東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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最近更新ペースが遅れに遅れて申し訳ありません……。
新しい環境になかなか慣れず、疲れが溜まって夏休みも寝たり課題ばっかりしてしまって……。
言い訳ですね、すみません。Ibをご覧になっている方には、申し訳ないのですが、やはりこちらの方をメインで進めさせていただきます。


37話『有頂天のその先』

 

さて、今回は後日談というか、なんとも言えないその後の話である。つまりは後日談だ。

スペルカードで天子ちゃんを打ち負かしたので、とりあえず博麗神社に地震を起こすことはやめさせるようにさせた。

そして、幻想郷の個々人から気質を集めることもやめさせた―――――――そう、やめさせたのである。天子ちゃんもそれを承認し、これで今回の異変は解決、のはずであった――――しかし。

 

 

俺が若干の気だるさに顰めっ面をしながら朝飯を作っている時、その事案が起こった。

 

「ねぇねぇ凜凜」

「んー………なぁに〜………?」

「いやー、呼んでみただけー………」

「んだそりゃ………ふぁ」

 

外から秋刀魚の焼ける香ばしい香りがする。

ちなみに来輝さんから貰ったものである。有名なブランド秋刀魚らしい。1度食べたが、確かに皮のパリパリ感は半端ではなかった。素晴らしい。

 

「んー、焼けたかな………れーむー、悪いけど秋刀魚見てくんなーい?」

「いいわよ〜…………」

 

さて、俺はその間に浅漬けでも作っとくか………どうせ今日も食うんだし、食う分は作っておくのが効率的なのだ。

とか思いながら、食べる用の浅漬けとともに野菜を取り出した、その時。

ズドドドドドッッ!!

 

「―――――はぁッ!?」

 

強い振動音とともに、地面が小刻みに――――もはや大刻みと言ってもいいくらいの振動を起こす。その振動は半端なものではなく、食器棚がものの数秒で倒れ始めた。

柱がズレたのだろう。

それとほぼ同時期に、屋根がキシキシと悲鳴を上げた。すぐに屋根が粉々にへし折れ、落ちてくる。

この間、およそ10秒。料理中だったこともあり対応できず、ガレキに体がどんどんと埋もれてしまった。

外から、霊夢の声が聞こえてくる。

 

「凜ー?大丈夫かしらー?」

「……………」

 

ボゴッ。

近くのガレキを押しのけ、上半身を露出させる。ついでにこのままじゃ出血多量と複雑骨折で死にそうだったので、それも治癒する。

せっかく取り出した浅漬けの瓶が、粉々に砕け散っているのが見えた。

「あ、凜。無事だったわね。ここまでの地震は久々ねぇ。怪我してたとこ悪いんだけど、ちゃちゃっと能力で直して―――――――」

「…………………………が……」ボソッ

「??」

「あの――――――温室我儘クソお嬢様がぁぁぁぁぁぁーーっ!」

 

平和な幻想郷に、俺の怒りが響き渡った―――――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うふふ………ふふふふふふふふふ………!」

 

自室(元)付近のガレキを押しのけて、総武高(最近○×高校(略してバツコー)の制服着てないな)の制服を探す。

 

あの野郎………野郎じゃねぇけどあの野郎…………。

まさか、スペルカードで決めた決め事を、全力で無視して来るとは…………思ってもなかったぞ…………。

絶対に――――――――許早苗。

あくまでスペルカードの範囲で戦ってきたけど、もう辛抱たまらん。

なりふり構わず守護者としてのバカ力。

振り回してでも―――――――怒る。

 

「ちょ、ちょっと!な、何やってんのよ?」

「霊夢………そうだな、霊夢にも手伝って貰うかな」

「はぁ?」

 

ひとまず霊夢に、状況を説明する。もちろんガレキを押しのけながらだが。

 

「なにそれ、勝手なヤツね……」

「でしょ?はぁ、全く………。約束を守らないやつは嫌いだ」

「つまり、そいつがこの地震の犯人ってわけよね?」

「そうだよ」

「流石にここまで狼藉を働かれちゃあねぇ。手伝わせてちょうだい」

「もとよりそのつもり。んー、なんならもっと人数増やそうかな?」

 

なんだかんだ天子ちゃんは強いからね。

スペルカードなしなら、霊夢でも危ういかもしれない。

と、思ったので、ひとまず人を集めることにした。

 

 

「やっほーさっきゅん!」

「あら、凜……。何の用?」

「よう、久しぶり」

 

なんかさっきゅんの近くに転移したら、タチが近くに居た。

ちなみに密室だった。アヤシイ香りがする………。

 

「んだ、タチか………久しぶりに顔を見たな。しかし今回、ザコに用はないのだ」

「相も変わらず失礼なヤツだな……。うむ、久しぶりの出番なのでウキウキだ」

「ま、すぐ終わるけどね。実はかくかくしかじかなんだ」

「へぇ、なるほどね………。なんでわたし?その人を懲らしめたいのなら、お嬢様か妹様の方が適任だと思うのだけど」

「ん?なんかさっきゅんの方が頼みやすいじゃん」

「ありがとう………って、言っていいのかわかんないけど。まぁ、時間があったら、ね」

 

