このタイトルの癖に曇らせは一瞬しかないしハピエン(?)です。すみません。
有難いことに警察にお世話になったことは無いので諸々設定やら甘いのはご愛嬌ということで。
※この作品はフィクションです。実際の法律や条例とは、異なる点があるので真に受けないでください。
「失礼します。アイドル科1年 秦谷美鈴です。」
「あ、秦谷さん!やっと来てくれましたね、4回も放送したんですよ!!」
「今日はぽかぽかしていて、大変お昼寝日和でしたから、校舎から離れた場所におりました。」
外でお昼寝をしていたところ、幼馴染の月村手毬に起こされ、何やらいつも以上に慌ただしい職員室へ来た。よほど大事な要件だったのか、呼び出した先生からは怒りよりも、心配や焦りが伺える。
だが今日地面は適度に乾燥し、照りつける太陽も時折雲の流れに顔を隠す。その上秋風が髪を揺らしていくのだから、外で寝ない選択肢はなかったのだ。
「本当に心配したんですよ……事が事ですから。」
「まぁ。そんな大事な要件だったのですね。申し訳ございませんでした。」
気付けば周囲の先生方からも、哀れみ、同情といった目を向けられていることに気付く。こんな状況では欠伸のひとつも出来ない。
「その様子では、やはり何も聞かされてないですよね……。」
心当たりは無い。昨日はとても嬉しいことがあっただけで、いつもと変わらない日常。お昼寝して、たまにレッスンをサボり、プロデューサーに起こされる。
「そういえばプロデューサーは本日お休みなのでしょうか。いつもなら放送が鳴ってすぐ起こしに来てくださるのに。今回は連絡もなく、まりちゃんが起こしに来てくれました。」
「そのプロデューサーくんの事なんですが……」
「今朝方、彼が自首をしたと警察から連絡がありました。」
「え……?」
胸が締まる感覚。先程まで悠々と感じていた眠気は何処へいったのか。辺りの音が聞こえない程に鼓動が脈打つ。心に浮かんだ言葉は、一言も違わずに喉から這い出ていた。
「聞き間違いではないでしょうか。わたしのプロデューサーでは無く、他の方なのでは?」
何かの間違いだ。警察が、先生が。何かミスをしたんじゃないか。そう思いたくても、今日は朝から一通の連絡が無いことが何よりの証拠。ただ体調が悪いだけだと信じて、電話をかけ続けるが応答はない。
「私も勘違いだと思って何度も確認しましたよ。彼が犯罪だなんて。」
「そんなはずはありません……!」
震えた身体から捻り出した根拠の無い言葉。その手で握り締めたスマホには無情にも応答無しの文字が映し出されていた。
「その人は、一体何をしてしまったのでしょうか。」
本当は何をしたかなんて聞きたくない。一緒に罪を背負おうにも、償おうにも、もう遅い。でもせめて彼と……
「いわゆる性犯罪、相手が寝ている間にはみ出してしまったと本人は言っていて……その……」
もし本当に彼だとしたら浮気だ。勝手にわたしの担当から外れようとした挙句、浮気された。何か気に障る事をしたのか、嫌われるようなことをしたのか。彼に対する失望や怒りよりも、ずっと先に嫉妬してしまうなんて。
「落ち着いて聞いてくださいね、その相手が……」
やめて。その先は言わないで。わたしが、わたしでいられなくなるかもしれない。
そのたった一言が出ない。それでもただ鮮明に、先生の声が耳に入る。
「秦谷さん……あなた……なんです。」
「…………まあ。」
わたし?わたしをプロデューサーが……?それはつまり。
「ふふ。浮気じゃないんですね。」
「え、なんでちょっと嬉しそうなんですか?」
胸にあったわだかまりが落とされ、無意識に頬が緩んでしまったようだ。
もちろんまだ腑に落ちない点はあるが、1番大事なところを知ることが出来た。
「わたしのお腹にプロデューサーとの子供が出来てるかもしれませんから。きっと可愛いですよ。」
「……本当ならアイドル続けられなくなりますよ?学園長はあんまり気にしてませんでしたけど、全くあの人は。」
