EVANGELION;GENESIS   作:笑嘲嗤

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第壱話 再会、赤い瞳

 俺は特急電車を乗り継いで、母がいる第六祚渡牟府にやってきた。長時間揺らされて少し眠くなっていた俺はコンビニでエナドリを買ってイートインコーナーでスマホを弄りながら飲んだ。

 

「母さん、電話に出ない。またか」

 

 俺は母と一度も電話をしたことがない。チャットアプリもメールも手紙だって貰ったことはない。だけどそんな母から父経由で珍しく言葉を貰った。【第六祚渡牟府に来て】

 

「なんで呼びつけるんだよ。会いたがってないくせに……ん?」

 

 これからのことを考えて憂鬱で、ふっとガラス越しに街を見ると紫色の神に赤い瞳の少女がいた。白系のセーラー服を着て、道路の真ん中に立っていた。俺は慌てて外に飛び出す。だけどさっき見た少女はもうどこにもいなかった。

 

「今の佐上だよな?こっちに転校したって聞いてたけど……」

 

 だけど彼女が俺に会いたがるはずもない。佐上ノアはこの俺坂東シキブの告白を一日保留にした後にお断りしてこの街に引っ越していった。未練がましい俺が見た中二病の幻なんだろう。肩を落としてコンビニに戻ろうとしたら、突然サイレンが鳴り始めた。

 

【アマツカノウミ警報発令。住民の皆様はすぐに最寄りのシェルターに避難してください】

 

 100年前から始まったこの災害。町や海や山などに謎の赤い空間が現れて周囲を消滅させる危険領域。発生原因は100年もたってるのにまだわかってないそうだ。だけど小さいころからシェルターへの避難なんて練習してるんだ。いつものことだと割り切ってスマホに表示されたシェルターに向かおうとした。その時だった。

 

【ヴおぉおおおおおおおおおぉん】

 

 おそろしく不快な音と共に突風が吹き荒れた。俺の持ってきたキャリーケースが風に飛ばされてごろごろ転がっていく。

 

「なんだよこれ?!え?!」

 

 それはあまりにも神々しい巨人だった。それらが光の羽を開いて空を飛んでいた。

 

「エヴァンゲリオン?!うそだろ?!あれが本物の?!」

 

 アマツカノウミを破壊して人類を守る人型決戦兵器。核兵器さえ通用しない絶対的力をもつこれが全ての戦争を終わらせたのは歴史の教科書に書いてある。

 

「ってまずい。ぼーっとしてる場合じゃない!」

 

 俺はすぐにふりかえってシェルターに向かって走る。だけど今度は突然目の前に熱くて太い光が走った。するとコンクリートや自動車が一瞬にして蒸発して消えさった。道もドロドロになっていてあるくことができない。

 

「何が……エンジェル?なのか?」

 

 そこには不気味な仮面をつけている猫背の人型の巨大な怪物がいた。エヴァと同じくらいのサイズ。わかるのは俺なんかが近づけば一瞬にしてぺちゃんこだってことだ。俺は息を殺して必死に耐えた。物陰に潜んで早くあのエンジェルが消えるのを待つ。エンジェルはすぐに別の場所へと跳んでいった。だけどそのエンジェルに紫色のエヴァが刀で切りかかった。

 

【ぎぃんいいいいいい】

 

「ぐぁ!耳が痛い!!」

 

 音と火花が飛び散る。エンジェルとエヴァのつばぜり合いはあまりにも激しかった。そしてエンジェルが手から光の棒を出して紫色のエヴァのこめかみを殴って吹っ飛ばした。そのエヴァは俺の近くのビルを破壊して倒れてしまった。

 

「おいおい。やばい。でもおれもやばい、あれ?え?佐上?佐上ノア?」

 

 エヴァの胸のコクピットが開いていた。そこには体にぴっちりと張り付いているスーツを着た佐上ノアがいた。彼女は気絶しているようだ。俺はいてもたってもいられなくて、そのままエヴァに近づいてコクピットにまでよじ登った。

