【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第六十話「嬉しい報告」

 

その日の夕方、仕事を終えたアイは、自宅のリビングでソファに腰掛けていた。

 

先ほどまで映画デビューが決まったルビーが大喜びし、アクアも呆れながら付き合っていた。

 

そんな二人を見ているだけで、自然と笑みがこぼれる。

 

(先生にも報告しなきゃ)

 

アイはスマートフォンを手に取り、LINEを開いた。

 

送り先はもちろん悠真だった。

 

『先生!』

 

『アクアとルビーの映画デビューが決まりました! 』

 

『五反田監督の映画です!』

 

『二人とも子役として出演することになりました』

 

送信ボタンを押す。

 

「先生、びっくりするかな?」

 

アイは楽しそうに笑った。

 

数十分後…

 

外来診療を終えた悠真は、医局でカルテを整理していた。

 

ようやく一息つき、白衣のポケットからスマートフォンを取り出す。

 

画面にはアイからのLINE通知が表示されていた。

 

「アイさんからですか」

 

悠真は微笑みながらトーク画面を開く。

 

映画デビューの報告を読み終えると、小さく息を吐いた。

 

「なるほど…そう来ましたか」

 

驚きよりも、納得の方が大きかった。

 

(アクア君は想定内ですね)

 

幼い頃から、人の感情を細かく表現する演技力を持っていた。

 

五反田監督が再び声を掛けることは、十分に考えられる。

 

テレビでの受け答えを見ても、堂々としていた。

 

演技だけでなく、人前に立つ素質も兼ね備えている。

 

(ですが……)

 

悠真は画面を見つめながら考える。

 

(ルビーちゃんも映画デビューですか)

 

そこだけは少し意外だった。

 

(確か原作ではルビーちゃんは、高校生になるまでは芸能事務所へ所属しなかったはずですが……)

 

記憶していた未来とは違う展開だった。

 

しかし、その理由にはすぐ思い当たる。

 

(アイさんが生きていることで、未来が変わったのでしょうね)

 

以前とは違い、アイは家族と穏やかな時間を過ごしている。

 

親として相談に乗り、背中を押してあげられる存在がいる。

 

その小さな違いが、ルビーの決断を変えたのだろう。

 

(未来は、確実に変わっている)

 

そう思うと、不思議と嬉しくなった。

悠真は苦笑する。

 

(もっとも…一番変わったのは、あの二人の頭脳面ですが)

 

アクアは大学の文献を読み漁り、考古学について語る。

 

ルビーは高校数学を学び、微分方程式で悩む。

 

全国学力調査では二人揃って全国一位。

 

さらには海外の大学から特待生の誘いまで届いている。

 

(ここまで変わるとは、さすがに予想できませんでしたね)

 

思わず笑みがこぼれた。

 

「まあ、元気なら何よりです」

 

悠真はスマートフォンを持ち直し、返信を打ち始める。

 

『それはよかったですね。』

 

『映画デビュー、おめでとうございます。』

 

『アクア君もルビーちゃんも、きっと素晴らしい演技を見せてくれると思います。』

 

『ぜひ見に行かせていただきます。』

 

送信ボタンを押す。

 

数秒後には既読が付いた。

 

すると、すぐに返信が届く。

 

『ありがとうございます!』

 

『二人とも今からすごく張り切ってます(笑)』

 

『公開されたら絶対観に来てくださいね!』

 

そのメッセージを見た悠真は、優しく微笑んだ。

 

「もちろんですよ」

 

小さく呟き、スマートフォンを机へ置く。

 

アクアとルビー。

 

二人がスクリーンでどんな演技を見せるのか。

 

一人の医師として。

 

そして家族ぐるみで付き合う隣人として。

 

その成長を見届けられる日が、今から楽しみだった。

 

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