何でもない何でもない」

「…………なんか怪しいわねぇ。異変かなんかでも有ったんじゃないの?」

「あは、霊夢は鋭いねぇ」

「やっぱりか。私には言えないことなの?」

「はっはー、そんな事はないんだけどねぇ…………たまには、俺にも働かせてちょうだいってこと!」

 

 

 

 

 

「適応流―――援の型、風雨」

 

空中に飛び上がり、腰に差していた鉄扇を振るう。そしてその風量を能力で肥大化する。満足に立っては居られない程の風圧がかかるはずだ。

適応流(てきおうりゅう)。名前の通り、その場その場に適応した行動を取れる流派である。主に暇な時に考え出したもので、近接で行える技が多い。たまには使わないとなんか可哀想だし、あまり目立ちたくないので使ってみる事にした。

 

「適応流攻の型一番、風刺」

 

ある程度自由を奪ってから、扇子を閉じて高速で振りまくる。大量の剣(?)閃が霊夢の下へと向かっていく。速度は控えめ。

並の者なら簡単にやられるコンボだが、流石は霊夢。能力を使ったのだろう、風をものともせず、剣閃の嵐をかわし出した。あは、平面の弾幕はお手の物だなぁ。ならば。

 

「適応流攻の型二番、疾風(ハヤテ)!」

 

霊夢の目の前で横薙ぎに一閃。振り切ったと認識したその瞬間に霊夢の真後ろに転移して一閃。左に転移。一閃。右に転移。一閃。

 

「これで――――しまいッッ!」

 

最後に霊夢の真上に転移してから一閃。全方位を囲む、完全な弾幕だ。僅かであるが、スキマはないわけではない。が、それを一瞬で見極めるのは、流石の霊夢と言えど不可能だ。

 

「(勝った――――――いや)」

 

されるがままなタマじゃない、か。

 

「神霊「夢想封印」」

 

案の定、十つの霊力封印弾が剣閃を消し去り、俺の方へと向かってくる。

 

「っとぉ!?」

 

扇子を閉じ、封印弾を消そうとしていると、囲うようにして封印弾が横から来た。ちっ、方位も変えられるようになったのかよ………。ムゲン・○・ハンド(古すぎ)みたいな囲い方しやがって!

 

「仕方ない!適応流守の型一番、風流!」

 

扇子を弾の回転に沿うように回し、徐々に徐々に回転を弱めさせていく。円の動きというのは、どんな物体の動きをも受け止める。もちろんそのままじゃ当たるので、速度に合わせて後退しながらだ。速度が緩まったのを感じてから鉄扇で切り裂く。

それを繰り返していき、全ての弾を潰し終わる。ふむ、やればできるもんだ。

 

「ふぅ。相も変わらず、面倒な技だぜ…………。んじゃ、今度はこっちの番!」

「適応流攻の型三番―――八裂(ヤツザキ)!」

 

まずは霊夢の目の前に転移し、袈裟懸けに鉄扇を振るう。もちろん、霊夢はお祓い棒で受け止めた。

 

「二つ」

 

今度は背後に転移し、横一文字に振るう。勘が働いたのか、前に倒れ込んで霊夢は避ける。

 

「三つ」

 

上空に転移し、そのまま重力に任せて降り、切りかかる。一瞬場所が分からなくなったせいか、霊夢は横に避けたが、肩に当たった。

 

「四つ」

 

今度は地面に転移し、しゃがみ込んだその体勢から一気に上に切りつける。霊夢は結界を張って、衝撃を抑える。

 

「五つ」

 

今度は転移―――――はせず、鉄扇も用いないで足払いを繰り出す。次も転移するだろうと、周囲に気を配っていた霊夢には覿面の様で、あっさりとその体を宙に浮かせた。

 

「六つ」

 

横倒しになった霊夢の体を、昇天脚を繰り出して空中に蹴飛ばし、俺もそれを追ってジャンプする。

 

