DRAGON BALL SISTER OF KAKAROT 作:桂ヒナギク
惑星ベジータ。
保育器に、その女の子の赤ちゃんはいた。
彼女の名はカロッタ。父バーダックと母ギネとの間に産まれた、カカロットの双子の妹である。
隣の保育器でカカロットが泣いていた。
さらにその隣で、ブロリーが不服そうに泣いている。
だがカロッタは気にも留めず静かに眠っていた。
「……………………」
眠りから目を覚ますカロッタ。
幼い頃の夢だった。
カロッタはベッドから降りると、鏡の前に立った。
端正な顔立ちをした長髪の女性が映っている。
カロッタは身支度を整えると、仕事へと向かう。
カロッタはミゲルという名で歌手として活動していた。
今日も舞台で歌唱を披露する。
最初にロマンティックをあげるよを歌い、続けてDon't you see。そして、CHA-LA HEAD-CHA-LA、DANDAN心惹かれてくを奏でる。
リサイタルが終わり、カロッタは楽屋へ移動する。
「あー、喉乾いた」
カロッタは冷蔵庫からお茶を取り出して一気に飲み干した。
空のペットボルをゴミ箱へ放り込み、支度をして帰路に就く。
自宅への道を歩いていると、若い男性がガラの悪い連中に絡まれていた。
「よう、にいちゃん。俺らに金貸してくんねえ?」
「か、金なんて持ってませんよ」
若い男性は酷く怯えている。
「ちょっとあなたたち!」
カロッタはガラの悪い連中の背後に立つ。
「なんだあ?」
振り返る連中。
「お、こいつ歌手のミゲルだぜ」
「ねえちゃんも俺らに金貸してくれよ。歌手なんだからたんまり持ってんだろ?」
カロッタは困ったような表情で言う。
「お金が欲しければ仕事をすればいいじゃない」
「うるせえ。いいからよこしな」
連中の一人がカロッタに手を伸ばした。
カロッタは相手の手首を掴むと、もう片方の手で腹部の裾を掴んで後方へ放り投げた。
「あ、てめえ!」
もう一人がカロッタの側頭に回し蹴りを叩き込もうとするが、彼女は腕でガードした。
そしてすかさず足首を片手で掴み放り投げる。
「うげ!」
連中が落下して一箇所に重なる。
「覚えてやがれ!」
連中は捨て台詞を残して去っていった。
「お強いんですね。ああ、私はマーク」
「カロ……いえ、ミゲルよ」
「ミゲルさん、私、あなたの大ファンなんですよ!」
カロッタは歌唱中に見た最前列の観客を思い出す。
「もしかして、最前列にいなかった?」
「はい!」
「あなた、前にも私のリサイタルに来てたわよね?」
「覚えててくれたんですか?」
「熱心に応援してくれるファンがいて嬉しいわ」
「あの、助けてくれたお礼にコーヒーでもいかがでしょうか?」
「そうね。じゃあ、あそこでいいかしら?」
カロッタは目の前のカフェ店を指差した。
「いいですとも!」
カロッタはマークと共にカフェ店へと入る。
二人は席に座って注文をした。
「ミゲルさんは武道もおやりになられてるんですか?」
「うん、まあ」
「そうでしたか」
「あなたはどうなの?」
「私は武闘家を目指してるんです」
「そう。けどその割にはカツアゲにビクビクしてたけど」
「それを言われると痛い」
「マークって言ったかしら」
「はい。なんでしょう?」
「あなた、ご結婚は?」
「え? 独身ですけど、どうしてそんな?」
「あ……いや、その……」
緊張しながら頬を赤らめるカロッタ。
「わ、私をあなたの妻にしてくれないかしら!?」
「え、ええええ!?」
「私、いつもイベントに来てくれるあなたのこと、好きなの」
「気持ちは嬉しいですけど、心の準備が……」
カロッタはマークに電話番号を書いたメモを渡す。
「これ、私の。返事、待ってるから」
カロッタはそう言うと、コーヒーを飲み干して店を出た。