――Side 頼久
「チョコレートやココアの類は受け付けてません」
朝のホームルーム前に他クラスや学年からから女子が来てチョコレート渡そうとしてきたのだが、きっぱり断る。
「えっ?」「なんで?」
「御主人様の都合です。それでも渡す場合、私や恋が食べますのでご容赦を」
トキがキッとしてそう告げる。
今日はバレンタインデー。
日本では女性から男性へチョコレートを渡す日である。
ちなみにオレは今年度肉体関係持った面々には先んじて何パターンか、花をモチーフにしたアクセサリーを作り、そのうちの1種類をネックレスにしてプレゼント済みである。
恋、トキ、清華には手紙と花の栞をプレゼントしている。
本当はもっと良いものを渡そうとしたのだが「餌盛られすぎて引く猫になるからいい」と3人から拒否されているため、控えめなモノで収まっている。
それはさておき。
「聞いてないよ〜」「コレを機に取り入ろうと思ったのに」
そう言って諦める女子多数。
本人の眼の前で言うなよ、それ。
あと桔梗から義理チョコ配布されてるだけのバレンタイン期待してた男子(山内等)が血涙流してる。
須藤と幸村は……なんか別クラスの女子と……ああ、帆波のところの子……!? えっ、なにそれ、オレ初耳なんだけど?
「ふむ……ならそれ以外なら受け取るのか?」
なんか鬼龍院先輩がやってきたよ。
「ええ。オレの手書きの手紙と花をモチーフにしたアクセサリーをお返ししますし、ホワイトデーも一口のお菓子とハンカチ程度になりますが、お返ししますよ」
「ほう? それはいいことを聞いた」
「というわけで先輩もどうぞ。中のクッションの裏にストラップにするための金具あるのでネックレスが嫌でしたらそちらにセルフで変更して下さいね」
手紙と共に差し出すと、鬼龍院先輩は目を丸くした。
「……義理チョコを渡そうとしてチョコがダメだから出直そうと思ったんだが」
「どういう思惑でプレゼントしたかは、お察しください。……まだ時間あるので中身見てもらえればと」
彼女はおずおずと箱を開けてネックレスを取り出す。
青いバラをモチーフにしたモノだ。
「ほう、パワーストーンかな?」
「青いのはサファイア、緑の部分は濃い部分がエメラルド、一部の薄い緑がグリーンダイヤモンドです」
「……ダイヤモンド………人工……だよな?」
「コレは独り言ですが、宇宙にはダイヤモンドでできた星があるんですよね。色合いが良いの探すのは骨が折れましたよ。あ、フェナスエリアの宝石店で鑑定してもらっても構いませんよ。あそこの店主、宝石については狂気的にキッチリしてるんで嘘つけませんし」
その言葉に鬼龍院先輩が硬直している。
うーん、面白い(人心無)。
「この程度でいちいち驚いて居たら、心臓が保たないだろうね」
なんかしれっとオレをあすなろ抱きする六花。
それを見てムッとする鬼龍院先輩。
面白い先輩だなぁ()
「あとオカルトを信じるかはお任せしますが、厄除けをかけてありますから、不運をある程度回避できるかと」
「……ふふ、では、ありがたくもらっておこう。制服の中に着けていれば、まあ分かるまい」
「そこはノーコメント」
「休日はコレをつけて出歩こうか。君の愛人候補であると示すためにもね」
「やれやれ、ピンクなスイーツ思考に頭をやられたのかな? 頼久のそれはバレンタインデーの贈り物に対する返礼品にしてささやかな数打ちの贈り物。先輩とは面識があり、義理チョコを渡す予定があったと見て先んじて返礼したに過ぎない。ゆえにそこに恋愛感情や恋人候補などというものは介在していないと気がついたらどうかな先輩殿?」
「は?」
なんで喧嘩腰で早口なんですかね六花さん。
あすなろ抱きで見せつけて煽り散らかして、鬼龍院先輩とバチバチに火花散らしてるし……。
「千手頼久。数十万相当の宝石使ったネックレスをばら撒いてると聞いたのでもらいに来ました」
「どちらさま??」
なんか鬼龍院先輩と六花バチバチに舌戦してるのをガン無視で横から声かけてきた娘。
「おや、美女には目がないと噂の千手頼久がこの森下藍を知らないとは妙ですね……」
「なるほど、Cクラスの森下さん……大方オレの話を誰か……教室の外で覗き見してる橋本あたりから聞いて偵察に来たついでに高く売れそうでオレの後ろ盾仄めかせそうな便利アイテムを阿呆みたいに配ってるからしれっと貰いに来たってところか?」
「おや、バレてしまいましたか。橋本君をシャチの餌にして構いませんし私の貞操なら捧げるので命ばかりはお許しいただきたいですね」
オレそんな鬼畜に見えてるの??