 

 

 

「というわけでゆかりん。手伝ってー」

「……………えぇ、いいわよ?」

「よし。らんちーも手伝ってー?」

「主の命令なら……」

「いいんじゃない?」

「であれば。手伝わせていただきましょう」

「やったー。よし、次だ次」

 

 

 

「やっほー魂魄ー。かくかくしかじかなので手伝ってー」

「うわぁ、なんとも勝手な人ですね。しばらく時間はあるので、手伝ってもいいですよ」

「やったぜ。あれだなー、ゆゆちゃんは集団戦向いてるキャラじゃないからやめとこ。次だー」

 

 

 

「てことなので手伝って、かぐっちゃん、やごっちゃん」

「久しぶりりっちゃん!もう1年くらい会ってない気がするわりっちゃん!もちろん手伝わせてもらうわ!」

「姫様が仰るなら、手伝ってもいいけど」

「かわいそうだから、手伝ってあげましょうよえーりん!」

「……仕方ないですね。しかし、どう考えてもオーバーキルなような……」

 

そんなことは気にしない。次だ!

 

 

 

 

「かくかくしかじかなので、ご助力願えないでしょうか、神奈子様、諏訪子様」

「………それはかわいそうだねぇ。しかし、信者でもない者に、そこまでの協力は出来ないかなぁ………」

「そうは言うけどさ、神奈子。少しくらい手伝ってあげてもいいんじゃない?」

「…………うーん………。いや、間違いなくやりすぎでしょ。私達、必要ある?」

 

どうやら手伝ってくれないみたいだ。

 

「よし分かりました。じゃあ腹いせに神社を消し飛ばして帰りますね!神社がぶっ潰される気持ちが分かりますよ!」

多少の霊力を出して、ざっとエネルギーを一億倍くらいに跳ねあげる。サイズこそ控えめだが、神社どころか妖怪の山くらいなら軽く吹っ飛ばすよ!

「ちょ、待て待て待て!分かった!分かったから!手伝う、手伝うって!」

「だからその物騒なものを早くしまいなさい!」

「やった。ご理解感謝です神奈子様、諏訪子様」

霊力弾を消し去ってから笑う。次だ!

 

 

 

「かくかくしかじかなんで、手伝ってくれない?」

「……………いやいやいやいや!!な、なんでそんなことで月まで来てるんですかっ!」

月まで来て依姫ちゃんにも頼んでみた。

頭がおかしい。

「いや、このくらいじゃおかしくはない。この後はヨミちゃんやテラちゃんにも話を聞く予定だ」

「はぁ!?ちょ、本気ですかっ!?頭おかしいんじゃないですか!?」

「それは元からだ。なんだよ、手伝ってくれないの?俺の私利私怨に付き合ってくれないの?月の都ぶっ壊すよ?」

「な………!ほ、本気でやりそうな所が怖い―――っ!なんてタチの悪い人なんだ!」

「いーいーじゃーんー!ただボッコボコにしてくれればいいんだよ!月に代わってボッコボコだよ!」

「だーもう!分かりましたよっ!」

「さっすが依姫ちゃん!愛してるー!」

「全く……相変わらず、調子のいい人ですね………もう」

 

 

 

 

「せっかくなのでホントに来てみました」

「あらあら、いらっしゃい凜くん〜。ほらなにしてるの月読、早く紅茶入れなさいよ」

「いやだから、私の待遇が相変わらずおかしい―――――」

「お、シクヨロちゃんヨミ」

「そして相変わらずお前も大概――――――いや、前より馴れ馴れしさがアップしてる!?」

 

そしてテラちゃんの部屋に。セットでヨミちゃんもついてきた。

 

「なので手伝って―――――――って言うのもあれか。一応相互不可侵の原則もあるしね」

「なんだ、分かってるのね」

「ならなぜ、お前はここに来たんだ………」

「いやあれだよ、別に手伝ってくれてもいいんだよ?うん、殺さない程度にだけど」

「そうは言うけどねぇ」

「んだよー、月ぶっ壊してもいいのー?」

「うふふ、依姫ちゃんや豊姫ちゃんならともかく。わたしはそんな軽い脅しじゃなびかないわよ?」

「ちぇ、君のその性質なんとかなんないの?せめてオンオフくらいつけられればいいのに」

「さぁ?なんとかなるかもね?」

 

流石に軽い読心能力を持つテラちゃんは騙せないようだった。ま、だろうとは思ったけどね。

次―――――は、流石にいいかな?

妹紅さんとか、他にもつおい人は1杯居るんだけど………まぁこんなもんだよね。

 

 

 

 

 

 

さて、今のメンツは………。

巫女に、メイドに、庭師に、境界の妖怪に、九尾の狐に、月の姫に、薬師に、軍神に、土着神、月の使者のリーダー、か。

うん。

頭おかしい。

宴会騒動(夏のアレ)より百鬼夜行度が増しているよね………あはっ!

