シリウス・ブラックの無罪判決は、翌朝の『日刊予言者新聞』一面を飾った。
大きな見出し。
『十三年間投獄された無実の男』
『ピーター・ペティグリュー、生存』
『魔法省の歴史的誤判』
記事の中央には、法廷を出るシリウスの写真。
痩せた身体。
長い髪。
その隣を歩くハリー。
二人が一瞬だけ顔を見合わせる場面が、繰り返し動いている。
「写真を撮られていたのか」
大広間で新聞を見ながら、ハリーは呟いた。
「有名人は大変だな」
ロンが言う。
「君も写ってるぞ」
写真の端。
ハリーの後ろに、赤毛の一部が見えている。
「これ、僕か?」
「髪だけなら、ウィーズリー家の誰でも同じだろ」
「失礼だな」
ハーマイオニーは記事を真剣に読んでいた。
「魔法省が、正式に謝罪するそうよ」
「ファッジが?」
「魔法省として、ですって」
「本人は謝らない?」
「記者会見では、当時の判断に直接関与していなかったことを強調しているわ」
「逃げたな」
ファッジはシリウスが収監された時点では大臣ではない。
直接の責任はない。
それでも、再調査を遅らせた責任はある。
「補償金も出るらしい」
ロンが記事を覗く。
「すごい額だぞ」
「ブラック家は元から金持ちだ」
ハリーが言う。
「じゃあ、いらないのか?」
「金の問題じゃない。でも、受け取るべきだ」
「どうして?」
「魔法省に失敗の代償を払わせるため」
賠償は、失われた時間を戻せない。
それでも、間違いを記録へ残す意味がある。
支払い。
謝罪。
責任者の処分。
再発防止。
何もしなければ、同じことが起きる。
「シリウスは、どこに住むの?」
ハーマイオニーが尋ねる。
「ブラック家の屋敷」
「家族は?」
「母親は亡くなってる。弟も」
「一人なの?」
「屋敷しもべ妖精がいる」
クリーチャー。
ブラック家に仕える老いた妖精。
前世では、シリウスとの関係が最悪だった。
シリウスは実家を嫌う。
クリーチャーは、純血主義のブラック家へ忠実。
互いに憎しみを向け合った。
その結果、クリーチャーはベラトリックスへ情報を渡し、ヴォルデモートの罠に利用された。
「大丈夫か?」
ロンが尋ねる。
「何が?」
「屋敷しもべ妖精と二人で」
「大丈夫ではないかもしれない」
今回、シリウスはまだ三十代。
前世より長くアズカバンへいたわけではないが、早く出られた分、回復の可能性も高い。
それでも、嫌悪する実家へ戻れば精神的な負担が大きい。
そして。
ブラック家には、重要な物がある。
サラザール・スリザリンのロケット。
正確には、ヴォルデモートが分霊箱にしたロケット。
前世では、レギュラス・ブラックが本物を洞窟から盗み出した。
クリーチャーへ破壊を命じたが、方法が分からず失敗。
ロケットはグリモールド・プレイス十二番地に残された。
その後、マンダンガス・フレッチャーが盗み、ドローレス・アンブリッジの手へ渡った。
今回は、まだブラック家にあるはずだ。
「行く必要があるな」
ハリーは呟いた。
「シリウスの家へ?」
ロンが尋ねる。
「ああ」
「遊びに?」
「表向きは」
「表向き?」
「何でもない」
ロンが疑わしそうに見る。
「また危険な物があるのか?」
「少し」
「少しって?」
「分霊箱」
「全然少しじゃない!」
ロンの声が大広間へ響いた。
近くの生徒たちが振り返る。
「声を抑えて」
「先に言えよ!」
「今言った」
「そういう意味じゃない!」
ハーマイオニーが周囲を確認する。
「どの分霊箱?」
「スリザリンのロケット」
「ブラック家にあるの?」
「ある可能性が高い」
「どうして?」
「シリウスの弟、レギュラスがヴォルデモートから盗んだ」
