東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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まずは1つ、謝らせてください。
三月以降、全く更新せずすみません。
四月から新しい高校で勉強させて頂いているのですが、色々学生生活が忙しく(宿題とか部活とか)、更新出来ずにいたのです。
更新はしたいと思っていたのですが、最近は創作意欲という意欲が全然降りてこず、ヤバイ状態だったのです。
ちょっとずつ頑張りますので、どうか見守ってくだされば幸いです!


36話『天におわすは有頂の姫』

「んー、もう頂上かぁ…………てか、妖怪の山、高すぎじゃね?雲より上行きそう」

 

前回に引き続き、ぼーっとしながら上を目指す。天候のことだからって、上に行けば解決するってのも根拠の無い考えだが…………しかし。

霰に気を取られて、あまり上を見上げていなかったが―――――――良く見ると、雲が『緋色』に染まっていることが分かる。

どうにもこれが、様々な天気を齎しているらしい。

気質――――――性質の類義語。それがキーワード。それは分かっている…………。

花曇、快晴、天気雨、風雨――――――あの緋色の雲は、様々な天気に変化した。天気が変化した時の共通点は、全て誰かが現れた時に、変化しているということ。

 

「みんなの体から出ていた、あの緋色の煙――――――あれが、天気を変化させてると見るべきか」

 

おそらく、俺のいる所に必ず降っている、この霰も――――――――。

 

「―――――あら。こんな所に、何故人間が…………」

 

そう言いながら、ふいに女性がふよふよと浮いてこちらに向かってきた。

赤色のレースが入ったゆったりとした服に、青色の髪―――――永江衣玖だ。確か――――――空気を読む程度の能力。この場合の空気とは、文字通り大気の事であり、大気の流れを読む事で、天候や地震などを予知することが出来る。もちろん俗に言う空気も読めるだろうけれどね。

 

「こんにちは。俺は高橋 凜という者です」

「あら、ご丁寧にどうも。私は永江衣玖です」

「永江さん、ですね」

「衣玖で構いませんよ」

「あー………はい。衣玖さんでいいですか?」

「はい。私は、凜さんと呼ばせていただきますね」

「はい、好きなように」

 

適当に自己紹介し終わる。まぁ、霊夢や他の連中なら、これからぶっ倒して終わりにすると思うけど――――――流石に幻想郷の連中と同じような行為は取らない。元々俺はこの世界の住人じゃない――――非常識な行動はあまりしない。常識って、大事よ?まぁ、ノリでする時はあるけれどね。

あは、俺が言うと、なんだか見下してるみたいに聞こえるのはなんでなんだろうねぇ。

 

「それで、凜さんは何故、このような所に居るので?これから先は天界。人間の立ち寄る場所ではありませんよ。それに、もうすぐ地震が来ます。緋色の雲は、その前触れ―――――地上に帰って、防災の準備を進めた方が良いかと」

「実は、少々込み入った事情が……。地上の者達から、妙な物が吸い取られているようで――――それにより緋色の雲が作られているようなのです。お心当たりございませんか?」

「なんですって?」

 

衣玖さんはそう驚くと、緋色の雲に突っ込んでいった。確か彼女の種族は、リュウグウノツカイ―――――未来の地震を予知し、伝える存在のはずだ。

調べてくれてるのか―――――――な?あの緋色の雲は、地震の前触れであるとか言ってたし…………。

 

「………確かに、自然現象としての緋色の雲ではありませんね。人の本質で出来ています。――――――これは―――――」

「人の本質――――――『気質』ですか」

 

矛盾しない―――――とどのつまり。

誰かが個々人の気質を集め、あの緋色の雲を作り出している―――――って事だ。

未だ、ただの自然現象である確率はあったのだが―――――これで、異変である事は確定だ。

 

「衣玖さん。あなたは天界の住人ですよね?やりそうな人に心当たり、ございませんか?」

「……………もしや、あの方の戯れかしら?」

「何か分かりました?」

「ええ、まぁ…………。緋想の剣という、気質を操る事が出来る、天人の秘宝があるのです。もしやすると、それを使ってあの方が気質を集めているのかも………」

「あの方、ですか。察するに、その心当たりさんは天人なのですよね?」

「えぇ。比那名居天子と言いまして。色々と自由な方で、いつも面倒ごとを起こしてばかりいます。今回もその類かも知れません」

「ははーん…………なるほど、良くわかりました」

 

確か、大地を操る程度の能力の持ち主だったか。俺が名前を覚えてるってことは東方キャラだろうし、このタイミングで東方キャラの名前が出てきたのなら、十中八九間違いない。

 