極めつけにはそこに、ぶち切れた制限無しの『守護者』。これが1番危ない。それが自分で分かるところもやばい。

 

「まぁいいや!さぁみんなを回収して、とりあえずボッコボコよ☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええと………これはどういうこと、かしら……?」

 

わらわらと天界に集まってきた俺らを見て、天子ちゃんは洩らした。

 

「敢えて言うなら、俺おこだよ、ってこと」

 

「っていうか、なんであんたがいんのよ依姫」

「………私も来たくはなかったんですがね。しかし、思ったより豪華なメンツです。特に………そこのお2人には驚きですね」

 

「あれ、私達かしら?」

「そうなんじゃない?大和共の手先さん」

「あら何よ。今更そんな大昔の事を持ち出してきて……諏訪大国の王としては、まだ根に持ってたりするのかしら?」

「いやはや、お会いできて光栄です。よければ今度、月にいらして下さい。おもてなしさせていただきます」

 

「…………アレが、私の幻想郷を……」ギリッ

「ゆ、紫様?」

 

「………依姫まで居るし………凜の影響力は計り知れないものがあるわね………」

「あまりりっちゃんは怒らせない方がいい、ってことねぇ。うふふ、ちょっと話してくれば?」

「まさか。私もこれ以上、あちらに未練は残したくないので」

「うふふ、人と人との縁は、そう簡単には切れないものよ、永琳?」

 

「メンツが凄まじいわね………。私達、この場にいていいのかしら………?」

「さ、さぁ………。い、一応呼ばれたわけだし、いいんじゃないかな………」

 

もちろんいていいんですよ従者コンビさん。

 

 

 

 

「さぁ、皆さん!やっておしまい!」

 

天子ちゃんを囲うように皆で集まる。

そして皆にばっ!と合図を送ると、すっげぇなんでこんなに偉そうなんだろう………って感じのジト目で見られたけど、ジリジリと天子ちゃんへの間を詰め始めてくれた。流石俺のお友達である。

 

「な、なになになになに!?す、すごい人数連れてきたわね!?しかもメンツが頭悪い!?」

「あは………俺を怒らせたが運の尽き。選ばせてやるよ天子ちゃん………誰の手によって沈むかをな!」

 

俺がドヤ顔をしながらそう言うと、霊夢が姿勢を沈め、お祓い棒を横薙ぎに振るった。

天子ちゃんは手にした緋想の剣でそれを受け止めた。

 

「悪いわね、私もあんたに腹が立ってるから、手加減は出来ないわよ」

「うふふ―――――ここまで怒られるとは思ってなかったけど――――――って熱っ!?」

 

少しは余裕が戻ったらしい天子ちゃんが余裕ぶった口調で話し始めようとすると、その背を青白い炎が襲った。

スキマで背後に瞬間移動したゆかりんとらんちーの攻撃だ。

九尾の狐としての莫大な妖力を使用した、高等妖術の炎。あくまでも妖力でできた炎であるため、服に引火することはない。炎弾とかもそうである。あれは弾幕故に吹き飛ぶので、殆ど熱くない。

 

「………流石にオイタが過ぎましたわね?さぁ、美しく残酷に、この大地から去ね!」

 

ゆかりんは大きく天子ちゃんと距離をとる。そしてスキマを開き、その中にらんちーが狐火を放り込む。スキマは様々な所から現れ、天子ちゃんを全方位から襲う。

 

「づ―――――ああもう!うっとうしい!」

 

もちろんその際にも、ほかの人たちの攻撃は放たれる。それをも瞬時に計算し、式の攻撃を味方に当てないようにしているゆかりんは、正しく超人だ。

 

「あまり一方的な戦いは、好きじゃないのだけれど………まぁ、姫様の命に逆らうわけにもいかないのでね」

 

ばびゅんばびゅんと手にした弓で天子ちゃんを狙い撃ちながら、やごっちゃんはそう言う。

どうやらかぐっちゃんが弓矢に永遠化を施しているらしく、途轍もない硬度があるっぽい。何度か天子ちゃんが弾こうとしていたが、勢いは止まるものの、確実にダメージを与えているように感じた。

霊夢は言わずもがな強い。空を飛ぶ能力を存分に使って、変幻自在の動きをする。

 

「ちまちまちまちまと……!ひとまず離れなさ――――ッッ!?」

 

天子ちゃんが緋想の剣を地面に突き刺し、驚愕の表情を浮かべる。

口にしていた事から察するに、土を隆起させ、周囲の連中を吹き飛ばそうとしていたのだろうと思う。しかし発動しないのだ。

 

「――――――がはっ!?」

 

そんな彼女に向かって、巨大な御柱が放たれた。神奈子様の攻撃だろう。それを見越して、周囲の近接戦連中は前もって手を引いている。

 

「不用意に大地を揺るがすのは、あまり宜しくないことだと思うけど?」

 

諏訪子様が地面に手を触れながら、ニヤリと笑う。

そうか――――坤を創造する程度の能力。

大地を創り出し、操れるあの力であれば、隆起させることを防ぐことも出来る。その隙に大ダメージの御柱だ。

神奈子様との連携である。見事だ。

 

