低ランクの冒険者でも最上級のダンジョンに挑むのは自由です。 作:駄文亭
夜は、何事もなく明けた。
少なくとも、襲撃はなかった。
ロックとマルコが最初の夜番を終えたあと、ガレスとリディアが交代して警戒を続けたが、林から人が近づいてくる気配はなかったという。
夜露を吸った草が、白み始めた空の下で鈍く光っている。
小さく抑えていた焚き火は、灰の中にわずかな熱を残していた。
ロックは灰を崩し、火種が残っていないことを確かめる。
林の近くで火を放置すれば、盗賊よりも大きな被害を生みかねない。
「随分と念入りだな」
背後から声をかけたのはガレスだった。
「風が出たら危ないので」
「それは分かるが、灰を素手で掻き回す奴は初めて見た」
「熱いところには触っていません」
「そういう問題か?」
ロックは灰の下へ指先を近づけ、熱がないことを確かめた。
ガレスはその様子をしばらく眺めていたが、やがて諦めたように息を吐く。
「まあいい。朝飯を食ったら出るぞ」
「昨日の人たちは?」
「戻ってきた形跡はない」
ガレスは背後の林へ視線を向けた。
「だが、諦めたとは限らん。俺たちが気を抜くのを待っている可能性もある」
「街道の先で待つ方が簡単でしょうね」
「嫌なことを平然と言うな」
「考えておいた方がいいと思います」
「分かってる」
ガレスは頬を掻いた。
「だから、お前を連れてきて正解だったと言ってるんだ」
「まだパダにも着いていませんよ」
「もう少し喜べ」
朝食は、硬いパンと塩漬け肉だった。
リディアが小鍋で湯を沸かし、乾かした香草を入れている。香りはよかったが、味は薄い。
マルコは一口飲み、眉を寄せた。
「薬みたいだな」
「身体を温める香草です」
「もう少し蜂蜜でも入れたらどうだ」
「お持ちですか?」
「持ってない」
「では、そのまま飲んでください」
リディアは笑顔だった。
マルコは何も言わず、残りを飲み干した。
ロックはその様子を見ながら、昨日から感じていたことを確かめる。
ガレスたち三人は、即席で集められた者同士ではない。
互いの癖を知っている。
マルコが軽口を叩き。
ガレスが止め。
リディアが笑顔のまま釘を刺す。
長く一緒に旅をしてきた空気だった。
「三人は、いつから組んでいるんですか」
ロックが尋ねると、ガレスはパンを噛みながら考えた。
「三年くらいか」
「二年と八か月です」
リディアがすぐに訂正する。
「同じようなものだろ」
「半年近く違います」
「細かいな」
「初めてお会いした日を覚えているだけです」
マルコが声を潜めてロックへ言う。
「忘れたと言うと面倒だから、俺たちは三年と言ってる」
「聞こえていますよ」
「ほらな」
リディアは笑みを崩さなかった。
その方が怖い。
「最初は護衛の仕事だった」
ガレスが話を戻した。
「俺とマルコが別々に雇われて、途中で負傷者が出た。そこへ、たまたま巡礼の旅をしていたリディアが通りかかった」
「たまたまではありません。ラーダ様のお導きです」
「そういうことにしてある」
「してください」
「それから、仕事が合えば一緒に動いている」
「魔術師はいなかったんですか」
「何人か組んだことはある」
マルコが答えた。
「でも、魔術師は引く手あまただ。もっと稼げる仕事が見つかれば、そっちへ行く」
「遺跡や魔術師ギルドの依頼の方が、報酬もよいですからね」
リディアが言う。
「それに、魔術を学ぶ方は自分の研究を優先されることも多いです」
「荷馬車の横を歩くために魔術を覚える奴はいないからな」
ガレスは最後のパンを口へ放り込んだ。
「だから、今回みたいに剣も使える奴の方が助かる」