「何から何までお世話になりました、衣玖さん。今度、お礼に伺わせて下さい」

「はぁ。別に、構いませんが………。そういう事でしたら、私の方から総領娘様にお伝えしておきますよ?天界の者が起こした不祥事は、天界の者で解決いたしますので」

「いやまぁ、お構いなく。パパパって解決いたしますから。なにか妙な事をしているなら止めようと、そう思った程度で、別に被害もまだ出てないですし」

「いえいえ、そういう訳には………」

「「……………」」

「じゃあ、間をとりましょう。俺と衣玖さん、二人でその比那名居天子さんに会いに行く。衣玖さんの説得に天子さんが応じてくれればそれで終わりで、応じてくれなければ、衣玖さんには悪いですが実力行使で」

「ですね。そうしましょう」

「ご協力、感謝します」

 

話の流れで、旅の道連れが出来てしまった。

まぁいっか。別に、武力で解決するだけが異変の解決方法でもない。衣玖さんが説得して解決するなら、それはそれでいい。

という事なので、衣玖さんと共に更に上を目指す。

 

「所で、凜さんはなぜ、それを解決しようとしてるので?ただの人間ではないということでしょうか?」

「えぇ、まぁ。一応異変解決の経験もあります」

「異変の解決は、博麗の巫女の務めだと聞いていたのですが」

「間違いではないですが………。彼女は、まず自分に被害が出るか、誰かにけしかけられないと進んで解決しようとはしませんので」

 

まぁ、今回は暇つぶしも兼ねてるので、霊夢に協力してもらう気は無かったけど。

本人はまぁ、多分力になろうとしてくれてたと思うが。案外、責任感みたいなのは強いんだよね、霊夢は。1回やり始めないとそれを発揮できない、難儀な性格ではあるけれど。

 

でも………霊夢って、俺がやってる事なら割と一緒にやろうとしてくれるんだよね……。まぁ、描写されないからアレだけど、彼女が1番接する機会も多いし。だからかな?

あは、そう考えると可愛いなぁ。今度神社に帰ったら、めいっぱい頭撫でてやろうっと。いやまぁ、嫌がりそうだけどね。あはは!

 

「はぁ。自堕落な方なのですね………」

 

まぁ、さっきの言葉だけ聞けばそう思うよねぇ。

しかし物憂げに顎に手を当てる姿も、彼女は美しかった。リュウグウノツカイだと聞いてるけど、見た目的には天女に近いような気がしてくる。まぁ美人とはお近づきになりたいし、もうちょっとお話するかぁ。

 

「俺からも聞いていいですか?さっき天子さんの事を総領娘と言っていましたけど。なにか大事な職の跡取りなのですか?」

「あぁ、はい。そうですね―――――凜さんは、要石ってご存知ですか?」

「…………まぁ、一応は。挿したら地震が起きなくなり、抜いたら地震が起こるって言う、アレですよね」

「はい。よくご存知ですね」

「一応昔っから、興味のある事は調べるようにしてます」

「いい心がけですね」

「ははは、まぁ逆に言えば、興味の無いことにはとことん無気力であるって事でもあるんですけど。それで、その要石がなんなのでしょう?」

「彼女が、と言いますか、彼女の一族は、代々要石を管理しているのです。要石を抜いたり挿したり出来るのは、比那名居の者だけなのです」

「なるほど。それはとても重要な役割ですね」

「ですが、もともと比那名居の一族は、天人ではありませんから。あまり他の天人には好かれていません」

「へぇ、そうなんですか………」

 

1通り、その比那名居天子の素性は分かったが………。果たして彼女は何の為に、こんな異変を起こしたのか。まぁまだ何も被害もなく、異変と呼べる程のレベルではないけれど…………。

というか………衣玖さん、いい人だなぁ……。

常識的で………。もちろん他の皆も、越えちゃいけないラインってのは越えないけど。

ふざけてばかりじゃ疲れるからねぇ。

 

そうこうするうちに、雲を超え、天界へとたどり着いた。辺りには誰もいない。

 

「総領娘様ー。いらっしゃいませんかー」

 

衣玖さんが呼びかけると、水色気味の青髪に、黒い帽子、なぜか載っけている桃、赤色のリボンに白い服の女性が現れた。見たことがある。

比那名居天子―――――間違いない。

 

「……………あら、あなたは…………」

 

しばらく衣玖さんの顔をじっと見つめていたが、少し気まずそうに苦笑いして言う。

 

「えーっと………誰だったかしら?」

「衣玖です、永江の」

「あぁ、リュウグウノツカイの………何か用?」

「総領娘様、こちらの方に、今地上でなにか粗相をなさっていると聞きました」

「あぁ、案外早かったのねぇ」

「やはりあなた様でしたか………。また勝手な事を。緋想の剣は、無断で扱っていいものではありませんよ」

「いいじゃないの、別に。退屈なんだから」

「……………どうやら、総領娘様にはお仕置きが必要なようですね………」

 

衣玖さんの目が、暗く輝く。おぉ、付き合いの浅い俺でも分かるくらい怒ってるぞ………。

というか、あれ?このままじゃ俺、要らなくね?(´・ω・`)

ダメダメ、一応俺主人公ですよ?話に関与しないと、主人公(笑)になっちゃうじゃん!

