千年の歴史に幕を下ろした帝都。
帝国の悪政に奮起した革命軍の反乱は皇帝と黒幕であるオネスト大臣を殺害することに成功し、無事人々は新しい国を作ろうとしている。
だが、その華々しい革命の成功とは裏腹に多くの犠牲が出て、街は半壊していた。
皇帝の最期の足掻きである帝具「シコウテイザー」は最後の最後に僕の仲間を奪っていった。
「お前はここに残るのか?」
復興を目指す人の賑わいを上から眺めていた僕は振り返る。
「ナジェンダさん...体は...」
「あぁ、心配ない...寿命は削られているのだがな」
自分のボスである彼女は僕の隣に来る。
「そうですか...アカメはどうですか?」
「...お前を探している。」
恐らくアカメは僕を引き留める気だろう。
「...今までありがとうございました。」
アカメに捕まる前に帝都の景色から踵を返す。
「お前はどうする気なんだ?...ナギ。」
「元々、家族や肩書、自分の名前や記憶さえもない...革命の汚れを背負うのは僕でいい。」
背後でため息をつくナジェンダさん。
「...お前にその役は似合わないんじゃないか?」
「似合わなくても僕は望んでいます...ただでさえ役に立てなかった僕ができる報いですから...」
歩み始める僕をとめる声はない。
ある意味彼女の優しさなのかもしれない。
「...」
声はもう届かず、僕は帝都を去った。
ナイトレイド...帝国時代末期、帝都を震え上がらせた凶悪犯罪組織と言われる。
しかし、新国家の記録書には彼らの記述は一切記されていない。
人の営みがある限り、闇が生まれる。
闇がある限り、悪が生まれる。
刃を持たぬ人の為、天が裁けぬその悪を。
闇の中で始末する。
我ら全員殺し屋稼業。
「おい、この道本当に帝都で合っているのか?」
「地図上はそうなんだけどなぁ...」
「しっかりしなさいよ、あんたたち!」
慣れない道を歩く3人。彼らは困窮する村を救う為に出稼ぎに向かっていた。
「確か帝都はおっかない場所だって聞いていたが大丈夫なのか?」
「何を言ってるのよタイガ。タツミにぃの仕送りで助かっているんだから心配ないわよ!」
「だけど、最近革命軍の反乱で仕送りどころじゃないって言ってたよね。」
帝都への旅の途中で聞いた噂を話し合う3人。
「おい、この先の道なんだか盛り上がって...」
進むであろう道が徐々にこちらに向かってくるように盛り上がる。
「ど、土竜!?」
「一級の危険種がなぜ!?」
盛り上がった土から巨大な竜が飛び出し、咆哮する。
「チッ!戦うしかねーな!」
「私たち二級までしか戦ったことがないわよ!」
各々扱いに慣れた武器を構える。
「俺たちはタツミにぃ達ほどではないが戦ってきただろ?」
「そうだね。」
「なら、行くわよ!」
土竜の地を揺らす大きな爪を3人は飛び上がって躱す。
「ここからどうするのさ!」
「俺が剣で引きつける!お前らは援護だ!」
「分かったわ!」
タイガは自由落下を利用して土竜に剣を突き立て、残りの二人は後退して彼のサポートに徹する。
「クソッ!パワーが足りねーか。」
刀身が竜の肉体に入り込んだものの、貫通させるまでには至らない。
「危ない!タイガ!」
「クっ!?」
二人の矢や投石より剣撃にヘイトが溜まった竜はタイガに爪を突き立てる。
タイガは襲ってくる爪を剣で反らしたものの衝撃は殺せず、地に叩きつけられる。
「はぁ、はぁ...」
「こんなのと相手してるのかよ...タツミにぃ。」
援護の二人がなんとかタイガを回収して距離を取るも依然として土竜のヘイトは彼らに向けられている。
「きゃ!?」
「タイガ!?」
振り下ろされる一撃から二人を守るために突き飛ばすタイガ。
(タツミにぃ...二人を頼む。)
「インクルシオォ!!」
瞳を閉じる彼はただ死を待つ。
「大丈夫か?」
「...タツミにぃ?」
どこか聞き慣れた声で瞳を晒すと鎧を纏った男に抱えられていた。
「よく耐えたな!」
「...はい?」
雰囲気が馴染み深いものから熱血系に変わり困惑するタイガ。
だが、鎧の男は特に気にせず彼を二人の元に降ろす。
「ここからは僕が引き受ける!」
「ちょっ!?」
鎧の男は土竜に向かって飛び上がり、拳を叩き込む。
「...うっ。」
土竜の体に風穴が空き、鎧の男はしゃがんで着地する。
「助かったよ、鎧の人!」
「まさか拳で危険種を倒してしまうとは...」
土竜が崩れ落ちた後、3人が男の元へ駆け寄る。
「当り前さ!これぐらい倒せないと帝都ではやっていけないって!」
「「「...うわぁ。」」」
鎧の男に引き気味な姿勢を見せる三人。
「...なんか、似てるんだよな。」
「僕はタツミじゃないよ。」
彼の言葉に肩を落とす三人。
「タツミにぃを知ってるんですか!?」
「...うん、彼とは友人なんだ。」
甲冑に暗い影を落とす男。
「タツミにぃはどうなんですか?」
「...分からない。僕はもう帝都を離れた身だからね。」
「そうですか...」
鎧の男は立ち上がる。
「じゃあ、僕はこれで。」
「待ってください!」
去ろうとする彼を呼び止める三人。
「帝都はどうだったんですか?」
「...帝都は君たちが噂に聞くほど地獄ではなくなった...ボロボロになってしまったが、君たちのような新しい芽吹きを迎えようとしているよ。」
そう語った後、彼らは呼び止めることなく消えていく後ろ姿を見届けていった。
タツミの同郷だろうか?
よほど彼らがタツミの面影を感じたということはインクルシオの能力はもう使わない方が
いいかもしれない。
「はぁ、はぁ、やはりタツミと比べて僕は...」
三人の視線を感じなくなった僕は鎧を解く。
悪鬼纏身、インクルシオ。
超危険種の素材を使った鎧、並の人間だと死に至る負担がかかるが僕も例外ではなかったようだ。
「はぁ、はぁ...」
体の節々が痛み、膝を着かざるを得ない。
(『お前、無理しているだろ?ナギ。』)
うん...そうかもしれない。
でも、僕はタツミと比べて皆の役に立てなかった。
何もない僕より君に生き残ってほしかった...
(『人に胸を張れる暗殺をしましょう!』)
だれなんだ?
どこか懐かしさを感じる声が突如、脳裏によぎるが心当たりがない。
胸を張れる暗殺なんて...ないのに...
pixivからこちらに貼り付けている関係上、おかしなところがあるかもしれません。
もし発見していただけたら、報告していただけると助かります。