「七つ」

 

今度は鉄扇を上に振るい、さらに身体を上空に浮かせる。足元の空気の硬度を高めて足場にし、それを追いかけて――――――。

 

「――――――八つ!」

 

回転し、ライダーキックの体勢で霊夢を下に蹴っ飛ばす。

最後に着地点に転移し、霊夢で近くの物を傷つけないようにすれば、適応流攻の型三番『八裂』の出来上がりである。『疾風』もなかなか強い技だが、流石にこれには及ばない。所謂格ゲーでのコンボの様なものだからな。

 

「おーい、生きてるかー」

「な、なんとか…………」

「そうか。ならいいや」

「あ、あんたね…………。少しは手加減ってものを覚えてくれないかしら………?」

「手加減した結果がこれだよ、これ。手加減というより、配慮かな?」

「まったく――――。あんたってば、本当に規格外なんだから」

「はっはー、恐悦至極の至りだよ」

「褒めてないんだけどね…………」

 

「あらあら、何をいちゃついてるのかしら?」ブゥン

「あらら、ゆかりん?」

「別に、いちゃついてる訳じゃないけど」

「そうそう。しばらく動けない位にボコボコにならしたけど」

「くすくす、楽しそうなことやってたのね。私も混ぜてくれないかしら」

 

一度霊夢を倒した時に霰に戻った天気が、紫が来た瞬間に雨になった。降ったり止んだりと、天気雨の様だ。やはり、異変の解決には天候が鍵みたいだな。気質―――とかパチュリーは言っていたが――――この赤い煙がそうなのか?

 

「何にせよ、暴れてみんと良くわからんね。霊夢、取り敢えず中に入っておきな」

「さて――――――とりあえず、場所を変えるか」

 

 

 

 

「まず1つ問いたい。君は今の異変について気がついてるのかな?」

「えぇー、何のことかしらー?」

「おいおい、これは俺としてじゃなく、守護者としての質問だぜ?真面目に答えろよ、紫」

 

一応は仕事モードである。友人として八雲紫を見る時はゆかりん、業務上の上司として見る時は紫で統一だ。こうすれば、シリアスとボケで意図が伝わりやすくて楽だろ?

 

「――――くすくす。勿論、知っているわ」

「やっぱりか。君が動いてないって事は、そこまで大した事じゃないってこと?」

「私の役割は、何か行き過ぎた事が起こった時の対処。これは、まだ『何も起きてない』。それだけのことよ~」

「ふん、腰が重くてやだなぁ、紫は。んじゃ、俺が動く必要も無いか?」

「あら、私は貴方には何も言わないわよ?あなたは良く、私の事を上司と呼ぶけれど、本来私と貴方に上下関係なんてないのだからね」

「あは、そんな事はないでしょ」

「いいえ、そうなの。そうでなければ―――――藍みたいに、あなたも私の部下にして、そばに置いてるわ」

「良く分からん」

「あなたは私の部下じゃなくて、仲間だってことよ。別に、私の命令なんて聞かなくても良いのよ?永夜の夜の命令だって、聞かなくても良かった 」

「馬鹿言うなよ。なんで俺がお前への協力を拒まなきゃいけないんだ。そんなこと、天地がひるがえっても有り得ないね」

「うふふ、あなたのそういう実は愚直なとこ、私は大好きよ?」

「………………///」

 

照れてしまった。面と向かって大好きなんて、フランにしか言われたことないもん。

 

「くすくす!照れてるのかしら?顔真っ赤よ?」ニヤニヤ

「う、うるせぇよ…………。そういう発言は、もっと冗談めかして言ってくれよ」

「ふふ、可愛いところも有るわよねぇ、あなた」ナデナデ

「十八の男の頭撫でてんじゃねぇ。痛いだけだろ、こんなん撫でてもさ」

「あらあら、そんな事も無いわよ?くすくす!」

 

