久しぶりに帰ってきたこの場所。
吸い込む空気も変わりなくって、その懐かしさが嬉しい。
ついリビングや温泉に足が向かいそうになるけど…早くボスに顔見せなきゃね。
寄り道しそうになる気持ちを抑えて、私はボスの居るあの場所へ足を運ぶ。
少し緊張しながら重々しく扉を開くと、懐かしい顔が揃っていた。
レオーネ「リン!久しぶりだなぁ!」
マイン「上手くやったようじゃない。まっ、私ならあと半月早く帰ってくるけどね~。」
リン「相変わらず手痛いなぁ、マインは。」
ふふっと笑いながら2人の元へ近ずく。
笑ったおかげか、ちょっと心が和らいだみたい。
マイン達との歓談も終え、私がいない間に起こった出来事を聞いていると勢いよく扉が開いた。
アカメ「ボス、2人を連れ戻した。」
扉の前には、相変わらず黒髪の艶やかなアカメと、ついさっきボスから聞いた新入りであろう男の子と…彼がいた。
タツミ「リンは、1年間もここを離れていたのか。」
リン「ええ。ここから遠く南にある革命軍本部の周辺に未確認の危険種が現れてね。援軍として向かったのよ。幸い、数はそれほど多くはなかったんだけど、思ったより本部の被害が甚大でね…。立て直すのに時間がかかってしまったの。」
ナジェンダ「何にしても、革命の要である本部回復の任務を全うしてくれた功績は大きい。そして無事に帰ってきてくれたことも。リン、感謝する。」
ボスからの思いがけない賛辞の言葉に、少し照れる。
レオーネ「いや~でもリンが戻ってきてくれて本当助かるよ!いくら回復力の強いあたしでも、ちょっと厳しい時あるもんな~。」
リン「あら?レオーネは私の力がなくても十分かと思ってたけど?」
マイン「そうそう。リンいらずのレオーネとはあたしのことさ~!って叫んでたのは誰かしら?」
レオーネ「ちぇーっ、そりゃないよ!」
ハハハ…
会議室が笑いに包まれた。
私が再びナイトレイドに戻れたことを喜んでいると、
マインとレオーネも、空いた隙間が埋まったかのようにホッとした表情を見せてくれた。
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リンの帰還祝いでどんちゃん騒ぎ、今は誰もいなくなったダイニング。
結構シーンとしてて怖ぇーんだよなぁ…。
タツミ「あれっ?珍しいな、ラバ。」
ビクッ!!
クローステールの手入れをしていると、インクルシオの鍵を担いだタツミが声をかけてきた。
ラバック「…なんだ、タツミか。で、何がよ?」
タツミ「久しぶりに会った可愛い女の子の風呂なんて、一目散に覗きに行きそうなのに。」
ラバック「はぁ~…お前ね、人は見かけによらないっての覚えといた方がいいぜ。」
タツミ「?」
ラバック「あいつ、怒るとナイトレイドの中で一番こえーから。」
タツミ「…まじかよ。」
とんでもなく顔を引きつらせている。
まぁ、レオーネ姐さんの風呂ですら果敢に挑戦する俺がそう言えばそうなるわな。
タツミ「もし行くことになっても、俺をオトリに使うなよな。今日の勝負もチャラになったんだし。」
そう言い残すと、タツミは訓練所の方へ消えていった。
あいつは立派にブラートの背中を追いかけてる。たった2人の男だ。俺もガンバらなきゃな。
…でも、シェーレとブラートを失った今、リンが戻ってくれたことは本当に助かる。
そう思った途端、なぜか頬が少し火照る。
…なんだこれ。
戦力も増えたし、しかもそれが女の子ってのが嬉しいだけだよな?
風呂が覗けないのも、瀕死の危機に陥るからで…
ラバック「あ"~~~、集中集中!」
両手で頭を掻きむしっていると、入り口からふふっと笑い声が聞こえた。
リン「行き詰まると髪をいじるクセ…変わっていないようだね?」
声のする方に目をやると、バスタオルを肩にかけ、まだ冷めていない体からほんのりと湯気を立ち上らせたリンがいた。
風呂は終わったらしい。
…それはそれで、少し残念な気持ちになる。
リンは俺の側へ来ると、両手に持っていたマグカップの一つを俺の前に置いた。
専用の緑のマグカップの中には、淹れたてのコーヒーのいい香りが立ち込めている。
"ナジェンダLOVE"と書かれていることが、今このシチュエーションだとこっ恥ずかしいが。
リン「わっかりやすいマグカップで助かったわ。」
小花柄の水色のマグカップを隣に置くと、半分呆れたようにニヤニヤ笑いながらキッチンへ歩いて行った。
さっきまであんなこと考えていたせいか、なんだか照れくさい。
マグカップの中で揺らめくコーヒーを見つめていると、砂糖の入った小瓶を持ってリンが戻ってきた。