東方理想郷~east of utopia~ 作:ホイル焼き@鮭
紅霧異変が終わったその翌日。俺は、1人紅魔館へと出向いていた。なんとなく暇だったし、霊夢も妖怪退治に向かっていたので、紅魔館へ遊びに行こうと思ったのだ。
「さーて、何か面白い事でも………」
「あれ、凜さん?」
「お、美鈴さんじゃないか。遊びに来たよー」
「紅魔館へようこそ。今日は何か用なの?」
「なんとなく暇だったし、遊びに来ました」
「うん、お嬢様からも聞いているので、入っていいわよ」
「んー、どうせなら美鈴さんとも話したかったんだけど。ダメ?」
「え?まぁ、ダメじゃないけど。遊びに来たんじゃないの?お嬢様達と」
「その、『お嬢様達』には、美鈴さんも入ってる。それだけの事だよ」
「へぇ?いいわよ、別に。話してもね」
「あは、ありがと。紅魔館ってさ、そんなにでかくないのに、中はめちゃくちゃ広いよね?なんでなの?」
「咲夜さんが、時を操る程度の能力を使って、内部の空間を広げてるのよ」
「あ?どうやってだよ」
「私には分からないわー。本人に聞いてよ」
「それもそうだね。ん、そう言えばここの管理って美鈴さんがやってるの?」
花壇を指さして聞く。
「あー、うん。私がやってるわよ。前までは咲夜さんがやってたんだけどね。」
「十六夜は最近サボってるのか?」
「ううん、そうじゃなくて。門番って言うと聞こえがいいけど、誰も来なかったらただの暇人だもの。それで暇な時は花壇の世話をするようになってね。それを見た咲夜さんが、「あなたに任せるわ」 とか言って私に引き継がれたの」
「ははっ、十六夜の真似全然似てないな」
「どうでも良いことを掘り下げないでよ~。凜さんも出来ないでしょ~?」
「あは、やってみるか?」
「やって見なさい。似てなかったら笑ってやるからね」
【お嬢様、お体をお拭きしますので、少しじっとしてください】
「無駄に似てる!」ガビ-ン
「え、ちょ、なんでそんな声出せるの?おかしくない?」
実は能力で十六夜の声に似せているだけだが、美鈴さんは知らないから分かってないな。
「あはは、俺の特技って事で。多分誰のでも出来ると思うけどね」
「え、そうなの?私のも出来る?」
「んー、やってみようか」
じゃ、セリフをパクってっと。
【え、そうなの?私のも出来る?】
「うわあ、すごい自分の声に聞こえる……ありがと、もうやめていいわよ」
【うわあ、すごい自分の声に聞こえる……ありがと、もうやめていいわよ】
「え?だ、だからやめていいって」
【え?だ、だからやめていいって】
「ま、真似しないでよ~変な気分になっちゃうじゃない」
【真似しないでよ~変な気分になっちゃうじゃない……ん?待てよ?】
「え?え?」
【ん……んは……ここ、クリクリするの気持ちいいぃ……あん、変な気分になっちゃう……あ、ダメ、そこは……ダメぇぇ!】
「わ、私の声でえっちい声出さないでよ~~!」
真っ赤になってそう言う美鈴さん。マジ可愛い。
『そうは言っても、美鈴さんが、「変な気分になっちゃう」とか言うから、そこから妄想が働いて、あんな事になったんだよ。つまり、美鈴さんが悪い!』
「逆ギレ!?わ、私が悪いの!?」
『あっは、嘘嘘。僕は悪くないけど、美鈴さんも悪くない。僕の口が悪いんだ!』
「それ実質あなたが悪いわよね!?」
球磨○君的ノリに、ついていけない美鈴さん。美鈴んマジ天使。
「あっは、冗談冗談。美鈴さんの反応が思ったより面白かったから、つい」
「もう。次からはやめてよね?」
【あっは、分かった分かった。じゃ、そろそろ中に入るよ】
「言った矢先からやってるじゃない~~!」
さて、紅魔館へ侵入だ!
