野比のび助に転生した僕は今日も日常を謳歌する 作:全裸土下座
本番は次回。
主人公(のび助)はドラえもんのひみつ道具を悪用するとしても、どでかい悪事は行いません。(タイムパトロールとか、怖いじゃん? )せいぜいがイタズラ程度ですが……。
「本当だってば! 体が浮くくらい揺れたんだから……」
「またおかしなこと言って」
とある日の夜、二階で「地震だ!地震だ!」と騒ぐのび太の声で起こされ慌てて箒なんか持ちだしたママの背を追ってのび太の部屋に向かった僕たち。
記憶の奥にうっすら残るコレは、
(そうか、『宇宙開拓史』だ)
大長編ドラえもん、あるいは映画ドラえもんのうちの一作。
はるか宇宙の果ての星、コーヤコーヤ星に住む少年の船とのび太の部屋の畳が時空の歪みで繋がったお話だ。
「とにかくもう夜も遅いから寝なさい」
僕は素知らぬ顔でのび太にそう言うとママを連れて寝床に戻った。
それからしばらくして、二階で大きな音が鳴った。
ママは目を覚ましたが二階からだと気づくと、布団をかぶって二度寝した。
僕はというと、ママを起こさないようにそっと布団を抜け出していた。
僕はこの物語に介入するつもりでいる。
理由はまぁ、まぁ……その……あれだ。
さて、
「待っておくれよー! 」
のび太とドラえもんが窓を開けて飛び出した音。
記憶の通り物語の通りなら……。
「やれやれまったく、困ったものだ」
冷蔵庫開けっぱなし、中のもの出しっぱなしだ。
この程度の片づけは行おう。
「畳の下が――! 」
「宇宙船の倉庫に繋がってる――! 」
のび太の部屋の扉を開けて中を覗き見る。
部屋の真ん中、本来ならしっかり敷き詰められているはずの畳の一畳がまるでドアのように直立している。のび太たちは摩訶不思議な光景に気を取られてこちらに気づいてはいないようだ。
僕はそれを眺めて、親しみやすいパパの顔を張り付け、すっと部屋に足を踏み入れた。
「ずいぶんにぎやかだね、のび太、ドラえもん」
「「パ、パパァ?! 」」
のび太がとび上がって驚き、ドラえもんが「あわわわ」と口を丸くする。名前を忘れたピンクの小動物も僕という見知らぬ人物の登場に驚いて身を固くしている。
「パパ! これは、えっとその……! 」
「なんていっていいか、その、ですね……! 」
パニックになってドタバタ動く二人を僕は手で制した。
「よくわからないけどまた何か不思議なことが起きているんだろう? 」
「え? あ、うん。その……事情はまだよく分からないけど、困ってそうだったから……」
「そうか、よければ僕にも話を聞かせてもらえないかな? 」
「え? 」
「ねぇねぇ、このヒトは誰なの? 」
「のび太くんのパパだよ」
目を白黒させるのび太たちだったが、普段いい感じの父親をしていたのが幸いした。
話に参加して事情を聞かせてもらえることになり、
「ドラえもん! パパも来てみなよ、空気がとってもさわやかだよ! 」
「どれどれ」
「本当だ、いい空気」
船の中に足を踏み入れた。
「ロップルくん! 」
チャミー(自己紹介した)が切羽詰まった声で飛んでいく。
飛んで行った先には男の子がぐったりと倒れていた。
「誰だ! さてはお前らが海賊だな! 」
ふらつきながら立ち上がりこちらに指を突き付ける男の子。
「海賊?! 」
「待って待ってロップルくん、違うのよ、この人たちは――」
「ありがとうございます。さっきは失礼なことを言ってごめんなさい」
「いやいや、大したことじゃないさ。なによりおなかをすかせた子供を放っておくことなんてできるものか」
「そうそう」
「パパって大した人だったんだなぁ」
追加で家から持ってきた食料をロップルくんに食わせて色々と話をする。
「パパ、ワープってなに? 」
「あっちからこっちに一瞬で移動する、どこでもドアみたいなものさ」
「そっか! 」
「さすがパパ。のび太くん向けの教え方をこころえてる……」
話した結果、船の修理をドラえもんが診ることになった。
「多分時限振動ヘッドのシャフトが捩れたんだと思うんだけど……」
「ドラえもん、どうだい? 」
「さっぱり」
「ねえ、パパここって、壊れる前は壊れてなかったんだよね? 」
「ああ、そういうことか、流石だなのび太」
「パパ? いったいそれがどうかしたの? のび太くんも、そんなの当り前じゃないの? 」
「ドラえもん、タイムふろしき! 」
「ああ! そういうことか! 」
?マークのロップルくんたちには僕から説明をしておく。
二人は「地球は本当に不思議な道具があるんですね」と言っていたが、安心してほしい。今はまだない。
機能が回復した影響で船は超空間を抜けた。
「ねじれた空間の一部がまだ引っかかってるんだと思う。多分そのうち元通りになるかと」
「なるほどね」
僕はドアを抜けて家に戻る。
空気の違いを実感する。
実際ロップルくんがゴホゴホ言ってる。
「もうドアを閉めたほうがいいよ」
「いろいろと、ありがとう」
「お世話になりました」
「じゃあね」
「元気でね」
扉は閉まり、夜の冒険は一幕を終えた。
「こんな事ってあるんだね」
「広い世界には不思議なことがいくらでもあるんだよ」
「そうだねぇ。のび太、ドラえもん。二人とも今度こそおやすみ。ロップルくんたちにあげた食べ物は二人が寝ぼけて食べたことにするからね」
「ええ?! そんな! ママがそんな話聞いたらなんていうか! 」
「きっとカンカンに怒りだすぞ! 」
ガクガクブルブル震える二人。
「はっはっは! 冗談だよ。僕が上手いこと言っておくさ。それじゃあおやすみ」
「……ふーっ。びっくりしたぁ……」
「パパもひどいね。冗談にしても驚かされた。
のび太くん、寝ようか」
「うん、おやすみドラえもん」
「さて、明日は会社を早退して……」
ああ、楽しみだ。
後編は明後日か明々後日。←(追記)PCの調子が異様に悪く土曜日の夜か日曜日の朝投稿になりそうです。
宇宙開拓史、いいですよね。コーヤコーヤ星がどうなろうと地球にも未来にも影響がなさそうで。
ロップル
……可愛いショタ。地球から途方もなく離れたコーヤコーヤ星に住む勇気ある少年。子どもなのに船を操縦したり農作業に従事したり本当にすごいし立派だと思われる。原作ではのび太とドラえもんと出会い、友情を深め最終的に星の爆破を阻止し、悪のメガコーポを打倒するに至ったが……。
チャミー
……可愛いナマモノ。ウサギと言われればウサギだが、なんだか騙されているような気がする。言葉を話すし器用にハンマーも振り回すしなんだこの謎生物。原作ではロップルくんと同様にのび太とドラえもんに助けられ、仲よくなる。
次回、パパがひみつ道具をくすねて悪用!ロップルくんの慟哭はのび太に届くのか……?!