怪物と英雄の狭間で 作:伝説の一般元ブロリスト
お待たせしまーした………呪われろ物価高騰!!!!
「ブロリーー!!!俺の心の友よーー!!!」
「上鳴…!」
デヴィットとの話を終えたブロリーは、少し周りを見に行った後に、発目からの連絡をもとに、上鳴と峰田がアルバイトをしている場所へとやって来た。
やって来てそうそう上鳴とブロリーは駆け寄りハイタッチ。やはり親友との再会は、何事にも変えられない最高の物。
「あっブロリーさん!!さっきぶりですー!」
「ああ、さっきぶり……所で、2人は……大丈夫か?」
「んーそれが分からなくてですねー、ブロリーさんと別れたあと、エキスポ内をとにかく歩き回ったり、サポートアイテムの展示を……そうですね、1時間半ぐらい見まくったりしただけなんですけど…いつの間にか2人はぐったりしてましたね!」
「休む暇すら与えてくれなかったのはどこの誰だった…?」
「恐るべき……発目の好奇心…」
カフェテラスのパラソルの下で、心操は死んだ魚のような目でアイスコーヒーを啜り、常闇はマントにくるまって深く項垂れていた。常闇の胸元から出ていたダークシャドウすら、魂が抜けたように平べったくなってテーブルの上にへたり込んでいる。
「いろんな情報を一気に聞かされて、脳が沸騰しそうになった………いや、勉強にはなったけどさ」
「我が深淵すらも、あの尽きることなき知識の奔流には耐えきれん……光の都どころか、あれは知識の業火だ……」
「ブロリーさんにもお聞きしてもらいたくてですね!!」
「こ、今度、ゆっくり…聞かせてくれ」
「はい!!」
「……まあ、サポート科の奴らがどれだけ本気でヒーローを支えようとしてるのかは、痛いほどよく分かったよ」
心操はストローを咥え直し、ふぅと小さく息を吐いた。口調こそ疲労の色が濃いものの、その眼差しには発目の底なしの情熱に対する確かな敬意が混ざっている。
「未知の技術を見るたびに、あそこまで目を輝かせて分析できるのは純粋にすげぇ才能だ。……ただ、次からは休憩時間を5分だけでもスケジュールに組み込んでくれ。一般人の脳味噌には少々情報過多だった」
「善処します! ですが閃きというものはいつ爆発するか分かりませんからね、保証はできませんが!」
「反省の色ゼロだな……」
カラカラと快活に笑う発目に、心操も苦笑いをこぼす。
隣では常闇がアイスティーのグラスを指先で揺らしながら、静かに頷いていた。
「うむ。己の道を極めんとする者の熱量は、いついかなる時も尊いものだ。貴様の飽くなき探究心……深淵を覗く者としても、大いに刺激を受けた。ただ我が身の器が、その奔流を受け止めるには少々鍛錬不足だったというだけの話よ」
『オレ、途中デ頭カラ煙出ソウダッタゼ』
テーブルの上でへたり込んでいたダークシャドウが、むくっと起き上がって笑う。発目も「ダークシャドウさんの可動域に合わせた伸縮マントのアイデアも浮かんだんですよ!」と楽しそうに手元のノートをパタパタと仰いでいた。
そんな賑やかなテーブルの横で、ウェイター姿のベストを正した上鳴が、トレイを小脇に抱えてニッと笑う。
「へへっ、なんだかんだみんな楽しんでんじゃん! 俺と峰田も、ここのカフェのバイトが一段落したらすぐ合流するからよ! 待ってろよブロリー!」
「うん、上鳴も峰田も、お仕事がんばって」
「おうよ! ブロリーにそう言われちゃ張り切るしかねぇな!」
「可愛い女の子と2人っきりだったら許さなかったけど男2人が一緒なら許す!」
「峰田の言ってることは一旦無視な!!」
そして峰田が注文を取りに離れていった後、一つの声が聞こえた来た。
「――あれ!? みんな!?」
人混みの向こうから、聞き覚えのある驚きに満ちた声が響いた。
ブロリーがパッと顔を上げると、エキスポの並木道からこちらへ向かって歩いてくる、見慣れた緑の縮れ毛の少年、緑谷出久の姿。他には麗日、八百万、耳郎まで揃っていた。
「緑谷…!それに、麗日、耳郎、八百万まで」
「おはよ、ブロリー」
「おはようございますブロリーさん」
「ブロリーくんもおはよー!」
麗日がお日様のような笑顔で手をブンブンと振る。その隣で、八百万がふわりと優雅に会釈し、耳郎は少し照れくさそうに首筋のジャックをいじりながら笑いかけていた。
緑谷がここへ来ることは知っていたが、他の三人は知らなかったので、ブロリーは嬉しかった。そしてもちろん、4人のそばにはメリッサもいた。
「蕗利くん!さっきぶり!」
「ああ、さっきぶり」
「緑谷君と展示を回っている時に、八百万さん達ともあって、そこで色々と一緒に見て回ってたの。雄英高校の話、いっぱい聞いちゃった……もちろん、蕗利くんの活躍も」
「うん。緑谷君、すっごいたのしそうやったよ――緑谷君、すっごい楽しそうやったよ」
(二回言った?)