「僕は、この仕事が終わったら王都へ戻りますよ」
「勧誘じゃない。安心しろ」
そう言いながらも、ガレスの顔には少し残念そうな色があった。
◇
荷馬車は、日の出とともに街道へ戻った。
昨日の倒木を越えるまでは、全員が口数を減らしていた。
木は道端へ寄せられたまま。
新たに道を塞ぐ物はない。
林の奥にも、人の姿は見えなかった。
ただし、昨夜のうちに誰かが戻ったらしい。
倒木の近くへ近づいたマルコが、地面を見て鼻を鳴らした。
「足跡が増えてる」
「僕たちが去ったあとですか」
「ああ。少なくとも三人。倒木の周りを歩いて、林へ戻っている」
ガレスが眉を寄せた。
「様子を見に来たのか」
「俺たちが何をしたか確かめたんだろう」
「追ってきますか」
エドガーが御者台から尋ねる。
「ここから先で仕掛けるつもりなら、足跡を残している暇はない」
マルコは立ち上がった。
「昨日の連中は、俺たちを諦めたと思う」
「別の旅人を狙うということですか」
リディアの声が僅かに沈む。
「たぶんな」
「近くの町や詰所へ知らせる必要があります」
ガレスは頷いた。
「パダへ着いたら報告する。街道を見回る兵がいるかどうかは知らんが、何も言わないよりはましだ」
ロックは倒木を振り返った。
盗賊を捕まえることはできなかった。
しかし、護衛の仕事は盗賊退治ではない。
荷物と依頼人を守る。
昨日の判断は間違っていなかった。
それでも、次にここを通る旅人が同じように気づけるとは限らない。
街道は、一度危険を避ければ終わりという場所ではなかった。
◇
昼を過ぎる頃には、周囲の景色が少しずつ変わってきた。
野原の間に、岩肌が剥き出しになった丘が増える。
街道を通る人の姿も多くなった。
オランへ向かう荷馬車。
背負い袋を担いだ旅人。
馬へ大きな木箱を積んだ商人。
中には、明らかに冒険者と分かる一団もいた。
しかし、王都の周辺で見かける者たちとは様子が違う。
鎧には深い傷があり。
外套は泥と煤で汚れ。
武器を布で包んでいる者も多い。
荷物が重そうな者。
反対に、背負い袋を失い、身一つで歩いている者。
肩を貸されながら進む負傷者までいた。
「レックスから戻ってきた人たちですか」
ロックが尋ねると、エドガーが頷いた。
「この道を歩く者の多くは、そうです」
前方から来る五人組は、見るからに疲れ果てていた。
先頭の男は片腕を布で吊り。
後ろを歩く女性は、額から頬にかけて包帯を巻いている。
中央では、二人が一人の若者を支えていた。
若者の右脚は添え木で固定され、地面へつくこともできない。
リディアが彼らを見るなり、足を速めた。
「待ってください」
ガレスが呼び止める。
「仕事中だぞ」
「分かっています。ですが、あの傷ではパダまで保たないかもしれません」
一行との距離は、まだ少しある。
リディアは相手の様子を確かめ、エドガーを見る。
「少しだけ時間をいただけませんか」
エドガーは迷わなかった。
「もちろんです。行ってください」
「ありがとうございます」
リディアは相手へ向かって駆け出した。
ガレスは溜息をつきながら、荷馬車を街道脇へ寄せるよう御者へ指示する。
「これだから神官を連れてると、予定通りに進まん」
「置いていけと言わない辺り、慣れていますね」
ロックが言うと、ガレスは顔をしかめた。
「放っていって死なれたら、後味が悪いだろ」
「それを優しいと言うんですよ」
「言うな」
負傷した一団も、リディアが神官だと知ると警戒を解いた。
脚を負傷した若者は、その場へ横たえられる。
添え木を外すと、腫れた脚が現れた。
傷口は見当たらない。
骨が折れているか、強く捻ったのだろう。