 

「おい!おい!しっかりしろ!おい!佐上!」

 

 俺は彼女の肩を揺らす。すると目を開けて、目を覚まして、突然ガタガタと震え始めた。

 

「いや!いやぁ!また、死んだの?!いやいや!!また…?!」

 

「何言ってんだ?おい!しっかりしろ!佐上!」

 

 俺は彼女の肩を強く押さえて目をあわせる。

 

「落ち着け。お前は死んでない。倒れてたんだ。わかるか?」

 

「坂東くん?え?あれ?なんでここに?」

 

 佐上がやっと落ち着いたのかもっともな疑問を口にした。

 

「母さんに呼ばれてな。それより逃げた方がいいんじゃないか?」

 

「あ、まだパターン:赤!?くぅ!」

 

 彼女がボタンを操作するとコクピットのドアが塞がれた。そして壁が透明になって周囲の映像が映った。

 

「全天周モニター。すご。VRみたいだな」

 

「エントリー開始、メンタルコンパイル。リブート。LCLライト点火」

 

 コックピット内に赤い光が一瞬走った。だけどそれはすぐに消えてしまった。なにか生暖かい感触でちょっと好きになれない。

 

「あれ?シンクロ率が67.3%?私はいつもマイナスなのに?あ、シンクロが乗っ取られてる?!」

 

 佐上が俺の方に振り返ってくる。

 

「右手にイメージを集中してみて!」

 

「え?」

 

「いいから!」

 

 おれはイメージする。すると画面に映るこのエヴァの右手が動き出した。手をぐーぱーしてる。

 

「やっぱり乗っ取られてる!すぐにシンクロ解除!エントリー再設定!だめ?!また乗っ取られた!?」

 

「どういうことなの?」

 

「今このエヴァのシンクロは、坂東君が私から乗っ取ってる。だから私じゃ動かせない」

 

 それを聞いて俺はひどく緊張した。だってすぐ近くにエンジェルがいてこっちを見ていたからだ。エンジェルは周囲のビルを薙ぎ払いながら俺たちに迫ってくる。

 

「く!脱出装置を!」

 

「いや!喧嘩なら得意だ!!」

 

 俺はすぐにさっき右腕を動かしたような感覚を全身に走らせる。するとエヴァがぶわっと起き上がった。そしてその場で跳ねてからエンジェルに向かって飛んでいき、仮面に踵を思い切り落した。

 

「仮面をわった?!すごい…?!」

 

「喧嘩なら得意だって言ったよね!!」

 

 俺はすぐに追撃する。相手の胸になんか無理空に弱点そうな赤い球があった。俺はそこに向かってテレホンパンチで思い切り殴りつけた。

 

「だが一発ではない!!」

 

 俺はさらに左手の拳で赤い球に向かってアッパーをぶち込む。そして亀裂が走ってそのまま相手は飛んでいき、お空の上で爆発四散した。血の様な赤い雨が降り注ぐ。機体は血で真っ赤に染まっている。

 

「だいじょうぶ?ねぇだいじょうぶ?」

 

 佐上が俺の額に手を当てて心配そうな顔で見詰めてきた。酷い女だなぁ。こんなに美しい顔で、求愛を断った男に対して優しくするんだぜ。はぁ、まだきっとこの子を好きなままなんだな。俺はそんなことを思いながら眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ででん♪

 

不意の事故によってエヴァンゲリオン搭乗者適性を認められてしまった坂東シキブは成り行きのまま好きな少女のいる第六祚渡牟府のアルカに属することになる。そこは母である依織アリアが支配する人類防衛の最前線。好きな女の子にも母にも遠ざけられる少年は八つ当たり気味にエンジェルの待つ虚数宇宙アマツカノウミへとダイブする。そこで見たのはあまりにも軽い命の価値だった。




オリジナルエヴァですね(´・ω・`) あるいはアナザーエヴァですかね。まあ適当に付き合ってください。
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