それぞれがそれぞれの挨拶を交わしていく、緑谷と心操は久しぶりと言って握手を交わしたり、メリッサは上鳴の存在をブロリーから聞いていたので、彼のそばにいくれてありがとうと言って上鳴が照れたり、そんな様子をすこしモヤっとした気持ちで耳郎が見ていたりと、色々起こった。
「―ブロリー!!おま、おまぁ!ミッドナイト先生や発目だけには飽き足らず!!こんな、こんなぁ…!こんな、美人な人とぉ!!」
「峰田、怒ってる…?」
「うーし一旦戻るぞー峰田ー」
「離せえぇ上鳴!!こんな、こんなことってあるか!!?この格差はなんだぁぉ!!?」
「はいはい、わかったわかった! お客さん見てっから裏戻るぞー!」
ジタバタと短い手足をバタつかせて怨嗟の叫びを上げる峰田の襟首を、上鳴が「ごめんみんな、ちょっと行ってくる!」と苦笑いしながら掴み、そのままズリズリとカフェのバックヤードへ引きずっていく。その去り際の姿は、捕獲された小動物そのものだった。
「峰田……本当に怒ってたのかな。オレ、何か悪いこと言ったのか?」
本気で心配そうに眉尻を下げてオロオロするブロリーに、耳郎が呆れたように息を吐き出す。
「何にも悪くないよ。アイツの脳みそが煩悩で煮詰まってるだけだから、気にしない気にしない」
「ふふ、峰田くんはいつもあんな感じやからね!」
麗日も笑い、八百万も上品に口元へ手を当てて微笑んでいた。
そんな和やかな空気が流れた――まさにその時だった。
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ!!
雑踏の喧騒を切り裂くように、信じられないほど整然とした、狂気すら感じる規則正しい足音がぐんぐんと近づいてきた。
人混みが左右にサーッと割れていく。
その中央を、まるで定規で引いたかのような完璧な直進軌道で、腕を直角にビシッ、ビシッと振り下ろしながら爆走してくる見覚えのありすぎる長身の影。
「――おはようみんな!」
「飯田君!」
「おはようございます飯田さん」
「どうしてここに?」
「呼ばれたのは兄であるインゲニウムなんだが、その代理として、このI・アイランドへとやって来たんだ。そこで君たちと合流できるとは、運が巡っている証拠だな!」
「大袈裟な感じもするけど……」
兄であるインゲニウムの代わりとしてやって来た飯田も合流し、さらに気分が上がっていくブロリー。そんな時聞こえて来たのは一つの爆発音、その音に驚き、気になって向かってみるとそこには雄英のUSJ岩山ゾーンみたいな施設があり、そこには切島と爆豪の姿があった。
「切島くん!?」
「爆豪もいる」
爆豪が次々にヴィランロボを壊していく。
ヒーロー向けのヴィラン退治タイムアタックのような物らしく、爆豪の挑戦がちょうど終わり、クリアタイム13秒でトップ。流石は爆豪とブロリーは小さく頷いた。
「お、あれ緑谷とブロリーじゃね?」
「アァ? なんでてめェがここにいるんだデクぅ!!」
「ふぇえ!? やめようよかっちゃん、みんな見てるよ……!」
「爆豪、おはよう」
「2人はどうしてここに?」
「体育祭で2位で、尚且つブロリーとの勝負を見て惹かれた人が爆豪を誘ったんだよ。俺はその付き添い!みんなもこれやんのか?」
切島に誘われ、ブロリー達はいい機会だからとやることに。常闇はダークシャドウを、緑谷はフルカウルの力を使いそれなりにいいタイムを叩き出す。
『おっとここで更にもう一人凄まじい記録ー!! またしても13秒!! 一位ですっ!!』
「轟…!」
「ブロリー、会えるとは思っていたが……この人数は、すこしだけ予想外だな」
エンデヴァーの代わりとして轟もやって来たようで、爆豪を超えたタイムを叩き出す。爆豪が悔しさで唸っている間に、次はブロリーの番になる。