「それで、わたしが呼ばれたのはアイドル活動ではなく、事実確認をしたいということでよろしいでしょうか。」
お腹をさすりながら本題について話す。被害者がわたしなら、きっとすぐに話したいのはプロデュースの話ではない。
「あ、そうでしたね。秦谷さんにはこれから今日の授業を休んでいただき、警察署に出頭をお願いしたいです。かなりショックの強い話だったのでもし難しそうなら……と思っていたのですが……」
本来であれば精神的にかなりダメージを受けるだろう。自信が知らぬ間に身体を使われているなど。だが今彼に対して抱くこの感情は、人を過度に盲目にしてしまうらしい。
「わかりました。つまりプロデューサーが有罪になるかどうかは……わたし次第ということですね。」
「いや、有罪だと思いますが……」
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「はい。秦谷美鈴さんですね。事情聴取にご協力いただきありがとうございます。此の度はなんと申したら良いか……」
出頭し受付を済ませると警察官の男性が奥から出てきたので軽く挨拶をする。こちらにかなり気を使ってくれているようだ。
「そんなに気を使っていただかなくても結構ですよ。彼、プロデューサーとは面会出来るのでしょうか?」
「言いたいことがあるのは分かるが、今は会わない方がいい。君のためでもあるが、彼のためでもある。」
「なぜ……でしょうか?」
「君のプロデューサーくんは真面目な子だっただろう。かなり自責の念を抱いているよ。今の状態で君と話さない方がいいだろう。」
案内されるがまま無機質な廊下を歩く。すれ違う警察の方々はキビキビと動いており、前をゆっくりと歩く警察官はペースを合わせてくれているのだろう。
「ではこの部屋に入ってくれ。」
「では、あまり気のいい話ではないだろうから早速本題に入ろう。昨日の午後どこで何をしていたか、可能な限り詳細に話してほしい。」
「はい。わかりました。昨日は午後のレッスンに出席して、プロデューサーとMTGをしました。16時頃……でしょうか。こっそりプロデューサーの後を付けて……」
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「プロデューサーの部屋、思ったより綺麗ですし物が少ないですね。」
「まさかこのタイミングでゲリラ豪雨が来るとは……」
「ふふ。家まで同行して正解でした♪道路が冠水しそうな中、愛しの担当を帰らせるはずがありませんから。」
半ば押しかける形ではありますが、正式にプロデューサーの家に入ることに成功しました。たまたま見た天気予報が功を奏したようです。
「すぐにタクシー呼んでもよかったんですよ。」
耳を劈く落雷と窓を打ち付ける豪雨。こんなにも外は荒れているというのにわたしの気分は有頂天に近い。
「雨が止んで危険がなければすぐ帰っていただきますからね。ただでさえアイドルが男の家に上がり込んだと言うだけでも事案なのに。」
「プロデューサーであればわたしは構いませんよ?でも分かりました。”雨が止んだら”帰りますね。」
プロデューサーがため息をつき、わたしが笑う。この距離感が焦れったくも心地よい。まだ、求められるには恥ずかしいので。
「自由にしててください。あ、鍵は取らないでくださいね。」
「まあ。ひどい。もう取りませんよ。」
彼がデスクに目を向ける。彼は普段から家でもこの調子なのだろう。だからわたしもいつも通り、彼のベッドへ。
あまり使われていないのか、綺麗に整えられたベッドに倒れ込む。今日は曇りだったため、お昼寝をしていないのだ。使用者の匂いがほのかに残った枕を抱きしめ眠りにつく。
目が覚めるととっくに豪雨は去り雲の切れ目から夕日が差し込んでいた。毛布がかけられていたので、きっとプロデューサーが来ていたのでしょう。
そろそろ帰らなければいけませんね、名残惜しいですがまた来ることにしましょう。