「うーん、やっぱり広いなぁ。こんな所を十六夜は管理してるのか……」
「そうよ?だから人手不足なのよね」
そう言いながら、十六夜が何も無いところから現れる。いやまぁ、時を止める程度の能力があるのは分かってるけど………。流石に何も無いところから現れられちゃビックリするな………。タイミング良すぎっつーか。どこで聞いてんだって話だよね。
「自分で広げて、自分で管理に苦労するってか。そいつは仕方ない」
「あら、美鈴にでも聞いたの?」
「まあね~。でも、どうやってんの?」
「うーん、長くなるわよ?」
「聞かせて?」
「まあいいわよ。時と空間には密接な関係にあるのよ、例えば………」
うんたらかんたら。かれこれ20分位の講義が続く。何となくの理解はしたが、正直言ってあんま分からん。
「どう?分かった?」
「|・ω・`)フムフム( ゚д゚)ノナルホドワカラン!」
「だと思った」クスクス
十六夜に笑われる。なんか悔しい。よし、声帯模写を使用しよう。
「ところで十六夜、ちょっと目ぇ瞑ってくれる?」
「え?良いけど………何するつもり?」
「いいからいいから」
「……これでいい?」ギュッ
「オーケーオーケー」
レミリアの声真似をして、十六夜の目に手をあてながら、
【だーれだ!】
「え?お嬢様……ですよね?」
今度はノーレッジの真似をして、
【さあ、どうかしら?完全で瀟洒な咲夜なら、分かるはずよね?】
「こ、今度はパチュリー様?ど、どうなってるの?ね、ねえ、凜、目、開けていい?」
「あっは、誰が言ってるか当てられたらね」
「(聞こえた声は3つ。普通に考えれば、三人がこの場にいるんでしょうけど……)」
「(おかしい。少なくとも最初は凜しかいなかったし、後の二人が後から来たのなら、ここに来るまでの移動音があるはず。しかし、聞こえなかった………)」
「(しかも、ずっと同じ場所から聞こえている。つまり………)」
「凜……あなたね」
「はっはー、だいせーかい!」
十六夜から手を離す。少しはびっくりしたかな?
「どうやったの?お嬢様達の声を録音でもしたの?」
「あっは、そんなわけ無いじゃん」
「じゃ、どうやって?」
「んー、どうやっても何も…………こうやって?」
【さて、お食事の時間です。今日のメニューは…………すいません、思いつきませんでした】
「!?!?私の声!?」
「俺の能力を利用してね。ちょっとした声帯模写をしたんだよ」
「……前の傷を全快させる薬とかも、あなたが作ったの?」
「あれも能力で作った。あれはなかなかいいものだよ」
「あなたの能力ってなんなの?相当に強力みたいだけど……」
「んー、まあ十六夜なら良いかな。事象を理想的にする程度の能力だよ。物事を理想的にする能力、かな」
「………チートね……なんでも出来るんじゃない?」
「まあ、ね。出来ない事はあんまりないよ」
まあ、多少はあるけどね。
「まあ、そろそろ他のとこ行くよ。じゃーね、十六夜」
「ええ、あ、凜」
「ん?何?」
「私のことは、咲夜と呼びなさい」
「へ?」
「それじゃあね」
「ちょ、どゆこと?」
何だかよく分からんが、彼女の中で俺の位置が多少ランクアップしたみたいだ。
「うーむ、なんかいい選択肢選んだかな……?」
まあ、いいや。十六夜…………咲夜のことはひとまず置いといて、次に行こう……………………。
大図書館へ到着。中に入る。
「こんちゃーす。」
「あ、凜さん。パチュリー様に会いに来たんですか?」
「ああ、ちょっと仲良くなるためにな」
「そうなんですかぁ?あ、パチュリー様の事が好きとかですか?一目惚れですかぁ?」
なんかうざい絡みしてくるな。ここは落としてしまった方がいいかな。
「おいおい、そりゃねーだろ?」
「え?」
こぁさんを壁に押し倒す。いわゆる『壁ドン』って奴だ。その勢いで、こぁさんの顎をクイッと持ち上げて、
「わざわざ危険を冒してまでこぁに会いにきたってのに、お前って奴はいつもそうやって逃げようとするんだから」
「え、ええ?そ、そうは言われましてもぉ……」(*´д`*)
「こぁ……今日はお前を逃がさない。俺のモノになれよ、こぁ。お前に拒否権なんてねぇぞ?」
「あわ、ヾ(・ω・`;))ノぁゎゎ
ど、どうしましょう、ドキドキしちゃいます……」カァッ
「こぁ……目を閉じろ……」
「あわ、ヾ(・ω・`;))ノぁゎゎこ、こんなところで……キス?スリルがあって良いかもぉ………」
ガチで単純ですね、ありがとうございました。ホントにしてやろうか。キスくらいなら、いいかな?
