【完結】きみと居た時間   作:えいぷりる

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激情1

イェーガーズとの激突から数日、ついに俺たちは教団本拠地のあるキョロクに到着した。

そこでのアジトは、既にキョロク入りしていた革命軍の別部隊が確保してくれている。

各々街に出て情報を集めに出ることとなり、探索のメインである大聖堂付近の調査は俺が張り切って志願した。

 

ラバ「迷路のような街並だな…。これだけ人が多いと、紛れ込めるから探りやすくて助かるけど。」

 

一般人のように練り歩きつつも、地形を叩き込んだり路地裏や地下通路がないか探る。

偵察において、視線の配り方でバレることも少なくないが、俺はそんなヘマはしない。

さくっと調査して、ポイントアップしてやるぜ。

 

メズ「ねぇシュテン、あいつちょっと周囲を探る動きしてない?」

シュテン「多くの修羅場をくぐってきたものの足運びだな。」

メズ「じゃあクロだね、殺しちゃおうぜ。」

 

この時までは、まさか歩き方でバレているなんて思いもよらなかった。

 

 

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リン「ボス、どうやらボリックの護衛に羅刹四鬼がついているとの報告が。」

ナジェンダ「羅刹四鬼…大臣お抱えの処刑人で、生身で帝具使いと渡り合えると言われている実力者達か…。」

リン「大臣は、イェーガーズにもボリックの護衛に付くよう指示したようです。」

ナジェンダ「イェーガーズに羅刹四鬼…両者を一度に相手にするのは苦しいところだな…。だがこの任務、必ず成功させる。」

リン「えぇ、もちろんです。」

ナジェンダ「最大限に注意を払うよう、街に出ている皆にも伝えてきてくれ。」

リン「了解。」

 

 

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ラバ「くそっ!いきなり襲ってきやがって!」

シュテン「ハハァ!逃げ回るだけか小僧!」

ラバ「ぐっ!」

 

ドシャア!!

筋骨粒々な巨漢の男のパンチが背中にクリーンヒットし、そのまま地面に打ち付けられる。

 

シュテン「ん?なんだ、死んだのか。手ごたえのない。」

 

俺は瞬時にクローステールで脈を止めていた。ここはやり過ごすのが正解。

…ってか、早く行ってくれよオッサン。いつまで死んだフリしてればいーんだ!

 

メズ「ほーらシュテン、もう一人女がそっち行ったよ!そいつも反乱分子の密偵!」

 

ありゃ…俺が合流するはずだった子かな。

すまないが助けられねーぜ。密偵である以上、こういう覚悟は出来てるはずだ。

 

密偵「キャァァ!」

 

密偵の子は、シュテンと呼ばれた巨漢男と色黒の女に挟まれてしまう。

 

シュテン「俺が迷える魂を解放してやろう。」

密偵「ぐ…ぐぅ…」

 

ギリギリギリ…

大柄な男の手が、密偵の子の華奢な首を左手だけで締め上げる。

 

密偵「…く…た、たすけ…」

 

…くそっ!

 

シュッ!

気付けば俺は立ち上がり、大男目掛けてナイフを投げつけていた。

男は後ろから投げられたナイフを、二本の指でいとも簡単に受け止める。

 

ラバック「あ〜やっぱりダメだ!味方の女の子見殺しにはできねぇ!」

メズ「バッカだなぁ〜、そのまま死んだフリしてりゃーいいのに。」

 

脈を止めていたカラクリには気付いていないらしい。

 

ラバック「俺はさ…自分のポジション考えて、正面きった戦いは極力避けてんだ。」

 

さっきまでの俺とは違う気迫を感じ取り、大男が締め上げていた女の子の首を離して構えを取る。

 

ラバック「でも、いざガチで戦うとなりゃあとことんやるぜ!」

 

キュイイイイン!

両手を広げ、クローステールの糸を張り巡らせる。

 

ラバック「二人まとめてかかってきなぁ!!」

 

 

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リン「ラバ!」

 

戦いを終えそのまま裏路地を歩いていると、背後からリンが追いかけてきた。

 

ラバック「おぉ、リン。何か掴めたのか?」

リン「ボリックが自身の護衛にイェーガーズと羅刹四鬼を付けたわ。」

ラバック「あ〜それね、今羅刹二鬼になってるんじゃない?」

リン「ど、どういう意味?」

ラバック「俺もやるときはやるんだぜ?」

 

自慢気に右手でガッツポーズを取る。

 

リン「倒したの?羅刹四鬼を?」

ラバック「まぁね。いつまでも逃げ回ってばっかじゃいられないからさ。」

リン「…バレたのね、調査してるのが…。」

 

ギクッ!!

 

リン「作戦成功のために一番大切な情報収集…失敗したら命取り。もちろん、身に染みてわかってるわよね?」

 

わ、笑いながら怒ってやがる…

やっぱナイトレイドで一番怖ぇーっての、間違いじゃないんじゃないの!?

 

グイッ

行き場のなくなったガッツポーズが引っ張られ、その勢いで俺はリンと向き合う形になった。

げっ、何?ビンタ??パンチ??

 

リン「隠したってダメだよ、わかってるんだから。」

ラバック「へ? …イッテテテテテテ!!」

 

オッサンと可愛いこちゃんにやられた部分をグッと指で押された。

そこ…一番痛いとこ!!

 

リン「軽く押しただけでこんなに痛むなんて…無茶しすぎよ。早くアジトに戻りましょう。」

ラバック「…ハイ。」

 

ザシュッ!!

 

刃物で切られたような音と共に、リンが崩れ落ちる。

ラバック「!? おい、リン!」

スズカ「うぅ〜ん、急所は外したようだね。」

ラバック「誰だ!」

スズカ「シュテンとメズを殺ったのはアンタ?うちを二人も相手になかなかやるじゃない。」

ラバック「…羅刹四鬼か。」

 

目線の先には、顔に横一文の傷痕が付いた女が立っていた。

やべぇな、さっきのでだいぶ消耗しちまってる。羅刹四鬼ともう一戦はキツイか…。

 

リン「ラバ…逃げて…。」

ラバック「…冗談。三鬼倒してお前も助けて、一躍ヒーローになれるチャンスなんだぜ?」

スズカ「ホラホラお喋りはそこまでだよ!」

 

両手の指先から伸びた爪が俺とリンを襲う。

 

ラバック「くっ!」

 

防御網を張り、刃物のような爪を防ぐ。

さっきの二人といい、こいつといい、体が帝具みたいなもんかよ!

 

スズカ「よそ見してたら殺られちゃうよ〜?」

 

瞬時に背後に回った女が次の攻撃を繰り出す。

くそ、全部防ぎきれねぇか…!

何本かの爪が糸を擦り抜け首元に差し掛かった時、

ザッ!

リンの治療道具のメスが、女の爪を切り落とした。

 

ラバック「サンキュー、助かった。」

リン「足手まといにはなりたくないものね。」

 

俺が応戦している間に止血をしたらしい。だが完全には治療出来ていないようで、フラフラしながら立ち上がる。

 

ラバック「無理はするな、ここは逃げるぞ。」

リン「そうね、なんとか相手の隙を作るわ。」

 

余裕を見せる女を前に、俺とリンもそれぞれの武器を手に取った。

 

 

 

 

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