ロンが目を丸くする。
「死喰い人だった人だろ?」
「最初は」
「途中で裏切ったの?」
「ああ」
レギュラス・アークタルス・ブラック。
前世では長く、単なる死喰い人として語られていた。
実際には、ヴォルデモートがクリーチャーを洞窟の罠へ使ったことを知り、分霊箱の存在へ気づいた。
自ら洞窟へ入り、本物のロケットを偽物と交換。
クリーチャーを逃がし、自分は亡者に引きずり込まれた。
「シリウスは知ってるの?」
ハーマイオニーが尋ねる。
「知らない」
「弟が何をしたかも?」
「おそらく」
「なら、教えた方がいいわ」
「そう思う」
シリウスは弟を、両親に従った臆病者だと思っていた。
真実を知れば、少しは過去への見方が変わるかもしれない。
「どうやって破壊する?」
ロンが尋ねる。
「バジリスクの牙を借りる」
「日記の時みたいに、悪霊の炎は?」
「二度と学校内では使うなと言われた」
「当然よ」
ハーマイオニーが即答する。
「必要の部屋でも駄目だったの?」
「制御を失いかけた」
「駄目に決まってるでしょう!」
「だから牙を使う」
バジリスクは魔法省の保護区。
毒牙は、一本が危険物として保管されている。
日記の破壊前に申請していたもの。
届く前に悪霊の炎で決着してしまったが、申請自体は残っている。
正当な用途を説明すれば、もう一度借りられる可能性がある。
「ダンブルドア先生には?」
「まだ言ってない」
「どうして?」
「日記の件がある」
「でも、反省したでしょう?」
「反省と、同じ失敗をしないことは別だ」
ダンブルドアは約束した。
分霊箱と一人で接触しない。
情報を抱え込まない。
救えなかった相手への罪悪感で、判断を誤らない。
今回は信じたい。
それでも、ロケットの存在を知れば、自分で調べようとする可能性がある。
「先生を外すの?」
ハーマイオニーが尋ねる。
「外しはしない。場所を確認してから話す」
「勝手に持ち出さない?」
「触らない。開けない。話しかけない」
「約束?」
「約束する」
「一人で探さない?」
「シリウスの家だ。本人がいる」
「分霊箱の危険を知らない人を、協力者に数えないで」
厳しい。
正しい。
「では、ロンかハーマイオニーにも来てもらう」
「私が行くわ」
ハーマイオニーが即答した。
「僕も行く」
ロンも続く。
「夏休みの予定は?」
「母さんに聞く」
「私も両親へ説明する」
「遊びに行くと?」
「危険な闇の魔法道具を探すとは言えないでしょう」
「それでよく僕を責めるな」
「あなたの影響よ」
教育に悪いらしい。
年度末が近づく。
ロックハートの捜査も進展した。
彼の著書に登場する事件のうち、三件で本来の解決者が見つかった。
一人はアルメニアの老魔女。
一人は北欧の魔法使い。
もう一人は、ウェールズに住む兄妹。
全員、事件後に記憶障害を起こしていた。
聖マンゴの専門家が調べた結果、強力な忘却術の痕跡が確認された。
術式の特徴は、ロックハートが授業中に使用しかけた忘却術と一致。
さらに、彼の私室から、被害者の名前と事件内容を記した取材記録が見つかった。
「ギルデロイ・ロックハート」
授業中。
教室の扉が開き、アメリア・ボーンズと二人の魔法法執行部職員が入ってきた。
ロックハートの笑顔が固まる。
「これはこれは、取材ですかな?」
「逮捕状だ」
アメリアが羊皮紙を広げる。
「複数の魔法使いおよび魔女に対する違法な忘却術、功績の窃取、虚偽出版、詐欺の容疑で拘束する」
教室が静まり返る。
「何かの間違いだ」
「被害者が見つかった」
「私が救った者たちだ!」
「彼らは、あなたに会う前の記憶を一部取り戻した」
ロックハートの顔から血の気が引く。