「……んちゅ…くちゅ、んはぁ…んちゅう……ぴちゃ…ん……えっちい音、聞こえちゃいます……」
ん?冗談のつもりが、なんか変な気分に……。
「……ん……ぷはぁ」
唇を離す。すると、
「ダメですよぉ。もっともっと、キス、しましょぉ?」
「はい?あの、冗談……」
「私をこんな気分にさせて……責任、とってもらいます♡」
「へ?」
「最近ずっと、食べてなかったんですよねぇ。食べちゃいますよぉ?もちろん、性的な意味で」
「うっそん!こぁルート入るの楽すぎぃ!」
「いただきまぁす」
「((^ω^≡^ω<ギャアアアアアアア!!!!!」
その後、こぁさんが満足するまで、ヤラレまくった………。
女性をからかうのは、怖い。それを実感した今日だった……………。
「う、うう。死ぬううううう」
「大げさですよぉ。たったの数回、ダしてもらっただけじゃないですかぁ」
「今日のメニューは精のつくものにしよう、そうしよう」
「さて、じゃ、ノーレッジ呼んでくれる?」
「分かりました。少し待っててくださいね~~♪」
やけに上機嫌だ。小悪魔、つまりサキュバスだもんね……
「呼んできましたぁ。紅茶の用意をするので、少し待っててくださいね」
「ええ。お願いね」
「行ってきまぁす♪ふんふふーんふふーん♪」
「やけに上機嫌ね、あの子……何かしたの?」
「色々あるんだよ、色々ね」
「……??まあいいわ。それで、今日は何の用なの?」
「遊びに来ました。ノーレッジについては、また来てねとの事だったし」
「ふぅん、そう……それはありがと」
「そうそう、ノーレッジはさ、魔法使いだよな?」
「まあ、そうね。魔法使いね」
「俺にも魔法って使えるかな?」
「魔法は得意不得意はあるけど、扱えるかどうかは、魔力があるかないか、に寄るわ」
「人間に魔力ってあるのか?」
「普通はごく微弱な魔力しかない、と言われてるわ。初期魔法を扱う魔力の2%位。もちろん、魔理沙みたいな例外はいるけど……」
「へーなるほど………ん?何で魔理沙の事を知ってるんだ?あの後部屋にいたんなら、魔理沙とは会わないはずじゃ?」
「あ」
「おいおい、もしかしてだが………」
「う……ご、ごめんなさい、自分の部屋にいたら、良いアイディアが浮かんできてしまって。やめておこうと思ったんだけど、つい………その、図書館に行って、それで魔理沙と戦闘に……」
「はあ……アホか?自分の体調管理位弁えろよ。そんなことしてたら、心配してくれる人に失礼だぞ?お前がいきなり倒れでもしたら、レミリアも、こぁさんも、咲夜も、美鈴さんも、もちろん俺も。この人達全員を心配させるんだぞ?」
「………そうよね……反省するわ……」
少しショボーンとしたノーレッジ。
「はっ。わ、悪い。なんか説教くさいこと言ったな、内容もありふれてたし。忘れてくれ」
「ふふ、忘れないわよ。とてもありがたーいお話だったわ 」
からかうようなノーレッジの様子に、俺は慌てながら、
「と、とにかく話を戻そう。つまり、魔理沙のような例外はいるが、普通の人間は魔力を微弱量しかもたない。そういう解釈で良いのか?」
