朝倉由紀の写真を見つめていた。
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文化祭実行委員長。
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十五年前。
白峰高校に確かに存在した一人の生徒。
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長い間。
その記録だけが消されていた。
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けれど。
今は違う。
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僕たちは。
彼女の名前を知っている。
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「これを」
三枝が言った。
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「残すべきだと思います」
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僕は顔を上げる。
「残す?」
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三枝は資料を見る。
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「学校新聞です」
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僕は少し驚いた。
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「朝倉さんのことを?」
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「はい」
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「消されたままにしていいことじゃないと思います」
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僕は机の上を見る。
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写真。
資料。
藤堂史也のノート。
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確かに。
僕たちは知った。
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でも。
知っただけでは。
何も変わらない。
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『記録として残す』
先生が言った。
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『それで初めて、消されたものは戻る』
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僕は頷いた。
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数日後。
僕たちは新聞部の部室へ向かった。
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二、三年生の新聞部員たちに。
これまで調べた資料を見せるためだった。
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机の上に並べる。
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文化祭写真。
会計資料。
学校発表。
藤堂史也のノート。
それとは別に
文化祭の展示案内資料という資料を見つけた。
そこに、
作成担当
図書委員 神谷一樹
という名前があった。
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『この人物も』
『当時の文化祭資料に関わっていた可能性がある』
先生は言った。
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先輩たちは黙って資料を見る。
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「……これ」
三年生の部員が言った。
「本当に?」
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僕は頷く。
「はい」
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「朝倉由紀という生徒が」
「記録から消されていました」
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部室が静かになる。
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二年生の部員が写真を見る。
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「文化祭実行委員長……」
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「こんな中心人物が?」
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誰もが同じ疑問を抱いていた。
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なぜ。
この人だけなのか。
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しばらく資料を確認した後。
三年生の部員が口を開いた。
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「この件」
「神谷先輩にも見てもらった方がいいかもしれない」
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僕は顔を上げる。
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「神谷先輩?」
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「藤堂さんが追っていた件をずっと調べていた人だろ」
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その言葉に。
僕は頷いた。
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すぐに電話がかけられた。
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数分後。
部室の扉が開く。
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「急に呼び出して何だ?」
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神谷先輩だった。
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「すみません」
三年生の部員が言う。
「見てもらいたいものがあります」
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神谷先輩は机を見る。
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そして。
藤堂史也のノートに目を止めた。
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表情が変わる。
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「……これ」
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神谷先輩はノートを手に取った。
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「これが藤堂さんのノートなのか」
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しばらく。
何も言わなかった。
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ページをめくる。
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文化祭。
会計。
消された人物。
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「そうか……」
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小さな声だった。
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「藤堂さんが追っていたのは」
「これだったのか」
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三枝が、
「藤堂さんだけじゃなくて、当時記録を残そうとしていた人がいたんですよね」
「文化祭の展示案内資料に名前がありました」
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僕は頷く。
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「僕たちは」
「朝倉由紀さんに辿り着きました」
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神谷先輩は写真を見る。
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「……」
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「俺は」
神谷先輩が言った。
「ずっと途中で止まっていた」
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藤堂史也のノートを見る。
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「何を調べていたのか」
「分からないままだった」
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僕は黙って聞いていた。
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神谷先輩は顔を上げる。
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「でも」
「これなら分かる」
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「藤堂さんは」
「消えたものを探していたんだ」
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その言葉で。
僕は少しだけ安心した。
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藤堂史也の調査は。
無駄ではなかった。
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そして。
新聞作成が始まった。
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記事の中心は。
不正を暴くことではない。
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朝倉由紀という生徒がいたこと。
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文化祭を作り上げようとしていたこと。
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そして。
その記録が消されていたこと。
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それを書く。
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ただし。
五十嵐修司については。
断定しない。
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資料に残された事実。
確認できる情報。
そこだけを書く。
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数日後。
完成した原稿は。
学校側へ提出された。
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しかし。
すぐに返事は来なかった。
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そして。
呼び出された。
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会議室。
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教師たちが資料を見る。
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「内容は確認しました」
教師が言った。
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「ですが」
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「十五年前の出来事を」
「今の生徒が扱う必要があるのでしょうか」
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「記事の内容には問題があります」
「過去の資料だけで、当時の学校の対応を判断することはできません」
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僕は黙って聞く。
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「君たちの気持ちは分かります」
「しかし、亡くなった生徒について扱う以上、慎重にならざるを得ません」
「当時の関係者やご遺族への配慮も必要です
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『当然の反応だな』
先生が言った。
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『学校にとって過去とは』
『終わった出来事である方が都合がいい』
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僕は資料を見る。
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でも。
終わったことにされたから。
朝倉由紀は消えた。
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「僕たちは」
僕は言った。
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教師を見る。
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「学校を責めたいわけじゃありません」
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「断定している訳でありません」
「分かっている事実だけを書いています」
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「ただ」
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「いなかったことにされた人を」
「もう一度、記録に戻したいんです」
「だからこそ、事実だけを書くんです」
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沈黙。
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神谷先輩が続ける。
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「藤堂さんも」
「たぶん、それをしたかったんだと思います」
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教師が顔を見る。
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「記事を書きたかったんじゃない」
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「残したかったんです」
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その後。
記事はいくつか修正された。
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表現の変更。
事実確認。
学校側の見解。
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それでも。
掲載自体は認められた。
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そして。
学校新聞は発行された。
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見出し。
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『消えない記録』
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十五年前の文化祭資料から見つかった空白。
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新聞は。
校内だけでなく。
卒業生にも広がった。
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当時を知る人から連絡が届く。
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新しい証言が集まり始める。
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学校は。
もう無視できなかった。
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消したはずの記録が。
今度は多くの人の目に触れている。
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放課後。
僕は新聞を見る。
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朝倉由紀。
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その名前がある。
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もう。
消えていない。
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『湊君』
先生が言った。
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「何?」
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『記録とは不思議なものだ』
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『消そうとしても』
『誰かが残せば、消えない』
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僕は新聞を見る。
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「うん」
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「朝倉さんの名前は」
「もう消えないね」
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少し離れた場所で。
神谷先輩が藤堂史也のノートを閉じた。
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「藤堂さん」
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小さな声。
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「藤堂さん」
「あなたが追っていたものは」
「ちゃんと残りましたよ」
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十五年前。
途切れた調査。
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残されたノート。
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消された記録。
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それらは。
今。
新しい記録になった。
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消えない記録。
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それが。
僕たちが最後に残したものだった。