【完結】きみと居た時間   作:えいぷりる

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慟哭4

ドスッ

 

ラバック「ぐっ…!?」

 

突如後ろからのしかかられた重みでよろけ、そのはずみで、持っていたシュラの手首は地面に転がって行った。

じわじわと、刺された背中から鈍痛が広がる。

背後にぴとりとつくその姿を見ると、さっきまで倒れていたレジスタンスの女だった。

 

くそっ…油断したか…!

 

侍女「シ…シュラ様…、どうかこれで…父を…母を…。」

 

女は虫の息で両親の助けを乞い、そのまままこと切れた。

 

シュラ「クククッ、ハハハハハッ!最後まで笑わせてくれるなァ!お前の両親なんかとっくにくたばっちまってるよ!!」

 

!!

コイツ…どこまでも人を弄びやがって!

 

笑いながら、切り落とされた自身の手を拾う。

帝具だけでも取り返したいところだが、思った以上に刺し傷が深く、しゃがみこんだまま動けない。

 

シュラ「ククッ…そういや、あの時一緒にいたネーチャンはまだ生きてんのか?」

 

リンのことか…?

 

シュラ「あんな失敗作でやられるようなタマなら興味ねぇが、ナイトレイドってんならちゃんと生き残ってんだろ?」

 

顔にかかる長い髪をかきあげ、ニタリと笑う。

 

シュラ「あぁいう純粋そうな女を蹂躙するのが一番の楽しみなんだよ…クククッ!」

ラバック「! …んなこと、させるかよッ!」

 

糸を飛ばすも、シャンバラで容易くかわされる。

 

シュラ「お前には楽しませてもらったが、そろそろお終いだ。」

 

手首を投げ捨て、シャンバラを掲げる。

 

シュラ「お礼に奥の手を喰らわせてやるよ!消し飛べ!世界の果てまで!!」

ラバック「!!」

 

足元に、今までとは比にならないほどの大きなの光が現れ、俺はなす術もなく飲み込まれていった。

 

 

ラバック「…!?」

 

なんだここは…!

辺りを見回すと、いつか本で見たような宇宙空間が広がっている。

仄暗い中に小さく光る星々と塵が舞い、目の前には、地上とこの空間を繋ぐシャンバラの光がブラックホールのように佇んでいた。

 

シュラ「この奥の手を受けて還って来たヤツはいねェ!世界の最果てで朽ち果てな、ナイトレイドォ!!」

 

空間に、高笑いするシュラの声が響き渡る。

でも、甘いな…。俺一人で、終わるわけねぇだろ?

 

グイッ!

 

シュラ「なっ!?い、糸…!?」

 

手首を切り落とした時にシュラの腕に仕込んでおいた糸を引くとシャンバラの光の中から、シュラの体が徐々に現れる。

引っ張られまいと応戦しているようだが…何者だろうと、この界断糸を断ち切ることは出来ねぇぜ!

 

ラバック「よォ…また会えたなぁ…。」

 

シュラが完全にこちらの空間へ引き込まれると、シャンバラの光も消えた。

ちっ、段々と目が霞んできやがったぜ…。だがこれで空間に閉じ込めることが出来た…!

 

シュラ「ふざけんなァ…!俺がこんなところで終わるハズがないんだ!俺がこの退屈な世界を変えてやるんだよォ!!!」

 

再び帝具を起動し、シャンバラの光を出現させる。

 

ラバック「逃がすかよ!!」

 

空いている方の手でクローステールの槍を形成し、シュラの胸へと突き刺した。

 

シュラ「ガッ…!」

ラバック「世界を変えたい…か。そうだよな、誰だってそう思うよな…。けどな、だからって他人の命をオモチャにしていい道理なんてねぇんだよ!!」

 

最後の力を振り絞り、シュラの心臓へと到達した糸を引いた。

 

シュラ「…グッ…カハッ!」

 

心臓が破壊されると同時に、シャンバラが解ける。

 

終わった…か。

 

帝具戦の終結。

開放感と出血とで、意識が朦朧とし始めた。

 

 

 

ヒュウゥゥゥゥ…

 

強い風が、かすれた意識を呼び戻す。

そして、自身が上空から彼方の地上へ落ちていることをぼんやりと悟った。

 

今まで世話になったな…クローステール…。

 

装着していたクローステールのウインチを外すと、役目を終えたと言わんばかりに粉々に砕け散っていった。

 

 

抗うこともせず、目を瞑り、静かに最期を受け止める。

すると、みんなの優しい顔が浮かんだ。

 

 

けっこー…楽しかったな。

 

死にそうになったことは何度もあったし、辛くて悲しいことだって沢山あった…

 

でも、ナイトレイドに居れて…

みんなに会えてよかったよ。

 

 

 

けど…

後悔なら…一つだけ…。

 

 

ナジェンダさん、約束破ってごめん。

大切なコ…守ってやること出来なくなっちまった…。

 

 

リン…、あの時言えなかったけど…

 

 

 

俺、お前のことずっと…

 

 

 

 

ドスドスドスッ!!

地上で俺を迎え入れたのは、先端が冷たく光る無数の槍。

 

タツミ「ラバアァァァァァッッ!!!!」

 

遠くで、タツミの声がしたーーー

 

 

 

 

 

 

リン「!」

 

一筋の風が通り過ぎ、手にしていた花の花弁が、ハラハラと落ちる。

不意の出来事に、馬の足を止めた。

 

ナジェンダ「どうした?リン。」

リン「いえ…なんでも。」

 

なんだろう…この胸騒ぎ…

 

例えようのない不安を包み込むように朽ちた花をきゅっと抱きしめ、城壁で取り囲まれた宮殿の方へ振り返る。

 

 

ラバーーーーー?

 

 

 

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