(…この数なら、これで行ける)
ブロリーは手に力を込め、しっかりと構える。そしてスタートの合図を待つ。
『――スタート!!』
「―ぬゔゔぅりゃぁ!!!」
スタートの合図とともに、ブロリーは配置されているすべてのヴィランロボに対して同じ数のエネルギー弾を同時に発射。そして放たれてから数秒で爆発、ロボは壊れ、チャレンジは終了。
『―――5、5秒!!5秒です!!新記録圧倒的な新記録です!!』
「やった」
「すごいよ流石はブロリー君!!」
「あっ、圧倒的…!」
「………っ、でもこれ、爆豪がまた…」
圧倒的な結果を残したブロリーに対してまた爆豪は怒っているだろうと思い、周りは彼に注目するが。
「―ッ…!ッッ…!!……ッ!!」
歯を食いしばりながらも顔を赤くし、火花を散らしながらも必死になって何かを堪えていた。
「ど、どう言う顔…!?」
「た、たぶんだけど、かっちゃんは今『ブロリー君に負けたことに対しての悔しさ』はあるものの、『自分が越えるべき相手ならこれくらい当たり前だ』っていう感情もあるから……こう、混ざっちゃってるんだと思う」
「複雑だなぁほんと!!」
「…」(無言で頷く轟)
「なんで轟はドヤ顔を…?」
「クソがぁ……!! 見てろよ…!!次に本番でやり合う時までに、絶対に俺がテメェのそのイカれた火力を上回ってやるからな!!」
「うん。……爆豪と本気で戦えるの、オレもすごく楽しみにしてる」
「だからその涼しい顔がムカつくんだよクソがあぁぁッ!!」
吠える爆豪を切島が「はいはいそこまで! 見世物になってっから!」と慌てて引きずっていく。
轟も「……また後でな」と短く告げて会場を後にし、彼らの背中を見送ったブロリーたちは、再びメリッサの案内でI・アイランドのエキスポ巡りを再開した。
パビリオンに立ち並ぶ、世界各国から集められた最新のサポートアイテムやヒーローガジェット。
発目は相変わらず目に入るものすべてに飛びつきそうになり、それを心操や常闇が手分けしてなだめすかしている。
女子陣はオシャレなカフェエリアの新作スイーツや、最先端の美容機器の展示に目を輝かせ、飯田はその横で「いかなる技術も社会への貢献が第一!」と真面目に解説を読み込んでいた。
そして、ブロリー達は今夜開かれるレセプションパーティの話になり、せっかくだから全員で行こうとなった。
「それじゃあ、パーティーは夜の七時からだから、それまでにみんな準備をしておいてね!」
メリッサが手を合わせ、それからブロリーと緑谷の方へと向き直った。
「蕗利くん、出久くん。パーティーまで少しだけ時間があるし……もしよかったら、私の研究室、見に来ない?」
「メリッサの、研究室?」
「僕も、いいんですか……!?」
緑谷が信じられないというように目を輝かせる。
トップクラスの科学者の娘であり、すでに独自の開発を行っているという彼女のラボ。ヒーローオタクでありアイテムへの関心も高い緑谷にとって、それは夢のような誘いだった。
「ええ! 蕗利くんに見せたいものもあるし、出久君にも付き合ってもらいたいの」
「……わかった。行こう緑谷」
「う、うん!」
服を準備するためにホテルへと戻るクラスメイトたちと一旦別れ、ブロリーと緑谷の二人は、メリッサの案内で彼女の研究室へと向かうのだった。
「………」
「発目さん?どうされました?」
「…あっ、いえ、なんでもないです!」
その時、発目はその三人を見ながら何かを考えていたようだったが、すぐに向き直り走り去っていった。
―――そして、それから数十分後……日常は、覆ることとなる。
風邪をひいてました、39からぜんっぜん下がんなくてやべぇーいです。
みなさんもマジで風邪かもと思ったら病院に行きましょう、悪化してからじゃマジで遅いので。