「プロデューサー、雨も止んだのでわたしは帰りますね。」
「はい。雨も上がっばかりですのでお気を付けて。」
普段なら送りますと言いそうなのに今日はやけに淡白な返事でした。きっとお仕事が忙しいのでしょう。それでもわたしを優先して欲しいというのはわがままなのでしょうか。
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「それで寮に帰ってまりちゃんとご飯を食べて寝ました。」
プロデューサーとの蜜月を話すのは少し恥ずかしいが、嘘をつく意味など無く。被害者側とはいえ全く知らない間の出来事、相手が自分ではないと思われる方がデメリットが大きい。
「加害者側の証言と一致するね……。よし、一応確認なんだけど、大事な事だから真面目に答えて欲しい。君は今回のはみ出しについては同意したかい?寝ている間だから難しい話……」
「はい。しましたよ。」
「そうだよな。した……の?え?」
「ちょっと待ってて、彼と話してくる……」
真面目な顔から一転し、困り顔のままそそくさと部屋を出ていく警察官。部屋が近いのか、そう時間が立たぬうちに戻ってきた。
「待たせてすまない。その、なんだ……?」
「君たちの証言からするに、はみ出したことは事実の可能性が高いのだが……どうして加害者と被害者で同意がズレるんだ……?」
「君はアイドルだったから事を荒立てたくない……というのもよく分かるが、本当のことを話してくれると嬉しい…。」
「はい。わたしは同意しましたよ。襲っても構いませんと。それに。」
眉間に皺を寄せる警察官に、ふわっとした表情のまま、冷静にただ一言。事実ではなくとも、実質的な関係を伝える。警察にとって、一番厄介な状況になると知りながら。
「わたしとプロデューサーは恋人でもありますので。」
「ん〜〜〜〜〜我々的には君の味方だし君を信じるんだが…彼にも話を聞かてくれ……。」
そういうと警察官はまた部屋を出て行って、少し疲れた顔で戻ってきた。
「どうでしたか?」
「アイドルとプロデューサーがそんな関係な訳ありませんよ!!って。異性の人間なんだからそんな珍しい事でもないだろうに……」
「まあ。わたし達が恋人同士であると証明することは難しいそうですね。残念です。」
「では、そうですね。わたしはプロデューサーを────」
プロデューサーにも話していない、わたしだけの秘密。どちらかといえば話す必要がなかっただけなのだが。ただこれを聞いた警察官の方はかなり驚いて、更に眉間にシワが寄っていた。
「……まじかぁ。」
「ふふ、これではわたしの方が重罪人ですね。逮捕されてしまうのでしょうか。」
「いや、君も彼も無罪で釈放としよう。そもそも証拠不十分。被害者の君が認めていない時点で我々にはどうしようもない。今の話は……聞かなかったことにする。」
「手続きが終わればすぐに開放するから待合室で……と言いたいが、着いてくるか?」
「はい。ご一緒させてください。」
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取り調べ室には入れなかったが、内部が見える窓から無気力に項垂れるプロデューサーの姿が見えた。
「プロデューサーくん。何度もすまないね。今回の件についてだ、証拠不十分で不起訴だ。真面目な君には申し訳ないが、分かってくれると嬉しい。」
「そう……ですか。でも青少年保護育成条例は……?」
「そちらも既に検討しているのだが、天川の条例的には違反しないという結論になった。歳の差もギリギリだったが……」
「えぇ....?」
「今回はカップルの勘違いということで片付けられると思う。その、なんて言うかな……(色々と頑張ってくれ……)」
「えと……はい?」
「すぐ外で君のアイドルが待っている。早く手続きを済ませて帰りなさい。」
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「お待ちしておりました。プロデューサー。」
