Fate/Grand Order -Cosmos Ark-   作:みそそ

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第12話

地平線の彼方、琥珀色の空を不気味な黒煙が覆い尽くしていく。

 

この星の意志から徹底的に拒絶され、外宇宙の本隊との通信をも断たれた異星人残党の武装軍団。

 

彼らは自分たちがこの檻の中で干からびて全滅する前に、星に愛された地球人たちを根絶やしにし、惑星のコアを力ずくで強奪すべく、残された全戦力を投入した最後の総攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

「――来るぞ! これ以上の侵入は、我らが開拓都市の防壁が許さん!」

 

建築班の建てた強固な土塁の上、治安維持班を率いるアルトリア・ペンドラゴンが、[[rb:エクスカリバー > レーザーブレード]]を構えて鋭く叫ぶ。

 

荒野を埋め尽くすように押し寄せるのは、異星人の超科学重兵器群。放たれる無慈悲な閃光が台地を穿ち、鋼鉄の義体へと置き換わった英雄たちの防衛線へと肉薄する。

 

「へっ、待たせやがって! システムは絶好調だ、いくらでも来やがれッ!」

 

サイボーグ化を果たしたクー・フーリンが、光速の突撃で敵の兵器を次々と爆砕していく。だが、敵もまた文字通りの死に物狂い。数に任せて防衛線をすり抜け、都市の中心部へと迫り狂う。

 

「……みんな、そこから下がらないで!ラインは俺が、この命を懸けて繋ぎ止める!」

 

激化する戦場のど真ん中。

レーザーも撃てず、空も飛べない、ただの一般人のスペックの機械の身体。

 

原生生物や異星人の攻撃を一発でも浴びれば、一瞬で大破しかねない戦場最弱の「鉄の器」のまま、藤丸立香は必死に地面を蹴り、前線へと走り続けていた。マシュの構える盾だけが、彼を死線から守る唯一の壁。

 

戦場では誰よりも死に物狂いで守られなければならない存在。人間の象徴。

 

だが――この戦場において、彼にしか果たせない役割が確かにあった。

 

「先輩……!英雄たちの[[rb:疑似霊子脳 >OS]]に負荷がかかっています!機械の肉体の高負荷で、システムエラーが――」

 

マシュの悲痛な報告。自分達のデータが破壊されれば終わりという恐怖は、英雄たちの心に静かな歪みを生み、義体の出力を鈍らせていく。

 

「――大丈夫だ。俺たちの絆は、こんなところで絶対に壊れたりしない!」

 

藤丸は立ち止まり、迫り来る敵の砲火を見据えて、右腕を天へと突き上げた。

 

ダ・ヴィンチたちが、マスターにのみ託した、英霊たちのリミッターを一時的に解除する『システムブースト・承認キー』。

 

「システム同調、全ライン開放!!みんな、生き残るぞッ!!」

 

眩いばかりの閃光が、藤丸の右腕から爆発的に放たれた。

その瞬間、令呪の波形を受け取ったすべてのサイボーグ英霊たちの機械の脳から、恐怖によるシステムエラーが1秒で全快し、胸の炉心が臨界突破のスパークを上げる。

 

[i:――リミッター解除。ドライブ出力、最大。疑似宝具の解放を承認します――]

 

元サーヴァント達の擬似宝具が、令呪のブーストによって超科学の輝きを放ち、押し寄せる異星人の大軍を瞬時に押し戻していく。

 

だが、敵の本隊――異星人のボスが乗る巨大な旗艦が、地響きを立てて前線へとせり出してくる。

 

圧倒的な質量による圧殺。防衛線が再び緊迫したその時、開拓都市の遥か上空から、空間を爆裂させるほどの悍ましい重低音が轟き渡った。

 

ズゥゥゥゥゥン……ッ!

そこに、大気を激しく震わせ、開拓都市の防壁の遥か上空から降り立ったのは、一機の「黄金の巨星」であった。

 

全身を鈍く輝く超合金重装甲で包み、琥珀色の鉱物エネルギーを狂おしいほどに激しく奔流させる、まったく新しい神話の姿。

 

――フルアーマー・ギルガメッシュ。

 

生身の肉体の「老いや限界」による焦燥。全能の力を奪われた無力感。それらすべての人間的弱さを自らの不屈の覇気で完全に吹き飛ばし、テスラたちの科学を100%受け入れた王が、ついに戦場へと降臨したのだ。

 

「フハハ! 害獣どもめ、我をただの生身と侮ったか! 牙を捥がれたのなら、前のより100倍鋭い『鋼の牙』を研ぎ澄ますのが道理よ!」

 

地響きを立てて迫り来る、異星人のボスが乗る巨大な旗艦。その圧倒的な質量を前にして、重装甲の王は一歩も退かず、不敵に唇を吊り上げた。

 

原典の宝物庫は閉じている。しかし、彼の背には、カルデアの全戦闘記録と、この星の超鉱物エネルギーによって科学的に再現された、最新鋭の重火器群が翼のようにそびえ立っていた。

 

「刮目せよ! これこそが神秘に代わる我が新たな宝物庫――疑似宝具・『[[rb:王の財宝> マルチロックオン・ガトリング]]』だッ!!」

 

王の咆哮とともに、彼の全身の装甲が一斉に展開された。

 

内蔵された疑似霊子炉心が限界を超えてスパークし、背負った無数の砲門が、異星人の旗艦へと一斉に完全同調を完了する。

 

[i:――システム、オンライン。]

 

――[[rb:全門、一斉掃射> ファイヤ]]ッ!!

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガバババババババババババババババババッ!!!

 

夜空を真昼のように白く染め上げる、極太の指向性レーザーと空間破砕ミサイルの超絶的な大豪雨。それは魔術の波紋ではない。質量を持った科学の暴力、人類の執念が産み落とした『最強の鉄槌』。

 

放たれた無数の光条は、異星人の旗艦の頑強な防壁を紙切れのように容易く引き裂き、その巨体を内側からボロボロに爆砕、完全粉砕していく。

 

「おのれ害獣どもめ、[[rb:我が愛した庭 > 地球]]を奪った代償だ、塵一つ残さず消え失せるが良い!」

 

フルアーマーの王から放たれる圧倒的な火力、圧倒的な覇気。

藤丸立香が放った令呪のブーストによってさらに出力を跳ね上げた機械化英霊の猛攻も重なり、開拓都市へ押し寄せていた敵の武装軍団は、一人残らず文字通り「完全殲滅」された。

 

爆炎が琥珀色の荒野を赤く染め上げ、不時着していた敵の先遣隊は全滅。

人類は、この未知なる新天地での最初の戦争に、非の打ち所のない完全なる勝利を収めたのだ。

 

「はぁ、はぁ……。やった、のか……?」

 

マシュの盾の陰で、藤丸が機械の腕を握りしめ、静まり返った戦場を見つめる。

防壁の上では、傷つきながらも生き残った英霊たちが、鋼の腕を突き上げて勝利の咆哮を上げていた。

 

しかし――敵の旗艦の残骸から、彼らのメインサーバーのデータをハッキングし、解析を終えたエルメロイⅡ世とダ・ヴィンチの顔には、勝利の喜びなど一片もなかった。

 

彼らの前に映し出されたのは、これから始まる、さらに壮大で過酷な「宇宙の現実」だった。

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