東方理想郷~east of utopia~   作:ホイル焼き@鮭

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4話『紅霧異変・後編』

前回のあらすじッ!いつもの日常を過ごしていた俺たちにッ!突如、幻想郷を紅い霧が覆う異変、紅霧異変が起こったッ!博麗の巫女として、異変を解決しようとする霊夢について行った俺は、とにかくカレーを布教して行った。さて、俺は、カレーを布教し終わることが出来るのか!残るは、レミリア・スカーレット。パチュリー・ノーレッジ。フランドール・スカーレット。あとついでに小悪魔。

 

「なんかでかい図書館みたいなのがあるな」

「そうね。ここには誰かいるのかしら」

「あれ~?誰か来ました?」

 

またも無駄に重い扉を開き、中をキョロキョロと覗いていると、アホっぽい赤髪の人が話しかけてきた。えーっと……なんだっけこの人。確か、それ名前なのって名前だったような………。

あ、そうだ。小悪魔だ。いや、それタダの種族じゃんって思った覚えがある。確か、ファンからの愛称はこぁ……だったはず。よし、勝手にこぁさんと呼ぼう。

さぁ、話しかけられたわけだけど……どうしようか。

 

「どうする?霊夢。」

「そうね……。相手の出方しだい、かしら」

「なるほど……」

 

すると、こぁさんはカレーの匂いを感じ取ったのか、目を輝かせて言った。

 

「うわ~。カレーですかぁ?食べても良いです?」キラキラ

 

やっぱりアの字の人らしい。だがまぁ、好都合っちゃ好都合か。真に怖いのは、有能な敵じゃなくて、有害な味方と言うし。

 

「それはもちろん構わないのだが、ここの主を呼んでくれると助かる」

「分かりましたぁ。パチュリー様、呼んできますぅ」

 

こぁさんがどこかへ行った。ここの主を呼びに行ってくれたんだろう、単純でよろしい。

 

「ふむ……。カレーの布教も出来て、新しい人も呼べた。よかったな」

「ええ。でも、異変解決の方も忘れちゃダメよ?もちろんカレーの方も大事だけど、ね」

「ああ。分かってるさ」

 

言われるまでもない。どっちも大事なのだ。

 

しばらく待っていると、こぁさんが紫のもやしみたいな人を連れてきた。パチュリー・ノーレッジ。動かない大図書館の異名を持つ。それただの図書館じゃねぇ?せめて生きた大図書館にしてあげようぜ。

 

「連れてきましたよ~。」

「よくやった。カレーを贈呈しよう」

「えへへ~では、いただきます。ŧ‹"ŧ‹"(≧ч≦)ŧ‹"ŧ‹"~~♪美味しい~~♪」

 

実に単純な………。

まあ、いいや。紫もやし、じゃなかった、ノーレッジの方も布教しなきゃ。

カレー布教カレー布教。

 

「どうも~。異変解決に来ました~」

「ハァ……やっぱり?まったく、こぁにも困ったものだわ…」

「あは、どんまい。有害な味方を持つと苦労するねぇ?」

「全くね…………はぁ」

 

さて、今回はどっちが相手するか………。

 

「霊夢、どっちがやる?」

「順番的に、今回は私じゃないの?めんどくさいけど」

「そうだな。描写も少なくて良いし、任せた」

「任されました」

 

決定だ。後は霊夢に任せて、俺はぼーっと眺めておくことにしよう。勝てるだろ、うん。

 

「そこの紅白が相手?あんまり暴れないで欲しいわね」

「いや、それは無理でしょ。少なくとも、数冊はファイアーしちゃうわ」

「ここの本は、あなたの神社の五年分の賽銭の価値があるわ」

「うちの神社は参拝客が来ないから、賽銭なんてないわよ」

「まあ、その程度の価値しかないのよ」

「所で、ここのご主人様、どこにいるのか知ってる?」

「レミィに何か用なの?」

「レミィ……それがご主人様の名前?」

「そうよ。レミリア・スカーレット。ここの主人の吸血鬼」

「なるほど。吸血鬼とはびっくりだぁね」

「恐れをなしたなら、帰ってくれない?私も忙しいのよ」

「私としてはそれでも良いんだけど、役職的にね。あんたにはお嬢様の所まで案内してもらうわ」

「私に勝てたらね。………………所であんた、誰?」

 