…………どうにもペースを狂わせられるこの感じ、これがゆかりんである。俺がからかう場合も有るんだが――――。お互いがお互いの天敵。似たもの同士ではあれど、調子の波によって相性が変わる。

 

「はぁ。とりあえず、俺は俺で好きに動かせてもらう。たまには運動しないと、太りそうなもんでね」

「あら、だぁめよ、でしゃばっちゃ。そんな事、私が許さないわ♪」

「はははははは…………。紫………ちょっと今日のお前…………うん、うぜぇわ。不意打ちでもない限り、負けることはないことを。教えてやるよ!」

「あらあら。野蛮ですわねぇ。あなたが強い事は認めるけれど。スペルカードに置いては、私に一日の長がある事を教えてあげましょうか?」

 

 

 

 

 

「華なんて知ったことか!俺をいらつかせたらめんどくさいって、そう思わせてやるよ………!」

「化人「速きこと風の如く」」

 

速度上昇スペルを発動する。近接戦闘を行う上で天狗並みの速度はむしろ邪魔なので、並の妖怪並み程にしか上げない。その代わり、長い間使っても平気だ。

いやーはっはー、ふふふふふ、本気でイラついてきたぜ…………。

 

「せいっ!」

 

左足で前蹴り、回転の勢いで右足で後蹴り、その次に昇天脚で空中に飛ばし、空中コンボ。最後に蹴り下ろし!

と、かっこよく描写した所で、結界によって攻撃は全て止められているのだが。

 

「あらあら、ダメよ、そんなんじゃ。それくらいじゃ、私の結界は壊せないわ」

「ふん。流石最強の妖怪さん、とでも言えばいいかい?」

 

確かに、ゆかりんの結界が強固であることは確かな話だ。なら、それを上回る馬力を発揮するまで!

 

「化人「侵略すること火の如く」」

 

攻撃上昇スペルを発動させる。

 

「はぁっ!」

 

ゆかりんの結界に向かって、空中から飛び蹴りを放つ。足裏に鈍い感触。まだ壊せていない。鬼の一撃で壊せないなんて、ゆかりんの結界のバカみたいな強固さが非常にわかる話だが――――。

なんてことは無い。

壊せる。

 

「適応流絶の型一番―――――力任ッ!」

 

バリンッッッ!

そんな轟音と共に、不可視の結界が砕け散った。

絶の型一番、力任(リキニン)。鬼レベルに底上げされた力を裏拳に乗せるだけの単純な技。

一応これも適応流のうちなので、かなり様々な点に気を使っている。衝撃波の縮小、足場に与える影響の縮小、なぎ払われた空気が巻き起こす影響の縮小などなどを同時に行うため、スピードに限って言えば余り高くない。

しかし―――――その破壊力は折り紙つき。

 

「空弾「アイディアル・エアガン」ッ!」

 

指を拳銃の形にし、その指先から赤色の光弾を連続で撃つ。

紫もただ喰らうだけじゃないので、空中に浮かび上がってそれを躱した。

 

「逃がさねぇよ!」

 

もう片方の手も構え、空中に青色の光弾を撃ち放つ。

今度は当たる自信があったのだが、紫はスキマを開き、その弾幕を吸収した。

 

「だーもう、弾幕じゃ流石に敵わねーなぁ」

 

その後も何発か光弾で狙い撃ったが、全て避けられるか吸収されてしまう。紫の言う通り、やっぱ弾幕ごっこにゃ、あちらに一日の長がある事は確からしい。

 

「うふふ。相変わらず、バカげたスキルね」

「君に言われたくないが。まぁお褒めにあずかり恐悦至極―――――だよッ!」

 

空中に飛び上がり、回転しながら紫へとライダーキックの姿勢をとる。

 

「適応流絶の型二番――――――落花ッ!」

 