そして再度、近接組(霊夢、魂魄、咲夜、依姫ちゃん)が攻撃を仕掛け始める。

魂魄や咲夜は、なんか攻めあぐねている。

 

「ナイフが刺さらないなんて………どういう体してるのよ」

「………やっぱり斬れない!」

 

なるほどね。刃がまともに刺さらないのか。

まぁ天人の体は頭おかしいほど堅固だった。

そりゃあ普通の刃物では刺さるまい。刺さったら刺さったで、それは大問題なような気もするが。

そこの所も考えているのか、依姫ちゃんは刀を逆刃に持って鈍器のように扱っている。

本来なら刀が折れてしまってもおかしくない(刀の方が折れるってのは、おかしそうで幻想郷ではおかしくない)のだが、全く折れる気配を見せない。

神降ろしを使うつもりはないご様子。まぁあんまり使うと怒られるらしいしね。

しかしそれを抜きにしたところで、月人のフィジカルと地上人のそれとでは大きな開きがある。

だって剣先が見えないんですもの。集中モードでようやく捉えられる速さだ。

 

「(………うむ)」

 

強すぎる。

あまりにも強すぎて、あの連中相手じゃスーパーモード(力の鬼化、速さと頭の回転力の速さの天狗化、再生能力の吸血鬼化)の俺でも厳しいんじゃないか(それでも、相手のパラメータ(能力とか筋力とか)を弄れば勝てるだろうが)と思うほどである。

 

流石に天子ちゃんと言えど、ボロボロだ。

 

俺は皆に合図し、少し攻撃を止めさせる。

ゆかりんは不満げだったが、ボッコボコにして少しは気が晴れたのか、一応止まってくれた。

 

「あはははは。どうだよ天子ちゃん。流石に君と言えど、手も足も出ないだろ?うん?えへへ、まぁ無様に滑稽に真摯に謝るってんなら、許してあげなくもないけど――――――」

「………………うふふ」

「天子ちゃん?」

「みんなよってたかって私を虐めて………。刀とか弓とか柱とかお祓い棒とかナイフとか炎とかが、何度も何度も何度も何度もぶつかってきて!どうしてくれるのよ………」

 

地面に伏していた天子ちゃんが、ゆらりと立ち上がる。

その表情は、言葉の語気の強さに反して、ピンク色に上気していた。

 

「最っ高に―――――気持ち良くなっちゃったじゃないのぉぉぉぉぉぉ―――ッ!」

 

ガバッ!

天子ちゃんは錯乱しながら、こちらに全速力で向かってきた。

目の色がハートになって、息が(*´Д`)ハァハァしている。

 

「へ――――変態だぁぁぁぁぁっ!?」

 

あまりの変態さに、瞬間で引いた皆は、それぞれ自分の獲物を投げ始めた。

魂魄や依姫ちゃんの剣閃や、咲夜の投げナイフ、やごっちゃんの弓、霊夢の封魔針、その他もろもろが天子ちゃんにぶち当たる。

こりゃ痛い―――――だが。

 

「ふへ――――――ふひひひひひひっ♡もっと………もっとぉ……!♡」

 

天子ちゃんは止まらない。

やばいやばいやばい、目が据わってる!あれはダメなやつだ!

 

「て、天子ちゃん!?大丈夫か、正気に戻れ!そろそろこの小説ではダメなレベルに突入しかけてるぞ!?」

「あへっ♡ふひ―――ふひひひひひっ!」

 

ダメだ話聞かねぇ!あまりの快楽に、体裁を保つことさえ忘れてるッ!?

くそ――――こうなったら夢見るアリスも現実を見る(リアリティオブアリス)で―――――って、そういやあれ直接触らなきゃ使えねぇんだった!

そうこう考えてるうちに天子ちゃんはこちらに大接近。もはや狂いに狂いきった天子ちゃんは腰の緋想の剣を抜き、皆に襲いかかる。

理性というタガが全て引っぺがされた天子ちゃんの動きは、完璧なる野性に支配されていた。それに加え、快楽によるアドレナリンの大量分泌!

 

「―――――ひとぉりッ!」

 

まず魂魄がやられた。

緋想の剣で楼観剣を弾かれ、乱された体勢に目にも止まらぬ速さの蹴りが命中。

吹っ飛んで見えなくなった。

 

「うふ――――――ふぅたぁりッ!」

 

次にやごっちゃんが狙われる。

手に持った黒塗りの弓を蹴り飛ばされ、両手で突き飛ばされた後に緋想の剣を振るわれ、細レーザーでさらに吹っ飛んだ。

 

そのまま3人目。4人目。5人目――――――。

1人、また1人と倒れていく。

ここにいるメンツは、全員が全員強キャラそのもの。みんな一撃で沈められるレベルの次元じゃあないはず………なのに。

ついには、立っているのは俺と依姫ちゃんだけになってしまう。

 

うっわー絶対俺要らないと思ってたのに………思ったより天子ちゃんは馬鹿強かったんだな………。

このままじゃ埒があかない。

あの依姫ちゃんですら攻めあぐねてる。つまりそれは、月人である依姫ちゃんと同じ次元に天子ちゃんがいるということになるのだが――――――やばすぎでしょ。

 