「ええ。それで相違ないわ」
「だったらやる事は1つ」
能力を使い、理想的な魔力保持量とする。理想的の基準はどうしよう?さっき、初期魔法で2%ぐらいって言ってたな。なら、大体50000倍位で良いだろう。初期魔法の1000回分。よし、能力が発動した。体にみなぎる新たな力。
「これが魔力か……変な感じ」
「っっ!あなた、どうやったの!?魔力が感じられる位に大きく……!すごいわ!」
ノーレッジが興奮した様子で詰め寄ってくる。近いわ。
「近い。離れなさい」
「あ、ご、ごめんなさい。ちょっと興奮してしまって……」
ノーレッジが離れる。
「まあ、良いけどさ。何でそんなに驚いたのさ?」
「そりゃ驚きもするわよ。魔力の保持量は先天的なもの。魔法使いという種族は莫大な魔力を持っているけど、それでも個人差はあるわ。最初に多くの魔力を持った者が優秀………それが魔法使いというモノだわ。その魔力を増やすなんて………魔法使いなら驚くわよ」
いきなりペラペラと喋り出すノーレッジ。ギャルゲとかなら、ここで唖然として女の子を恥ずかしがらせるというシチュだろうが…………。
俺はそんな恥をかかせるような事はしない。俺はギャルゲの主人公じゃないんだ!
「へーえ?良く分からないけどこれで魔法が使えるの?」
「これだけの魔力があれば可能ね。魔法を習ってみる?」
「ふむ、折角だからやってみる。ご教授願います、ノーレッジ先生」
「ふふ、よろしい。私の弟子ならば、半端は許さないわよ?」
「あっは、当然!」
…………………青年魔法学習中…………………
「うーむ、やっぱり一日かそこらじゃ、難しい魔法はハードル高いな……」
「そりゃ、一朝一夕とまではいかないわよ。積み重ねね」
「でもま、簡単な魔法あたりは使えるようになったし、帰ったらスペルカードに取り入れてみようかな?」
「筋はいいから、もっと魔法を勉強したいなら、私の所に来なさい。なんだか楽しいしね」
「あっは、ありがと、ノーレッジ。また来たらそうさせてもらうさ」
「………咲夜は咲夜なのに、私はノーレッジなんだ…………」
「何だ?いきなりそんなこと言うとか、俺に惚れたか?」
「な、何を言っているの!?」
「あっは、冗談冗談。ま、そうして欲しいならそれでいいよ。それじゃあね。パチュリー」
「ええ。さようなら、凜」
大図書館を去る際、こぁさんに会ったが、
「ふふふ、凜さ~ん。また、しましょうねぇ……♡」
「う、うう、も、もうシテやんないんだからーーー!!」
「ああ、そんな、殺生な!」
「ど、どうしたの?彼……。あなた、何かしたの?」
「ふふ、とぉっても気持ちイイ事、ですかねぇ?」
「???」
パチュリーは意味が分からなかった………。
「ひ、酷い目にあった……とりあえず、レミリアの所行くか………」
レミリアの所へ移動した。
「あら、凜。来てたの?」
「ま、まあね。途中酷い目にあったけど……」
「ど、どうしたの?誰がやったの?」
「カクカクシカジカ」
「まるまるうまうま。なるほど、そう言う事ね。後で小悪魔には言っておくわ」