「秦谷さん……」
相当気まずいのだろう。今まで担当アイドルと距離を保ち続け、一度もそのような素振りを見せなかったのに、自分からその距離を縮めてしまったという思い込み。さらにその罪を償おうとしたのに、それは罪ではないと否定された。
「勝手にわたしの元を離れるのは許しません、と言いましたよね?」
「秦谷さん……俺は……最低ですね。自分の都合で担当アイドルの元を離れ……貴方の純潔まで……勝手に奪って。俺は何で償えばいいんでしょうか。」
ここまで弱気なプロデューサーは見たことがない。今回の一件は彼からすれば信用を失う重大なことだったかもしれないが、こちらからすれば愛されていることの証明以外の何物でもない。それが彼の欲の捌け口だったとしても。
「ふふ。それなら簡単です、これからも変わらずわたしのプロデュースをしてください。」
「それに、わたしの純潔は少し前に無くなってますよ。」
「!?一体どこのだれに……!」
やはりプロデューサーは気付いていない。あなたに対するこの感情はとっくに膨れ上がっていることに。彼がどれだけ距離を作ろうと、もうそんなものはどこにもない。
「まあ。わたしとはみだした時、何も感じませんでしたか?」
「何って……」
「(わたしの身体は気持ちよかったですか?♡)」
つま先で立ってプロデューサーの耳元に耳打ちする。彼の顔がみるみる赤くなっていった。
「ふふ。鈍感なプロデューサーには教えてあげません。内緒です。」
帰り道、少し距離を取ろうとするプロデューサーを逃がさず。ピッタリくっついて歩く。
「今日はこのままプロデューサーの家に行きましょう。」
「どうしてそうなるんですか。」
「まあ。せっかく相思相愛だと言うのに、このまま帰るつもりですか?」
「何もしませんよ……というかさっきの話が気になりすぎて……」
「では……もう一度したら、思い出すかもしれませんね。」
プロデューサーの部屋の鍵を見せ付けるように、微笑む。本当に彼は気付いていなかったのだろう。この後本当のことを言ったらどんな顔をするのか楽しみだ。
これって純愛か?と不安になりそうな鈍感P(俺もソーナノ)の為に内容ネタバレ。
気付いた方は答え合わせです、もちろん皆さんそれぞれ解釈あるとおもうので、聞きたくない場合はスキップしてほしいナ。
一旦あとがき
純愛×睡眠はみだしが少々性癖にキてるタイプの人間なのですが、場合によっては重罪ですよね、ってことから創作欲が湧きました。
いちばん描きたかったのは序盤なんですよ。
はみだし犯罪で自分のPが捕まって浮気だと思って落ち込んでたら被害者は自分でじゃあ浮気じゃないからすごく上機嫌になる
って言う秦谷さんが見たかった。誰かここ漫画で描いて欲しい。
実際の法律とか青少年条例はげきややこしいので適当に書いてます。フィクションなんで真に受けないでネ。(超重要)
俺が書く秦谷さんは恋愛つよつよになりがちなのでよわよわ秦谷さん回も書きたいナ〜
冗長にならないやうに頑張らないとナ……
▽ここから筆者の解釈
秦谷さんはもう既に純潔失ってると言ってますが、彼女は何故か鍵を持っていますね。
回想シーンでもう取りません。いつも通りベッドへ。よく考えたらおかしいんです。特にいつも通りベッドへ。初めての家で迷わず行くんですね彼女。
ということで彼女は勝手に侵入してベッドによく行っていた、さぁ何をしたのか!この話でよく出てきた睡眠はみだしありましたね。おっと、そういえばプロデューサーは何も知らないようですね?
はい。秦谷さんはプロデューサーを何度も襲ってます。睡眠中に。
秦谷さん曰く、プロデューサーさん忙しすぎて1回寝ると起きないらしいです。襲い放題だね!
プロデューサー目線、ここ最近は全くはみだし欲がなかったみたいです。秦谷さんが眠っていた時に強く反応したのは身体が覚えているんでしょうね。
以上。次回もよろしくお願いします!