始まったみたいだ。霊夢が札を構え、お払い棒を持つ。ノーレッジの方は、本を持って詠唱している。

 

「火符「アグニシャイン」」

 

詠唱が止まると、ノーレッジから赤色の弾幕が、渦巻きを描くような形で霊夢へと向かう。が、霊夢は小さく動いて避ける。ゆらゆらと、実体を掴む事が出来ない霊夢のよけ方だ。ノーレッジは埒があかないと思ったのか、次のスペルの詠唱を始めた。が、スペルを唱え切るまで霊夢が待ってくれるわけもなく、札や封魔針等の退魔武器を投げつける。ノーレッジもよけながら詠唱をしているが、

 

「はぁ……はぁ……げほっ」

 

相当気分が悪そうだ。だ、大丈夫か?

 

「気分悪いなら、さっさと負けてしまったらどう?」

「ぜぇ、ぜえ……それが、そうもいかないのよねっ!」

 

火符「アグニレイディアンス」

さっきのスペルより量が多く、弾の間隔も短い。実にシンプルだが強力。しかし、シンプルなものだからこそ、強者には弱く、霊夢は前よりは集中してよけているみたいだが、被弾することもなかった。

 

「はあ、はあ……き、気持ち悪いぃぃ」

 

相当に顔色が悪く、頬が紅く染まっている。うわうわ、あれはダメだろ…………。あれはもう、病人の様相だ。

 

「…………ありゃ止めた方が良いな。おーいれーむー」

「何よ」

「明らかに体調悪そうだから、一時中断にしろー!」

「はぁ?あんた、そいつ敵よ?そんな義理ないじゃない」

 

不審な顔をしつつも、霊夢は針や札を投げる手を止めてくれた。ノーレッジも相当我慢していたのだろうが、紅い顔のままゆらゆら地面に落ちてくる。

 

「まあまあ。別に良いじゃん。こぁさーん!」

「あれ〜?私名前言いましたっけ?まぁいっか。なんでしょう?」

「調理できるところ、ここにある?」

「んー、こちらにありますけど。何する気ですか?」

 

そう言ってこぁさんが、奥の方にある扉を指さしてくれる。ふむふむ、なるほどあそこだね。ひとまず、ノーレッジの方を指さしながら疑問に答える。

 

「お粥か何か適当に作って、この体調不良に食わせようかと」

「え?ぱ、パチュリー様ぁ!?大丈夫ですかぁ!?」

「だ、大丈夫。少し休めば元に戻るわ。だから何もしないでちょうだい」

「あほ。ちゃっちゃと作ってやるから、少し待っとけ」スタスタ

 

俺は調理場に向かい、炊飯器のご飯に水を加えてふやけさせ、調理場にあった卵とネギを入れ、塩と、少量の醤油を入れて味付けする。味見をしてみると、まあまあ美味しかったので、そのまま一杯分位持っていった。

 

「ほら。これ食って薬飲んで寝とけ」

「なんで、私にそこまで?あの紅白の言う通り、私は敵よ?」

「なんとなくだ。ほれ、食ってみ」

「じゃあ……いただきます」

 

幻想郷の人は律儀だねぇ。いちいちいただきます言うとか、小学校かっての。

 

「美味しい……」

「それなら良かった。じゃ、俺は行くよ。ノーレッジは部屋に行って寝とけ。こぁさん、お粥はまだ調理場にあるから、足りないなら持っていってね」

「分かりましたぁ!パチュリー様ぁ、部屋に行きましょう!」

「分かったわ……いろいろありがとう、また来てくれると嬉しいわ」

 

微笑しながら、こんなこと言ってきたもんだ。顔が赤くなってもしょうがないよな。

 

「わはは、せいぜいその時は体調を万全にしておくこったな」

 

顔を向けずにそう言って、霊夢と一緒に図書館を出た。

 

「さて、案内人がダウンしたし、代わりの案内人がいるな……ん?霊夢どうした?」

 

なんか不機嫌そうなので聞いてみた。すると、

 

「……なんでもないわよ」

「そうか?わはは、何でもいいがな」

「もうちょっと考えてくれてもいいじゃない」ボソッ

「はい?なんて?」

「なんでもないわよっ!」

 

霊夢が歩き出す。何ぷりぷりしてんのだろう。

 