「誤解だ。私は話を聞いただけで」
「授業記録から、あなたの忘却術の魔力特性も確認した」
「記録?」
天井を見る。
今さら気づいた。
「ハリー・ポッター!」
ロックハートが叫ぶ。
「君だな!」
「何がです?」
「私を嵌めた!」
「先生が犯罪をしなければ、嵌まりません」
「私は君に協力した!」
「量刑で考慮されるかもしれません」
「その言葉は聞き飽きた!」
ロックハートが杖を抜く。
教室内で。
生徒たちの前。
アメリアへ向ける。
「オブリビエイト!」
忘却術。
アメリアが盾で弾く。
同時に、二人の職員が拘束呪文を放つ。
ロックハートの身体が縄で縛られ、床へ倒れた。
「公務執行妨害と、魔法法執行部長への攻撃を追加する」
「待ってくれ!」
「法廷で話せ」
「私は英雄だ!」
「それも法廷で確認しよう」
ロックハートは連行された。
教室に沈黙が残る。
ロンが手を上げる。
「今日の授業は?」
アメリアが答えに困る。
扉の外から、スネイプが入ってきた。
「私が引き継ぐ」
教室中から小さな呻き声。
「不満がある者は出ていけ」
誰も動かない。
「教科書を閉じろ。ロックハートの本は、防衛術の教材として価値がない」
ハリーは少しだけ同情した。
年度末まで持たなかった。
だが、犯罪者が教師を続けるよりはよい。
臨時担当はスネイプとフリットウィック。
授業内容は、以前より遥かに改善された。
年度末試験。
寮対抗杯。
二年目は、前世とは全く違う結果となった。
秘密の部屋による襲撃はない。
生徒の石化もない。
学校閉鎖の危機もない。
バジリスクとアクロマンチュラの処理により、ホグワーツの安全管理は大幅に見直された。
魔法省による査察。
禁じられた森へ生徒を罰則で入れることは禁止。
危険区域には、新しい結界と警告表示。
魔法生物の定期調査。
立入禁止区画の記録作成。
ダンブルドアは大量の書類に追われていた。
「ハリー」
終業式前日。
校長室に呼ばれたハリーは、机に積まれた羊皮紙を見た。
「何です?」
「少し手伝ってくれんかの?」
「何を?」
「安全管理報告書じゃ」
「嫌です」
「未来では管理職だったのじゃろう?」
「今は生徒です」
「便利な時だけ十二歳になるの」
「マクゴナガル先生に学びました」
ダンブルドアが深くため息をつく。
「来年度から、森の定期調査も必要になった」
「よいことです」
「予算申請が通らん」
「魔法省と交渉してください」
「君も原因の一人では?」
「情報提供者です」
「責任を取ると言っておらんかったかの?」
「生徒として取れる範囲で」
「言葉を覚えたの」
「先生からです」
しばらく、互いに見つめ合う。
ダンブルドアが先に諦めた。
「シリウスから手紙が来ておる」
「僕宛て?」
「学校の梟便へ届いた」
封筒。
黒いインク。
少し乱れた文字で、ハリーへと書かれている。
手紙を開く。
『ハリーへ。
聖マンゴの治療師たちは、俺を子供のように扱う。食事を残すな、薬を飲め、夜に勝手に病棟を抜け出すな。最後のものは一度しかしていない。
退院は七月半ばになるらしい。
グリモールド・プレイスへ戻ることになった。正直、あの家には帰りたくない。だが、ブラック家の財産や書類を整理する必要があるそうだ。
お前が来てくれるなら、少しはましになる。
夏休みに遊びに来ないか。
名付け親らしいことを、何もできていない。何をすればいいかも分からないが、まずは一緒に食事でもしたい。
友達を連れてきてもいい。
シリウス』
ハリーは手紙を二度読んだ。
自分から送る前に、向こうから招待された。
「よかったの」
ダンブルドアが言う。
「はい」