リディアは膝をつき、静かに祈り始めた。
ロックはその間、他の四人へ目を向ける。
皆、若い。
二十歳を越えている者は一人だけに見えた。
装備は揃っているが、使い慣れているとは言い難い。
腕を吊った男が、エドガーへ何度も頭を下げていた。
「すみません。まさか、こんなところで神官様に会えるとは……」
「私に礼を言われても困ります。あちらのリディアさんへ」
「皆さんは、パダから?」
「オランから品を運んでいるところです」
男の顔に、わずかに羨望が浮かんだ。
「オランですか……」
ロックはその表情を見逃さなかった。
「何かあったんですか」
男はロックを見る。
若い少年だと思ったのだろう。
一瞬、答えるのを迷った。
「レックスへ入ったんだ」
「何日ほど?」
「三日だ。最初の二日は順調だった」
男は唇を噛んだ。
「古い住居区らしい場所を見つけた。家具はほとんど朽ちていたが、銀の食器や装飾品が残っていた」
「罠は?」
「なかった。だから、油断した」
声が低くなる。
「床が抜けた。そいつが落ちて、脚をやった」
添え木を外された若者を見る。
「下には何が?」
「古い水路だ。水はなかったが、這い上がろうとしたところで、奥から骸骨が出てきた」
「何体?」
「分からない。暗かった。十体はいたと思う」
マルコが肩をすくめた。
「数えてる余裕はなかったか」
「松明を落としたんだ。見えた時には、すぐ近くまで来ていた」
「どうやって逃げたんですか」
「そいつを引き上げて、扉を閉めた。持ち帰った物も、荷物も、ほとんど捨てた」
男は吊った腕を見た。
「俺は扉に腕を挟んだ。折れてはいないと思うが、動かせない」
銀の食器。
装飾品。
三日分の食料。
縄。
灯り。
それらをすべて捨てて、命だけを持ち帰った。
レックスでは、珍しい話ではないのだろう。
「亡くなった人は?」
ロックが尋ねると、男は首を横へ振った。
「いない。今回はな」
その答え方に、レックスで人を失うことが当たり前になっている重さがあった。
リディアの祈りが終わる。
若者の顔から苦痛が薄れた。
すぐに歩けるほどではないが、震えるほどの痛みは収まったようだ。
「骨に異常があります」
リディアは添え木を戻しながら説明した。
「パダへ着いたら、きちんと診てもらってください。無理に歩かせてはいけません」
「ですが、ここから運ぶには……」
負傷者の仲間たちが顔を見合わせる。
エドガーが御者台から荷台を振り返った。
「一人なら乗せられます」
「いいんですか」
「このまま置いてはいけません」
ガレスがエドガーを見る。
「予定が遅れるぞ」
「陽が落ちるまでにはパダへ着けます。それに、私が断ってもリディアさんが歩いて付き添うのでしょう?」
リディアは返事をしなかった。
否定もしない。
「ほらな」
エドガーは苦笑した。
「若い方を荷台へ。残りの皆さんは、歩けますか」
「はい。ありがとうございます」
負傷した若者は、一台目の荷馬車へ乗せられた。
他の四人も、荷馬車と一緒にパダへ戻ることになる。
護衛する人数が増えた。
しかし、彼らは戦える状態ではない。
盗賊が現れれば、守るべき相手が増えたことになる。
ガレスは隊列を組み直し、負傷者たちを二台の荷馬車の間へ入れた。
「ロック。後ろを頼む」
「はい」
「マルコは先頭だ。あいつらの足だと、着くのが遅くなる。周囲をよく見ろ」
「分かってる」
街道の先に、低い丘が見えている。
その向こうがパダだという。
◇
夕暮れが迫る頃。
街道を進む人の数が、さらに増えた。
パダへ向かう者。
パダから出てきた者。
荷物を運ぶ商人。
冒険者。
旅芸人。
傭兵。
誰もが足を速めている。