 

「まぁまぁまぁまぁ、少し待ってください衣玖さん。彼女にも、なにか深い理由があるのかもしれませんよ?」

 

退屈だとか言ってたけど。

俺がそう言うと、天子ちゃん(もうちゃんでいいや)はニコッとこちらに笑いかける。

 

「優しいのですね」

 

さすが天人というか、清楚な感じの笑みを浮かべている。先程までの言葉遣いが嘘のようである。さしもの俺といえど、少し面食らう。

 

「で、も」

 

「特に深い理由はないんだけどね」

 

あ、そうなのかー…………。

 

「じゃ、なんでこんな事したのか教えてくれる?みんなの気質を集めて、緋色の雲を作り出して。天候操って神様遊び?」

 

まぁ気を取り直して。口早にまくし立てる。少しは敬語とか使おうかと思ったが………。なんか、尊敬できる気がしないので。

 

「まさか。自慢に聞こえるかもしれないけど、天界の暮らしは退屈でねぇ。呑んで歌って踊って………」

「ふん。それは退屈そうで何よりだね」

「今地上では、『異変』ってのが流行ってるらしいじゃない?楽しそうだから、私も起こしてみようと思って」

「楽しそう………ね。正直、異変の解決自体はあまり楽しくないのだけど………」

 

その後に、新しく知り合った人と遊ぶのが楽しいのであって。スペルカードの戦い自体はあまり…………。

見る側としては、好きなんだけどね。俺が誰かとスペカ戦をしてると、割とゴリ押しになるからな………。

 

「天候の操作は、ただの前兆。この緋想の剣で、緋色の霧を集めて………」

 

天子ちゃんは腰に差していた黄色の剣を取り出し、地面に差し込む。

 

「集まった天の気が、大地を揺るがすの」

 

ズドン。

地面が小刻みに動く。

 

「地震――――――天界で!?」

 

そうか―――――なるほど。

先程彼女は、異変を起こしたがっていると言っていた。前も言ったが、霊夢は自分に被害が及ぶまで、異変の解決をしようとはしない。まぁ今回は普通に気がついて無かっただけだが。それを踏まえて考えると―――――。

 

「まさか―――――その剣で、うちの神社にでも地震を起こそうとしてるのか?」

「excellent!その通りよ」

 

霊夢に被害があれば、彼女は異変解決に動く。彼女のことだ、すぐに天子ちゃんの元にたどり着くだろう。そうすれば、幾ばくかの暇を潰せる―――そういう考えか。

というか―――――解決して欲しくて異変を起こすって。

ただのかまちょじゃん………。もしくはドMじゃん………。

 

「…………すみません、衣玖さん」

「蚊帳の外………(´・ω・`)ショボ-ン」

「衣玖さーん?」

「!あぁはいなんでしょう?」

「ちょっとあの人、ボコって良いですか?」

 

あんまりこういう事を、立場上天子ちゃんより下の方っぽい衣玖さんに聞くのもどうかと思うんだけど………。

霊夢に迷惑かけようとしてんのも許したくないし…………なにより。

博麗神社を壊されるのはまずい…………あそこは博麗大結界を見張る為の拠点でもあるし。幻想郷にとって、超大事な場所でもあるのだ。

 

「えぇ、もちろん構いませんよー。私がやっても良いですけど、凜さんも怒っているでしょうし。存分に灸を据えてくださいまし」グッ

 

衣玖さんはニッコリとサムズアップしてくれた。さて、許可も出たところで!

 

「ま、神社に地震を起こそうなんてバカな計画、聞いちまったら放ってはおけねぇな!パッパと解決して、霊夢への土産話にでもするさ!」

 

霊力の刀を作り出し、構える。

天子ちゃんはニヤリと笑う。

 

「そう、その気概が欲しかったの!これから神社を襲う力を、一足早くその身に刻め!」

 

 

 

 

 

「まずは小手調べから!かかって来なさい!」

「言われなくても!」

 

天子ちゃんが謎の石を高速で投擲してくる。どっから出したんだと思いつつ、足に霊力を纏わせ踏み込み、横をギリギリすり抜ける。

そして手にした霊力の刀を、少し大ぶりに横薙ぎする。

天子ちゃんは大きな石を構え、それで攻撃を受け止める。

止められた刀から手を離し、天子ちゃんの左側面を打つように蹴りを放つ。

石でガードしてからそう間はない。化人符を使ってないとはいえ、ガードが間に合うような時間はない―――――はずだ。が。

 

「(――――――硬い!?)」

 

足がまるで、石でも打ったかのように硬い感触を感じ取る。あわや、またもガードされたのかと一瞬考えたが―――――違った。

蹴りは入っていたのだ。

しかし――――――彼女の脇腹が、まるで石のように硬かったのである。

 

