トリッカル・記憶もち教主大作戦 作:strawberrycake
またまた久々の更新となりました…
前回の前書きで述べたネルの過去編、見てみたら世界樹の能力が恐ろしくはあれどそれなりに見応えがあって面白かったですね。
ヤンキー時代のネルの設定を知れたという事で、場面的に使えそうな設定があれば上手い感じに使ってオリ展(独自のセリフ等)していこうかと思います。
それでは、今回はマヨ初登場回をどうぞ!
「売られた遺物を取り戻しましょう!」
というネルの言葉をキッカケにマリーが取引した相手から可能な限り遺物を買い戻すことになったのだが…
これ、本当にうまくいくのか…?
取引相手が既に別の相手に遺物を流通させてたら、反乱軍から逃げる中ではこれ以上追跡することは出来なくなるぞ…?
そして今は反乱軍に見つかるリスクを避けるべく、普段は妖精があまり通らない裏路地を通って取引相手の店を目指しているところだ。
「マリーさん。 この路地に盗品を扱うお店があるというのは間違いありませんか?」
(涙目マリー)
「はい、間違いないです……」
(ブチギレネル)
「どうして腕を下ろしているのです? 腕を上げたままついてきなさいと言いましたよね?」
「ひぃん……ごめんなさい……!!」
「やっぱり博物館に寄付するべきだったね…」
(涙目マリー)
「もうその事は触れないでくださ〜い…」
「あっ、着きました! 盗品商人の家はあそこです」
(すぐにエルフィンが『コン、コン』とノックする)
「誰っすか……?」
(思い当たる声と語尾に静かに震える教主)
「え…」
「今すぐドアを開けなさい! この家を捜索させていただきます!」
「ブツは……?」
「ブツは……?」
「あ、あたしから話してみます」
「教主…? な、なんで震えてるの!?」
「『っす』っていう語尾とあの声…もしやマヨじゃないか…!?」
「マヨさんを詳しくご存知なのですか?」
「ああ…これでもこの世界に召喚される前にある程度はこの世界のことを履修してきたからね…」
「なるほど、それで妖精王国についてもある程度は詳しかったのですね。 さすが教主様!」
「表通りから見れば多分看板で分かっただろうにな…確か店名が『質屋っす』だから、すぐに店主がマヨだと判断ついてたと思う」
「本当に色んなことに対して詳しいんですね…?」
(後ろのやり取りには気づかず話を進めるマリー)
「マヨ? マリーだけどドアを開けて!」
「マリー……ブツがない……入れられないっす」
「違うの……大変なことになってるの。 早くドアを開けて」
「ブツがないと……開けないっす……」
(マリーに近づいて)
「マリー? 取引相手がマヨという事は、遺物を買い戻す事は難しいかもしれないぞ?」
「教主様? マヨについてお詳しいんですか?」
「聞き馴染みのない声…そこに居るのは誰っすか?」
「ああ! 彼女の実態は質屋と見せかけて実際には買取専門のディーラーだから、ブツを売ってくれない可能性が非常に高い…」
「辛うじてレンタル、要は遺物を借りる為の交渉ができるかどうかが限界だと思うな…」
「マヨのこと、よく分かってるじゃないですかぁ!」
(涙目マリー)
「なので先ほども買い戻しなんてきっと無理だってお伝えしたのに司祭長さんが押し切るからこうなったんですよ〜」
「なるほどな…」
こんな事ならネルに対してもっと強く不安要素をぶつければよかったな…
「私のことをよく知ってる…アンタ、只者ではないっすね」
「あー、ま、まあそうだね?」
コイツは私が人間だと分かった途端、きっと目をギランギランに輝かせて間違いなく教主ガチ恋勢の第一号に即なりそうだからな…ある意味怖い。
そうなってしまったら、会話の分岐をどこかでミスったりした時に剥製にされたり防腐剤を飲まされたりして週末農場逝きにされそうでたまったもんじゃないが、幸いにも扉越しでまだ姿は見えてないから賭けてみるか…
「私は今日から世界樹教団に配属された教主という者だ」
「教主…知らない存在っすね」
「緊急だから単刀直入にお願いするが、マリーから買い取った遺物を貸してもらえないだろうか?」
「勿論、私達が今直面している問題が落ち着いたら返却することをお約束する」
「貸出っすか…それならそれ相応のブツはあるっすか?」
「ブツ次第で…考えてやらないこともないっす」
よしっ、僅かだとしても望みが繋がったぞ!!