「行くのじゃろう?」
「もちろん」
「何か別の目的もある顔じゃが?」
鋭い。
「ブラック家に、分霊箱があります」
隠すつもりだったが、ここで話すことにした。
ダンブルドアの表情が変わる。
「何?」
「サラザール・スリザリンのロケット。レギュラス・ブラックが、ヴォルデモートの隠し場所から盗み出した」
「シリウスの弟が?」
「はい」
「なぜ今まで」
「日記の件が終わってから話すつもりでした」
「日記は、かなり前に破壊したがの?」
「先生の反省が本物か見ていました」
「試されておったのか」
「結果は?」
「どうじゃろうな」
「先生一人では取りに行かないでください」
「約束しよう」
「先にシリウスへ説明します」
「危険性を伝えた上で、家を調査するべきじゃ」
「はい」
「ワシも同行を」
「駄目です」
「なぜじゃ?」
「シリウスは、先生にも複雑な感情があります」
ダンブルドアは、シリウスを疑った。
裁判を求めなかった。
無実を確認できなかった。
今回助けたとはいえ、十三年を消せるわけではない。
「まず、僕が話します」
「分かった」
「意外に素直ですね」
「反省中なのでの」
「継続してください」
ダンブルドアは髭の奥で苦笑した。
「ただし、分霊箱へは一人で近づかないこと」
「ロンとハーマイオニーにも来てもらいます」
「十二歳を三人集めても、成人の代わりにはならんよ」
「シリウスもいます」
「まだ治療直後じゃ」
「では、スネイプ先生を?」
「シリウスが受け入れると思うかの?」
思わない。
前世でも、二人の関係は最悪だった。
「マクゴナガル先生」
「その方がよかろう」
「本人の許可を取ってから、日程を決めます」
「バジリスクの牙も用意する」
「借りられますか?」
「前回の申請が、ようやく通った」
「遅い」
「書類というものは、そういうものじゃ」
これで破壊手段は確保できる。
ロケットを発見。
封印。
バジリスクの牙。
一つずつ。
ホグワーツ特急がロンドンへ到着した日。
ダーズリー家は、時間通りに迎えへ来ていた。
バーノン。
ペチュニア。
ダドリー。
昨年よりも、魔法界の荷物を見る目が落ち着いている。
「今年は問題を起こしていないだろうな」
バーノンが尋ねる。
「教師が逮捕されました」
「お前が何かしたのか?」
「証拠を集める手伝いを少し」
「問題を起こしてるじゃないか!」
「犯罪を解決した側です」
「学校という場所は、教師が逮捕されるものなのか?」
「毎年ではありません」
「去年の教師は?」
「ヴォルデモートに憑依されていました」
バーノンの顔が固まる。
「普通の学校へ移れ」
「検討します」
「本当にしろ!」
ダドリーがハリーのトランクを見る。
「菓子は?」
「ある」
「普通の?」
「蛙の形のチョコレート」
「動く?」
「少し」
「食える?」
「逃げる前なら」
ダドリーの目が輝く。
ペチュニアが嫌そうな顔をした。
「家の中で蛙を放さないで」
「チョコレートです」
「動くのでしょう」
「はい」
「外で食べなさい」
車へ乗る。
プリベット通りへ戻る。
母の守り。
この家を自分の家と認識し、定期的に帰ることで維持される古い魔法。
未来では十七歳までハリーを守った。
今回も、すぐに捨てるつもりはない。
少なくとも、ヴォルデモートの本体と残りの分霊箱を処理するまでは。
自室へ戻る。
荷物を解く前に、机へ便箋を置いた。
シリウスへの返事。
何と書くか迷う。
名付け親。
前世では、まともに一緒に暮らせなかった。
シリウスが名付け親として何かをしたいと言っている。
なら。
今のハリーは、十二歳の子供として振る舞うべきか。
