ええっ!?この世界ってグラブルじゃないの!?   作:ざいざる嬢

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感想欄がほぼ満場一致でジータちゃんが鎧相手に生身で勝てると思われてて笑いました。
いや、実際その通りなんですけどね?
生身のジータちゃんと鎧でいい勝負が出来るのはリオンwithアロガンツとフィンwithブレイブと黒騎士ぐらいです。


寄子

 

 アンジェリカさん──アンジェとの話を終えた私はその日のうちにクラリス先輩に会うため学園中を探したけれど見つからなかった。

 それから二日後、クラリス先輩の方から訪ねて来てくれた。

 

「ごめんなさいね、ちょっと色々あってお父様に会いに行っていたの」

 

「そうだったんですね……」

 

 クラリス先輩は明らかに元気がなかった。むしろ少しやつれてしまったというか……少し危うい雰囲気を感じる。

 今までキッチリと着ていた制服を着崩していることから、ショックからあらゆることに手が付かなくなっているというか、自暴自棄になっているというか……。このままだと間違った方向に進んでしまうんじゃないかと思わせるほどに覇気がない。

 

「それで、アンジェリカから聞いたけどあの子の代理人になるって本当?」

 

「はい、そのつもりです。なので私はこの決闘を終えたら学園を退学しようと思っていて──」

 

「殿下たちを敵に回したからっていうことね。公爵家のアンジェリカでさえ、今回の一件はタダじゃあ済まないわ。ましてや後ろ盾のない平民の貴女が退学した程度では終わらない。それは理解している?」

 

 そんな状況でもクラリス先輩は私のことを心配してくれている。本当に面倒見がいい人だ。

 だからこそ私はクラリス先輩に報いたいと思う。

 あんな陰険腹黒緑(ジルク)のことなんて早く忘れるべきだ。

 

「ええ、なので私の所有するロストアイテムの献上でもしようかと」

 

「……は?」

 

 これはファーさんと話して決めたことだ。ファーさんの造った……それこそ鎧や飛行船を献上すればそれが私の持つロストアイテムだと勝手に勘違いして水に流してくれるだろう。

 ファーさんに負担をかけてしまうのは申し訳ないけど、これなら許してもらえるだろう。

 

「その後は旅に出ようかと。アンジェにも話しましたが元々学園に通わなければ冒険者になるつもりだったので」

 

 それを聞いたクラリス先輩は信じられないという驚愕の表情を浮かべていた。

 まあ、自分の冒険の成果をこんなにもあっさりと差し出すとは思ってもいなかったんだろう。

 でもそれぐらいの覚悟があるということは理解してもらえたみたいだった。

 

「……本気、なのね?」

 

「はい。ああ、後クラリス先輩を放って別の女に走った陰険腹黒緑野郎(ジルクさん)はクラリス先輩に代わって私が制裁を下しますから安心してください!」

 

「安心できないわよ!!」

 

 おお!? クラリス先輩がそんな大声を出すなんて珍しい。

 何か気に触れてしまったのだろうか?

 

「あーもう……! ……事情が事情だし、先に目をかけていたのは私だし……アンジェもお父様も許してくれるわよね」

 

「先輩?」

 

「いいわ、そこまでの覚悟があるのなら私も何も言わない。でもね、退学もロストアイテムの献上も両方とも無しよ」

 

「ク、クラリス先輩?」

 

「ジータ、正式に私の取り巻きに……いえ、アトリー家の寄子になりなさい。それなら公に私が貴女を庇ってあげられる。

 今の貴女は平民だけど、その辺りは私がどうにかしてあげる。だから……平民だからって、私たち(貴族)のために全てを擲つようなことはしないで」

 

 そう私に訴えたクラリス先輩の眼からはポロポロと涙が零れ落ちていた。

 寄子──即ちクラリス先輩のアトリー家が私の寄親(後ろ盾)となり、今後の面倒を見てくれるということになる。代わりに寄子になった私はアトリー家の派閥に入ることになり、面倒を見てもらう代わりに色々と働くことになる。

 けどこの制度は貴族間で行われる事であり、平民を寄子にすることなどない。寄親となる貴族に何のメリットもないからだ。

 

「よ、寄子って……クラリス先輩、私は──」

 

「”クラリス”でいいわ。アンジェリカもアンジェと呼んでいるのでしょう?」

 

「でもクラリス先輩──クラリスさんには色々と面倒を見てもらいましたし、これ以上は……」

 

 そう濁した回答をするとクラリス先輩は私に詰め寄りジッと私を見つめた。

 その眼差しは涙で濡れながらも強い覚悟が宿っていた。

 

「あんなの面倒を見た内に入らないわ。ただ世話をしただけよ」

 

 それって同義なんじゃ……でも意味合いが違うんだっけ?

 

「それに私とアンジェリカのことを想って代理人を引き受けた貴女に何も報いないなんて貴族令嬢として恥よ。だから、貴女が私たちを助けるように私も貴女を助けるわ。

 安心して、寄子になっても今の生活と変わらないように取り計らうわ。ジータの夢を邪魔することはしないと誓う。どうかしら?」

 

 それは私にとって有利すぎる提案だった。裏があるのではと思わされるぐらいに。

 でも裏がないのはクラリス先輩の眼を見れば解かる。この人は私のために手を差し伸べてくれているのだ。

 自分も婚約者を半ば奪われ、辛い思いをしているはずなのに。

 

「でもクラリスさんに迷惑をかけることになりますよ? 私アンジェにも頭のネジが外れてるって言われましたし……」

 

「そんなこと言われたの? 大丈夫よ、同じ学年の女子が勝手に動く以上の迷惑にもならないわ。

 だから……ほら」

 

 静かに差し出された手。私はその手を掴んだ。

 

「……じゃあ、改めてよろしくお願いしますクラリス」

 

「ええ、よろしくねジータ」

 

 本当なら退学するつもりで臨むつもりだった決闘。それが退学せずに済むということになって、実のところ私は安心していた。

 最初は師匠に勧められて入学しただけだったけど、なんだかんだ私はこの学園生活を謳歌していたのだ。

 こうして手を差し伸べてくれたクラリスには頭が上がらない。感謝の気持ちでいっぱいだ。

 だから責任を持ってあの殿下たちとあの陰険腹黒緑を倒そう。そう心に決めたのだった。

 

 

 




女の子の友情っていいですよね。
この後、無事にアトリー家から鎧を借り受けられることになりました。

それはそれとして、クラリスって呼び捨てにするとグラブルの方のクラリスと混合しますよね。
どうしたもんかなと悩んでいたり。
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