【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜 作:ペンギンって可愛いですよね
その頃――。
苺プロダクションの事務所でも、その話題で持ちきりだった。
休憩スペースのテレビには、先ほど放送されたばかりの特集が流れている。
『全国学力調査で全国一位となった天才双子兄妹』
画面にはアクアとルビーの姿。
大学の文献を読むアクア。
微分方程式で苦戦していると笑うルビー。
そのインタビューを見終えた瞬間――
「……え?」
「えぇぇぇぇぇっ!?」
「ちょっと待って!」
「何あれ!?」
B小町のメンバー全員が一斉に声を上げた。
たかみーが目を丸くする。
「アイ!」
「あの子たち、賢いとは思ってたけど、そんなに頭良かったの!?」
めいめいも信じられないという表情で続ける。
「大学の文献って何!?」
「小学四年生だよね!?」
ありぴゃんは頭を抱える。
「微分方程式って、高校生でも習わなくない!?」
きゅんぱんも苦笑いする。
「私、名前しか聞いたことないんだけど……」
みーちゃんは呆然とテレビを見つめたまま呟く。
「全国一位だけでも十分すごいのに……」
「その後のインタビューが全部規格外なんだけど」
そして次の瞬間――
全員の視線が一斉にアイへ向いた。
「アイ!!」
「どう育てたらああなるの!!」
五人が一斉に詰め寄る。
「教えて!」
「子育ての秘訣!」
「絶対何かやってるでしょ!」
「隠さないで!」
アイは突然囲まれ、両手をぶんぶん振る。
「えぇぇっ!?」
「知らない知らない!」
「私もびっくりしてるんだから!」
「え?」
たかみーが首を傾げる。
「知らないの?」
「うん!」
アイは困ったように笑う。
「勉強しなさいって言ったことなんてないよ?」
「二人とも勝手に本読んで」
「勝手に勉強して」
「気付いたらああなってたの!」
「…………」
その場が静まり返る。
めいめいが遠い目をした。
「一番参考にならないやつだ……」
「完全に才能じゃん」
ありぴゃんも苦笑する。
「『気付いたらこうなってた』って言われても困るよぉ」
きゅんぱんも肩をすくめる。
「やっぱり天才っているんだねぇ」
みーちゃんは感心したように頷く。
「しかも兄妹揃ってっていうのがすごいよね」
「普通はどっちかだけなのに」
アイは照れくさそうに頬をかいた。
「でもね、二人とも本当に努力家なんだよ!夜まで勉強してても楽しそうだし…分からないことがあると、自分たちでどんどん調べるし、私は見守ってるくらいしかしてないかな」
その言葉にB小町のメンバーは顔を見合わせる。
「……やっぱり真似できない」
全員が同じ結論に至った。
少し離れた場所では、そのやり取りを齋藤壱護社長とミヤコが眺めていた。
壱護は腕を組みながら苦笑する。
「いやぁ……」
「アイも十分すごい親だと思うけどな」
ミヤコも笑いながら頷く。
「ええ」
「でも、あの二人は親だけでは説明できないくらい規格外ですからね」
「それにしても」
テレビへ視線を向ける。
そこには再び「天才双子兄妹」の文字が映し出されていた。
「これから、ますます注目されそうですね」
壱護は小さくため息をつきながら笑う。
「ああ…アイ本人より、子供たちの方が話題になる日も近いかもしれんな」