八十歳を超えた記憶を持つ者として接するべきか。
「無邪気に、か」
少しくらいは、子供らしく頼ってもよいのかもしれない。
羽根ペンを取る。
『シリウスへ。
手紙をありがとう。
退院できると聞いて安心しました。
夏休みに、そちらへ遊びに行ってもいいですか。
ロンとハーマイオニーも一緒に行けるかもしれません。
ブラック家のことや、父と母の話も聞きたいです。
それから、家にある古い物を一緒に整理したいです。危険な魔法道具が残っている可能性があります。
無理はしないでください。
ハリー』
読み返す。
少し硬い。
十二歳の手紙ではない。
最後に一文を加える。
『名付け親の家へ遊びに行くのは初めてなので、楽しみにしています。』
これなら少しは子供らしい。
封筒へ入れる。
梟を呼ぶ。
窓から飛び立つ姿を見送る。
机の引き出しには、残りの分霊箱を記した羊皮紙がある。
日記。
破壊済み。
指輪。
ゴーント家の廃屋。
ロケット。
グリモールド・プレイス。
カップ。
グリンゴッツにあるレストレンジ家の金庫。
髪飾り。
ホグワーツの必要の部屋。
ナギニ。
まだヴォルデモートのもとにはいない可能性が高い。
そして、ハリー自身。
ロケットの次。
カップ。
前世では、レストレンジ家の金庫にあった。
ナルシッサの金庫ではない。
ただし、グリンゴッツへ入るには、マルフォイ家との接点が役立つ可能性がある。
ベラトリックスはナルシッサの姉。
純血家同士の財産管理。
古い委任状。
家系上の権利。
調べる価値はある。
「マルフォイ家には、まだ世話になりそうだな」
日記を盗んだ。
次は、姻戚であるレストレンジ家の金庫。
ルシウスが知れば、怒るだろう。
もっとも、彼は分霊箱の正体を知らない。
ヴォルデモートから預かった危険物を、嫌がらせのために子供へ渡そうとしただけ。
浅はかさでは、かなりのものだ。
ロケットを壊した後。
カップ。
指輪。
髪飾り。
順番は調整できる。
その前に。
シリウス。
今度こそ、家族として過ごす。
ロケットを探すだけではない。
父と母の話を聞く。
シリウスの治療を支える。
クリーチャーとの関係を悪化させない。
レギュラスの真実を伝える。
やることは多い。
「夏休みくらい、休めないのか?」
自分で呟き、自分で答える。
「無理だな」
それでも。
前世とは違う。
シリウスは生きている。
無罪。
自由。
手紙を送れば返事が来る。
会いに行ける。
その事実は、分霊箱を一つ壊すことよりも、ハリーにとって大きかった。
翌朝。
窓を叩く音で目を覚ます。
黒い梟。
早すぎる返事。
封筒を開く。
『もちろんだ!
いつでも来い。
友達も連れてきていい。
家は陰気で、母の肖像画はうるさく、クリーチャーは俺を嫌っている。だが部屋だけは余っている。
危険な魔法道具があるなら、一緒に全部捨てよう。
名付け親らしいことが何なのかは分からないが、お前が来るまでに考えておく。
シリウス』
文字の最後。
追伸。
『父親の代わりにはなれない。だが、必要なら何にでもなる。』
ハリーは長い間、その一文を見ていた。
前世では。
シリウスに父を求めすぎた。
シリウスも、ハリーにジェームズを重ねた。
今回は違う関係を作れる。
父親の代わりではない。
名付け親。
家族。
それでいい。
「頼みますよ、シリウス」
手紙を丁寧に畳む。
両親の写真帳と同じ箱へ入れた。
夏休み。
プリベット通りで、母の守りを満たす。
その後、グリモールド・プレイス十二番地。
ブラック家のロケット。
二つ目の分霊箱。
そして、十三年遅れて始まる、シリウスとの生活。
二度目の三年目を迎える前に、やるべきことはまだ残っていた。