俺切二次 やさぐれ転生盤外戦術使いがサレン=アンダーに堕とされるまで。   作:地霊殿の壁

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第六話

 マニュアルとパスワードの書かれた紙片を片手に持ち、茂札普夫は隣の研究室のような場所から人柱が沈めてある水槽(プール)の前にまで戻ってきた。

 だが、そこには一人の人間がオフィスチェアに腰を掛けるようにして背を向けていた。

 

 ビルの振動は鳴り止まない。無駄に時間を使っている暇はないと茂札は切るべき手札()を構える。

 その瞬間───ヴゥンと駆動音が鳴り、周囲が光に呑まれた。

 

 様相は違うが闇のカードのように物理攻撃を無効化するものだ。

 くるりとオフィスチェアを反転し、その人物は素顔を表した。

 

 

「よう、不法侵入者くん。お探しのパスワードは見つかったか?───さっそくだが、後ろのこれを解除したくば、俺とデュエル(ファイト)しろ」

 

「……生憎だが時間を掛けるつもりはないぞ」

 

 

 地響きが鳴っている。大きなもので言うとこれで二度目。

 恐らく最上階で行われているファイトの影響だろう。

 

 

「奇遇だな、俺も余り時間を掛けてはいられない立場でね」

 

「賭けるものはなんだ?」

 

 

 茂札は問いかけながらも、()()()()デッキホルダーからデッキを出し、ライフデッキと共にボードにセットする。

 

 

「イグニッションファイトは闇のカードによる領域と違い、敗北者に対する支配の権利は有していない。代わりに賭けるのは───そのLife()だ。死なない程度にその命を賭け(ベットし)ろ」

 

 

 対面する男も不敵に笑い、100枚以上のメインデッキと20枚のライフデッキをボードに置く───

 その瞬間、両者のライフデッキと使用者の命が共鳴(リンク)し始める。

 

 

 

『さぁ、デュエル(ファイト)!』

 

 


 

───命を燃やす生命闘争(イグニッションファイト)

 闇のカードに対して自衛できる限られた手段の一つであり、自分のライフデッキに生命力を投影することで闇のカードの及ぶ効力を弱める。

 俺の持つボードで展開できるそれは極めて簡易的なものだが、当然ながら相手の動きを縛る程度の効力は持ち得ている。

 

 とはいっても開発部署から概要を聞いていただけで、俺が実際に使うのは始めてだったが───

 

 

「先行は頂きます───ライフデッキから2枚をドロー」

 

 

 ライフデッキからパチッパチッと一枚ずつ弾くようにして二枚手札に加える。

 身体の芯が冷えるような感覚と、代わりにドローしたカードがほんのりと熱を持つ。

 

 なるほど、こんな感覚か……

 

 

「───色彩(カラー)をセットし、そちらにターンを渡します」

 

「俺のターン。レディ・アップキープ、ドロー───」

 

「っと、ドロー前に一言忠告しておく。これはLife(自身の命)を薪として焚べる。ライフドローは生命力の摩耗という形でデメリットが顕れるというわけだ」

 

「説明ありがとうございます。ライフ2ドロー、メイン1ドロー。色彩(カラー)をセット」

 

 

 大した反応すらも見せず、流れるように色彩(カラー)のセットまで終わらせる。

 

 

「手札から秘宝<増殖の仕組み>をプレイ、通りますか」

 

「<増殖の仕組み>……確か自分のクリーチャーが死ぬ度に1枚ドローだったか……」

 

 

 俺からしてみれば、名称ターン1が無いのが末恐ろしい───仮に遊戯王ならば間違いなく悪用されて監獄行きだろう。具体的には炎王とか、ヒグルミメインのEmEMとか。

 あとは会局込みなら十二獣との噛み合いも良さそう。

 まぁ遊戯王ほどじゃないとは言え、コストも、ターン1も無いというのはそれだけで強みになるはずだ。

 デュエリストとしての俺から言わせてみれば非常に嫌な予感がする、が……特に対応できる札もねぇな。

 

 

チェーン(スタック)無しで、どうぞ」

 

「では通ります。コスト1払って、クリーチャー<移ろう霊魂>を出す」

 

「<移ろう霊魂>……テキスト確認いいですか?」

 

「このクリーチャーは如何なるタイミングであっても、ライフ2点を払った上で落とせば、1ドローが出来る。パワー1/タフネス1のクリーチャー。それだけです」

 

「なる、ほど……」

 

 

 ───パチ、パチ、パチ、パチ

 ゆっくりと手札同士を入れ替える度に徐々に思考が回っていく。

 

 フリーチェーンで発動できる……半強欲な【デスフェニ】とでも言うべきか。

 いや毎ターン戻ってこない分、アレ(デスフェニ)よりマシか。

 

 

「一応質問良いですか?その効果はクリーチャーの死亡と見做されますか?」

 

「───はい、<増殖の仕組み>の対象となりますよ」

 

「……了解です。続きをどうぞ」

 

「ターンエンド」

 

「じゃあ、そちらのエンドフェイズにチェーン(スタック)して<衝撃>を発動。自分自身に2ダメージを与えることでコスト加速」

 

「通します」

 

 

 通常の色彩(カラー)が二枚流れ込む。

 大会と違って時間制限があるわけじゃない以上、サクッと決めてしまった方がいい。

 

 

「ターン貰います。アップキープ、からのドローフェイズ」

 

 

 ライフドローは魔石(コア)<ザ・エントリー>、メインからのドローカードは<思考>。

 デッキトップを落とすか、キープするか選べる1コストの瞬間魔法。

 

 

「───手札から魔石(コア)<ザ・エントリー>をセット。2コストで<放火範ゴブリン>。召喚時効果、そちらの色彩(カラー)を1枚破壊します。チェーン(スタック)は?」 

 

「ありません」

 

「では色彩(カラー)を破壊し、1コス残しで、そちらへターンを渡します」

 

 

 俺は横目で設置されたモニターの画面を見る。

 そこには絶賛ファイト中の社長とサレンさん(師匠)、そして【輝けしスピリット】保持者……だったか。ともかく、1vs2でのファイトの映像が映り込んでいた。

 もしも途中で彼女の調子が悪くなれば、俺はすぐさまファイトを中断し、()()()()()を使って社長室へと向かうつもりだ。

 だから焦っては居ない。中断する手段は用意してあるからな。

 

 まぁ、そうならなければいいのは確かだが───

 

 

「俺のターン。レディ・アップキープ、ドローフェイズ───」

 

 

 ふぅ……ともかく今は目の前のデュエルに集中するべきだな。

 俺はそう思い、手札を整えると目の前の青少年へと、目を向け直した。

 

 

「メインドロー後、メインフェイズ移行のタイミングで、<移ろう霊魂>を墓地に送り、1枚ドロー。さらにクリーチャーが死亡したため、<増殖の仕組み>で1枚ドローする」

 

 

 0コスだが動いてきたか。

 支払われたライフは呪言(カース)<焼畑>と通常色彩(カラー)

 コストとしての消費であるため、セットはされず、そのまま墓地に送られる───

 

 

「<焼畑>は発動しない。手札から色彩(カラー)をセット。───<抱き寄せ>で<藁の手>を捨てて3枚ドロー。───手札から秘宝<()()()()()()()>を出す。通りますか?」

 

 

……このカードは───

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