「なんだかとても戦いやすかった気がします…。魔法ってすごいんですね。」
「先生の魔法のおかげで、普段よりずっと戦いやすかったです。」
ハスミたちは先の戦闘を振り返る。ユウカに使っていた魔法の障壁はもちろん、鎖を出して不良たちを縛り上げたり、雷を出して吹き飛ばしたり、果てには手を大きくして弾き飛ばしたりしていた。
「それでは次の戦闘もよろしくお願いしますね、先生」
そうして何度か戦闘を繰り返した後、晴人たちはなんとかシャーレの近くまで来ると、リンから通信が入る。
「みなさん、この騒ぎを起こした生徒の正体が判明しました。」
「狐坂ワカモ。所属している学園を停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。」
「世間では『七囚人』と呼ばれている非常に危険な人物なので、みなさん十分注意してください。」
◆
「あらら、連邦生徒会が大事にしているものと聞いて壊さずにはいられないと来てみたわけですが…。」
「フフッ、何やら面白い術を使う人がいるようですねぇ。あれは魔法…なのでしょうか?」
「あれを壊してみるのもまた一興、でしょうか…。ウフフフ…。」
そう呟くのは先ほどリンが注意を促していた人物、狐坂ワカモ。彼女の視線は晴人、そして晴人の魔法にのみ注がれているのだった…。
◆
「着いた!!!」
ところ変わって、晴人たち一行はついにシャーレへと辿り着いていた。
「シャーレ部室の奪還完了。私も、もうすぐ到着予定です。地下で会いましょう。」
リンとの通信を終え、いざ建物の中に入ろうとしたその時。
「ウフフ…やっと来ましたわね。」
「っ!?先生!危ない!!」
「!!」
『”ディフェンド“! プリーズ!』
ユウカの切羽詰まった声に、晴人は咄嗟に防御の魔法を発動する。発動して1秒もしないうちに障壁に銃弾が突き刺さる。
「あっぶね…少しでも遅れてたら危なかったな…。ありがとうユウカ。」
「いえ…。それよりあなた!狐坂ワカモね!?先生を狙うなんて一体どういうつもり!?先生は銃弾一発でも死んでしまうのよ!?」
ユウカに礼を言う晴人。しかし、ユウカは晴人の方を向かず、突然撃ってきた生徒、狐坂ワカモから目を離さずに糾弾する。
「そうでしょうか?弾はしっかり防いでいたように見えますが?」
「それは…先生が魔法使いだからで…!」
魔法使い。その単語を聞いた瞬間、ワカモの雰囲気が変わる。
「魔法使い…ウフフ、やはりそれは魔法だったのですね!ぜひ、私に壊させてください!!」
ワカモは地を蹴り、物凄いスピードで晴人との距離を詰める。
「いや、こわっ!!」
ワカモの様子にビビる晴人。ハスミたちも、ワカモの好きにさせまいと銃を構える。
「止まりなさい!狐坂ワカモ!」
「先生には近づけさせません!」
ハスミの狙撃とスズミのアサルトライフルの銃撃でワカモを止めようとするが、いとも簡単に回避されてしまう。
「そんな攻撃では私は止められませんよ。」
「くっ!」
「うっ…」
逆にワカモの攻撃を食らってしまい、一瞬動きが止まってしまう。その隙を見逃すワカモではなく、ハスミとスズミの間を通り抜け、晴人へと接近する。
「させないわ!」
「止まってください!」
「邪魔です。」
ユウカとチナツが同時に攻撃するが、ワカモは跳躍して回避し、お土産とばかりに手榴弾を落とし二人を吹き飛ばしてしまう。
「さぁ、邪魔者はいなくなりました。その魔法とやらを存分に壊してあげましょう。」
「先生!逃げて!」
着地すると、一気に晴人に向かって加速するワカモ。ユウカの悲痛な叫びが響く。晴人はワカモのスピードに反応できないのか、棒立ちのままだ。
(先ほどの銃撃は余計な邪魔もあってギリギリのところで防がれてしましました。なら、反応できない速度で攻撃すれば!)
「はあっ!!」
「先生!!」
ワカモは驚異的なスピードで回し蹴りを繰り出す。
『”グラビティ“!プリーズ!』
しかし、その攻撃が晴人当たることはなかった。
「ぐっ!?」
ワカモはとてつもない力で地面に押し付けられていた。自分に何が起きたのか確認しようと、首を動かそうとするが全く動かない。それどころか手も足も、指の一本すらも動かすことが出来ない。
そんなワカモへ晴人は近づいて行く。
「狐坂ワカモちゃん、だっけ。ちょっとおイタが過ぎるんじゃないか。」
晴人はおもむろにワカモの右手を持ち上げる。何をするつもりなのかと、ワカモは晴人に怪訝な目を向ける。
「なに、を…。」
「もう襲われるのは勘弁だからね、少し眠っててもらうよ。」
「なっ!?」
『”スリープ“!プリーズ!』
魔法を発動させると、ワカモはすぐに眠ってしまった。魔法を発動させる直前になぜか耳を真っ赤にさせていた。顔は狐の面で隠れていたが、耳よりも真っ赤になっていることだろう。
「ふぃ~…。」
晴人が息を吐き、ユウカたちの方を振り返るとなぜかこちらも顔を赤らめていた。
「え、なに、どうしたのみんな。」
「いえ、その…。先生は
そういうこと?指輪をはめることだろか?それなら自分はこの指輪で何人もの人達を救ってきた。慣れていると言えば慣れているのだろう。そう考えた晴人は、おずおずと質問してきたチナツにあっけらかんと答える。
「まぁね。それなりの人達に指輪をはめてきたから、慣れてるっちゃ慣れてるかな。」
「そ、そうですか…。」
やはり顔を赤らめたままそっぽを向くチナツ達。晴人にとっては何でもないことだが、彼女たちにとって年上の男性に指輪をはめられる光景というのは、いささか刺激が強かったようだ。
「お待たせしました。……?何かありましたか?」
「いや、なんでも。行こうか。みんなはワカモを見張っててくれ!」
ここでリンが合流する。全員がそっぽを向いている状況にリンは首をかしげるが、晴人は何でもないとシャーレの中へ入っていくのだった。
ワカモってこんなキャラでいいのかな…
本当はこのタイミングで晴人さんを変身させるつもりだったのですが、なんか気づいたら晴人さん変身せずにワカモ倒してました(?)
うちの晴人さんはいつになったら変身するんだろう……
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