流石に蹴りはかわされる――――だが。絶の型二番、落花(オチバナ)の真価はそこではない。

蹴りによって紫の足元の地面が大きく凹み、巨大な落とし穴と化した。

紫はぐらり、と態勢を崩したが、すぐに浮き上がる仕草をとる。

しかし、ほんの一瞬だが―――――スキを産んだ。

 

「縛符「アイス・プレゼント」」

 

ちょうど雨が降っているので、それを利用する。紫に降っている雨粒の量を能力で大きく増やし、大量の水を生み出す。

そしてその水の『状態』の理想を『固体』へと変化。カチンコチン、だ。

 

「あらあら、凜ったら。そういう趣味だったのかしら?」ニヤニヤ

「あは、そんな趣味はねぇさ」

「理想神霊「夢想封印」」

 

札を取り出し、印を編む。

十つの封印弾が全て紫へと向かい、ぶち当たる。これで決着だろう。

 

「…………うふふ、流石ねぇ♪」

「はっ、良く言うよ。お前、妨害する気無かっただろ。スペルカードを使わず、全て受け身だったじゃねぇか」

「あら、そんな事も無いわよ〜♪」

 

ホントによく言う……………。

 

「んで、紫。お前は有益な情報をくれたりするのかな?」

「あら、それも悪くないけど………まぁ、自分で考えた方が身になるんじゃない?」

「ふぅん、まぁいいけど。それじゃあ、またね」

 

まぁアレだ。天候が関係してるってんなら、上を目指すのが1番だろう。余り霊力を使うのも芳しくない。山から上がるか。それはそれで天狗の相手がめんどくさいが…………。

まぁ、文以外なら鬼化して脅せばいっか。

 

 

 

 

「まぁ、そんな事だろうと思った」

「はろはろー、凜。今日はどう言った用件なのかしら?」

 

案の定、文が現れた。強い突風が吹きすさんでいる。

 

「というか、あなたとか霊夢さんが山に入ってくると、私が呼び出されるんだから。やめてくれない?」

「いやまぁ、俺だって来たくて来てるわけじゃあねぇよ。まぁ、こうして文に会えるなら来るのも悪くないけどー」

「さすが、やりますね凜!相変わらずのジゴロっぷりッ!そこに痺れるけど憧れませんッ!///」

「あは、ジゴロはやだなぁ。えーっと、流石に疲れてきたんだけどさぁ。いい加減、天狗の上の方にも言っといてくんない?俺、守護者だよ?幻想郷の全てを守る守護者だよ?幻想郷全域行けても良くない?」

「たかが人間の戯言と思ってるからねぇ、幻想郷の守護者(それ)

「えー、マジで?あっははは、そりゃあそっか。そーいや、天魔さんに挨拶したことなかったなぁ。今度挨拶に行こうっと」

「あら、やめておいた方がいいわ。いくらあなたでも、天魔様を前に無礼を働いたら、ただでは済まないわよ?」

「あらら、俺の能力を持ってして不可能は無いつもりだけど……………つーか、無礼を働くこと前提で話進めんなよ」

「あははははっ!まぁ、私から天魔様にかけ合ってあげるわよ」

「あはっ、そいつはどうも。ってー事で、事後承諾取ってくるんで、ここは見逃してくれないかな〜、なんて」

「えぇ、いいわよ」

 

え、マジで?ダメ元って言うか、百パー断られると思いながら言ったのに………。

 

「た、だ、し」

 

文はそう前置きし。

あぁ、やっぱ何か有るのか…………とげんなりしている俺の前に立ち。

唇に指を当て、いたずらっぽく微笑む。

 

「今度、私と1晩、一緒に過ごしてくれたら………ですけど♪」

「………」

 

俺は、その言葉の意味を一瞬理解出来ず。

 

「…………〜〜〜〜〜ッ!?///」カァァァ

 

顔が火照っていくのが分かる。な、なんてことを言い出しやがる!?