「あは、ありがとう。所で、君の妹ってどんな奴なの?」
「……………そんなこと聞いてどうするの?」
「いやー、今日は戦闘シーン挟んでないからね。一応やっとこうかなっと思って」
「??良く分からないわ」
「あー、つまり、前ここの住民で唯一会えなかったからね。一応挨拶はしておこうと思ってね」
「…そう。フランは情緒不安定でね、そのくせ力は強いもんだから、容易に外に出すわけにもいかないのよ。だから地下室にいてもらってるんだけど………」
「本人はそれで満足してるのか?」
「いえ、外に出たがってるわ。私も本当は出してあげたいんだけど…………………せめて、力を制御出来る様になるまでは………」
「へえ、ま、とりあえず行ってみるかね。場所はどこ?」
「行って…………………どうするのよ」
「なんてことはない。ちょっとした遊び相手になるだけだ」
「………………分かったわ、場所は………」
フランドールの居場所を教えてもらい、そこへと向かう。
「さて、ここで良いのかな」
大仰な扉を開け、地下への階段を下る。そのまま歩き続けると、やけに可愛い装飾の扉に、ふらんの部屋と書かれたドアプレートがかかっている。可愛い感じのドアなのに、どことなく厳かな雰囲気がある。
「この部屋みたいだね」
キイッと音がするドアを開けて侵入する。
「なあに?何も言わないで入るってことは、咲夜じゃないわよね?」
「その通り」
「誰?あなた」
「高橋 凜だ。よろしくぅ、フランドール」
「わあ!貴方がそうなの!?カレー、貴方が作ったんでしょ?とっても美味しかったわ!」
「あはっ、それはどうも。今日は紅魔館に遊びに来たんだよねぇ。何かして遊ぶか?」
「うんっ!遊ぶわ。ずっと閉じ込められて退屈してたもの!」
「だから……簡単にコワレナイデネ?」
……………ふぅん、これがレミリアの言う、情緒不安定って奴か。まぁ確かにこんな感じで外に出すわけにもいかないわな。吸血鬼なんだし。
「あはっ、言ってろ。で、何して遊ぶ?」
「弾幕ごっこ」
「いくら出す?」
フランドールはコインを取り出し、
「コインいっこ」
「一個じゃ、残機も貰えないぜ」
「あなたが、コンティニューできないのさ!」
禁忌「レーヴァテイン」
フランドールが炎の剣を生み出し、それを振り、大量の弾幕を投げつける。俺はそれに対処しつつフランドールに弾幕を投げつける。
「アハハっ逃げてばっかりじゃつまらないわね?」
「同意するが………、だからと言ってなにか案がある訳じゃないしね」
「ふうん。じゃ、これはどうかしら」
禁忌「恋の迷路」。
小型の弾幕の壁を作り、迷路を作る。その迷路は、動いている方向とは逆方向に動かなければよけられない。そんなに難しい訳じゃないが、やはりめんどくさい事に間違いはない。ここは事故のないように……。
「空弾「アイディアル・エアガン」」
気体の弾幕を作り、迷路をこじ開ける。
「アハハ!流石にアイツを倒しただけはあるみたいね!」
フランドールが壊れたような笑みで言う。
可愛いな、おい!全然怖くない!やっぱ美少女は得してるねぇ。狂ってても可愛いなんてさぁ?