「…………あは。なんだい天子ちゃん、君実はロボットだったのかい?精密に作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイズ?」

「よく分からないけれど………。ふふ、天界の食べ物には、体を鍛える作用がありましてね。まぁ、味はともかくですが……」

「へぇ、なるほど――――――ねッ!」

 

会話しているスキに、更に足払いを放つ。

霊力を使って踏み込みした、下手すりゃ足を浮かすだけじゃなく、吹っ飛ばされてもおかしくないような威力―――――だったが。

ピクリともしなかった。

 

「ふふ、そんなに焦らないで下さい。せっかくなんですもの、ゆっくり楽しみましょう」

 

どうやら、天人らしい口調で喋る気もあるらしい。綺麗な彼女には、そっちの方が似合っている―――――けれど。

実態はただの我儘お嬢様なんだよねぇ………勿体ねぇや。

 

「はっ。生憎、せっかちなタチでね(硬いだけじゃ、こうはならないか……。足を地面に強く固定する為の筋力が無けりゃ、あの足払いは防げない)」

 

となると―――――天狗化してスピードを上げるか、鬼化して無理矢理どうにかするか………どちらかか?

けど、今日は天狗化と鬼化、両方既に使ってしまっている。割と頻繁に使っているから忘れているかもしれないが、あまり化人符を長時間使いすぎると体がえげつないことになる。

 

別に明日動けなくなっても構わないっちゃ構わないが、一応は避けたい。まぁ最終手段、能力でその痛みさえも無くしてしまうって手もあるんだが……………。流石に自分可愛さにそんなことする訳にもいかない。だって、過ぎた力には代償が付きもんだろ?その代償を無くすなんて、いつかドデカイしっぺ返しが来るに決まってる。

 

「ふふ、あなた、地上では随分と強かったように見えたのだけど。案外、そうでもないのね?」

「あは。天子ちゃん、そいつは買いかぶりが過ぎるってもんだぜ。俺なんて、どこにでもいるような普通の男の子にすぎないよ」

「……………何故かしら、物凄く否定したいんだけど」

「いやいや、ホントだって。俺なんて幻想郷においては普通だよ。元の世界ならともかくねぇ」

「あらそう。ま、小手先はこの位にして――――――行きましょうか」

 

天子ちゃんは不敵に微笑むと、懐から手作りらしきスペルカードを取り出した。なんだか可愛らしい感じのピンクの紙だ。

スペルカードってのはあくまで形式上のものであり、そのカード自体に意味は無い。一応作り方のようなものはあるが、どんなものだろうと、スペルカードだと言い張ればスペルカードである。言っちまえば砂投げでもスペルカードさえ宣言してりゃ、スペルカードとして扱えるのである。

 

「要石「天空の霊石」!」

 

先ほどより、少し大きめの石―――――恐らくは要石だろう―――――が飛んでくる。

もちろん、タダで喰らうほど俺もバカではない。前に飛んでそれを躱す。

しかし、何かの仕掛けがあるのだろう。要石は途中で止まり、弾幕を全方位に放ち始めた。そして間髪入れず、天子ちゃんがジャンプして移動し、再度要石を飛ばしてくる。

なるほど―――そういう趣向ね。

 

「いくらなんでも――――――舐めすぎッ!」

 

弾が大きく、1発しか来ない要石は、そこまで躱すのが難しい訳では無い。停止してから放たれる弾幕も、小規模かつのろい。そんな弾幕―――――躱せないはずがない。

 

要石の横をすり抜け、次の場所へと跳ぼうとしていた天子ちゃんを回し蹴りで蹴飛ばす。

流石に空中では対処が難しいのか、天子ちゃんは吹き飛ばされていった。

しかし何のダメージもないのか、天子ちゃんは不敵に微笑む。

 

「うふふ、そんなに怒らないでよ。弾幕ごっこは、余興――――――お遊びなんでしょう?」

「………あは、それもそうだけどねぇ」

 

効くか分からないが――――試してみるか。

化人符を使ってないから、威力はひどく下がるけれど―――――。

 

「適応流絶の型―――落花ッ!」

 

空中高く舞い上がり、霊力で強化した足で天子ちゃんの足元を蹴りつける。前に使った時と違い、化人符を使っていないため、地面の揺れは前のものより小さくはなっている。しかし、それでも。バランスを崩すくらいなら出来るはずだった―――――――しかし。

 

「大地よ――――鎮まれ!」

 

天子ちゃんが腰に提げた緋想の剣を突き刺すと、大地の振動は急激に収まってしまった。これでは追撃しても意味がない。

って――――おかしくない?何で気質を操る剣で、地震が止まるのさ……?