2人のやりあいに割り込み、天子ちゃんの腹に蹴りを捩じ込む。流石に不意打ち、モロに食らって吹き飛ぶ。

 

「これじゃ終わら―――――ないよねぇ……」

「あひっ♡うふ――――うふふふ!」

 

ゆらりと天子ちゃんが立ち上がる。

しかし吹き飛ばしたから、少しは会話の余裕もできた。依姫ちゃんに話をする。

 

「あは――――随分手間取ってるね、依姫ちゃん―――――君らしくもない」

「………あそこまでとは思いませんでしたよ、なんなんですかあの人は」

「さぁ、あそこまでド変態とは俺も思ってなかったよ…………で、どうしようか?ありゃ強いよ……?」

 

仮にも軍神である神奈子様が一撃でやられるくらいだ。ヤバイ戦闘力に違いない。

まぁ今の平和な世の中、本気で戦う事などとうの昔に忘れてしまったのかもしれないが。

 

「………そうですね、ここまで身体能力が高いとなると、能力なしではきついです」

「まぁ、だろうね………能力を使う気は?」

「もうあらぬ疑いをかけられるのは勘弁です」

「………あは、なるほどねぇ。なら依姫ちゃん、ちょっと体、貸してもらうよ」

「??」

 

能力を発動。

ありとあらゆる人体のスペックを、『依姫ちゃん並』に。

その瞬間、体が凄まじく強くなるのを感じる。

こ、れ、は………あは、明日は筋肉痛どころじゃ済まなさそうだな………ただでさえ昨日の化人符の影響で辛いのに……。

うぇぇ、やだな……。

 

「ま、これでよしとしようか………。あはは、こうして依姫ちゃんと共闘するってのは初めてかな?」

「ふっ、そうですね」

「はは、殺されかけた事はあったけどねぇ?」

「はて、そんなこともありましたか?私の記憶にはございませんね」

「あは!知らないうちに、随分強かになったねぇ!依姫ちゃんがそんな風になるなんて、人生わからないもんだなぁ」

 

ま、そろそろ作戦会議もストップだ。

 

「…………………あは♪」

 

口の端を吊り上げ、薄く笑う。

ここまで軽い調子で、けたけた笑いながら話をしてたが―――――俺は本気で怒ってるからねぇ?

約束を守れない、そんなダメダメでダメな子は――――――ちょいとやっぱり、痛い目見とかなきゃダメだよねぇぇぇぇ?

 

「……ッ!凜さん………その殺気は………本気でやる気ですかッ!?」

「あははははっ!俺は今まで本気じゃなかったことなんてないよぉ?いつだって大真面目にやってきたつもりさぁ………ふふ、まぁスキルを使わないのはいいけど。あんまりにもやる気ないと、怒るからねぇ?」

 

普段は使わない、守護者としての全力スペル。

ちょっと……どころか、かなりヤバ目のスペルばかりだが………まぁ、お仕置き程度にはちょうどいいよねぇ?

 

「…………ふふ。本気の凜さん、ですか。それは少し――――楽しみです」

 

そう言って依姫ちゃんは刀を構える。コンセントレーションはバッチリというところか。

………よく考えると、この子は俺に付き合ってくれてる側なわけだよな?あは、やる気もなにもないよねぇ………うーん。後で月の都の仕事かなんか手伝おうかな?

 

「…………あっは、下らない私怨に付き合う対価として、充分かはわからないけれど。守護者としての実力――――見せてあげるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

「ふひひひ――――――はぁっ!」

 

音が聞こえるよりも先に、天子ちゃんの前蹴りが俺と依姫ちゃんに向けられる。

見るよりも先に攻撃を感じ取り、布一枚分ほど空気を挟んでぎりぎりかわす。

蹴りで受けた風圧を右脚で支えて耐え、左足で足払いを狙う。依姫ちゃんも同じくして、刀を右側から上半身へ振るう。

 

上と下の同時攻撃、確実にどちらかは当たるはずだった。が、天子ちゃんは前蹴りで前のめり気味な体勢のまま緋想の剣を抜き、地面に突き立てて足払いを止め、上半身を勢いのまま前に倒して躱す。

 

いくら身体能力が月人並みとは言え、同レベルの身体能力者からの勢いある蹴りを剣だけで押さえ込めるはずもない。

衝撃が剣に伝わり、地面をガリガリと削り取りながら数メートル吹き飛ぶ。

更に体勢は崩れている、それに向かって本気スペルその1を宣言。

 

「越符「バカでおかしな超越者」」

 

さぁまずはこれから。身体能力の『越符』スペルだ。

 

越符というのは、俺が普段使わないゲームバランスのゲの字も見当たらないほど使っちゃいけないスペルである。敢えて喩えると、遊〇王で言う禁カだと言っておく。

 

今の身体能力から、おおよそ4倍ほどを理想として能力を使う。

そして更に、集中力を5倍ほどに引き上げる。

どちらも月人の(しかもその中でも高いであろう依姫ちゃんの)スペックを基準とした強化だ。おふざけ極まりない。

そのふざけた効果で生み出される恩恵は凄まじく、世界の動きが物凄くスルーに映った。ありとあらゆる行動が、手に取るようにわかる。まるで時間が遅くなったかのように。

 