「構ってちゃんか?(。-∀-)にや」

「聞こえてるじゃないのっ!」

「わはは、これでもお前よか3歳は上なんだぜ?聞こえてなくても大体わかるさ」

「……子供扱いしないでよ」

「そうは言うけどこの年代くらいで、3歳の差はでかいぜ?」

「いくら十四でも、私は博麗の巫女。子供なんかじゃないわ!」

「はは、じゃあ子供から後輩にランクアップしてやろう。さて、いくぞ、後輩」

「む~~」

「あっはっは。その動作で、後輩から子供へランクダウンか~?」

「~~~~!もう!」

 

何をそんなに気にしてんだか。実はプライド高いのかぁ?

霊夢と一緒に廊下を歩いていると、先ほど見かけた銀髪の後ろ姿が見えた。あれは………十六夜か?ちょうどいい、案内してもらおう。

 

「おーい、十六夜………あ?」

 

何かバトってるみたいだ。

流れ弾がこっちにも来てる。ん、見たことのある星弾だけど…………。かわしながら、十六夜に話しかけてみる。

 

「あら?凜じゃない。さっきぶりね」

「やあ。何だかんだで秘薬使ったんだな」

「おーい……」

「ええ、あの薬凄いわね?みるみるうちに傷がなおったし、何だか気力も充実しているし」

「おーい…!」

「そうだろ?つーか、よく飲んだな?こういうのもなんだが、俺敵だぜ?」

「まあ、そうなんだけど、なんとなく貴方は信用できると思ったのよね」

「そいつは重畳。所で、何してんだ?」

「私を無視するなー!」

 

十六夜と戦ってたらしい魔理沙が叫ぶ。何だよ……。まぁまずは十六夜に話を聞かなきゃ。レミリア・スカーレットの部屋を教えてもらわなきゃ話が進まないんだから。

 

「おお、そういや戦ってたんだっけ?邪魔して悪かったな」

「大丈夫よ。今日の私は負ける気がしないの」

「そ?なら、お嬢様の部屋、教えてくんない?」

「教えると思うの?」

「教えないなら、今すぐ魔理沙についてお前を確実に勝てない状況にして吐かせる」

「そう?なら、私はさっさとこの黒白を倒して、急いで貴方達に追いついた方がまだ効果的ね。分かったわ、お嬢様の部屋は……………」

 

…………………少女説明中…………………

 

ふむふむ。なるほど、そう行けばいいのね。おっけ、じゃ、行くか。

一応魔理沙に声掛けてからね。

 

「じゃーな、魔理沙。勝てたら追い付けよ」

「おい、凜!こいつ何かタフなんだけど!つうか、何でお前らが先に戦ってる筈なのに体力こんなあんだよ!?」

「俺が魔理沙の為を思って、体力を全開させておいた。文句あんならさっさと倒しな」

「はぁ!?ちょ、どうゆうことだよー!?」

 

後ろでぎゃーすか騒ぐ魔理沙を尻目に、レミリア・スカーレットの部屋へと向かう。

まぁ、どうだろうなぁ、魔理沙が勝つか、咲夜が勝つか。マスタースパークも、スターダストレヴァリエも、狭い範囲で効果を発揮する代物だ。魔理沙が勝つかもなぁ………。

 

さて、と。妙に重苦しい雰囲気を催している扉の前に到着。ここか……。

 

「霊夢。行くぞ」

「分かったわ」

 

部屋へと入る。中には誰もいない………。

 

「あり?誰もいない………いや。いるんだろ?出てこいよ、レミリアとやら!」

「人の名前にとやらをつけないでくれる?」

 

突如部屋の中の霧が集まり、青髪の、ちびっこい少女が出てきた。

はい?

ロ、ロリだ………。まぁ全員少女なんだけどな、公式では。神主さんはロリコンなんだろう。きっと。

 

「お前がレミリア、か?」

「ええ、相違ないわ。紅魔館へようこそ」

「霊夢、言ってやれ」

「霧、消して」

「端的だな!」

 

どうでもいいけど!