そんな俺の疑問を察したのか、天子ちゃんは微笑みながら答える。

 

「気質を操るとは、物事の性質――――それを操るということ。この緋想の剣を通して、静の気質を送り込む。さすれば、地面の振動は止まるというわけ」

「……………あは、なんだそりゃ。デタラメだねぇ………」

 

『それらに剣を触れさせる必要がある』という欠点を除いて言えば、俺や紫にすら匹敵するかもしれない。

流石は天人の秘宝というか。バカげたチートスキルだ。

 

「うふふ、楽しくなってきたわね!さぁ、もう1枚!」

「乾神「荒々しくも母なる大地よ」」

 

天子ちゃんが天高く浮き上がり、俺の真上へ移動する。そして足元に石を出現させ、それを踏みつけて落下してくる。当然ながら当たりたくは無いので、軽くバックステップしてそれを躱す。

 

「――――――がッ!?」

 

しかし、突如足元の地面が真上に突き上がり、吹き飛ばされた。っとと、痛って……。

つまるところ、天子ちゃんの足元に現れる石が地面に突き刺さると、直線上に地面が隆起すると、そんな感じのスペルなのだろう。

隆起する場所によっては、ジャンプするだけじゃ喰らってしまう。

 

「あは、厄介極まりない――――――けど」

 

それだけなら――――――かわせる。

 

「攻の型四番―――――風穴」

 

鉄扇を閉じ、真上にぶん投げる。

強度を能力で高められたそれは、ダイヤモンド以上の異常な強度を持つ。それに霊力を纏わせた腕の力でぶん投げたのである。局所的なダメージは鬼の一撃にも等しい。

しかし見た目はただの鉄である。

 

「ふん、そんなものが効くと思って―――――――ってきゃああぁっ!?」

 

投げた鉄扇は、天子ちゃんの足元の石に小さな風穴を開けた。そして、ここで謎の展開に陥った。

 

「あ……………ふ、んぁ………っ♡」

「ありゃ?」

 

見事に石に穴を開けた鉄扇は、そのまま天子ちゃんの足元に潜り込み――――――股ぐらに突き刺さったのである。

彼女はぶるる、と震え果て―――――そのままゆっくりと落下した。

 

「て―――――天子ちゃーんっ!?」

 

ビクンビクン!ぷるる…………ぴく、ぴく。

天子ちゃんは恍惚の表情を浮かべながら…………ビクンビクンと息絶えた。

 

「やっべ………カンチョーで勝ってしまった」

「………なかなか………ん、ふぁん………や、やるじゃないの………んっ♡」

「あ、生き返った………流石天人丈夫だな……」

 

というか、足ガックガクですけど大丈夫ですか天子ちゃん。

まぁ、気持ちはわかる。許容量を越えた打撃って、なんか気持ち良いよね。股ぐらは特に、性感帯が多い場所でもあるので、そこの点でも気持ち良くは成りやすい。

決してアブノーマルな話ではなく、程度の差はあれど、気持ち良くなってしまう可能性はある。

 

しかし天子ちゃん、Mっ気はあるかもね。

下世話な話、ありゃ1回はイってる。

 

「もう一回投げようかな………」

「やめておきなさい。私に付きまとわれたくなければね!」

「美少女に付きまとわれるのも悪くは無いけどね。自分で言う?それ。あははっ」

 

ついでに言えばドヤ顔で言うことでもない。

しかしなんとも、グダグダだな………。ラストバトル!みたいな雰囲気出しといて、少し時間が経てばこれだもんな………。

笑っちまうぜ。あはっ!これがゲームなら、ここで会話シーン挟んでるとこだよ?

 

「まぁ、仕切り直して――――――偶にはこっちからもスペルカードを使わないとね」

 

基本的に俺のスタイルは、後手必殺―――――使わせておいて、後からやり返すのが基本である。理由としては、俺のスペルが割とゴリ押し&強すぎっていうのがある。んなもん最初から使ってたら、ただのワンパンゲーである。

 

故にあんまりしょっぱなからってのは無いわけだが――――まぁ、俺のスペルにだってそこそこの難易度のものはあるからね。

 

「重力「アイディアル・グラヴィティ・やりすぎ版」」

 

ま、使わないけどね?(ゲス顔)

 

魔法で天子ちゃんの周囲を薄い水の膜で広範囲に覆う。そしてその中の重力を引き上げる。

普段はせいぜい4、5倍ってとこだが――――――――今回は10倍で設定してみました。

その強さや否や、天子ちゃんが思わず上体を引き下げてしまうほどだ。

 

「これは…………」

「難易度ルナティックってとこかな?普段はハードモードくらいだけど、まぁ天人様だし?レベル高めで、ね」

 

ま、正直やりすぎかもな………。並の妖怪でさえも、押さえつけられるだろうし。月の600倍の重力、か?やごっちゃんが受けたら発狂もんかもね………あはっ!