「(……………あは、咲夜はこんな世界で生きてんのかもね?)」

 

天子ちゃんに近づき、連撃を加える。

両肩に高速ジャブ。胸元に左でひじ打ち、腹部に右ストレート、そこからの右アッパー。

最後に右脚の前蹴りで吹き飛ばし、身体能力を月人並みに引き下げる。絶対このモード、後が怖いからね。

 

「―――――――んひッ!?」

 

ようやっとスロー映像が止まり、なんか天子ちゃんの体が色んな方向に折れまくりながら、吹き飛んでいくのが普通の速度で見える。

 

「――――――ッ!?り、凜さん………!?」

「およ?あぁ、依姫ちゃん……。あは、どうしたのかなぁ?そんなにびっくりしてさぁ?」

「い、いえ……」

 

依姫ちゃんの言いたいことは大体わかった。

大方、速すぎて見えなかったとか、この私ですら目視できないほどのー、とか、色々考えているのだろう多分。まぁその辺は後で聞いてあげるとしても。

 

「…………あは、まぁあそこまでやりゃあ、満足に立てるわきゃあないよねぇ。天人じゃなきゃ両腕がもげて、胸に風穴開いた首なし死体(デュラハン)の出来上がりだしね」

 

まぁ天人であろうが、両肩の骨は折れてるだろうし、循環器系にダメージは入っているだろうが。頭が揺れて、神経系にもダメージがあるかもしれない。

しかし――――――思ったより天子ちゃん(ドマゾ)は痛みに強かったらしい。

 

「………………ふひ」

 

ぬろ〜っという擬音が聞こえそうなほどゆっくりと、天子ちゃんは立ち上がった。

………ん、足の骨は折ってなかったからかな?

とは言うても、もはや満足には動けないはずだけど。

 

「………………うふふふ、痛い……こんなに痛いのは、初めて………うふふふ」

 

吹き飛ばしすぎた影響か、遠すぎて表情までは見えない。しかし呟きだけはなんか素敵な力によって聞こえる。ご都合(ryで。

 

「………あは、いいのかい立って?悪いけど俺は本気で怒ってんだ。この辺にしてやろうなんて仏心、湧きやしないぜ?」

 

つか、本気で怒ってなきゃあんなメンツ、集めてこないし。

しかしそんな忠告が聞こえなかったのか、もしくは聞こえた上でのことなのか、天子ちゃんは止まらない。

 

「うふふ………うふふふふふ………えぇ、えぇもう戦えやしないわよ。流石にあんなにいったいのを貰っちゃ、満足に体も動きやしない」

「………そうだろうね。まぁ俺も鬼じゃないし。謝るってんなら、もちろん水に流すつもりはあるんだぜ?」

 

まぁもう少しボコってからだけどね。

もう1枚くらい越符を使って、それで謝るなら許そうかと思う。

というかなにも、俺個人が約束を守れないヤツが嫌いだからここまでキレてるわけじゃない。

これがただの口約束ならまだいい。

ただスペルカードで決めた以上、その決め事は絶対だ。幻想郷唯一の法、スペルカードルール―――――1人でも破るやつが出てみろ。

みんな真似し始める―――――――悪成り易し、だ。無論、そんなヤツを野放しにするのは法治国家においてはありえない。

きっつーいバツがあって初めて、法たり得る。

 

…………本来こういうのは守護者(おれ)じゃなくて管理人(ゆかりん)の仕事だったりもするが――――彼女は彼女で怒っていただろう?あれはおそらく、そういうことである。

あの人は意外と裏で色々働いてるんだよ?

 

ただし途中まで野放しにしていたのはあまり評価できないが。まぁ異変解決は巫女の仕事だ、異変の芽はつまないのがゆかりんのモットーである。

 

「………でもね」

「あん?」

「……………あんなに痛くて―――――気持ちいい経験………。知っちゃったら―――――また味わいたくなるじゃないのぉぉぉぉぉっ!」

 

天子ちゃんが叫ぶやいなや、急に動きが俊敏になり、こちらに向かって走り来る。

な―――なにぃ!?

走れるコンディションじゃねぇはずだぞ!?

やばいやばい、まともな顔に戻ったと思ったら、また顔がピンクだ!これはエロい!そしてヒドい!SMに付き合うほど俺も暇じゃねぇぞ!