 

「嫌よ」

「言うと思った」

「分かったなら帰ってくれる?」

「あんたこそ出てってよ」

「ここは、私の城よ?出ていくのはあなただわ」

「この世から出ていって欲しいのよ」

 

なんか物騒なやり取り。おお、こわいこわい。

 

「しょうがないわね……いま、お腹いっぱいだけど…」

「護衛にあのメイドを雇ってたんでしょ?そんな、箱入りお嬢様なんて一撃よ!………凜が」

「俺!?」

 

霊夢はスルーした。何で!?いやまぁ、良いけどさぁ…………。

 

「咲夜は優秀なメイド。おかげで、首一つ落ちてないわ」

「あんた、強いの?」

「さあね。あんまり外に出して貰えないの」

「私が日光に弱いから」ゴウッ!

 

レミリアが凄んでいた。魔力っぽい力を垂れ流して、その実力を見せつける。まぁ吸血鬼って時点で分かっていた事だが、並大抵の実力ではない事がわかる。

 

「………なかなかやるようね」

「ああ」

「そんな事、どうでもいいわよ。さっさと二人でかかってきなさいな」

「舐められてるな」

「ここは、わたし達のコンビネーションを見せるときかしら」

「まあ、何回も戦ったから、お互い分かってるしな、戦い方とか」

 

仕方ないなぁ、合わせてやるか。て、こんなに偉そうにふんぞり返れるほど、俺は経験を積んでないけど。むしろ霊夢に合わせてもらうべきだろうか。

 

「こんなに月も紅いから、本気で殺すわよ」

 

殺す、ねぇ。なんとも直接的で、怖い表現だ。これは遊びだって言うのに。

 

「「こんなに月も紅いのに」」

 

「楽しい夜になりそうね」

 

「永い夜になりそうね」

 

「スリリングな夜になりそうだな」

 

みんな、合わない。しゃーないな、むしろ合ったら凄い。

というか、そんなのどうでもいい!

 

「夢符「封魔陣」!」

 

霊夢がそう、スペル名を叫ぶと、霊験あらたかな御札が、レミリアの周囲を囲い、線を結び結界を成す。

ただしその強固そうな結界にはただ一つのみ、大きな穴が空いていた。普通に考えてしまえば、ミスにも見られる行動だったが……。なんとなく意図を察したので、俺はその結界の上部へと向かって飛び上がる。

 

「ふうん」

 

レミリアが、結界をみて漏らす。かなり強力な結界であることが分かったのだろう。

 

「あり、そのスペカ、そんな使い方出来たんだ」

「線を結び、結界を成す。成した結界で、悪者を閉じ込めたまへ。常識よ?」

 

霊夢の結界に空いている穴に向けて、霊力を手のひらに集中させる。魔理沙、借りるぜ?

 

「理想恋符。「マスタースパーク」!」

 

霊力を圧縮して放つ霊力光線が、レミリアへと向かっていった。

逃げ場である穴を全て、霊力光線が塞ぎながらレミリアへと向かう。逃げ場はない………!

 

「……ふん」

 

レミリアが手に魔力を集中させる。って、嘘だろ?何だあの魔力の強さ………!

 

――――――――――――神槍「スピア・ザ・グングニル」。

馬鹿みたいな威力の槍の弾幕が、理想マスパを速攻で貫き、俺に向かう。それはまさに、神速と呼ぶべき速度だ。

 

「凜!」

 

霊夢が叫ぶ。くっ……。

 

「スペル中断!化人「速きこと風の如く」」

 

マスタースパークを中断し、よけるためにスペルカードを使った。ホーミング性もあったみたいだったが、流石に天狗の速度には追いつけないのだろう、窓をぶち破りながら消えてった。こいつ自分ん家破壊してるぞ?

 

「あっぶねー。いきなりスペカ2枚使うとか」

「あなた、ホントに人間?」

「人間だぜ?」

「そもそも、あれほどの威力の光線撃ってるのに、何でよけられるのよ」

「人間は奥深いんだぜ」

「一括りにしないでよ」

 

しかし…………なめてたつもりじゃなかったんだが……………。

 

「ここまでとはな。なめられてると思ったら、こっちがなめてたってか?」

「凜、取り敢えず無闇にスペルカードを使わないで、あいつの隙を突くのよ」

「んー、一回試しても良いか?」

「何を?」

 

大量のスペルカードを取り出して言う。

 

「スペカ連発」

 

「…………あなた、話、聞いてた?」

「聞いてたよ。だからこそ、試してみないと」

「はあ、好きにしなさい」

「OK」

「おしゃべりは終わったかしら?」

「ああ。ではでは、スペルカードを連発しようと思います」

「出来る物なら、ね」

 