しかし―――予想は覆る。

 

「重った…………。これはひどいわね……」

 

ふらふらとだが――――――彼女は立った。

 

「へぇ………。ま、それでも――――結果は見えてるけど、ねッ!」

 

一気に水の結界を飛び越え、天子ちゃんに肉薄する。

もちろん範囲内での事、俺もスペルの影響を受けるのだが―――――そこはこのスペルの特徴『俺にとって理想的な重力』であるので―――俺には重力はそうかからない。いつもと違うのは、ただ俺以外にかかる重力が強くなった点のみである。

これが最強の不公平。咲夜なんか目じゃないぜ。

 

「はぁッ!」

 

霊力を足に流し込み、回し蹴り。

のろのろと蹴りに手を伸ばされるが、全く間に合わず、もろに蹴りが入る。

 

「ん………もう、乱暴ねぇ」

 

しかし、流石天子ちゃん。少ししか堪えた様子がない。

重力の協力もあって、蹴りで吹っ飛ぶのはやはりないようだ。

吹っ飛んでくれないと蹴りの力が全て通って、反比例の力が強すぎてめちゃくちゃ痛い。言うなれば壁を思い切り蹴るのと、浮いてる鉄板を蹴るの、どっちが痛いかという話である。

 

いや、皆そんな稀有なことやらないか?

あははっ!こいつは失敬!あははははは!

やっべ、ツボったかも?あははははははは!そりゃやらないよなぁ。あっはははははは!

やめよう、いつにもましてあ、とは、ばっかだ。口癖とはいえ、そうなんども口にしないんだけどなぁ………。

 

「うん、俺にしか分からない感覚で笑ってしまった………これもいけないなぁ………っと!」

 

足が痛いので、比較的柔らかいであろう腹の辺りをそこそこの力で殴りつける。

やはりそれでもひるまないので、今度は背中を見せるみたいに右回転し、首元にひじ打ち。少しぐらつく。

 

「っ―――――はぁっ!」

 

天子ちゃんは気合を入れるように叫び、腰に差した緋想の剣を抜き、それを思い切り地面に突き刺した。

 

「大地よ―――――私を阻む、水の境界を打ち砕け!」

 

彼女がそう言うと――――――大地が隆起し、周囲を円形に覆っていた水の結界を打ち壊した。

それと同時に、俺の能力が切れ、重力が元の大きさに戻る―――――――あは、なるほどね………。

 

「俺が今回設定したのは、『結界の中』の重力の変化。結界がなけりゃ、もちろん発動はしない―――――よく気づいたね」

「この空間の中に入ってから、あなたの動きが少し良くなった――――――後は、肘が私の肩の上に来た時、肩の重力が軽くなった事もあるわね」

「あは―――なるほど、ね」

 

俺はてっきり、物体そのものにかかる重力が強くなっているのかと思ってたんだが――――――どうやら、場所にかかる重力が上がっているらしい。

その中で、俺がいる『場所』だけ、例外になる――――とか、そんな感じ。

そりゃ範囲設定してる場所の重力を上げてるんだから、場所に重力がかかるよね。

 

「だけど――――意外に頭が回るんだね、天子ちゃん――――少し見直した、かな?」

「あら。随分な言い回しね………あー、重かった………急激に太った気分よ」

「感覚的には、体重10倍ってとこじゃないか?500キロオーバー」

 

しかし。重力「アイディアル・グラヴィティ・やりすぎ版」は本当にやりすぎである。さっき体重500キロオーバー、といったが、実際には全くと言っていいほど違うしな。

それをクリアするってのは、いやはやなるほど―――――天人ってのはバケモンだね。

 

「なかなか、楽しかったわ。噂に違わぬデタラメさね?」

「まぁ、否定はしない―――つーかできないけど。それでも、天子ちゃんに言われたくはないんだけど」

「うふふ。それもそうですわね――――今私、なかなか本気ですよ?博麗の巫女と戦うまで――――負けるつもりはありませんもの」

 

殴り、蹴り。何度も暴力を交わしながら、息も切らさずに会話も交わす。

全ての攻撃は、受け流すか受け流され、有効打がお互いに入らない。当たれば少しは進展があるのだが、全くと言っていいほど受け流される。もちろん、逆もしかり。むしろ天子ちゃんの方が当たればそれで終わりだろう。

だからこそ全ての力を受け流しているのだが。

 

当たれば多分、身体の中心部なら穴が開く。流さなきゃ終わりである。

しかもこれが大変なことに、まだお互いに余裕があるのだ。集中力が切れて受け流せない、などにはならないのである。会話しながらでもできるほどな。

さぁてどうしようかなぁ。このままってのもねぇ………。

 