あと橋本が首横に振ってるんだよなぁ。
「ほれ、コレやるからさっさとクラスに帰りなされ。先生来て小言言われてCP減らしたいなら止めはしないが」
「む、それを言われると困りましたね。……では、何らかのお礼をいずれかに……」
そう言ってカードとネックレスのはいったケースを受け取って去って行く森下。
「さて、ホームルーム……2年生と3年生は自分の学年に戻れ……」
茶柱先生が入ってきて、帰るタイミング失ってた3年女子と鬼龍院先輩にそう告げる。
鬼龍院先輩が歯がゆそうに去っていき、六花が勝ち誇っていたのだが、どういう状況だったのだろうか。
「というわけで買ってきたぞ、市販品で悪いが割といいクッキー詰め合わせを」
「おやおや先輩、無理なさらなくても……私たちが頼久に贈ったモノがありますからね」
昼休み
見せつけるように鬼龍院先輩の持ってきたやつよりグレードの良いクッキーの詰め合わせを見せつける六花。
「…………」青筋が浮かんでいた気がするが、深呼吸で抑え込んだらしい。
「深呼吸で抑えねばならないほど高血圧が進んでる様子。10月の健康診断に引っかからなかったことに驚きが隠せませんね」
「煽り散らかすなよ六花、ステイ! ……先輩、ありがたくいただきま「だめだ」えっ?」
受け取ろうとしたら鬼龍院先輩が取り下げた。
「君が欲しいものをプレゼントしたい」
「あの、それバレンタインデーの義理チョコとか本命とかそのレベルじゃなくなって「何か欲しいものはないのかな?」いやー、ないで「なにかないのかな?」ないで「ないのかい??」あれ、もしかして言わないと話進まない?「流石後輩、分かってるじゃないか」えぇ……(困惑)」
鬼龍院先輩のおかげで返礼品の宝石ネックレス目当てな現金すぎるハイエナがこれてないからいいんだけどさ……。
「何でも構わんぞ」
「えっ、今なんでもって?」「愛里、ステイ!」
オレは抑えさせてから鬼龍院先輩に向き直る。
そして懐からメモを書いて鬼龍院先輩に差し出す。
「なら……この本3冊を読んで、感想を聞かせてください。マイナーだし、図書室に置いてないので読んだことある人少なくて……」
「……ふむ。分かった。しかし変わった男だな。なんでもと言ったからてっきり私を所望するかと思ったが」
「オレを何だと思ってるんですかね。そこまで言うなら非人道的方法用いた尋問に今から要望切り替えても……」
オレが笑顔でそう告げると
「い、いや。何でもない。そういうことにしておいてくれ」
そう言って去っていった。
「……私たちだけじゃ足りません?」
「ひよりたちの時間も良いが、良いものは布教したい、つまりそういうことだ」
オレは誤魔化すようにそう告げる。
「……そういうことにしておきましょうか」
何でオレがしれっと尋問されかけてるのか、コレがわからない。
「あ、今よさそう?」
声の方向くとライザ、キアラ、景鏡が居た。
「ハイこれ。3人からの義理チョコならぬ義理?クッキーってことで……」
とライザが代表してクッキー渡してきた。
「なんで疑問形?」
「あたしは割とアリかなーと思ってるから?」
「あらあらまあまあ」
「なかなかどうしてストレートに言いますね、ライザは」
キアラと景鏡はニコニコしてる。
「オレの立ち位置分かってるよね?」
「事実婚状態は割と何処でもあるから……誤差かなって」
すごいな、恋とトキ……他数名以外は表向き付き合ってることを隠してるのに大勢居るところに実質告白である。
「……まあ、それについては追々、かな」
と言いつつ3人にそれぞれカードとネックレスの箱を渡す。
「ソワカソワカ。私も呼んで頂ければ参りますので……」
「……私は、心の準備できてるときなら、訪問するかもしれません」
なんかとんでもない暴露してるのが2名いるんだが??