レミリアがスペルカードを使う。

 

神術「吸血鬼幻想」

 

大きい弾がこちらに飛び、その軌道上に小さい弾幕が現れ、思い思いに拡散する。どうやらレミリアの好きに動かすことが出来るらしい。

 

「重力「アイディアル・グラヴィティ」」

 

向かってくる弾を全て落とし、消す。レミリアにも負荷がかかったみたいで、少し動揺していた。霊夢にも同じ超重力が掛かってるだろうが、関係ない。あいつは、重力なんてもんには縛られないから、な。

 

「………これは……」

「もう一枚、化人「速きこと風の如く」」

 

天狗のスピードが出せる羽が現れる。

 

「出力全開!」

 

超高速でレミリアへと向かう。レミリアも逃げようとするが、重力の影響下にあるレミリアと、影響下にない俺。すぐに追いつくことが出来た。そのままのスピードで、

 

「もう一枚、化人「侵略すること火の如く」」

 

二枚目の特性会得カード。腕力を向上させる。その力は通常の鬼をも凌げるほど。そのまま全力の拳を、レミリアの体に向けて振るう。

 

「はあっ!」

「ごふっ!」

 

流石に吸血鬼と言えど、天狗並みのスピードで鬼の力を受けたのだ。流石に…………………………。

 

「げふ………っ、ぺっ!」

 

レミリアが血を盛大に吐く。やはり、相当にダメージがあるようだ。呼吸器系を潰せていれば嬉しいが。

 

「やるわね……ちょっと回復に手間取りそうだわ」

「それは良いことを聞いた。霊夢!」

 

グラヴィティを解き、霊夢を呼ぶ。

 

「分かってるわ!」

 

そう言うと霊夢は、空中で陣を描き、印を結ぶ。

 

「夢想封印!」

 

封印の霊力が込められた虹色の弾が、レミリアへと向かう。その量は少ないが、一つ一つに相当な威力が込められている。

 

「厄介ね」

 

完全ホーミング式で、余程の弾幕でもない限り消すことは難しい。流石に今のレミリアにはこれを打ち消すことは不可能の筈だ。

 

「……うっ………はぁ!」

 

霊力弾をよけることに全力を注いでレミリアが動く。

 

「(速い……流石は吸血鬼。天狗に匹敵する速さ、鬼にも迫るパワー。本当にぶっ飛んでる)」

 

流石に追いつけないのか、霊力弾が引き離される。

 

「ちっ。流石は吸血鬼って所かしら」

「奇遇だな、全く同じ事を考えてたぜ」

「ふん、あんなの見たら誰でもそう思うわよ」

「わはは、それもそうだな」

 

さて、どうするか……。

 

「はあっ!」ブンブンブン!

 

レミリアが大量の弾幕で夢想封印を打ち消した。既にその体は血に塗れておらず、顔色も元に戻っていた。

 

「あっちゃー。全快しちゃった」

 

だが、まあ分かってたことだ。

 

「面白い人間も居たものね?たった2人でこの私を追い詰めるなんて、ね」

「そりゃ良かったわね」

「ええ、その力を……もっと見せてちょうだい!」

 

「紅色の幻想郷」

でかい弾が向かってきて、その軌道上に弾幕が作られて、不規則に動く。それをよけている最中にも追加される、物量押しスペル。

 

「物量押しかよ!」

「妖怪らしいと思うけど。さあ、どう出るの?」

 

どうにか隙間を掻い潜ってよける。このままじゃ当たる………!

 

「霊夢!結界を……」

「そんなの組んでる余裕ないわよー!」

「くっそ……なら!」

 

弾幕をよけながらスペルカードを使用。

空弾「アイディアル・エアガン」

周りの空気を霊力で圧し、威力を持った弾幕を作成。それをレミリアの弾幕にぶつけて消し、安全地帯を作る。

 

「霊夢!もう一回あいつに結界を張ってくれ!」

「また壊されちゃうわよ!?」

「いいから!」

「………信じていいのね?」

「もちろんだ」

「……分かったわ。夢符「封魔陣」!」

 

結界がレミリアを覆う。再び、少しの穴を開けて。先程はそこにマスタースパークを撃ち込んだのだが……。

 

「同じ手が通じると思うの!?」

 