「アイツって誰だよ!?」
「お姉様に決まってるじゃない!」
お姉様と呼ぶフランドールの目には、姉への怒りが見て取れた。こいつは…………。弾幕を中断し、フランドールの目を見据えながら問う。
「………お前は、こんな所に独りでもいいのか?」
「出たいとは思ってるわよ!でも、お姉様は私をいつも仲間はずれにするし、だから外に行って遊ぼうとしても、外に出してくれないわ!」
そう言って彼女は、力任せに炎剣を振るう。まるで癇癪を起こした子供のような彼女は、実際に子供と精神レベルの差はないのかもしれない。人は皆、コミュニケーションの中で育っていくものなのだから。それは人でなくとも変わることはない。たとえどんなに長い年月が経ったとしても、変えられやしない。
「っっ。分かってない。分かってないよお前。今からそれを教えてやる……」
さぁ、こっから先は弾幕ごっこじゃないぞ?ただの………虐殺だ。
「あはっ!あははははっ!ヤーメタ。こんなお遊び、しなくていいもんね」
「え?」
天狗のスピード、鬼並みのパワー、吸血鬼並の再生能力。
ものすごく強い体へと変化。
そのままフランドールに突っ込む。
「あははははっ!抵抗する気がなくなるまでやってやんよ!」
「くっ。いきなりなんなの?」
「あはっ、言ってるじゃん、教えてやるってさぁ!」
フランドールに追いつき、頭部をぶん殴る。脳漿がぶちまけられ、血がまき散らされる。その勢いで胸部、腹部とぶん殴る頃にはフランドールは血だらけになり、吸血鬼ご自慢の再生能力も追いつかない。
さしもにダメージが強すぎたのだろう。怒りで口調を荒らげていた様子はどこへやら、涙を流しながらぐずる。
「痛い……痛いよぉ……何でこんな事するの?私何もやってないのに……」
「あはっ、痛いか?苦しいか?辛いか?」
「俺が………怖いか?」ズキッ
「……(今……すっごく寂しそうな目をしてた……)」
「ん?怖くなかったのか?それはそれですごいな」
「いえ、………怖かったわ、とっても」
「そうだろうね。ねえ、何で閉じ込められてるんだと思う?」
「私が、キライだから?」
「あはっ、やっぱり分かってないねえ。人を閉じ込める理由なんて一つだけだよ?」
「怖いから閉じ込める。ちょうど、さっきの俺みたいな事を、お前がするんじゃないかって、不安なんだよ」
「私が、怖い?さっきのあなたみたいに、怖いの?」
「もちろん仲良くしたいさ。家族だったり、同じ家に住んでるんだしね。でも、それを上回るようなでっかい不安。それを取り払わん限り、はっきり言わせて貰うとお前はここで独りぼっちのままだ」
「さっき、外に出してくれないとか言ってたっけ?それ、随分と身勝手だよ。仲良くするための努力していないのに、自分の要求を通そうなんてさ」
「…………………………………」
「ん、言い過ぎたかな?」
「な、なら……何であなたは私を怖がらないの……?」
「あはっ、自分より圧倒的に弱い奴に怖がってどうすんだよ」
「……う、それはそれで嫌だけど……」
「あっは、これはお前の人生相談って奴だぜ。相談役は怖がらんのだよ」
「あなたは……私を助けてくれるの?」
その質問に、俺は一瞬呆気に取られる。
「あはっ、あははははっ!なーに当たり前の事言ってんだか。お前の手助けはしてやるよ」
「…………!な、何でそこまで……」
「所詮は暇つぶしだけどね。正直面倒ではあるけど……ま、そんなことどうでもいい。問題はお前がどうしたいか、それだけだ」
「私が……どうしたいか………」
「ハリーアップハリーアップ。急いでー」
「私は……お姉様や、パチェ、咲夜や美鈴と、仲良くしたいわ!」サリゲナクハブラレルコアクマ
「あはっ、良いんじゃない?よし、じゃあ行きますか?」
「え?ど、どこに……?」
「あ?何言ってんのさ。お前の言う、お姉様やパチェ、咲夜や美鈴の所に決まってんじゃん」
「え、ええ……?や、やっぱり怖い……」
「まあまあ、いいからいいから。移動めんどくさいな、さっさと行っちまうか」
小悪魔がサキュバスなのはマイナー設定です。公式ではありませんので、ご理解ください。