低ランクの冒険者でも最上級のダンジョンに挑むのは自由です。 作:駄文亭
レックス遺跡から戻った翌日。
王立魔術師ギルド・レックス調査隊の会議室には、調査隊の主要メンバーが集まっていた。
今日は探索ではない。
調査で得た成果と費用を整理する日である。
◇
「では、始めましょう」
クラウゼが帳簿を開く。
ミリシャも隣で羽根ペンを構えた。
「今回の調査では、搬入庫および廃棄処分室までの安全を確認しました」
「新たな古代語資料を多数回収」
「認証札による施設起動を確認」
「さらに」
クラウゼは一呼吸置いた。
「火炎が不定形生物へ有効であること」
「そして、コカトリスの石化能力がブロブへ極めて有効である可能性を確認しました」
エルドが苦笑する。
「最後のは報告書にどう書くつもりだ」
「事実を書きます」
クラウゼは真顔だった。
「『現地にて偶発的な着想を得て実施。極めて高い効果を確認』です」
「偶発的……」
ロックは少し照れくさそうに頭を掻いた。
◇
「では収支です」
ミリシャが新しい帳簿を開く。
「今回の遠征で消費した物資」
油壺。
松明。
保存食。
治療薬。
矢弾。
それぞれが読み上げられていく。
「幸い、爆裂弾の追加消費はありませんでした」
ロックは胸を撫で下ろした。
最後の一発は使い切ったが、それ以上の高額消耗品はない。
「死者、重傷者ともになし」
「装備の大きな損耗もありません」
エルドが満足そうに頷く。
「この規模の調査としては上出来だ」
◇
「次に収入です」
クラウゼが革袋を机へ置く。
中から金貨が積み上げられた。
「今回の調査成果に対する成功報酬」
「資料発見報奨」
「危険手当」
「以上を合わせて――」
クラウゼは帳簿を確認する。
「調査隊へ一万二千ガメル」
部屋に安堵の空気が流れた。
赤字ではない。
むしろ十分な成果だった。
◇
「これを参加人数で分配します」
ミリシャが計算を始める。
護衛。
神官。
魔術師。
補助員。
公平に割り振っていく。
最後にクラウゼが一枚の小袋をロックの前へ置いた。
「ロックさん」
「はい」
「あなたの取り分です」
ロックは袋を受け取り、中を確認した。
金貨が静かに音を立てる。
「それと」
クラウゼは続ける。
「石化によるブロブ討伐法は、あなたの着想です」
「今回の報告書では、その功績を明記します」
「そんな大したことじゃ」
「大したことです」
クラウゼは微笑んだ。
「未知の魔物への有効な対処法を一つ見つけたのですから」
◇
会議が終わる頃。
エルドがロックの肩を軽く叩いた。
「今回は運も良かった」
「はい」
「だが」
「運だけで思い付く方法じゃない」
ロックは首を傾げる。
「そうですか?」
「お前は敵を見て考える」
「だから生き残る」
短い言葉だった。
だが、ロックには十分だった。
◇
ギルドを出ると、夕暮れのレックスには涼しい風が吹いていた。
ロックは革袋の重みを確かめる。
金は増えた。
経験も増えた。
だが、それ以上に大きかったのは――
古代王国が封じようとしたものは、まだ遺跡の奥に残っているという事実だった。
人工始原の巨人。
その研究施設は、ようやく入口を開けただけに過ぎない。
収支報告
所持金
項目 金額
前章繰越 9,300G
調査隊報酬 (今回の報酬額)
その他収入 (あれば記載)
支出 0G
次章繰越 9,300G+報酬
※ミスリル装備一式は盗賊ギルドの競売へ出品中。売却代金は未入金のため、本章収支には含めない。
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消耗品
* 爆裂弾 1発使用(在庫0)
* コカトリスの嘴 1個使用
* 油壺 使用
* 松明 数本使用
* 治療薬 消費なし
* 保存食 消費
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主な戦果
* コカトリス討伐
* 巨大ブロブ撃破
* 人型ブロブ撃破
* 認証扉の起動確認
* 廃棄処分室の発見
* 古代語資料・認証札を回収
* ブロブへの有効な対処法
* 火炎攻撃
* コカトリスの石化能力による石化伝播
を確認
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次章への持ち越し
* 競売結果待ち(最低65,000G入金予定)
* ブロブ本体の追跡
* 処分室より奥の区画探索
* 古代王国「人工始原の巨人計画」の解明