 

「………うふふ。あはははっ!あーはっはっはっは!私、初めて凜に勝てた気がするわ!」

 

文は声高らかに笑い声をあげる。からかわれた事に気づいた。

 

「お、おどかすなよ………」

「案外、かわいい反応するのね?なんというか、ギャップ?というか………」

 

文はニヤニヤしながら言う。

 

「…………今日は厄日だ……」

 

俺はからかう側であって、からかわれる側ではないというのに。いやマジで。似合わんだろ!俺がからかわれる役とか………。

俺が照れて、嬉しがる読者様がいるのか?凜くんかわいい(´Д`三´Д`*)hshsとか言う人がいるのか?…………え、いるの?マジ?

 

「うん、いるよ」

 

作者、知っているのか!

 

「一応ね?俺の知り合いに1人だけ、凜が受け身に回る方が好きだって子が」

 

マジか………いるのか………なら仕方ないな。

意外と素直な俺だった。

 

「どうかしたの?凜」

「うん?いや、少し脳内に直接語りかけられてただけ」

 

作者(あいつ)は何者なのだろうか。常軌を逸した行動をたまに取るよな………。

 

「何それ………まぁ、いいけど」

「というか、何であんな妙ちきりんなからかい方したわけ?えっちぃよ、文」

「凜は人間のクセに、妙に私を下に見てる気がするからね。少しからかってやろうと思って」クスクス

「心外だな。下に見てるんじゃなくて、対等に見てるんだよ。俺は嫌いなヤツはとことん距離取るからね。文の事が好きだからこそ、こうやって近しい距離感で接してるんだよ」

「……………ジゴロにも程があるわよ、ホント」

 

刺々しい口調とは反面、頬が赤い。

 

「あは―――――ジゴロってのは、無自覚に女を引っ掛けていくヤツの事を言うんだ。俺のあり方とは異なるよ―――――」

 

それに、それがライクじゃなくてラブに発展するような、甘い雰囲気のまま終わらせないし。

あくまで冗談なんだから、ね。

 

「それで、文。ホントに、見逃してくれるのかい?まぁえっちぃ意味じゃないなら、一晩くらい付き合うよ」

「あら、確かにさっきのは冗談だったけど―――――」

 

何故かそこで文は一泊おき。

俺の腕を絡みとりながら、耳元まで口を近づけた。

柔らかな胸が腕に押し付けられる。

 

「凜が望むなら―――――えっちぃ方でも、構わないわよ……?」

 

ぞわぞわぞわぞわ!背筋に寒気が走る。

お、俺が人をからかう時、女の子側はこんな気分なのか………。妖しい。妖しすぎる誘惑―――――うん。

気軽にこっち方面で人をからかうのはやめよう………(((( ;ω;))))

 

「だー!からかい方が悪質だぞ、文!大体、そのエロボディで男を誘惑すんな!並の男なら襲いかかるぞ!?」

「〜っ!あははは!ホントにかわいい反応するのねぇ?」

「あー、もう!いらいらするなぁ!」

 

ホントに、今日は厄日だ!

 

「えぇい、男を舐めくさってるその態度!粛清してやるよ覚悟しろ!まずはその胸の前の脂肪を揉むことによって燃焼してやるそこに直れぇぇぇぇ!」

「あらあら、変質者のお通りかしら!?クスクス!」

 

 

 

 

「化人「速きこと風の如く」―――――初っ端からフルスピードッ!」

 

パビュン!

そんな謎の音を立てて、衝撃波(ソニックウェーブ)が木々を薙ぎ倒した。マッハを超える速度は、音を置き去りにすることを実感する。

音が聞こえる頃には、俺は文の胸に手を伸ばしていた。いや、別に胸じゃなくてもいいんだけどね。何か、言ったからにはやらないといけない気がするじゃん?

