俺切二次 やさぐれ転生盤外戦術使いがサレン=アンダーに堕とされるまで。 作:サレンスキー
はぁ……本当の本当に、想定外だ。
『本日のサンデー・サンクス・ライフ大会はバトルフィールド限定になっています』
それは、休日に向かった野良大会が急遽フィールド限定になっていた事もそうだし───
『貴方に相応しい処刑台は決まった!』
その大会で会いたくない奴に出会ってしまったのもそうだし、
『……仕方有りませんね、貴方は下層の傭兵の所へ行ってください。最初からあのような傭兵に頼るのが良くありませんでした。あの程度でしたら貴方なら簡単に片付けることが出来ますよね?』
『───
休日明けに上司の命令で革手袋のテンション高めインテリヤクザみてえなのの相手を努めたのもそうだ。
その結果、職場が文字通りぶっ壊れた挙句、上司は記憶失って病院送りになるってさ。
まったく───本当に数奇な運命過ぎて笑えてくる。
その日は野良のショップ大会に出場するため遠出していた。
急遽としてバトルフィールド限定になった為、『手癖』と『口調』による対面への圧掛けは通用しない。
思えば、この時点で不利と断じてすぐに帰っていれば、こんな事態に巻き込まれることはなかったのかも知れない───まぁその場合、
『サンデー・サンクス・ライフ■■店、”二回戦”開始十分前です。参加選手はお集まりください』
そのアナウンスが鳴った時、既にスタンバっている俺はデッキのシャッフルを行っていた。
一戦目は
俺のデッキは根底としてダメージを与えないようにするコストコントロールが軸のデッキであり、さらに膨大なカードで引きがバラける事もあって、低コストで出して殴るだけのアグロがこちらの引きによってはかなり刺さる。
低コストスレイヤー持ちが多数いる
ただ、それは分かりきったことだ。
そういった手合いにも十分対応できるように組んでいる。まぁ、最終的には全く関係ないブラフに引っかかった相手がサレンダーを選んだわけだが。
「えー、対戦よろしくお願いし───……」
───ほんの一瞬言葉に詰まる。
そこにはほんの数週間前に戦ったばかりの紫尽くめの女の子が此方を見ていた───いや、別に再戦自体は予想外でもない。
稼いだヘイトからなる、再戦時や他者からの情報共有を元にしたガンメタをケアするために100枚以上にしてるところもあるからな。
だから再戦は問題じゃない。
問題があるのはその”眼”だ、気合に満ちているというレベルじゃないくらいに謎のやる気が感じられる。
いや、俺も分からん……怒りや殺意ならまだしも、単純に『謎のやる気』と表現するのが正しく思えるようなよく分からん態度をまとっている。
「……」
「………」
「……ふぅ」
互いに無言で見つめ合う気まずい時間が続き───俺は短く息を吐き、目線を反らして腕時計をチェックする。
試合開始まであと5分程、そろそろ観客席も埋まってくる頃だ。
───バトルフィールドでのファイトは基本的に観客付きだ。
それが逆にやりづらいところでもあるが……まぁいい。
俺はデッキをボードにセットしようとホルダーからボードにセット、そして水分を取ろうとペットボトルを取り出す。
「……フィールドだと、いつものアレは使えない」
「いつものアレ……いや、まぁ確かにまちがってはないですけ───」
「でも───貴方は強い」
「……は、はぁ?」
真正面から何故か褒められる。
少なくない動揺が俺の中に走る───
「───本気で行く」
これ以上の言葉はいらないとでも言うようにデッキをセットする目の前の女の子。
「───俺は、強くねぇよ」
何故か、無性に怒りが湧いてくる。
この世界の人間と比べたら俺はLifeをやり込んでるわけでも、知識や経験が濃いわけでもない。
それに何より、愛がない。
───好きこそものの上手なれ。
カードへの愛がない人間が本当の意味で強くなれるわけがない。
俺が強い?
そんなもの、真面目にプレイをしている全ファイターへの冒涜だ。
あの頃の記憶が、情景がフラッシュバックする。
───……嗚呼、厭。今の今までデュエリストの
『ハッキリ言うぜ。お前───弱いだろ?』
誰かに自分自身を問われた気がした───
俺が憧れたのは
そもそも
『時間になりましたのでファイトを行ってください』
ああ、そうか……そうだ、俺はずっと、ずっと、ずっと、薄れていく記憶の残滓を……前世を生きた名残を俺の中に残したかったんだ。
同じカードゲームでもLifeと遊戯王ではルールが違う。
周りに馴染むため、金を稼ぐため、そのためにデッキを握る度に、あんなに手に馴染んでいたデュエルの動きを忘れてしまう。
そんな実感があった。
怖かった。
でも───
───ほんのすぐ傍に、もっと簡単な方法があったじゃないか。
それは───全デュエリストの魂を鼓舞させる魔法の言葉。
それを口に出すだけで、記憶は魂となり脳内に呼び起こされる───
「準備は良い?」
対戦相手の少女が問いかけてきた。
「ああ、そうだな───」
「?……雰囲気が───」
俺は少女の言葉に笑みを持って応える───勿論、デュエリストとして。
「さぁ、やろうぜ……試合にはスタートの掛け声が必要だよな?」
「……殺しに行く」
「ハッ、望むところだ」
「───
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