 

く―――――ここまでトリップしてるとなると、夢見るアリスも現実を見るでも簡単には戻せないだろうし――――――

 

「仕方ない、無理やり意識を理性に引き渡させるしかない!危ないから気ィつけてくれよ依姫ちゃんっ!越符「超越者の気まぐれ」!」

 

パチンと指を鳴らすと、向かってくる天子ちゃんに向けて弾幕が発生する。

弾幕はぐるぐると渦を巻きながら天子ちゃんを囲い、襲いかかる。

越符第2弾、弾幕編だ。

 

この越符の越符たる所以は色々ある。

オーソドックスにスピードの速さ。単純に多分人間の目には見えないくらいには速い。

そして威力の高さ。弾幕ごっこ用の吹っ飛ばし作用の弾幕ではなく、当たればかなり痛い。吹っ飛ばし作用を限りなく低めにした痛いヤツだ。

 

そして―――――特殊なのはここからである。

弾幕の密度が変化し、絶え間なく押し寄せる。抜け道がほぼないほどの高密度や、すかすかの低密度。それらが入り交じり、交差し合う。まるで生きているかのように弾幕は常に変化していき、全くのパターンがない。それを計算しながら放つのは普段の状態では無理だが、依姫ちゃん並の思考力を持つ今なら充分可能。

 

弾幕を避けることには右に出るものがいない霊夢ですら、躱すことはほぼ不可能な『越符』だ。

当然のこと、今の狂いきった状態の天子ちゃんでも、かわしきることは不可能。カラフルな弾幕が体の各所に当たる。しかし。

 

「………そんなんじゃ………タリナイィィィ!」

「なぁ!?」

 

天子ちゃんはダメージをものともせず、そのまま突っ込んできた。くそっ、ドМ侮り難し!

それじゃあ意味が無いだろうので、越符を自分でスペルブレイクして中断する。

 

「依姫ちゃんッ!ごめん、合わせてッ!」

「………ッ!分かりました、凜さんっ!」

「適応流援の型2番――――舞煙(まいえん)ッ!」

 

強化された足で天界の大地にかかと落としをし、多少の土煙を巻き上げる。

そしてその煙を腰に提げた鉄扇を手に取り、思い切り天子ちゃんの方へと風を送ってそれを肥大化させる。数秒、視覚を奪うことは出来る。

天子ちゃんの真後ろに転移して、脇腹に向けて横蹴りする。

 

「んひぃ♡はぁ……!はぁはぁ……♡」

 

それに合わせて、依姫ちゃんが刀を横に一振り。タイミングの合わせたコンビネーションで、刀のダメージも倍以上に跳ね上がる―――――筈だが。

 

「はぁ……はぁはぁ……はぁはぁはぁはぁはぁ♡き、キモチイイよぉ……うひぃ♡」

 

そう言って、こちらに襲いかかる天子ちゃん。

ヤバイ―――――――効いてない。

こりゃあヤバイぞ………戦況的にもそうだが、そろそろR15程度で抑えられないレベルのエロさに到達してしまいそうだ…………。

体には確実にダメージを与えている筈だが、それを快楽によるアドレナリンで駆使してしまっている。だって多分全身の骨は折れてるよあれ?

 

「(苦痛じゃ止められない………止めるとしたら殺すほどのダメージが必要っぽいし。やっぱり、リアリティオブアリスをぶち込んで、理性を取り戻させるのが一番の手、か)」

 

攻撃を与えながら、攻撃を受け流しながら、天子ちゃんのスキを伺う。

 

「(……見えた!)」

 

一瞬のスキを見つけ、天子ちゃんの頭に手を伸ばす。

そしてリアリティオブアリスを発動させる!

それと同時に、天子ちゃんの動きが一瞬止まる。よし、止まった……!

しかし、止まってから数秒経つと、再び目がハートに変わってしまう。

 

く、やっぱり効力が足りてない―――――ならもっと………強く!

効力をおおよそ5、6倍に能力ではねあげ、再びリアリティオブアリスを使う!

 

「………足りない!?」

 

寧ろさっきより効きづらくなってる!

バカな……耐性がついたとでもいうのかぁぁぁーっ!って、ふざけてる場合かーーっ!

………ノリツッコミ寒いな、しかもセルフ。

しかし―――――なんか効きづらくなってるのは間違いなさそうだ………く、最後の手段だったのだが―――――。

 

「もっとだ……もっと強いのをちょうだい……ふひ、ふひひひっ!」

 

ゆらぁ、とこちらに近づく天子ちゃん。

苦痛でもダメ、リアリティオブアリスでもダメ……となると、割と俺には手の施しようがない。というか、そんなヤツにバツを与えるのって不可能じゃないか?独房にぶち込んでも放置プレイとか言ってハァハァしてそうじゃね?

 

苦痛が快楽になるなら、快楽が苦痛になったりするのかな?はっはー、そりゃあねぇか。

んでもまぁ、公的セクハラされたら普通に嫌だろうし、やってみよっかな?

 

「………………ふひ?………〜〜!?」

「り――――凜さん!?」

 

試しに天子ちゃんの裏に転移して、おっぱいを優しく撫でてみた。

あら可愛い反応。というか―――ハートが薄れてきてる?マジかよ、本気で快楽が苦痛になってるのか?