それならばCoCoを交渉のブツにしよう。
そうすれば質屋っすにCoCoが置かれてメルトダウンバターのイベントフラグも直接的に折らずに済むはずだ。
「ああ、勿論あるぞ。 持ってきたブツは…」
「ああもうほんっと!! さっきからグダグダグダグダと、一向に話が進まなくてイライラするわね!!! 王国首脳で急用があるのにこんなことで時間を無駄にできないでしょ!! どきなさい!!!!!」
【あぁ〜イライラするっ!!! これだから庶民っていうのは〜!!】
「待った、エルフィン!! 多少時間がかかっても取引関係は言葉での交渉が重要で…」
「教主も教主で時間かけすぎなのよ!! 開かない扉なんてこうしてやるわ!!!」
「女王さん!? それ、あたしのダイナマイト!! 何をする気ですかー!!!」
「みんな!!! エルフィンから離れて伏せ…!!!!!」
『ジジジッードカンッ!!!!!!』
(間に合わずに爆発に巻き込まれる使徒と教主)
「きゃあ!!」「うわっ!!」「○ぬっ!!」
「ゲホッゲホ……何やってんだ!! 世界樹の加護がなかったら全滅してたかもしれないんだぞ!? 一瞬かなりの激痛が走ったしぃ……」
「正気ですか?! これは危険なんですよ!?」
(ピースするエルフィン)
「いいじゃない!! 扉を破壊することには成功したわ!」
「ケホケホ……週末農場に……行かせてぇ……」
(爆風で倒れたマヨが起き上がった後)
「家のドアが……粉々に……」
これは非常にマズイ……エシュールとの初対面と同様に可能な限り気配を消さなくては……
「ここで遺物を保管していると聞きました。 すぐに返却しなさい」
「あんたは……?」
「世界樹教団の司祭長、ネルと申します」
「知らないっす……」
「司祭長の名前を知らないなんて!!」
「えっへん!」
「女王様?」
「司祭長はともかく、私のことは知ってるわよね?」
「知らないっす……」
「私は女王よ!! 妖精の女王を知らないってどういうこと!?』
「収集価値……ゼロっす……」
「えっ?」
「ただの変な帽子をした妖精……レア度ゼロっす……。 服は収集価値あるかも……」
【高級生地でオーダーメイドの宮廷服。 原価だけで考えてもかなりの価値がある希少な衣服。 管理が雑でキズが多いのが残念っす】
「協力するつもりがないなら、力づくで奪い取ります!」
「ダメっす」
「この妖精は本当に……!?」
「ヒィィッ!」
「エシュール?! ど、どどどどうした!?」
「こ、ここに反乱軍が……!!」
「落ち着いてエシュール! 幸いにも相手は1人だから、みんなで力を合わせればなんとかなるはずだ!」
「触……るな……」
「まさか、マヨも反乱軍の一員なのか!?」
「反乱? 興味ないっす」
「じゃあ、どうして反乱軍を庇うんだ?」
「私のコレクション。 これ。 マネキン」
「ま、マジかよ…マネキンにしては気持ち悪いくらいリアルだから分からなかったぞ……」
「ところであんた……背がかなり高いっすね」
(あわあわ教主)
「しまった!! 慌てて思わず会話してしまってた!!!」
「あんた……何者? こんな背の高い者は見た事がないっす」
「こ、これはだな……つ、つつつ強くなるための、よ、よよよ妖精の魔法の副作用でデカくなってしまっているだけd…」
『バキッ!!』
「い゛だぁ゛っ゛!!」
(大泣き教主)
「ヒィヒィ…すねに耐えられない激痛が押し寄せてきて週末農場に逝きそうだぁ……」
「デタラメを言うのはおやめください! いくら救世主でも妖精の魔法をでっち上げの種に使うことは許しません」
「で、でも今ここで正直に伝えたら交渉が失敗しそうだから……せ、せめて交渉の材料にだけでも魔法を作り話の引き合いにしてもいいですか?」
(斧を構えるモーションのネル)
「ダ・メ・です!!」
【ダメ〜♪】(※と教主が勝手に聞こえた気がしただけです)
「うぐぐ……わ……私は人間だ」
「人……間……? 初めて聞くっす……」
「少々、説明が必要そうですね」
ネルが私と会ってからのことを説明した……
「ふむ……そういうのは興味ないっす」
「なんですって!?」
「人間……エーリアスの新種の生物……? 価値の測定……不可能……?」
(滝汗状態の教主)
「待って! まだ別の話があるんだ!!」
「シッ。 あんたは……私のものっす」
(やや涙目な教主)
「ほらこうなるぅ〜!!」
「バカなこと言わないで! 教主は私に手を貸して王国を取り戻すって約束したの!」