しかし、文は翼を大きくはためかせ、俺の魔の手(自分で言うか?)から逃げおおせる。

流石は幻想郷最速、かなりの速度だ。

いや―――――もうその肩書きは使えないか。

 

「変わらないなぁ、君の速度は―――――フハハハハ、さぁ、大人しく揉みしだかれるんだな!」

 

やはり、俺より一段ほど落ちる。

徐々に―――――というか、グイグイと距離が埋まっていく。

 

「くぅぅっ!やっぱり、速いわね、凜!」

 

苦悶の表情を浮かべている。あは…………文よりちょびーっと速いだけだけどねぇ。

うへへへへ、たゆんたゆんが待ってるぜ!

……………いや、別におっぱいにそこまで執着してる訳じゃないんだけれど………。

文の胸に手が触れる。うむ、柔らかし。

 

「………ぁん………」

 

うわぉ、艶めかしー。

まぁ揉んでないですけどね!マッハの速度で触れたから、物凄い形が歪んだけど!

もちろん文も似たようなスピードで後退してるから、特に大きな影響もなし!ちょっと速さを優先し過ぎたせいで、衝撃波とか諸々抑えられなかったけど。

まぁ文もさるもので、まぁ顔は赤いけど(公然たるセクハラの結果)ニヤニヤしてる。

おっぱいを触られた程度でガチ切れする事は無いようだ。まぁこれが大人の余裕という事なのだろう。

 

「うふふふ……ホントに触るなんてね………」

「あは、ガチ切れしても良かったのに。ホントに俺におっぱい触られたかったのかな?もうちょっと動揺してもいんじゃねーの?」

「大人は、子供の粗相にいちいち目くじら立てるもんじゃないのよ」

 

クスクス笑っている。な、ならもっと先の行為をしてもいいんですかね?

とか思ったけど、俺をなめるなよ?実行はしない。

超長い時間霊夢と一緒に暮らしてて、手を出した事は1度もないんだぞ!

…………まぁ、こぁさんに関しては、ノーコメントだけど…………美人ばっかの幻想郷で、アホみたいなチートスキルを男として悪用してないのは、我ながら凄いと思う。

 

「あは―――――そんなに余裕ぶってていいのかな?」

「………?何言って――――――ッ!?」

 

文は怪訝そうだった表情を一変させる。

そして、慌てた表情で『胸元をまさぐり始めた』。

 

「気づいたようだな―――――文」

 

ニヤリと、俺は笑う。いやさ嗤う。

 

「凜、あなた―――――――」

 

「私のおっぱい!小さくしたでしょーーーーー!!!???」

 

スットーーーーン。

文の豊かな胸は、女の子なら誰でも哀れに思うほど、見事なまでの絶壁に変化していた。

 

「さっき、触った時ね!?」

「はっはー、直接触った方が効率がいいんだよねぇ。悪いとは思ったけど、触らせてもらったよん」

 

何もホントに、文の誘惑にぶち切れてあんな発言をした訳では無いのだ。だって揉みしだいたくらいで胸は小さくならないもんね。むしろ揉んだら大きくなるとか言うよね。

 

「いや、胸を小さくするとかのふざけた事、真面目に考えないでよ!?」

 

おっと、モノローグを読まれた…………。

 

「バカヤロウ!真面目にふざけないと、楽しくないだろうが!」

「…………え、何で私、胸触られて怒られてるの?」

「黙れ絶壁!AAAに人権はない!」

「あなたがそうしたんでしょう!?早く元に戻してよー!」

「まぁ待て文!それで1回、全力で空を飛んで見ろ」

「はぁ?何よそれー………」

「まぁまぁ、やってみやってみ」

 

凄く怪訝そうだったが、俺が無理矢理推すと、文は空を飛び始めた。まぁ一応俺も側を飛ぶ。

 

「……………あれ?」

 

「あれれれれれれっ!?」

 

文は驚嘆する。

『明らかに、先程よりも速い』のだ。

 

「良く、『胸が小さいと抵抗が少ない』って言うよねぇ。あれは何もテキトーに言ってる訳じゃなくて、確かな事実に基づいているのだぜ」

 