「突然だけどやっぱり天子ちゃん、敬語の方が可愛いね」

「あらお上手ね」

「あは。でも天子ちゃん、俺はこう見えて男女平等主義でね………。可愛いからって容赦しないし、顔面だって平気で殴る系男子なんだ」

「あらあら、今度は野蛮ねぇ」

「あはは―――――ギャップがあって素敵でしょ?でもさぁ天子ちゃん。そろそろ飽きてきたとこじゃない?」

「ふふ、そんな事はありませんが――――確かに若干、マンネリ気味ではありますねぇ」

「そうそう。俺って割と飽き性だからさぁ。そろそろ本気のスペルカードを見てみたい、みたいな?」

「そうですか――――なら、決着します?」

「うん―――もちろん俺だってやられっぱなしでいるつもりはないけどねぇ」

 

………でも、正直言うと少しキツいな。

霊力を使いすぎた。ゲームみたいに、すぐ戻るようなゲージではないからなぁ。

多少の休憩時間を持たないと、全力では使えないのだ。そこの所の回復速度は、霊夢がピカイチである。

 

多量の霊力保持量に、超速の霊力回復力。

 

これが霊夢の博麗の巫女としての才能――――――正直、頭が上がらない思いである。回復速度においては、俺は底上げしていないので霊夢には及ばないのだ。

代わりに魔力を流しても良いが、霊力と違って大量に用意は出来ないのが難点。

 

「能力による腕力、速度上昇なし、霊力の回復なし、魔力の増量なし―――――あは、縛りすぎかなぁ?」

「化人「動かざること山の如く」」

 

思考力をブーストする。

そしてお待ちかね。化人符最後の札――――ただまぁ、最後ってことで、ちゃんと少しはネーミングも考えたぜ?

 

「化人「屹立すること林の如く」」

 

能力を使用する。

いやぁ、棚ぼただなぁ――――こんな形で、最後の化人符が『埋まる』なんて………。

 

「うふふ、準備は出来たかしら?それじゃあ行くわよ――――」

「「全人類の緋想天」」

 

天子ちゃんはそう言うと、スペルカードを天高く掲げ、宣言する。

緋想の剣がぐるぐると回り、赤色の短いレーザーを円形に放ち出す。

そう間が狭い訳では無い。

間をすり抜け、どういう理屈なのか浮いている天子ちゃんを蹴りつける。加速魔法を軽くかけておいたので、そこそこの威力ではあるはずだ。それに――――――――――――

 

「(足が――――硬い!?)」

 

『屹立すること林の如く』

身体の硬度の理想を『天人』並にする最後の化人符である。

力が強くとも、その物質の硬度が低ければそのダメージは高くない。如何に肩自慢のプロリーガーが投げたとしても、投げたものがゴムボールでは、大した火力にはなりえない。そんなものは、小学生の投げる硬球に大きく劣るのだ。

 

蹴るのと同時に、パリンッ!という音とともに緋想の剣が弾ける。

同時に、緋想の剣から放たれる攻撃が変化した。小さな円形のサークルから直線上にビーム、そのサークルが並行上に多数。

かなり難しい。普段の俺なら少し当たってもおかしくないとは思う。

 

ただ――――――今の俺は頭が回るんだよね。

 

右足の東端、左手の中央にヒット判定。

身体を捻り、頭を引き下げながら接近。左と右にレーザーが通ると、上から回転しているレーザーが襲いかかってきた。回転の動きに合わせながら、天子ちゃんの元に跳ぶ。

 

「―――――昇天脚!」

 

天子ちゃんを蹴りつけながら、レーザーの間隔に入り込み、上から来てたレーザーを一回転して交わす形で着地。

次のレーザーを左に回避。

炎の初級魔法(ちっちゃめのサマーレッドみたいなもの)で火球を何球か作り出してぶつける。

 

それと同時に、パリンと弾ける音。

天子ちゃんが動かないから凄く楽ちんだ。一方的にボコれてしまう。

しかしどつかれるとき、一瞬見るに耐えない顔を浮かべるのはやめて欲しい。

 

「んっ…………うふふ、さすが、ってとこかしら?」

「そりゃまぁ………これでも、守護者だからね」

 

守護者って言うのも、大げさすぎるとは思うんだけどね。これくらいババーンと打ち出しとく方が、主人公としての箔が付くってもんでしょ?大きく間違ってはないし、ね。

 

「あなたも、随分と楽しそうに地上で過ごしてたわよねぇ………羨ましいったらないわ」

「うんまぁ………そうだね、楽しくないわけじゃないよね、そりゃあ」

「そうよねぇ………たまには私の代わりに、あなたが天界(うえ)に来ない?」

「いや、別に天界に興味はないけど――――あぁでも、そうだね」

「??」

 

魔力刀を作り出す。作り方は霊力刀と同じだから気にしないでくれ。

それを握った手を自分の肩に置き、なんとなしに肩をすくめる。

 

「幻想郷は全てを受け入れる―――からね。まぁ見てるだけじゃつまんないでしょ?降りてくりゃ、俺で良けりゃ相手するし、霊夢とかその辺連れてきてもいい」

「…………」

「ま、異変もいいけど遊びもね、って事でさぁ。ここらで俺に退治されてみて、地上に遊びに来るのも悪くないんじゃないかな?」

 

そう言ってにやりと笑うと、天子ちゃんは少し意外そうな顔をする。

した後―――――嬉しそうに、微笑んで言った。

 

「――――――ヘンな人ね」

 

そう言って彼女は、緋想の剣を再び構える。

ぐるんぐるんと回転し、力がどんどんと込められているのも感じ取れる。

 

「――――――あは。ちげぇねぇな」

 

残念ながら、『山の如く』の効果は切れてるみたいだ。もちろん、『風の如く』と『火の如く』も使いたくない。

しかし――――――『林の如く』が残ってるか。なら―――――いけるか?

