いや、でもさあ、ここでなんとなくでOKっていうの、いい加減な気持ちってことにならないかなあ? うーん?
「チヒロくん、ごめんなさい。私わがままばかり言ってチヒロくん困らせてばっかりで。迷惑だよね。こんなめんどくさい女の子嫌だよね。私女の子っぽくないし。私、サクラちゃんやリンちゃんみたいにおしとやかじゃないもんね。……。」
タッタッタッタッタ。
マリーちゃんはそのまま縁側から外へ飛び出して走っていった。泣きながら。裸足で。
それでさらに、転ぶ。庭の石の出っ張りに引っかかって。
ガッ
僕は慌てて駆け出す。マリーちゃんは幸い庭から出て十歩も進まないうちにけつまずいていたから。
スタタタタタ
うーん、手を伸ばしても間に合わないなあ。このままだとマリーちゃん地面に激突しそう。下、石だよね。これはもうね、飛び込むしなないよね。
ドッ、ドン、ズサァッ!
僕は走る姿勢からジャンプして、体を前へと発射して、仰向けの姿勢になり、頭をぐいっと胸へと引いて両手で倒れてくるマリーちゃんをしっかりホールドする。そして、強い衝撃が僕を襲った。
「……ん、……くん!」
全身が痛い。で、頭も痛い気がする。
「ねえ、……ロくん」
なんか物がぼやけて見えるなあ。うーん、なんかいいにおいがする。それと、この声すごい聞き覚えあるなあ。
「チヒロくんったら、ねえ!」
「お、マリーちゃん、どうしたの? うっ、頭痛っ。」
頭の左後ろの方を僕は触った。すると、べとりと血がついていた。
「うーん、僕頭打ってる? 何があったの? なんか思い出せないんだけど。」
「大丈夫か、チヒロ!」
「あ、お兄ちゃん、いたんだ。」
「ああ。なんか家の方から大声聞こえてきたからなあ。で、戻ってみたらお前が頭から血を流して倒れているもんから、ぐすっ。本当に意識戻って、ぐすっ、よかった、ぐすっ。」
ぷおーん、ピーポーピーポー!
「救急車来たな! 意識戻ったけど病院運ばれとけよ。血もあらかた止まってるみたいだけどな。念のために。」
「うっせ、と。じゃあ、マリーちゃん、こいつ病院行くから。心配しなくても大丈夫さ。」
「私も行きます。私のせいでチヒロくん怪我したんです!」
「おう、そうか。でもお父さんお母さんに知らせなくて大丈夫かい? もしよかったら俺が知らせておくけれど。」
だっだっだっ
だっだっだっ
「おい、大丈夫か、チヒロ!」
「チヒロちゃん、大丈夫なの?」
父親と母親が救急車が行く前に駆けつけた。
「チヒロ大丈夫みたいだけど、一応病院へ運んでもらって怪我の様子見てもらうから。俺付き添いするから。あとさ、この子も付き添いしたいって言ってるから。隣の相合谷さんとこの子。だからそのこと伝えといて。」
あ、お父さんとお母さんだ。とりあえず手振っとこ。
「わかった。チヒロ大丈夫そうだし。後はお前に任せる。もし何かあったら連絡くれ。」
「診察終わったら俺が連れて帰ってくるから。あとなあ、このケガ、この子助けるためにした名誉の負傷だそうだぜ。さっすが俺の弟!」
いや、お兄ちゃん。当然のことだから、ね。もしお姉ちゃんがケガしそうだったらお兄ちゃん全力で助けるでしょ。そんなはしゃいでたら、僕がはずかしいよ。
「チヒロちゃん、やるときやるからねえ。その辺あんたとは違うわねえ。」
うわあ、お母さんようしゃないなあ。
「え、俺の扱いひどすぎ……。」
ぶっーーーーーん
ピーポーピーポー
そうして僕たちは病院に運ばれていった。