■ DAILY PLANET ─── OPINION / COLUMN
我々は、本当に生まれ変わったのか
――対宇宙人防衛局の発足に寄せて
ロイス・レイン
先日、対宇宙人防衛局の初代長官に、レックス・ルーサー氏が就任した。
氏が掲げる方針は明快だ。異星人登録制度の厳格化。メタヒューマンに対する包括的な規制。そして、合衆国を中心とした地球防衛計画の推進。会見の席で氏はこう述べた。「人類の運命は、人類の手で決めるべきだ」と。
耳に心地よい言葉である。実際、会場の記者の何人かは拍手をした。
だが、待ってほしい。
我々はいま、あまりにも性急に結論を出そうとしていないだろうか。敵ではないものを敵と呼び、必要のない武器を手に取ろうとしてはいないだろうか。
八年前の"あの日"以来、この国が支払ってきた血の代償を、筆者は忘れていない。
焼き払われたニューヨークは、メトロポリスとなった。カンザスシティは、セントラルシティと名を改めた。瓦礫を片付け、地図を書き直し、我々は新しい街の名を口にするたび、自分たちにこう言い聞かせてきた。
この国は生まれ変わったのだ、と。
では問おう。我々は、本当に生まれ変わったのだろうか。
筆者には、そうは思えない。名前の変わった街の下に、"あの日"から一度も抜かれていない棘が、いまも深く刺さったままであるように思えてならない。相互不信という名の棘だ。そしてその傷口は、塞がるどころか、年を追うごとに広がり続けている。
隣人がいつ人ならざる力に目覚めるか分からない。空を飛ぶ者が、明日も我々の味方である保証はない。――そうした囁きは、もはや街角の噂話ではない。政策の言葉となり、予算の項目となり、やがて制度になろうとしている。
恐怖は、常にもっとも手軽な統治の道具である。それを知らぬほど、筆者は若くない。
本紙の紙面をお借りして、筆者はこれから幾度かにわたり、この国が抱えたまま見ないことにしている問題を、一つずつ取り上げていきたいと思う。歓迎されない記事になることは承知のうえだ。
そのうえで、読者の皆様にお願いしたい。
一度だけ、思い出していただきたいのだ。アメリカが一度死に、それでも必ず立ち上がると誓った、あの日のことを。あのとき我々が口にした言葉を。瓦礫の上で、見知らぬ誰かと手を取り合ったときの、あの体温を。
あの日の誓いは、いまもこの国に生きているだろうか。
それを確かめる権利と義務は、長官室にいる一人の男にではなく、この紙面を読んでいるあなたに、ある。
ロイス・レイン/デイリー・プラネット