まぁ、割と誰でも知ってると思うけどね。

空を飛ぶ時、身体は倒した状態で飛ぶ。まぁ空を体だけで飛ぶなんて考えづらいだろうから、水泳のストロークの時で考えてもいい。

飛ぶ(泳ぐ)という行為は、空気(水)の壁を突き破る行為に等しい。それによって抵抗を受けるからだ。

故に速度を上げるには、抵抗を小さくするか、押し出す力を上げるか。どちらかしなければならない。

 

押し出す力を上げるのは、分かり易いだろう。動く時に込める霊力等の力(蹴りの力)が強ければそりゃあ、進みやすくなる。

抵抗を小さくする。これは少し分かりづらいかもしれん。

男なら、おっぱいが無いから体が一直線になり、抵抗が最小限になる。顔は前を向いているだろうから、顔がある程度抵抗を受けてしまうが。

しかし、おっぱいがあれば、前から見た時の面積が大きくなる。顔に加えて、胸が抵抗を受けてしまうのだ。胴体から少し垂れ、体が一直線にならないからである。

 

しかし、AAA。超が付くほどのド貧乳であれば、その抵抗はなくなる。

押そうとする力が強くなればなるほど、抵抗というのは大きくなる。空を高速で飛ぶ者に取って、おっぱいの大きさはかなりの問題点になりうるのである!

 

つーか、多分細いから俺より速いんじゃないかな?胸にも筋肉ついてるからね、俺。

 

「ふっ………理解出来たか文よ。お前が、幻想郷最速にある種の誇りを持っていたのは知っている。そのハイパースレンダーボディであるなら、お前は幻想郷最速にはや戻りできるぞ!」

 

まぁ、今は負けていても、能力を使えばすぐ勝てるんですけどね!

 

「確かに…………、速さが全く違うのは確かだわ。私は空を飛ぶのが好きだし、誰にも負けたくないという気持ちがあるのも、否定はしない」

「ならば―――」

「でもね凜!この体――――――1つ、問題点があるわ!」

「な、(; ・`д・´)ナン…ダッテ!?バカな!そのフォルムに、欠点など………!」

「いいえ、あるのよ………。それは……!」

 

ゴクリ。いままででも随一に深刻な表情の文を、同じく真剣な目で見つめる。

しばらく文は、何かを躊躇しているように見えた。しかし意を決したようにギュッと手を握りしめると―――――――徐ろに、瞳を潤ませた。

 

「限りなく――――――虚しいッ!!!!」

 

むなしい―――むなしい――むなしい――――むなしい―――――――。

文の全力の叫びは、妖怪の山中に反響して、響き渡った――――――。

 

「……………さ、冗談はここまでにしよっか!さーいこーいこー」

「待って!私をこのままにしないで!」

 

文がすがり付く。

 

「大丈夫、貧乳にも需要はある!お前の人生は、ここから始まるのさ!」

 

グッ。とサムズアップする。

 

「ホントに待って!なんか、ものすっごく………惨めな気分になるの!何でもするから、元に戻して!」

 

グスングスン。物凄く、惨めな胸元で惨めにめそめそしていた。

 

「はははは。仕方ないなぁ、直してあげるよ…………っと」

 

文の胸元に手を触れる。途端にあら不思議、ボン、キュッ、ボンの素敵ボディにはや戻りです。

 

「ごめんねー、泣かせるつもりまでは無かったよ。でもでも、俺を揶揄しようなんてのは、百年早いってこと、分かったんじゃねぇ?」

「………………グスン。凜なんて、嫌い…………」

 

子供のように泣きじゃくる文に苦笑いを見せながら、俺は上を目指した。

良し、これで文も撃破っと。いやぁ、スペルカード戦をせずに勝っちゃった。

女の子ってのは、弱点がげに多いねぇ。あはっ!

…………………うん、後で菓子折りでも持っていこう。いくら何でもやり過ぎた。

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