もう少し進めるか―――――よし。

 

そのまま背後から天子ちゃんを抱く。

うわ、骨ボキボキ折れてる………なんでこれで立てるのか……。

天子ちゃんの耳元に、吐息がかかるほど近づく。そして左手を天子ちゃんの口元に近づけ、撫で回す。右手は肩を抱く。

 

「……ふぁ……ん、な、何して……んっ」

 

そうか―――――まだ羞恥心的な物は残ってたのだ。そっちの方に意識が向き、快楽のために動こうという意識が薄れるのか。

今なら――――――

 

「………夢見るアリスも現実を見る(リアリティオブアリス)

「……あ…………」

 

夢壊魔法を発動すると、完全に目のハートが消え、上気していた頬が収まる。

ようやく普通に戻った………ふぅ。

 

トリプルA級モンスターに、ドМモード天子ちゃんを登録しておこう。

因みに同レベルのモンスターには、本気の伊吹、スーパーモード(前述)の俺がいます。

最高レベルはトリプルS級で、テラちゃんやらヨミちゃんです。

 

「ん……私、何してたっけ……?」

「快楽に支配されていた―――と言わせてもらおうか。それはそれはひどい有様だった」

「…………なんかよくわからないけど。私、襲われてたのよね?」

「まぁそうだな」

「全身あちこち痛いし………ん。あー、私が悪かったから、これ以上は勘弁して………というか、歩けないんですけど。なんとかしてくんない?」

「…………うん、なんとかしてもいいよ?」ニヤニヤ

 

いきなりニヤニヤしながら返事をする俺を、天子ちゃんは不審がる。

 

「どうしたのよ、そんなニヤニヤして……」

「いやさぁ、流石に約束破られた側としては、もう少し誠意を見せて然るべきじゃないかと思ったりするんだけど。うん、それもまぁある程度見逃そうかなって。後は『ソッチ』の仕事かなーって思うしね?」

「ソッチ?……………っ!?」ゾワゾワ!!

 

天子ちゃんは背筋に冷たいものを感じた。

悪寒などというちゃちなものではない。もっと恐ろしい『何か』の片鱗を感じ取ったのだ。

震える体を奮い立たせるように唇を噛むと、天子ちゃんはギィギィという音が聞こえそうな程におっかなびっくり、そしてゆっくりと後ろを振り返る。

そこには―――――生気という生気の抜けきった眼をした、金髪にして長髪、紫色の道士服を着た女が、いた。

眼からは及びもつかないほど満面の笑みを浮かべたその女は、ゆっくりと口を開く。

 

「………………ヨウコソ、ジゴクヘ」

「い――――――いやぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁ!!!!??!?!」

 

……………天子ちゃんは、あの真っ暗な空間に飲み込まれてしまった。

………皆さんも、ルールを破ってはいけない………。禁忌に触れてしまった天子ちゃん(かのじょ)のように、なりたくないのならば…………。

もし、あなたが禁忌に触れてしまえば。

金髪の女は、すぐさまあなたの傍に現れるだろう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ウフフ……アナタモジゴクニサソッテアゲマショウカ………?」

 

 

 

 

 

 

 

という怪談が、幻想郷で流行った。当然、流行らせたのは俺である。

喜劇であり、悲劇でもあるこの怪談は思いの外広く伝わり、スペルカードルールは更に守られるようになった。

 

そして後日談。まぁこの話自体も後日談なので、後日談中の後日談だ。

天子ちゃんが暗闇に消えた後、皆にも手伝ってもらった礼を言った(ゆかりんとらんちーは何故か居なかったので言えなかった。あは、解せぬってね)。特に依姫ちゃんにはたくさん手伝ってもらったので、偶には月に顔を見せに行く事にした(え、来るなって言われてなかったかって?まぁあれ強制力はないからねぇ。なるべく行かないようにはしてるけど)。

 

依姫ちゃんは迷惑そうだったが、なんだかんだ嬉しそうに見えた。豊姫ちゃんには第二次月面戦争についてとやかく言われたが、素知らぬ風である。

 

後日、天子ちゃんが訪ねてきた。

自分のやった事を反省し、迷惑をかけたことを謝罪してくれた。うむ、いいことだ。

やけに従順なので、金髪の女に何をしたのか聞いてみた。

 

ピーをピーしてピーさせたあと、ピーにピーきっているピーを無数のピーで様々なピーをピーしまくったらしい。

 

これでわかるヤツは相当変態だと思う。天子ちゃんはやけに金髪の女になついていた。金髪の女に近づくだけではぁはぁしていた。

まぁかくして、天子ちゃんに関する異変は幕を閉じたわけである。まぁ丸く収まったって言っていいのではなかろうか。これにて一件落着、である。おせんべいでも齧ってお茶を飲む、そんな生活も悪くは無いと、今はまだ、そう思える………。

 

 

 

 

…実は、あの怪談には続きがある。

 

………皆様。作中では金髪の女が地獄へと導いてくれますが―――――あくまでこれはフィクションであり、現実にはありません。

しかし――――――あまりに度が過ぎてしまえば。所詮フィクションだろうと、せせら笑い続けて約束を破りまくれば。

金髪の女ではなく。

蒼髪の青年が――――地獄よりも地獄めいた仕打ちに、誘ってくれるかも……しれません。

……………?私の髪色、ですか?………ふふ……。

 

「さぁ?ど う で し ょ う ね………?アハハハハハハハハハッ!!」

 

 

…………画面の前の皆様も、約束は守りましょうね?

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