日が暮れる前に町へ入ろうとしているのだ。
ロックたちが丘を越えると、その先にパダが見えた。
王都オランと比べれば、小さな町である。
高い城壁はない。
土を盛り、その上へ木の柵を巡らせている。
門の両側には石造りの見張り台があり、槍を持った兵士が街道を監視していた。
しかし、町の外側には、柵へ沿うように多くの建物が広がっている。
馬小屋。
荷車の置き場。
簡素な宿。
武具を修理するための工房。
露店。
天幕。
町の中へ入りきれない旅人たちが、外にも小さな町を作っているようだった。
「これがパダ……」
ロックは思わず呟いた。
遠くからでも、人の声が聞こえる。
金槌の音。
馬の嘶き。
荷物を運ぶ者の掛け声。
値段を巡って争う商人。
怪我人を呼ぶ声。
オランの市場とは違う。
華やかさはない。
泥と汗と血の匂いが混じっている。
すべてが、レックスへ続いていた。
「パダへ入る前に、一つ覚えておけ」
先頭から戻ってきたマルコが、ロックへ声をかけた。
「何ですか」
「親切に声をかけてくる奴ほど、信用するな」
「商人ですか」
「商人だけじゃない。宿の客引き。遺跡の案内人。道具の鑑定屋。仲間を探してる冒険者。全部だ」
「全員を疑えと?」
「少なくとも、話を最後まで聞く前に頷くな」
エドガーも御者台から振り返る。
「パダには、レックスで一財産を築こうとする人が集まります」
「築いた人も?」
「築いた人は、長く留まりません。オランへ行くか、故郷へ帰ります」
エドガーは町を見た。
「ここに残るのは、これから財産を得ようとする者か、得られなかった者です」
厳しい言葉だった。
だが、門の周辺に集まる人々を見れば、否定する気にはなれない。
新しい剣を腰に差し、希望に満ちた顔で町へ入る者。
武器を失い、空の鞘だけを下げて戻ってくる者。
重そうな袋を抱え、周囲を警戒している者。
何も持たず、ただ俯いて歩く者。
レックスは、人の夢と命を同じように呑み込む。
パダは、その入口であり。
同時に、吐き出された者を受け止める場所だった。
門番は、荷馬車の目録とエドガーの通行証を確かめた。
「オランからの完成品か」
「はい。ベルマン商会です」
「今回は遅かったな」
「街道で倒木がありました。人の手で切られた物です」
門番の顔つきが変わる。
「場所は?」
ガレスが前へ出て、泉と林の位置を説明した。
灰色の外套を着た男。
少なくとも四人以上。
旅人を街道から外れさせようとしていたこと。
門番は隣の兵士へ指示し、内容を書き留めさせた。
「同じ辺りで、妙な連中を見たという話が出ている」
「被害は?」
「今のところ、届けはない。だが、届けを出せない者もいるだろう」
殺され。
荷物を奪われ。
遺体が林へ隠されれば、誰も届けることはできない。
「明日、街道の詰所へ知らせを出す」
門番は荷馬車の後ろへ目を向けた。
「そいつらは?」
「レックスから戻ってきた冒険者です。一人、脚を傷めています」
「またか」
驚いた様子はなかった。
「入ったら右へ行け。神殿の施療所がある」
門が開かれる。
荷馬車が、ゆっくりと町へ入った。
◇
門をくぐった瞬間。
数人の男が荷馬車へ集まってきた。
「宿は決まってるか!」
「馬を預かるぞ!」
「レックスの地図なら最新がある!」
「オランから来た商人さん! 荷を買うぞ!」
「遺物の鑑定ならうちだ!」
ロックは反射的に剣の柄へ手を伸ばしかけた。
マルコが笑う。
「抜くなよ。客引きだ」
「盗賊より近いですね」
「放っておけば噛みつかん」
エドガーは慣れた様子で彼らを追い払った。
「道を空けてください。取引先は決まっています」