「そうです! このお方は世界樹教団の教主です。 あなたにそのような権利は……!」
「うるさいっす。人間はもう私のコレクションっす」
(涙目教主)
「誰か…助けて…」
「マヨ! 王国で騒ぎが起こってることは知ってる?」
「騒ぎ? 知らないっす」
「どうしようか……そうだ!」
「ん? どうしたっすか?」
「マヨ、ここは私と取引をしないか?」
「取引……?」
「とにかく今は遺物を貸してほしいんだ。 私をコレクションにしたいのなら、私たちが直面している問題が解決してからまた交渉させてくれないか…?」
「ほう?」
「それに、私に測定できないほど価値があるなら、古い遺物をいくつか借りてもいいよね?」
「面白い……コレクション……うむ……」
(CoCoを見せて)
「それとこれ、初めてみるんじゃないかな?」
(ニヤニヤし始めるマヨ)
「ほう?」
「おまけにこれもつけてあげるよ! どう? 悪くないだろ?」
「断れない……うっ……誘惑……」
(何かに気がつくエルフィン)
「合図ね! これは合図に違いないわ!」
「は? 何も合図してないぞ……ってエルフィン、どこへいくんだ!!?」
『ドタンバタン!!』
「一体……何をするっすか……!?」
「おーい!!! エルフィン戻ってこい!!」
「なんでもいいから手に取って! 略奪するわよ!」
「強制略奪!!? 今すぐやめるんだエルフィン!!!」
「みなさん! 何をなさっているのです……!?」
「ただでさえ君の唐突なダイナマイト爆破のせいで交渉が難航してるんだからもう勝手な行動はやめて!!!!!」
「これは自動でパンが焼ける携帯型魔法オーブン!? これさえあれば自動で大量生産できる!!」
「エシュールもやめて!! 交渉が破談するううぅ!!!」
「ネル、これ見て! 神話の中に出てきた、世界樹教団の銀の首飾り!」
「お前ら自重しろぉー!!!!!」
「一体……何を……この泥棒……」
おまいう状態ではあるが、私にはもうツッコミを入れる余裕なんて今は全くない……
(泣く教主)
「終わりだ…もう終わりだ……破談だ………」
(涙目アセアセなマヨ)
「やめるっす……くぅっ……!」
(大泣き教主)
「無意味に剥製にされるか防腐剤を飲まされて完全にコレクション化されるんだああぁぁ……!!」
「どう? 遺物を返してほしければ私に服従しなさい!」
「だからやめろ!! 今すぐ遺物をマヨに返しなさい!!」
「静かに! 私に考えがあるの」
「考え…?」
「あなたはこれから、私に協力して反乱軍を倒す。 騒ぎが解決したら、遺物も返すしこの人間をあなたに授けよう!」
「おい!! 私は遺物じゃなくて生物だぞ!? 人身取引反対ー!!」
「ううっ……国家権力を……振りかざすなんて……うぅっ……」
「あれっ、でもかなり効いてる……???」
「仕方がない……分かったっす……とりあえず、同行するっす……」
「めちゃくちゃでしたが、とにかく説得には成功したようですね」
「では役に立ちそうな遺物を持っていきましょう」
「うぅ……うぅ……」
【流石ネル、後に人権を奪うような同意書を教主に書かせようとするだけあるな……マヨは所持する遺物を乱雑に扱われて、私は人身売買されたのに、ネルさえもエルフィンのやり方に対してお咎めなしにしやがる】
「あの子たちは基本的に自分たちさえ良ければ他がどうなろうと関係ないと思ったりしている子たちだからねー」
「まあ教主ちゃんもそのうち慣れるよ。 これが妖精王国では日常茶飯事なんだってね!」
【慣れるかなぁ…私のやることなす事が全て水の泡になる展開が今後もあるあるになりそうで今からとてつもなく怖いよぉ…】
「頭数も増えたし、強力な遺物も手に入れたから勝算はある!」
【これだけの人数を盾にすれば勝つことも、逃げることもできるわ!】
「エルフィン…そしてみんなも、マヨが貸してくれた(?)遺物は大切に扱ってね?」
「「「はーい!」」」 「もちろんです!」
ネル以外は信用できないなぁ…
「妖精の女王の実力を見せる絶好のチャンス! へへっ!」
「くれぐれもあんまり調子に乗りすぎないでくれよー!?」
あまりにも暴走しすぎる使徒を指揮していけるか不安になってきたな……
そして、これでマヨによる教主ガチ恋勢の第一号がほぼ確定してしまったな……
やはり、世界樹の作り出す世界の決まりには逆らえないものなのか……
今からもう、先が思いやられすぎる……