 

 

緋想の剣から、強い威圧感が送られてくる。

かなりの力量だろう。当たったらまず決着だな。

ただし、俺も何回か有効打を与えてる。そろそろ、相手の体力的にも限界のはず。

つーかあれだな…………そろそろ尺がヤバイ(爆)

 

そんな事を考えながら天子ちゃんを見据えると、威圧感がふっと消え去り、こちらに極太レーザーが発射された。

反射的に天子ちゃんの真下に飛び込み、レーザーを躱す。あ、パンツ見えた。水玉だ。

 

後ろを見ると、地面ががりがりと削られており、長いクレーターになっていた。当たれば命はない――――かも。

流石の俺でも若干の冷や汗。しかし、次弾装填は若干遅い――――そのまま峰打ちで天子ちゃんの背中を切りつける。

 

恐らく、周囲の空気から『動』の気質を集めて、それをレーザーとして撃っているのだ。

しかし、やはりあれほどの威力のレーザー、集めるのにはかなり時間を要するのだろう。

大ダメ技のクールタイムが大きいのは当たり前。それを躱すのはわけない。

 

「あは、天子ちゃーん。その程度じゃ当たらな――――」

 

右にステップ。

左側をレーザーが抉る。

それと同時に、刀を投げつけて攻撃。何故か刺さらないけど、ダメージは確実に通っているはず。

 

「―――いからね?」

「うふ、そのようね。なら―――――本気で行くわね」

「へ―――――うわっと!?」

 

チュドン!

上半身を抉るようにレーザーが襲ってきて、咄嗟に頭を引き下げて躱す。

地味に長めの俺の後ろ髪が、チリ、っと焦げる音がした。あっぶね………!

 

「でも不意打ち程度じゃ俺の反射神経は超えられ―――――って速ぁっ!?」

 

ほぼクールタイム無しで、身体の中央に向かってレーザーが放たれる。

―――――恐らく、攻撃の『溜め』と攻撃を同時に行ったのだ。周囲から『動』を集めるのと同時に、それ以前に集めた気質を放つ。つまりはそういうこと――――ゲーバラ悪いなこら………!?

 

咄嗟のこと、上にジャンプしてどうにか躱す。ギリギリかわし切れる。

しかし同時に、強い威圧感が向けられる――――――捉えられた!

それと同時に、天子ちゃんがにやりと笑う。

 

明らか詰みだ。霊力の切れた今じゃ、空も飛べない。そもそも、もはや間に合わないだろう。

 

着弾まであと5秒――――――あぁ、ダメかもなこりゃ――――。

つーかもう残ってるのなんて、マスタースパークとアイディアル・エアガン位しかまともなもんはないし。マスパじゃ多分、このレーザーは打消せなさそうだし―――――つーか、あんな反動が激しいの使ったら吹っ飛ばされるだろJK――――――ん?

 

「反動―――――そうか、その手があった!」

 

起死回生の一手を思いつき、懐からスペルカードを取り出す。そして宣言。

 

「理想魔砲「ファイナルマスタースパーク」」

 

そして、手をレーザーに向け――――ず、体を無理矢理後ろ向きにして、斜め下に向ける。

後ろからレーザーが放たれる気配。あと1秒―――――間に合う!

 

「ファイナルマスター…………スパーク………!!!」

 

何も無い所に向けて、ファイナルマスタースパークを放つ。

 

「?何をやって――――――!?」

 

気づいたか。

天子ちゃんのレーザーには及ばないにしろ、マスタースパークの持つ力は割と莫大だ。空中で反動を受けたら、思いっきり吹っ飛ばされる。天子ちゃんは反動を恐らく、静の気質を送ることで打ち消しているから動かずにいれるのだろうが、それは抑える力のない俺に言える話ではないからである。

なら!その反動で、『レーザーをかわせばいい』!

 

もちろん、吹き飛ぶ先は天子ちゃんの真上―――――早めにマスタースパークを止め、勢いを弱める。

ちょうど真上に到達した点で、真下に手を向ける。流石に次弾装填の時間はない―――――さぁ。

 

「終わりだよ―――――あは、思いつきは馬鹿にできないね―――――」

「ファイナルマスタースパーク――――!」

 

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