「ベルマンさん、うちの店にも少し回してくれよ!」
「前の外套は売れたぞ!」
「倍で買う!」
「嘘を言いなさい。前回は値切ったでしょう」
言い返しながらも、エドガーの表情は王都を出た時より明るかった。
商人にとっては、ここが仕事の本番なのだ。
荷馬車は大通りを進む。
両側には、冒険者向けの店が隙間なく並んでいた。
武器屋。
防具屋。
道具屋。
宿屋。
酒場。
治療院。
魔術師向けの品を扱う店。
見慣れない石や金属片を卓上へ並べた露店。
剣を研ぐ職人。
破れた革鎧を縫う職人。
壁には、仲間を募集する紙が無数に貼られている。
人数を減らした一団が、新しい仲間を探しているのだろう。
大通りの一角では、男二人が錆びた短剣を巡って言い争っていた。
「これは古代王国の品だ!」
「柄を替えただけの古道具じゃねぇか!」
「文字が刻んである!」
「お前が昨日刻んだんだろ!」
その隣では、豪華な服を着た商人が、泥まみれの石板を真剣な顔で眺めている。
価値のある物。
価値があるように見えるだけの物。
価値を知らない者から安く買おうとする者。
誰かを騙してでも、失った金を取り戻そうとする者。
街全体が、大きな賭場のようだった。
「レックスへ行きたいか?」
隣を歩くガレスが尋ねる。
ロックは町の先を見た。
パダの向こう。
さらに街道を進めば、古代都市レックスがある。
人工始原の巨人について調べ始める前なら、このまま進んでみたいと思ったかもしれない。
今も興味はある。
それでも、胸の中に浮かぶのは、王都地下の巨大な遺跡だった。
「いつかは」
「今は違うのか」
「はい。僕が調べている遺跡は、まだ入口を少し見ただけです」
「有名なレックスより、そっちが気になる?」
「僕が最初に見つけましたから」
その答えに、ガレスは少し驚いた顔をした。
やがて、大きく笑う。
「なるほど。そいつは放っておけんな」
「笑うところですか」
「いや、悪くないと思っただけだ」
前方でエドガーが荷馬車を止めた。
三階建ての大きな商館。
看板には、糸巻きと翼の意匠が描かれている。
入口から、恰幅のよい女性が出てきた。
「遅かったじゃない、エドガー!」
「街道で少し問題がありまして」
「商品は無事?」
「まず私の心配をしていただけませんか」
「立って喋っているなら無事でしょう」
女性は荷馬車の防水布をめくり、中身を確かめる。
外套。
靴。
手袋。
包帯。
油。
オランで作られた完成品。
彼女の顔に、満足そうな笑みが浮かんだ。
「よろしい。全部買うわ」
エドガーが安堵の息を漏らした。
行きの仕事は、これで終わる。
しかし、護衛の仕事は半分も終わっていない。
これから荷が金へ変わる。
帰路で守るべきものは、外から見えなくなる。
だからこそ、危険は増す。
商館の前で荷下ろしが始まる中。
ロックは通りの反対側へ目を向けた。
一人の男が立っている。
灰色の外套。
深く被った頭巾。
顔は見えない。
ただ、男の視線は商館ではなく、エドガーの荷馬車へ向けられていた。
ロックが見返した瞬間。
男は人混みの中へ姿を消した。
「どうした?」
マルコが声をかける。
「今、こちらを見ていた人がいました」
「客引きじゃないのか」
「灰色の外套でした」
マルコの表情から、軽さが消えた。
「昨日の男か?」
「顔は見えませんでした」
街道で待ち伏せていた者が、先回りしてパダへ来たのか。
それとも、ただ同じ色の外套を着た別人か。
まだ何も分からない。
ロックは男が消えた通りを見つめた。
パダへ品を運ぶまでが往路。
売上を持ってオランへ帰るまでが依頼。
本当に危険な旅は、明日から始まるのかもしれなかった。