レミリアがもう一度、神槍「スピア・ザ・グングニル」を使用しようした。

 

「さっきと同じ!」マスパ

「神槍「スピア・ザ・グングニル」!」

 

さっきと同じように、マスタースパークをスピア・ザ・グングニルが貫く。

 

「相手の力が強いなら、それを利用する!」

 

――――――――――――兆弾「リフレクター」。

霊力の鏡が、スピア・ザ・グングニルをレミリアへと反射させる。

 

「くっ!?」

 

流石に予想外だったようで、レミリアがスピア・ザ・グングニルに当たる。かなりのダメージがあるみたいだ。それを知れたなら……!

 

「まさか私の槍を跳ね返すなんて……やっぱりあなた、人間じゃないでしょ」

 

「さっきも言ったように、人間は奥深いんだぜ?」

 

俺は勝利を確信したように、満足気な表情を浮かべる。

もちろんスピア・ザ・グングニルを喰らったとはいえ、レミリアにはまだまだ余力はある。

しかし―――――この勝負。俺と霊夢の―――――――勝利だ。

そろそろ、かな?

 

「霊夢?準備は終わったか?」

 

「わざわざ聞かないでよ」

 

「っっ!?なんだと!?」

 

霊夢が突然後ろから現れ、レミリアを結界で拘束する。

 

「神技―――――――「八方鬼縛陣」!」

 

そう、俺は囮。本命は霊夢による結界での拘束。そして…………。

 

「これで……終わりだぁっっ!」

「理想神槍「スピア・ザ・グングニル」っっ!」

 

囮はただの囮ではなく、レミリアの高威力スペルカードを解析し、レミリアにもダメージが通るかのテストの意味合いも持つ。

 

「動けない……だが紅白、このままではお前も無事ではいられないだろう?」

「余計なお世話ね。私には抜け道があるのよ」

 

強大な霊力の塊が、レミリアへと直撃。流石に吸血鬼と言えど……………………。

 

「私が、負けるなんてね…」

 

か、勝ったっっっ!

 

「つ、疲れたぁ……」

「完っ全に同意ね………」

「こんなに身の危険を感じる遊びは初めてだぜ………」

「ホントよね……さあ、勝ったんだから霧を止めてくれる?」

「わかったわかった。やるよ」

 

すっかり復活したレミリアがそう言う。勝ったのに敵の方が無事ってこれ如何に?

 

「終わった終わった。さて、帰るか」

「待ちなさい」

「何だよ霊夢……まだなんかあんのか?」

「カレーよ」

「……あ」

 

忘れてた。こんなに大事なことを忘れるとは、不覚。俺もまだまだという事か。

 

「レミリア」

「何よ」

「お裾分けだ。カレー」

 

もう2はい分くらいしかない。随分食ったな………。

 

「なに?これ。」

「え、カレー知らないの?」

「ずっと血を混ぜた洋食だったもの。美味しいの?」

「まあ、美味いな」

 

なにせカレーだし。みんな大好きだ。

 

「ふうん?じゃあ、頂くわ」

 

そう言ってレミリアは、俺の差し出したカレー皿を受け取り、優雅な所作でカレーを食べ始めた。

ひと口含んだあとに目を見開くと、そのままガツガツとカレーをかきこみ始めた。あ、気に入ってくれたっぽい。

 

「( ′~‵)ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”……美味しいわね……あなた、紅魔館に就職しない?」

「気が向いたらな」

「あ、妹にもやっといてくれよ」

「………!?なぜその事を知っている!?」

「それは、神のみぞ知る所って奴かな?とにかく、渡しといてくれ。さー霊夢、今度こそ……」

「待てこら!」

 

突然魔理沙が飛んできて、暴言を吐いてきた。

 

「……………。よし、帰るか!」

「スルーすんな!」

「なんか用かよ、魔理沙」

「もしかして、もう終わったのか?」

「まあな」

「………もう、どうでもいいや」

「(・ω・ノノ"ドンマイ☆(・ω・ノノ"チャチャチャ☆(`・ω・ノノ"ウーロン茶☆さて、じゃあ魔理沙、帰ろうぜ」

「分かったよ………はあ、何か疲れただけな気がしてきた……」

 

こうして紅霧異変は終わった。まあ、完全には終わっていないが、それはまた次回、ということで。

 

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